目次
クワトロテスト陽性ですぐ羊水検査?
待ってNIPT|臨床遺伝専門医が解説
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Q. クワトロテストで陽性と言われました。すぐに羊水検査を受けるべきですか?
A. ちょっと待ってください。クワトロテスト陽性の約98%は偽陽性です。
羊水検査の前に、NIPT(新型出生前診断)という選択肢があります。陽性的中率2%のクワトロテストから、いきなり流産リスクのある羊水検査に進む必要はありません。ACOGガイドラインでも推奨されている「クワトロ陽性→NIPT→陽性なら羊水検査」という流れをご検討ください。
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クワトロテストの陽性的中率 → わずか約2%(陽性の98%は偽陽性) -
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NIPTの陽性的中率 → 80〜97%(クワトロの約40〜50倍) -
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羊水検査のリスク → 流産率1/300〜1/500(0.2〜0.3%) -
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ACOGガイドライン → クワトロ陽性後のNIPTをオプションとして推奨 -
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NIPTのメリット → 採血のみ・流産リスクなし・不必要な羊水検査を回避
1. クワトロテストとは?その限界を正しく理解する
【結論】 クワトロテストは母体血清マーカー検査の一種で、陽性的中率はわずか約2%です。つまり、陽性と言われた方の約98%は偽陽性(赤ちゃんに異常がない)なのです。
クワトロテストで「陽性」「高リスク」と言われて、不安で眠れない夜を過ごしている方も多いのではないでしょうか。まずは深呼吸して、この記事を最後まで読んでみてください。
クワトロテストの「陽性」は、「赤ちゃんに異常がある」という意味ではありません。「もう少し詳しく調べた方がいいかもしれない」というサインに過ぎないのです。
💡 用語解説:クワトロテスト(母体血清マーカー検査)
妊娠15〜22週(最適は16〜18週)に行う検査です。母体の血液中の4つの物質(AFP、hCG、uE3、インヒビンA)を測定し、年齢などの因子と組み合わせて、胎児のダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、神経管閉鎖障害のリスクを算出します。
クワトロテストの検査精度|日本の実データ
クワトロテストの実際の精度について、日本国内で検査を提供しているラボコープ・ジャパンが1999年から2004年までに実施した19,112例の大規模調査データがあります。
| 項目 | 数値 | 意味 |
|---|---|---|
| 総検査数 | 19,112例 | 大規模な日本国内データ |
| スクリーニング陽性率 | 約9.2% | 約10人に1人が陽性と判定 |
| 陽性的中率(PPV) | 約2.2% | 陽性の98%は偽陽性 |
| 検出率(感度) | 87% | ダウン症の13%は見逃される |
出典:ラボコープ・ジャパン クワトロテスト調査データ(1999-2004年、19,112例)
2. なぜ陽性の98%が偽陽性なのか?具体例で理解する
【結論】 クワトロテストは「スクリーニング検査」であり、異常がある人を見逃さないように、わざと広めに陽性を出す設計になっています。そのため、偽陽性が非常に多くなるのです。
「98%が偽陽性」と聞いても、ピンとこない方も多いでしょう。具体的な数字で考えてみましょう。
-
①
1,000人中、約92人(9.2%)が「スクリーニング陽性」と判定される
-
②
その92人のうち、本当にダウン症の赤ちゃんを妊娠しているのは約2人だけ
-
③
残りの約90人は偽陽性(赤ちゃんに異常なし)
💡 つまり…
「クワトロテストで陽性と言われた100人のうち、本当にダウン症の赤ちゃんを妊娠しているのはわずか2〜3人」ということです。残りの97〜98人は、赤ちゃんに何の異常もないのです。
年齢別のスクリーニング陽性率|高齢になるほど陽性が出やすい
さらに注意が必要なのは、クワトロテストは母体年齢の影響を強く受けるということです。
| 母体年齢 | スクリーニング陽性率 | 陽性的中率 |
|---|---|---|
| 35歳未満 | 約5% | 約2% |
| 35〜39歳 | 約18% | 約2% |
| 40歳以上 | 約40% | 約2% |
⚠️ 注意:40歳以上の方がクワトロテストを受けると、約4割が「陽性」と判定されます。しかし、陽性的中率は約2%のままですから、陽性と言われた方の大半は実際には異常がないのです。高齢妊娠の方にとって、クワトロテストは「陽性が出やすいが、当たらない」検査になってしまいます。
🩺 院長コラム【クワトロテスト陽性で来院される方へ】
当院には、クワトロテストで陽性と言われて不安を抱えて来院される方が多くいらっしゃいます。皆さん本当に辛そうな表情をされています。
でも、お伝えしたいのは「クワトロテスト陽性 ≠ 赤ちゃんに異常がある」ということ。陽性的中率2%という数字が示すように、陽性と言われた方の98%は、赤ちゃんに何の異常もないのです。
だからこそ、すぐに流産リスクのある羊水検査に進むのではなく、まずはNIPTで精度の高いスクリーニングを受けることを検討していただきたいのです。あなたと赤ちゃんを守るための選択肢として、NIPTがあることを知っておいてください。
3. 羊水検査のリスク|陽性的中率2%で侵襲的検査に進む?
