目次
NIPTをめぐる年齢制限の最新状況と35歳以下でも検査を受けるための情報を医師監修で解説します。最新の研究データと臨床経験に基づいた信頼性の高い情報をお届けします。
- ➤ NIPTの年齢制限は2022年に日本医学会により撤廃されました
- ➤ 35歳以下でも認証施設で受けられる条件があります
- ➤ 非認証施設では年齢を問わず受診可能な場合が多いです
- ➤ 年齢による染色体異常リスクの違いと検査精度について解説します
【2025年最新】NIPTの年齢制限は撤廃されています
NIPT(新型出生前診断)は、母体の血液を採取するだけで胎児の染色体異常を高精度で調べることができる検査です。以前は「出産予定日時点で35歳以上」という年齢制限が設けられていましたが、2022年2月に日本医学会から発表された新指針により、この年齢制限は条件付きで撤廃されました。
現在の指針では、適切な遺伝カウンセリングを受けても胎児の病気への不安が解消されない妊婦については、年齢を問わずNIPT検査を受けることが認められています。これにより、35歳未満の方でも一定の条件を満たせばNIPTを受けることが可能になりました。
なぜ以前は35歳以上に制限されていたのか?
これまで35歳以上に制限されていた主な理由は、高齢妊娠ほど染色体異常のリスクが高まることと医療資源の効率的な活用を図るためでした。例えば、ダウン症のリスクは35歳で約1/270、40歳で約1/100と年齢とともに上昇します。また、検査費用が高額であること、検査後のフォロー体制の問題も制限理由の一つでした。
認証施設と非認証施設の違い
NIPTを提供する医療機関には、日本医学会の「出生前検査認証制度等運営委員会」による認証を受けた「認証施設」と、独自のガイドラインで運営される「非認証施設」があります。それぞれの違いを理解することが重要です。
ミネルバクリニックでは、日本医学会の認証施設として、臨床遺伝専門医による充実した遺伝カウンセリングと最新のCOATE法によるNIPT検査を提供しています。
35歳以下でもNIPTを受けられる条件とは?
認証施設で35歳以下の方がNIPTを受ける条件
日本医学会の認証施設では、35歳以下の方でも以下の条件を満たす場合にNIPT検査を受けることができます:
- ● 専門的な遺伝カウンセリングを受けた後も胎児の染色体異常に対する不安が解消されない場合
- ● 超音波検査で胎児に染色体異常の可能性を示す所見が認められた場合
- ● 染色体異常を持つ子どもを出産した経験がある場合
- ● 夫婦のいずれかが染色体転座(均衡型)を保有している場合
これらの条件を満たさない場合でも、遺伝カウンセリングを受けることで個別の状況に応じた適切な判断を受けることができます。ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医による丁寧な遺伝カウンセリングを通じて、あなたの状況に最適な選択をサポートします。
非認証施設での受診条件
非認証施設では、多くの場合年齢制限なくNIPT検査を受けることが可能です。ただし、以下の点に注意が必要です:
- ➤ 専門的な遺伝カウンセリングが十分に行われない場合がある
- ➤ 検査結果が陽性だった場合のフォローアップ体制が不十分な場合がある
- ➤ 検査の質や精度に差がある場合がある
- ➤ 確定検査(羊水検査など)への移行がスムーズでない場合がある
非認証施設を選ぶ場合は、事前に検査前後のカウンセリング体制、確定検査への移行体制、医師の専門性などをしっかり確認することをおすすめします。
35歳以下の方へのアドバイス
35歳以下の方がNIPTを検討する際は、以下のポイントを参考にしてください:
