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血管奇形の遺伝子検査(44遺伝子パネル)|原因・遺伝するか・体細胞モザイクの注意点

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

血管奇形の遺伝子検査(44遺伝子パネル)

血管奇形は、生まれつき血管やリンパ管のつくりに異常がある病気の総称です。原因の多くは、体の一部の細胞にだけ起きた遺伝子の変化(体細胞モザイク)で、親から子へ受け継がれないことが多い一方、家族で受け継がれる型もあります。原因の遺伝子がわかると、使える薬や、ご家族が検査を受けるかどうかを考える手がかりになります。ただし、血液や唾液の検査で原因が見つからなくても、「原因がない」とは言えないのが血管奇形の大きな特徴です。このページでは、44の遺伝子をまとめて調べる血管奇形の遺伝子検査で何がわかり、何がわからないのかを、臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. この検査で何がわかりますか?

静脈奇形・毛細血管奇形・動静脈奇形・リンパ管の異常、HHT(オスラー病)、脳海綿状血管腫などに関係する44の遺伝子に、病気の原因となる変化がないかを一度に調べます。とくに、家族で受け継がれる型かどうかを確かめるのに向いた検査です。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

血管奇形と診断された方・疑われている方、ご家族に同じような血管の病気がある方、いくつもの病変がある方、赤いあざや腫れの原因がわからないまま受診を続けてきた方です。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・抽出DNA・頬の粘膜・唾液で、オンライン診療でも受けられます。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。家族で受け継がれる型なら、ご家族の検査や出生前診断を考えられます。陰性でも血管奇形は否定できないこと、意義がまだわからない変化(VUS)が見つかることもご説明します。

\ 原因の遺伝子を知って、治療とご家族の計画に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どの検体が合っているかからご説明します。

お問い合わせはこちら | どの検査がよいか迷う方へ

1. 血管奇形とは:血管腫との違いと種類

血管奇形は、毛細血管・静脈・リンパ管・動脈と静脈のつながりなど、血管やリンパ管のつくりが生まれつき異常になっている病気です。生まれたときからあり、体の成長に合わせて大きくなっていきます[1]。皮膚の赤いあざのように見えるものから、顔や手足の腫れ、脳や内臓の病変まで、できる場所も症状もさまざまです。

血管腫(乳児血管腫)との違い

「血管腫」と「血管奇形」は名前が似ていますが、別の病気です。1982年に、血管の病変の組織を細胞のレベルで調べた研究が、両者をはっきり分けました。乳児期の血管腫は、血管の内側の細胞(血管内皮細胞)が盛んに増えて急に大きくなり、その後、線維や脂肪に置き換わって小さくなっていきます。これに対して血管奇形では細胞が増えておらず、生まれたときからあって、体の成長に合わせて大きくなります[1]。

古い呼び名では、毛細血管奇形が「単純性血管腫」、静脈奇形が「海綿状血管腫」、リンパ管奇形が「リンパ管腫」と呼ばれてきたため、今でも混同されがちです。遺伝子検査を考えるときは、まず「血管腫(腫瘍)」なのか「血管奇形」なのかを、主治医の診断で確かめておくことが出発点になります。

流れの速さで分ける:毛細血管・静脈・リンパ管・動静脈

血管の病気の分け方は、国際血管腫・血管奇形学会(ISSVA)の分類が世界で使われています。この分類は、血管の病変を「腫瘍」と「奇形」に大きく分け、奇形はどの血管に異常があるかで分けています。わかっている原因遺伝子も、分類の付録にまとめられています[2]。

🩸 主な血管奇形の種類

種類 どんな病変か 血液・リンパ液の流れ
毛細血管奇形 皮膚の赤いあざ(ポートワイン母斑)。古い呼び名は単純性血管腫 ゆっくり
静脈奇形 青っぽくやわらかい腫れ。古い呼び名は海綿状血管腫 ゆっくり
リンパ管奇形 リンパ液がたまった袋状の病変。古い呼び名はリンパ管腫 ゆっくり
動静脈奇形 動脈と静脈が、毛細血管を通らずに直接つながる 速い