【結論】 羊水検査は確定診断ができる重要な検査ですが、流産リスク(1/300〜1/500)を伴います。陽性的中率わずか2%のクワトロテストから、いきなり羊水検査に進むことは、不必要なリスクを負うことになります。
「クワトロ陽性だから羊水検査を」と言われることが多いですが、ここで一度立ち止まって考えてみましょう。
| 羊水検査のリスク | 発生率 |
|---|---|
| 流産 | 1/300〜1/500(0.2〜0.3%) |
| 感染症 | まれ |
| 羊水漏出 | まれ |
問題の本質:98%が偽陽性の検査から直接侵襲的検査へ
仮に1,000人がクワトロテストを受けたとします:
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•
約90人(9%)が「陽性」と判定される
-
•
そのうち本当に異常があるのは約2人だけ
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•
残りの約88人は偽陽性(赤ちゃんに異常なし)
-
•
異常のない88人の胎児のために、流産リスクを伴う検査を行うことに
この状況を避けるために、クワトロテストと羊水検査の間にNIPTを挟むという選択肢があるのです。
4. NIPTという選択肢|クワトロ陽性後のベストプラクティス
【結論】 NIPT(新型出生前診断)は、採血のみで実施でき、流産リスクはゼロです。ダウン症候群の陽性的中率は80〜97%と、クワトロテストの約40〜50倍の精度を誇ります。
💡 用語解説:NIPT(非侵襲性出生前検査)
NIPT(Non-Invasive Prenatal Testing)は、母体血中に存在する胎児由来のcfDNA(cell-free DNA:細胞から遊離したDNA断片)を解析することで、胎児の染色体異常のリスクを評価するスクリーニング検査です。採血のみで実施でき、流産リスクはありません。
クワトロテスト vs NIPT:数字で見る圧倒的な差
| 比較項目 | クワトロテスト | NIPT |
|---|---|---|
| 陽性的中率(PPV) | 約2% | 80〜97% |
| 検出率(感度) | 87% | 99%以上 |
| スクリーン陽性率 | 約9% | 約1.8% |
| 流産リスク | なし | なし |
| 検査時期 | 15〜22週 | 10週〜 |
💡 この表が示す意味
クワトロテストで「陽性」と言われた方が100人いたとします。そのうち本当にダウン症の赤ちゃんを妊娠しているのは約2人。残りの98人は偽陽性です。
一方、NIPTで「陽性」と言われた方が100人いたとします。そのうち本当にダウン症の赤ちゃんを妊娠しているのは80〜97人。偽陽性は3〜20人程度です。
陽性的中率に約40〜50倍の差があるのです。
クワトロ陽性後にNIPTを挟むメリット
1. 不必要な羊水検査を回避
クワトロ陽性の方の約98%は偽陽性です。NIPTで陰性であれば、羊水検査を回避できます。NIPTの陰性適中率(NPV)は99.9%以上と非常に高精度です。
2. 流産リスクの回避
クワトロ陽性90人が全員羊水検査を受けると、約88人は不必要な侵襲的検査を受けることに。NIPTを間に挟むことで、本当に必要な方だけに羊水検査を絞り込めます。
3. 心理的負担の軽減
クワトロ陽性後の数週間は、非常に大きな精神的負担がかかります。NIPTで陰性であれば早期に安心を得られます。陽性的中率2%の結果で不安を抱えるより、80〜97%のNIPTで確認する方がはるかに精神的負担が軽減されます。
4. より正確なリスク評価
クワトロテストの検出率は87%ですが、NIPTは99%以上です。クワトロテストで見逃された13%のケースをNIPTで検出できる可能性もあります。
クワトロテスト陽性で不安な方へ
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臨床遺伝専門医があなたの状況に合わせた選択肢をご説明します。
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5. ACOGガイドラインの推奨|国際的に認められた選択肢
【結論】 米国産婦人科学会(ACOG)は、ガイドラインにおいて「クワトロテスト陽性後のNIPTはオプションとして認められる」と明記しています。これは国際的に認められた標準的なアプローチです。