- 1 検査の目的を明確にする:なぜ検査を受けたいのか、結果をどう活用したいのかを考える
- 2 検査の限界を理解する:NIPTですべての先天異常がわかるわけではないことを理解する
- 3 パートナーと十分に話し合う:検査の結果、特に陽性だった場合の対応について事前に話し合う
- 4 専門的な遺伝カウンセリングを受ける:正確な情報と心理的サポートを得る
- 5 複数の医療機関の情報を比較する:検査内容、費用、サポート体制などを比較検討する
ミネルバクリニックでは、35歳以下の方にも丁寧な説明と適切なサポートを提供しています。不安や疑問がある方は、まずは遺伝カウンセリングでご相談ください。
年齢別の染色体異常リスクの実際のデータ
母体年齢と染色体異常の関係は科学的に証明されており、年齢が上がるにつれてリスクは高くなります。特に35歳を超えるとそのリスクは急激に上昇します。以下のデータは、主要な染色体異常である21トリソミー(ダウン症候群)の年齢別出生率を示しています。
35歳を境に染色体異常のリスクが急激に上昇します。例えば、21トリソミー(ダウン症候群)の出生率は以下のように変化します:
NIPTで検出可能な主な染色体異常には、以下のようなものがあります:
- ● 21トリソミー(ダウン症候群):知的発達の遅れ、特徴的な顔貌、心疾患などを伴うことがある
- ● 18トリソミー(エドワーズ症候群):重度の発達障害や多発奇形を伴い、予後が厳しい
- ● 13トリソミー(パトウ症候群):重度の脳奇形や内臓奇形を伴い、予後が厳しい
これらの染色体異常はいずれも年齢とともにリスクが上昇しますが、35歳未満でも一定の確率で発生します。そのため、35歳以下の方でも不安がある場合は検査を検討する価値があります。
なぜ35歳が基準になるのか?
35歳という基準は、この年齢を境に染色体異常のリスクが急激に上昇することと、羊水検査のリスク(約1/300~1/500の流産リスク)とのバランスを考慮して設定されました。35歳以上では染色体異常の確率が羊水検査の流産リスクと同等かそれ以上になるため、検査のメリットが高いと考えられてきました。
しかし、NIPTは非侵襲的で流産リスクがないため、このリスク比較の考え方は変化してきています。現在では、NIPTの精度の高さと安全性から、年齢だけでなく妊婦さんの不安や希望も重視する方向に変わってきているのです。
35歳以下でNIPTを受けるメリットとデメリット
メリット
35歳以下の方がNIPTを受けることには、以下のようなメリットがあります:
- ✔ 早期に情報を得られる:妊娠10週から検査可能なため、早い段階で胎児の染色体状態について知ることができます
- ✔ 安全性が高い:採血のみで行うため、流産などのリスクがありません
- ✔ 高い精度:特に21トリソミー(ダウン症候群)に関しては99.9%という高い検出率を持ちます
- ✔ 心理的な安心:検査結果が陰性であれば、高い確率で染色体異常がないと安心できます
- ✔ 準備の時間を確保:もし陽性結果が出た場合、出産までに必要な準備や知識を得る時間があります
デメリット
一方で、以下のようなデメリットも考慮する必要があります:
- ! 費用負担:NIPTは保険適用外で、15〜20万円程度の自己負担となります
- ! 非確定的検査である:陽性結果が出た場合、確定診断には羊水検査などが必要です
- ! 検査の限界:すべての先天異常や染色体異常を発見できるわけではありません
- ! 心理的負担の可能性:検査結果を待つ間や陽性結果が出た場合の不安や葛藤
- ! 結果の解釈の複雑さ:検査結果の意味を正しく理解するには専門的な知識が必要です
検査を受ける前に考えておくべきこと
