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出生前診断を受ける割合はどのくらい?検査が推奨される3つの理由

出生前診断とは、妊娠中に受けることができる赤ちゃんの染色体異常を調べる検査です。
近年では女性の社会進出とともに晩婚化が進み、高齢出産が増加しました。このことから、出生前診断を受ける人が増えています。では実際にどれくらいの人が受けているのでしょうか。
この記事では、妊婦さんが出生前診断を受ける割合と、検査が推奨される3つの理由を詳しくご紹介していきます。

日本では全ての妊婦さんが出生前診断を受けている

実は、日本の妊婦さんが出生前診断を受ける割合は100%となっています。
その理由は、妊娠健診で必ず超音波検査が実施されているからです。妊娠が判明した直後から超音波検査が行われますが、これも出生前診断に含まれます。そのため、妊婦さんなら必ず出生前診断を受けているということになるのです。
高齢になるほど染色体異常を持った子どもが生まれる確率が上がるため、妊婦健診では超音波検査などの出生前診断を確実に受けておくことが推奨されています。

NIPT(新型出生前診断)を受けている人の割合は1.4%

では、妊婦健診以外の出生前診断を受けている人の割合はどれくらいなのでしょうか。厚生労働省の「国内におけるNIPT受検に関する実態調査の施設アンケート」によると、2018年におけるNIPT(新型出生前診断)の件数は12,893件でした。
2019年度の出生数が約86万人であることを考えると、妊婦さん全体のおよそ1.4%がNIPTを受けたことになります。この割合からわかるとおり、日本でのNIPTの浸透率はそれほど高くなく、割合としては非常に少ないと言えます。

海外の出生前診断と比較

日本では妊婦さんなら100%の確率で出生前診断を受けることになりますが、海外での出生前診断を受ける割合と比較すると以下のようになります。

実施国 出生前診断を受ける割合
日本 100%
デンマーク 84.4%
アメリカ 70%
オーストラリア 60%
フランス 84%
オランダ 23.7%

国によってこれほどまで大きな差が生まれる理由は、出生前診断に対する国のサポートの有無にあります。公費負担があるかどうかも異なり、出生前診断に対する理解度・認知度も国によって差があります。
日本は妊娠健診で超音波検査以外の出生前診断の重要性を教えられるため、NIPTなどの受検数もこの数年で増加傾向にあります。

そもそも出生前診断とは

ここまで触れてきた出生前診断ですが、そもそもどのような検査なのかご存知の方は少ないのではないでしょうか。
出生前診断とは、お腹の赤ちゃんの状態や染色体異常、形態異常を調べる検査です。赤ちゃんの状態や疾患等の有無を調べておくことで、生まれてくる赤ちゃんの状態に合わせた分娩方法を検討できます。
また、赤ちゃんの疾患が見つかった場合には、設備の整った医療機関と連携しておくことで出生時に速やかな治療を目指せます。

出生前診断は大きく「非確定的検査」と「確定的検査」の2種類に分かれ、その中でもいくつかの検査の種類に分かれているので、解説していきます。

非確定的検査

非確定的検査とは、お腹の赤ちゃんの染色体異常の可能性を調べる検査です。陽性判定が出た場合にも、検査結果を確定させるためには確定的検査を受ける必要があります。

検査名 内容
胎児超音波検査(エコー) 超音波で胎児の首の後ろのむくみ(NT)を測定
NIPT 母体の採血のみで測定
母体血清マーカー 母体の採血のみで測定
コンバインド検査 母体の採血+血清マーカー

ただし、非確定的検査の中でもNIPTについては、ダウン症の感度・特異度が99.9%と非常に高精度なため、安易な気持ちで検査を受けずパートナーとよく話し合ったうえで受けるか受けないかを決めましょう。

確定的検査

確定的検査とは、非確定的検査を実施して陽性だった場合に実施する検査精度の非常に高い検査です。検査の結果に基づいて診断が確定できます。

検査名 内容
絨毛検査 経腹法または経腟法で絨毛細胞を採取する
羊水検査 専用の注射を穿刺し、羊水採取を行う

ただし、どちらも母体に針を刺すため流産や感染症のリスクを伴います。絨毛検査では1%、羊水検査では0.2〜0.3%のリスクを伴います。

検査を受けられる時期

妊娠中であればいつでも自由に出生前診断を受けられるというわけではありません。妊娠が正式に判明した時に医師から妊娠週数が伝えられますが、その妊娠週数に応じて受検できる検査が決まっています。