「クワトロ陽性後にNIPTを受けるのは正しい選択なの?」と不安に思う方もいらっしゃるでしょう。しかし、これは国際的なガイドラインで推奨されている選択肢なのです。
「血清マーカー検査(クワトロテストなど)で陽性となった患者に対して、cfDNAスクリーニング(NIPT)をフォローアップとして使用することは、診断的検査を避けたい患者にとってのオプションである」
つまり、クワトロテスト陽性 → いきなり羊水検査、ではなく、クワトロテスト陽性 → NIPT → 陽性なら羊水検査という流れが、国際的に認められたオプションなのです。
医学的には「contingent screening」と呼ばれる
この「クワトロ陽性後にNIPTを挟む」アプローチは、医学的にはcontingent screening(条件付きスクリーニング)またはsequential screening(連続スクリーニング)と呼ばれています。
カナダのBC州周産期サービスのガイドラインでも、クワトロテストで陽性となった女性にはNIPTが提供され、NIPT陰性であれば安心を得られ、NIPT陽性であれば羊水検査で確定診断を行うと明記されています。
6. 推奨されるフロー|クワトロ陽性後の選択肢
【結論】 クワトロテスト陽性後は、①NIPT → ②NIPT陰性なら安心(エコーでフォロー)、NIPT陽性なら羊水検査で確定診断、という流れが推奨されます。NIPTも確定診断ではないため、陽性の場合は必ず確定検査が必要です。
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①
クワトロテスト陽性
陽性的中率約2%。98%は偽陽性。 -
②
NIPTを受検
採血のみ。流産リスクなし。陽性的中率80〜97%。 -
③-A
【NIPT陰性の場合】
基本的に安心してよい(陰性適中率99.9%以上)。詳細なエコーでフォロー。 - ③-B
-
④
確定診断後
遺伝カウンセリングを受けながら、今後の選択肢を検討する。
⚠️ 重要な注意点:NIPTは非常に優れたスクリーニング検査ですが、確定診断ではありません。NIPTで陽性となった場合は、必ず羊水検査・絨毛検査などの確定検査を受けていただく必要があります。
NIPTでも偽陽性がある理由
NIPTの陽性的中率は80〜97%と高いですが、100%ではありません。偽陽性が生じる主な原因は以下の通りです。
限局性胎盤モザイク(CPM)
NIPTは胎盤由来のDNAを検査するため、胎盤と胎児の遺伝子構成が異なる場合(約1〜2%)、偽陽性となることがあります。
母体の染色体異常
母体自身の染色体異常やがんなどにより、偽陽性となることがあります。
🩺 院長コラム【NIPT陽性でも落ち着いて】
NIPTで陽性という結果が出ると、多くの方がパニックになってしまいます。でも、NIPTも確定診断ではないということを覚えておいてください。
特に13トリソミーのように陽性的中率が低い疾患では、NIPT陽性でも実際には異常がないケースが半数以上あります。
当院では、NIPT陽性となった場合も、臨床遺伝専門医として冷静に状況を説明し、次のステップ(確定検査)について丁寧にご案内します。一人で抱え込まず、私たちを頼ってください。
7. ミネルバクリニックのNIPT|包括的な出生前診断
ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医が直接対応し、専門性を活かした診療体制を整えています。クワトロテスト陽性後のセカンドオピニオンとしてのNIPTも多数実施しております。
ダイヤモンドプラン|COATE法による高精度検査
当院で多くの方に選ばれているダイヤモンドプランは、米国4大遺伝子検査会社が担当する次世代NIPT技術「COATE法」を採用しています。
| 検査項目 | 内容 |
|---|---|
| 常染色体トリソミー(6種) | 13 / 15 / 16 / 18 / 21 / 22 |
| 性染色体異数性(4種) | 45,X / 47,XXX / 47,XXY / 47,XYY |
| 微細欠失(12領域) | 22q11.2欠失(ディジョージ症候群)など12領域 |
| 単一遺伝子(56遺伝子) | ヌーナン症候群など30以上の疾患に関連 |
💡 COATE法の精度