※分類の枠組みはISSVA分類[2]による。いくつかの種類が混ざった病変(混合型)もあります。

どれくらいの人に起こるか

血管奇形全体の正確な頻度ははっきりしていませんが、種類ごとの報告はあります。たとえば米国で生後72時間以内の赤ちゃん1,058人のあざを調べた研究では、毛細血管奇形にあたるポートワイン母斑は0.3%にみられました[3]。ほかの種類はさらにまれで、詳しい解説は動静脈奇形(AVM)やリンパ管異常の総論のページにまとめています。

2. 血管奇形は遺伝する?原因の多くは「体の一部の細胞の変化」

血管奇形の多くは、受精したあとの発生の途中で、体の一部の細胞にだけ起きた遺伝子の変化が原因です。この場合、親から受け継いだものではなく、お子さんに受け継がれることも通常はありません。一方で、生まれつき全身の細胞に変化があり、親から子へ2分の1の確率で受け継がれる型もあります。どちらの型かによって、検査の選び方も、ご家族への意味も大きく変わります。

体細胞モザイク:病変の細胞にだけ変化がある

体の一部の細胞にだけ遺伝子の変化がある状態を体細胞モザイクといいます。血管奇形では、次のような研究で、病変の組織にだけ変化があることが確かめられています。

  • ●静脈奇形:家族歴のない静脈奇形の57人のうち28人で、病変にTEK遺伝子の変化が見つかりました。この変化は血液や病変以外の組織にはありませんでした[4]。
  • ●スタージ・ウェーバー症候群とポートワイン母斑:病変の組織でGNAQ遺伝子の同じ変化が、スタージ・ウェーバー症候群の26人中23人(88%)、ポートワイン母斑の13人中12人(92%)に見つかりました。病変の組織の中でも、変化をもつ遺伝子(アレル)の割合は1.0〜18.1%と低いものでした[7]。
  • ●脳の動静脈奇形:72人中45人の病変でKRAS遺伝子の変化が見つかり、血液を調べた21人では1人も見つかりませんでした[10]。
  • ●リンパ管奇形・クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群など:PIK3CA遺伝子の変化が、リンパ管奇形の17人中16人、クリッペル・トレノネー症候群の21人中19人、CLOVES症候群の33人中31人に見つかりました。病変の組織でも、変化をもつ細胞が10%に満たないことが多いと報告されています[9]。

体の一部の細胞にだけ起きた変化は、卵子や精子のもとになる細胞(生殖細胞)に含まれていなければ、お子さんには受け継がれません。体細胞の変化と、生まれつき全身にある変化の違いは、体細胞変異と生殖細胞系列変異のちがいで詳しく解説しています。

家族で受け継がれる型もある

一方で、生まれつき全身の細胞に変化がある型もあります。多くは常染色体顕性(優性)遺伝で、親が変化をもっていると、お子さん1人ごとに2分の1の確率で受け継がれます。こうした型では、病変がいくつもあったり、ご家族にも同じような病変があったりすることが手がかりになります。

  • ●家族性の静脈奇形:TEK遺伝子が働きすぎる変化が、家族で受け継がれる皮膚・粘膜の静脈奇形の原因になります[5]。
  • ●グロムス静脈奇形:GLMN遺伝子(グロムリン)の変化が原因になります[6]。
  • ●毛細血管奇形-動静脈奇形(CM-AVM):RASA1遺伝子の変化による新しい病気として報告され[8]、その後EPHB4遺伝子でも起こることがわかりました(CM-AVM2)。
  • ●HHT(オスラー病)・家族性の脳海綿状血管腫・原発性リンパ浮腫なども、家族で受け継がれることがある病気です。

同じ変化をもっていても、症状が出ない方や軽い方がいることがあり、これを浸透率が100%ではない、といいます。ご家族に症状がないからといって、家族で受け継がれる型ではない、とは言い切れません。