検査名 受けられる時期
胎児超音波検査
(エコー)
妊娠10週以降
妊娠10週〜13週、妊娠18週〜30週の2回に分けて実施
NIPT 妊娠9〜10週以降
認証施設の場合、対象の妊婦さんに制限があることも
クアトロテスト 妊娠15週〜18週
コンバインド検査 妊娠11週〜13週
絨毛検査 妊娠10週〜妊娠14週
羊水検査 妊娠14週以降

検査によって受検できる条件が異なることを覚えておきましょう。

NIPT(新型出生前診断とは)

NIPTとは2013年頃から日本で開始された出生前診断の1つで、非確定的検査です。2013年に導入されてから2020年まで約8万6千人以上の妊婦さんが受けています。お母さんの血液中にある胎児のDNAの断片を調べて、染色体の本数や欠失の有無を調べます。

検査を受ける施設によって内容は異なりますが、一般的な染色体疾患(ダウン症、18トリソミー、13トリソミー)、その他の染色体疾患(ターナー症候群、トリプルX症候群、クラインフェルター症候群、ヤコブ症候群)、性染色体(XXおよびXY)、微小欠失症などを調べることができます。(※性染色体は性別のこと)
NIPTを受けられる医療機関は「認証施設」と「非認証施設」の2種類があります。

認証施設は日本医師会が作った出生前検査認証制度等運営委員会が認定した病院のことです。認証されるためには、さまざまな条件をクリアする必要があり、安心して検査を受けられる医療機関となります。
一方非認証施設では認可されていないクリニックがNIPTを実施しています。しかし、非認証施設は法律違反ではなく、検査精度も認証施設と変わりありません。
認証施設で調べてもらえる染色体の種類は、ダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーの基本検査のみと限られています。非認証施設では、その他の染色体異常や性染色体、微小欠失症も検査可能です。

出生前診断が推奨される3つの理由

超音波検査の存在によって妊婦さんが受ける割合が100%という出生前診断。出生前診断を受けることがなぜ推奨されているのかご存知ですか?ここからは、出生前診断が妊婦さんに推奨される3つの理由をご紹介していきます。

1.染色体異常症の有無を高確率で判定可能

出生前診断は、赤ちゃんが胎児の状態でもダウン症候群などの染色体異常症を検査することができます。検査の種類によって検査項目が異なりますが、主に以下の3種類の染色体異常によって引き起こされる疾患の有無を調べることができます。

ダウン症候群

妊婦さんに広く認知されているダウン症候群は、21番染色体が本来あるべき数よりも1本多くなることで発生する先天性疾患です。染色体異常症の中で最も発生頻度が高く、「赤ちゃんがダウン症候群を持っているかどうかを調べるために出生前診断を受ける」という認識を持っている妊婦さんは多くいます。
ダウン症候群は顔などに身体的特徴を多く持ち、心疾患や知的障害などの合併症を伴うことがあります。染色体異常症は合併症の治療や症状の悪化を防ぐ治療法はありますが、発生自体を防ぐことは現在の医学ではできません。全ての妊娠に染色体異常症のリスクがあると考えておきましょう。
ダウン症候群を検査する場合、非確定的検査の出生前診断ではNIPTが最も高い精度を誇ります。NIPTは感度99%・特異度99%でダウン症候群の有無を判定することができ、陽性反応が出た場合は絨毛検査や羊水検査で疾患の有無を確定させる流れが一般的です。

エドワーズ症候群

18番染色体が突然変異などで1本多い状態になってしまうと発生するのがエドワーズ症候群です。心奇形や後頭部突出などの身体的特徴がみられるエドワーズ症候群は、ダウン症候群よりも発生頻度は低いですが、平均寿命が6歳前後というとても重い疾患になります。心臓の手術による機能不全が起こらなければ、20歳前後まで生きることもできます。
発生原因が転座だった場合は、次の妊娠でもエドワーズ症候群を患う可能性が高いため、既往歴がある場合は必ずNIPTなどの出生前診断を受けることが推奨されます。