NIPTを受けるかどうかを決める前に、以下のポイントをパートナーとよく話し合っておくことが重要です:
- 1 検査の目的は何か:単に不安を軽減したいのか、特定の理由があるのか
- 2 陽性結果が出た場合どうするか:次の確定検査を受けるか、妊娠継続についてどう考えるか
- 3 検査の限界を理解しているか:どのような異常がわかり、何がわからないのか
- 4 費用負担は可能か:検査費用に加え、陽性の場合の確定検査費用も考慮しているか
- 5 精神的な準備はできているか:結果を受け取るまでの不安や結果によるストレスに対応できるか
NIPTの検査精度と信頼性について
NIPTの精度は非常に高く、特に21トリソミー(ダウン症候群)に関しては感度99.9%、特異度99.9%という高い検出率を誇ります。ただし、検査手法や対象となる染色体異常によって精度は異なります。
感度と特異度について
・感度:実際に染色体異常がある場合に、検査で陽性と判定される確率
・特異度:実際に染色体異常がない場合に、検査で陰性と判定される確率
ミネルバクリニックでは、最新のCOATE法による高精度なNIPT検査を提供しています。従来のスーパーNIPTと比較して、より高い精度と信頼性を実現しています。
NIPTの精度は年齢による大きな差はありませんが、陽性的中率(陽性結果が出た場合に実際に染色体異常がある確率)は年齢によって変わります。これは、染色体異常の基礎発生率(事前確率)が年齢によって異なるためです。
例えば、同じ検査精度であっても、25歳の妊婦と40歳の妊婦では陽性的中率に差が出ます:
このデータが示すように、35歳未満でも陽性的中率は十分に意味のある水準です。そのため、年齢に関わらず検査の意義はあると言えますが、陽性結果が出た場合は必ず確定検査を受ける必要があることをご理解ください。
ミネルバクリニックで採用している最新のCOATE法は、従来のNIPT検査と比較してさらに高い精度を実現しています。詳しくはCOATE法と従来法の比較をご覧ください。
NIPT検査を受けられる医療機関のご案内
認証施設と非認証施設の選び方
NIPT検査を受ける医療機関を選ぶ際は、以下のポイントを参考にしてください:
- ✓ 日本医学会認証施設か非認証施設かを確認する
- ✓ 検査前後の遺伝カウンセリング体制を確認する
- ✓ 陽性結果が出た場合の確定検査(羊水検査など)への移行体制を確認する
- ✓ 検査の種類、精度、費用を比較する
- ✓ 医師の専門性(臨床遺伝専門医の在籍など)を確認する
- ✓ アクセスのしやすさ、待ち時間などの利便性を考慮する
当クリニックでのNIPT検査について
ミネルバクリニックでは、日本医学会認証施設として、臨床遺伝専門医による丁寧な遺伝カウンセリングと最新のCOATE法によるNIPT検査を提供しています。
検査の流れ
- 1 初回遺伝カウンセリング:検査の内容、メリット・デメリットを詳しく説明し、質問にお答えします
- 2 検査の実施:ご希望の場合、採血によりNIPT検査を実施します(約10ml)
- 3 結果説明:約1週間後、検査結果をご説明します
- 4 陽性の場合:確定検査(羊水検査など)の案内と心理的サポートを提供します
費用(2025年5月現在)
- ・ 遺伝カウンセリング:15,000円(税込)
- ・ NIPT検査(COATE法):180,000円(税込)
- ・ ※陽性の場合の羊水検査:別途費用が発生します
アクセス情報
東京都港区南青山○-○-○ ○○ビル○階
地下鉄銀座線・半蔵門線・千代田線「表参道駅」○○出口から徒歩○分
陽性結果が出た場合のサポート体制
ミネルバクリニックでは、NIPT検査で陽性結果が出た場合のサポート体制も充実しています:
- ● 確定検査への移行:提携医療機関での羊水検査をスムーズに手配します
- ● 心理的サポート:不安や葛藤に寄り添い、必要な情報を提供します
- ● 小児科医との連携:出生前コンサルト小児科医と連携し、出生後の医療についての情報提供を行います
- ● 社会資源の案内:サポートグループや社会福祉サービスなどの情報を提供します
NIPTに関するよくある質問
Q. NIPTはいつから受けられますか?
NIPTは妊娠10週0日から受けることができます。胎児のDNAが母体血液中に十分量存在するようになるのがこの時期からだからです。また、上限としては妊娠24週頃までとされていますが、通常は妊娠15週頃までに受けることが推奨されています。これは陽性結果が出た場合の確定検査や今後の方針決定のための時間を確保するためです。
Q. 検査結果はいつわかりますか?
ミネルバクリニックでは、検査後約1週間で結果が出ます。検査結果は対面での遺伝カウンセリングにて丁寧にご説明します。結果をメールや電話でお伝えすることはありません。陰性結果の場合も陽性結果の場合も、その意味するところや今後の選択肢について詳しく説明し、質問にお答えします。
Q. 痛みや副作用はありますか?
NIPTは通常の血液検査と同じく、腕から約10mlの採血を行うだけです。一般的な採血と同程度の痛みはありますが、それ以外の痛みや副作用はありません。検査による流産リスクなどもなく、母体と胎児に対して非常に安全な検査です。採血後は通常通りの生活が可能です。
Q. 双胎妊娠でも検査は可能ですか?
はい、双胎妊娠でもNIPT検査は可能です。ただし、一卵性双胎と二卵性双胎で検査の解釈が異なる場合があります。また、双胎以上の多胎妊娠や消失胎児(バニシングツイン)がある場合は、検査精度に影響が出ることがあります。双胎妊娠の場合は、特に詳しい遺伝カウンセリングが必要ですので、事前にご相談ください。
Q. パートナーも一緒に来院する必要はありますか?
ミネルバクリニックでは、初回の遺伝カウンセリングにはパートナーと一緒にご来院いただくことを推奨しています。これは検査の意義や結果の解釈、その後の決断などをご夫婦で共有することが重要だからです。ただし、パートナーの来院が難しい場合は、オンラインでの参加も可能ですので、ご予約時にご相談ください。
Q. 検査前に食事制限などはありますか?
NIPT検査のための採血前に特別な食事制限は必要ありません。普段通りの食事や水分摂取をしていただいて問題ありません。ただし、極端な空腹状態や脱水状態は避けていただくことをおすすめします。また、採血後も特別な制限はなく、通常通りの生活が可能です。
Q. 結果が陽性だった場合、次にどうすればよいですか?
NIPTで陽性結果が出た場合は、確定診断のために羊水検査や絨毛検査などの確定検査を受けることをお勧めします。NIPTは非確定的検査であり、偽陽性の可能性もあるため、確定検査なしで最終的な判断をすることは避けるべきです。ミネルバクリニックでは、陽性結果が出た場合、提携医療機関での確定検査の手配、心理的サポート、今後の選択肢についての情報提供など、総合的なサポートを提供します。
まとめ:NIPT検査を検討されている方へ
本記事では、NIPT(新型出生前診断)の年齢制限と35歳以下の方がNIPTを受ける際のポイントについて解説しました。主なポイントを以下にまとめます:
- ➤ 2022年の新指針により、NIPTの年齢制限は条件付きで撤廃されました
- ➤ 35歳以下でも、遺伝カウンセリング後も不安が解消されない場合などには検査を受けることができます
- ➤ 年齢による染色体異常のリスクは35歳を境に大きく上昇しますが、若い年齢でも一定のリスクはあります
- ➤ NIPTは検査精度が高く、非侵襲的で安全な検査ですが、確定診断ではないことを理解する必要があります
- ➤ 検査を受ける前に、目的や結果への対応についてパートナーとよく話し合うことが重要です
NIPT検査を受けるかどうかは、個人の価値観や状況によって異なります。大切なのは、十分な情報を得た上で自分自身で決定することです。ミネルバクリニックでは、35歳以下の方にも臨床遺伝専門医による丁寧な遺伝カウンセリングと最新のCOATE法によるNIPT検査を提供しています。不安や疑問がある方は、まずは遺伝カウンセリングでご相談ください。