3. 病名から探す:主な血管奇形と原因遺伝子

血管奇形は、病名ごとに原因になりやすい遺伝子が違います。主治医から言われた病名に近いものをご覧ください。遺伝子ごとの一覧は第6章の表にまとめています。

静脈奇形・グロムス静脈奇形

静脈奇形は、青っぽくやわらかい腫れとして見つかることが多い病変です。家族歴のない静脈奇形では、約半数で病変の組織にTEK遺伝子の変化が見つかったと報告されています(57人中28人)[4]。病変がいくつもあり、ご家族にもある場合は、TEKの変化を受け継いだ家族性の静脈奇形[5]や、GLMN遺伝子によるグロムス静脈奇形[6]を考えます。家族性の型は血液で調べられますが、家族歴のない静脈奇形の変化は病変にしかないことが多い、という違いがあります。

毛細血管奇形(ポートワイン母斑)・スタージ・ウェーバー症候群

ポートワイン母斑(毛細血管奇形)は、生まれつきの赤いあざです。顔のポートワイン母斑に、脳や目の血管の異常を伴うのがスタージ・ウェーバー症候群です。どちらも、病変の組織にGNAQ遺伝子の変化が見つかることが多いと報告されています[7]。体の一部の細胞にだけある変化なので、血液での検査には向きません(第5章)。

毛細血管奇形-動静脈奇形(CM-AVM)・動静脈奇形

小さな赤いあざ(毛細血管奇形)がいくつもあり、ご本人やご家族に動静脈奇形がある場合は、毛細血管奇形-動静脈奇形(CM-AVM)を考えます。原因はRASA1遺伝子[8]やEPHB4遺伝子の変化で、生まれつき全身の細胞にあるため、血液で調べることができます。

ひとつだけできた動静脈奇形は、病変の組織にKRASなどの変化が見つかることが多く、血液では見つかりませんでした[10]。MAP2K1・BRAF・HRAS・NRASも、同じ情報の通り道(RAS/MAPK経路)にある遺伝子です。

リンパ管奇形・クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群・PROS

リンパ管奇形や、手足の片側の血管奇形と過成長を伴うクリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群、脂肪の増えすぎや骨の異常を伴うCLOVES症候群などは、PIK3CA遺伝子の体細胞モザイクで起こることが多いと報告されています[9][11]。こうした病気はまとめてPIK3CA関連過成長スペクトラム(PROS)と呼ばれるようになりました[12]。同じ情報の通り道(PI3K-AKT-mTOR経路)にあるAKT1・AKT3・PTENも、このパネルの対象です。

原発性リンパ浮腫

生まれつき、または若いうちから手足がむくむ原発性のリンパ浮腫も、遺伝子の変化で起こることがあります。代表的なのはFLT4遺伝子によるミルロイ病で、このパネルにはFOXC2・VEGFC・CCBE1・GJC2・SOX18・GATA2など、リンパ管の発達に関わる遺伝子も入っています。

HHT(オスラー病)・脳海綿状血管腫は専用の検査ページへ

くり返す鼻血や、肺・脳・肝臓の動静脈奇形を起こすHHT(遺伝性出血性毛細血管拡張症、オスラー病)の原因遺伝子(ENG・ACVRL1・SMAD4・GDF2)と、脳海綿状血管腫の原因遺伝子(KRIT1・CCM2・PDCD10)も、このパネルに含まれています。病名がこの2つにしぼれている方は、遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)遺伝子検査、脳海綿状血管腫(CCM)遺伝子検査のページで、病気の見通しやご家族の検査をより詳しく解説しています。

4. どんな人がこの検査を受けるとよいか

血管奇形と診断された方・疑われている方のうち、とくに「家族で受け継がれる型かどうか」を知りたい方に向く検査です。病変がいくつもある方、ご家族にも同じような病変がある方は、生まれつき全身にある変化が見つかる可能性を考えます。