パトウ症候群

13番染色体が突然変異などで1本多い状態になってしまうと発生するのがパトウ症候群です。パトウ症候群は健康上に多くの問題を抱えており、80%の確率で心奇形を持っています。その他にも口唇口蓋裂や小眼、さらに重い症状であれば片目がないなどの障がいがみられます。
口蓋裂、心奇形に関しては外科的手術で治療が可能ですが、根本的な回復を望める治療法は残念ながらありません。パトウ症候群を持った子どもの1年生存率は約20%といわれ、10年生存率はたった約13%しかありません。
しかし、適切な心臓手術などを受けて生存し、退院に至った子どもは平均寿命15年といわれており、医学の進歩によって過去にはなかった大きな希望がもたらされています。

2.年齢を重ねるごとに疾患のリスクが増加する

ご紹介した染色体異常症は、妊婦さんの年齢が高くなるほど発生頻度が高くなるため、高齢妊娠の方は超音波検査と併せて高精度の出生前診断を受けることが推奨されています。3つの症候群における年齢別の発生頻度がこちらとなります。

染色体異常症 30歳の発生頻度 40歳の発生頻度
ダウン症候群 約1/600 約1/16
エドワーズ症候群 約1/2,100 約1/230
パトウ症候群 約1/6,500 約1/700

ダウン症候群の場合、40歳の妊婦さん16人に1人という非常に高い発生頻度となります。そのため、多くの妊婦さんが非確定的検査だけではなく確定的検査も受けて、染色体異常症の有無を最終確認します。発生頻度が低いパトウ症候群でも、40歳の高齢出産になるとその割合は700人に1人となります。
年齢に関わらず超音波検査以外の出生前診断を受けることが推奨されていますが、高齢出産を迎える方にとっては特に欠かせない検査といえます。

3.妊娠初期から出生後の準備を進められる

障がいを持った子どもの療育には、自治体による補助や支援団体によるサポートが欠かせないものとなります。
出生前診断は早くて妊娠9週目から受けることができるため、染色体異常症を持つ可能性が高いと診断された場合は、早い段階から療育手帳・身体障がい手帳・その他の支援サービスがどのようなものなのか予備知識を入れておくことも可能です。また、身体的に重い障がいを持っている可能性があるため、子どもが健やかに育てる自宅の環境づくり、教育施設選びなども余裕を持って進めることが可能です。

出生前診断の結果によって妊娠を中断してしまう方も多くいます。妊娠の継続と中断は全て妊婦さんとパートナーが自発的に決めることですが、染色体異常・遺伝子疾患に精通した遺伝カウンセリングを受けて、本当に納得できる正しい決断をすることをおすすめします。

まとめ

妊婦さんが出生前診断を受ける割合と、検査を受けることが推奨される理由についてご紹介しました。赤ちゃんの染色体異常を調べられる出生前診断は妊娠健診で実施されている超音波検査も含まれるため、特殊なケースでない限り妊婦さん全員が受けることになります。
しかし、超音波検査だけでは染色体異常の有無を確定できないため、高精度の非確定的検査であるNIPTや、リスクはあるものの染色体異常の有無をほぼ100%の確率で判定できる絨毛検査や羊水検査を受けるのが一般的です。

東京の「ミネルバクリニック」では、妊娠9週0日目から年齢制限なしでNIPTを実施しております。非認証施設ながら、大学病院レベルの臨床遺伝専門医による診療やカウンセリングを受けていただくことができます。
ダウン症候群・18トリソミー・13トリソミーの3項目を検査されるご予定の方は、東京の「ミネルバクリニック」まで。ぜひ、この機会にご相談ください。

この記事の著者:仲田洋美(医師)

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ミネルバクリニックでは、以下のNIPT検査を提供しています。少子化の時代、より健康なお子さんを持ちたいという思いが高まるのは当然のことと考えています。そのため、当院では世界の先進的特許技術に支えられた高精度な検査を提供してくれる検査会社を遺伝専門医の目で選りすぐりご提供しています。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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