COATE法による微細欠失・56遺伝子の陽性的中率は99.9%以上です。従来の微細欠失検査(陽性的中率70%台)と比較して、圧倒的な精度を誇ります。
詳しいエビデンスはこちらをご覧ください。
ミネルバクリニックのサポート体制
🏥 院内で確定検査まで対応
2025年6月より産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査も院内で実施可能に。転院の必要がなく、心理的負担を軽減できます。
👩⚕️ 臨床遺伝専門医が常駐
臨床遺伝専門医が検査前後の遺伝カウンセリングを担当。結果の説明から今後の選択肢まで、専門家が寄り添います。
💰 互助会で費用面も安心
互助会(8,000円)により、陽性時の確定検査(羊水検査)費用を全額カバー。上限なしで安心です。
💡 遺伝カウンセリング料33,000円の意味
当院のNIPT費用には遺伝カウンセリング料33,000円が内包されています。これは検査当日の説明だけでなく、陽性になった時に何度でもカウンセリングを受けられること、妊娠経過中に心配なことがあればいつでも相談できることを含んでいます。お金がかかるから相談しにくい、ということを避け、安心して日常生活が送れるようにという配慮です。
一人で悩まず、専門医を頼ってください
クワトロテスト陽性の不安、羊水検査への迷い、
臨床遺伝専門医があなたの状況に合わせた選択肢をご説明します。
※オンライン診療も対応可能です
よくある質問(FAQ)
🏥 一人で悩まないでください
クワトロテスト陽性の不安、検査の選択に迷っていること、
どんなことでもお気軽にご相談ください。
臨床遺伝専門医があなたに寄り添います。
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参考文献
- [1] American College of Obstetricians and Gynecologists (ACOG). Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities – Practice Bulletin No. 226. Obstet Gynecol. 2020;136(4):e48-e69. [ACOG]
- [2] Gil MM, et al. Analysis of cell-free DNA in maternal blood in screening for fetal aneuploidies: updated meta-analysis. Ultrasound Obstet Gynecol. 2017;50(3):302-314. [PubMed]
- [3] Benn P, et al. Positive predictive value estimates for noninvasive prenatal testing from data of a large referral genetic diagnostic laboratory. Mol Cytogenet. 2022;15:8. [PubMed]
- [4] Norton ME, et al. Cell-free DNA Analysis for Noninvasive Examination of Trisomy. N Engl J Med. 2015;372(17):1589-97. [PubMed]
- [5] BC Perinatal Services. Comparing Funded and Privately Paid Screening Tests. [BC Perinatal Services]
- [6] Cleveland Clinic. Quad Marker Screen. [Cleveland Clinic]
- [7] International Society for Prenatal Diagnosis (ISPD). Position Statement on Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities. [ISPD]
- [8] ラボコープ・ジャパン. クワトロテスト調査データ(1999-2004年、19,112例). [ラボコープ・ジャパン]
- [9] 日本医学会 出生前検査認証制度等運営委員会. 母体血清マーカー検査について. [日本医学会]