あざ・腫れの原因がわからず、いくつもの科を回ってきた方

血管奇形は、皮膚科・形成外科・小児科・脳神経外科・放射線科など、病変の場所によって受診する科が変わり、病名がはっきりしないまま時間がたってしまうことがあります。関係する44の遺伝子を一度に調べることで、1つずつ遺伝子を調べていく回り道をせずに、原因に近づける可能性があります。ただし、全員に原因が見つかるわけではありません(第5章・第7章)。

ご家族に同じような血管の病気がある方

親子やきょうだいに、赤いあざ・静脈奇形・動静脈奇形・くり返す鼻血・脳の血管の病気・むくみなどがある場合は、家族で受け継がれる型が考えられます。原因の変化がわかれば、ご家族は同じ場所を調べることで、受け継いでいるかどうかを確かめられます。

薬による治療を考えている方

血管奇形の治療には、硬化療法・塞栓術・レーザー・手術などのほかに、原因の情報の通り道に働く飲み薬があります。日本ではシロリムスが、静脈奇形・リンパ管奇形・クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群などの難治性の脈管奇形に使えるようになっています(第8章)。原因の遺伝子がわかることは、治療を選ぶときの手がかりのひとつになります。

この検査より別の検査が向いている場合

症状や病名によっては、次の検査のほうが向いていることがあります。比べる相手は検査の種類です。

🔍 症状に合わせた検査の選び方

こんなとき 向いている検査
血管奇形の型がしぼれない、家族歴がある、病変がいくつもある このページの検査(44遺伝子)
くり返す鼻血、皮膚・粘膜の小さな赤い点、肺や脳の動静脈奇形 遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)遺伝子検査
脳の海綿状血管腫がいくつもある、ご家族にもある 脳海綿状血管腫(CCM)遺伝子検査
頭が大きい、体の一部や片側が大きくなる(過成長) 大頭症・過成長症候群 NGS遺伝子検査パネル
若いうちの脳梗塞・脳出血、片麻痺 片麻痺・脳卒中遺伝子検査(NGSパネル)
肺動脈性肺高血圧症と診断された 肺動脈性肺高血圧症NGS遺伝子検査
心臓や大動脈の病気もあり、病気がしぼれない 心血管疾患包括的遺伝子検査パネル、結合組織疾患NGSパネル検査
血管以外の症状も多く、病気をしぼれない 全エクソーム検査(WES)

※体の一部の細胞にだけ変化があると考えられる場合(家族歴がなく、病変が1か所だけの静脈奇形・リンパ管奇形・ポートワイン母斑など)は、どの検体で調べるかが大切になります。第5章をご覧ください。

\ 生まれ持った遺伝子は一生変わりません。一度の検査を、これからの計画に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

家族で受け継がれる型とわかった場合、妊娠したときの出生前診断(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられます。

HHT(オスラー病)の遺伝子検査 | どの検査がよいか迷う方へ

5. いちばん大事な注意:血液・唾液で見つからなくても「原因がない」とは言えません

体の一部の細胞にだけ起きた変化は、病変の組織にはあっても、血液や唾液にはほとんど、あるいはまったく含まれていないことがあります。そのため、血液や唾液の検査で原因が見つからなくても、血管奇形が否定されたことにはなりません。受ける前に知っておいていただきたい、このページでいちばん大事な点です。

なぜ血液では見つかりにくいのか

第2章で紹介した研究では、家族歴のない静脈奇形のTEKの変化は血液になく[4]、脳の動静脈奇形のKRASの変化も、調べた21人の血液からは見つかりませんでした[10]。さらに、病変の組織そのものでも、変化をもつ細胞は数%から十数%ほどにとどまることがあります[7][9]。変化が「どこに」「どれくらい」あるかが、検査で見つかるかどうかを左右するのです。

⚠️ 「血液で陰性=原因なし」ではありません

このパネル検査は、生まれつき全身の細胞にある変化を見つけるためにつくられた検査で、体の一部の細胞にだけある変化(体細胞モザイク)を見つけることを目的としてつくられたり、その性能を確かめられたりした検査ではありません。家族歴がなく病変が1か所だけの場合は、血液・唾液で陰性でも、病変の組織には原因の変化がある可能性が残ります。

この検査が向いているのは「生まれつき全身の細胞にある変化」

反対に、病変がいくつもある、ご家族にも同じような病変がある、HHTや家族性の脳海綿状血管腫・CM-AVM・原発性リンパ浮腫などが疑われる、といった場合は、生まれつき全身の細胞に変化があることを考えます。この場合は血液・唾液・頬の粘膜で調べることができ、このパネル検査がよく向いています。

病変の組織で調べる必要があるかどうか、どのように進めるかは、病変の場所や治療の予定(手術や生検の予定があるか)によって変わります。どの検体で、どの検査を受けるのがよいかは、検査の前の遺伝カウンセリングでご相談ください。体細胞モザイクについては、体細胞モザイクと生殖細胞系列モザイクの解説もご覧ください。

6. 調べる44遺伝子と関係する病気

この検査では、血管奇形・リンパ管の異常・HHT・脳海綿状血管腫・肺の血管の病気などに関係する44の遺伝子を一度に調べます。病気との関係と遺伝のしかたは、遺伝性疾患のデータベースOMIMの登録をもとにしています。

🧬 対象の44遺伝子と、関係する主な病気

遺伝子 関係する主な病気 遺伝のしかた
ACVRL1 遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)2型 常染色体顕性
AKT1 プロテウス症候群
カウデン症候群6型
体細胞モザイク
常染色体顕性
AKT3 巨脳症・多小脳回・多指・水頭症症候群2型(MPPH2) 常染色体顕性
BMPR2 肺動脈性肺高血圧症1型
肺静脈閉塞症1型
常染色体顕性
常染色体顕性
BRAF CFC症候群1型
ヌーナン症候群7型
レオパード症候群3型
常染色体顕性
常染色体顕性
常染色体顕性
CAMK2G 常染色体顕性知的発達症59型 常染色体顕性
CAV1 肺動脈性肺高血圧症3型
家族性部分型脂肪萎縮症7型
先天性全身性脂肪萎縮症3型
常染色体顕性
常染色体顕性
常染色体潜性
CCBE1 ヘネカム・リンパ管拡張症-リンパ浮腫症候群1型 常染色体潜性
CCM2 脳海綿状血管腫2型 常染色体顕性
EIF2AK4 肺静脈閉塞症2型 常染色体潜性
ELMO2 骨内原発の血管奇形 常染色体潜性
ENG 遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)1型 常染色体顕性
EPHB4 毛細血管奇形-動静脈奇形2型(CM-AVM2)
リンパ管奇形7型
常染色体顕性
常染色体顕性
FAT4 ヴァン・マルダーゲム症候群2型
ヘネカム症候群2型
常染色体潜性
常染色体潜性
FLT4 ミルロイ病(リンパ管奇形1型)
先天性心疾患7型
常染色体顕性
常染色体顕性
FOXC2 リンパ浮腫-睫毛重生症候群 常染色体顕性
FOXF1 肺静脈の配列異常を伴う肺胞毛細血管異形成 常染色体顕性
GATA2 骨髄異形成を伴う原発性リンパ浮腫(エンバーガー症候群)
免疫不全症21型
常染色体顕性
常染色体顕性
GDF2 遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)5型 常染色体顕性
GJC2 リンパ管奇形3型(原発性リンパ浮腫)
低髄鞘性白質ジストロフィー2型
常染色体顕性
常染色体潜性
GLMN グロムス静脈奇形 常染色体顕性
GNA11 家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症2型
常染色体顕性低カルシウム血症2型
常染色体顕性
常染色体顕性
GNA14 病気との関係を研究中の遺伝子(OMIMに病名の登録なし) 研究中
GNAQ スタージ・ウェーバー症候群
先天性毛細血管奇形(ポートワイン母斑)
孤発(体細胞モザイク)
体細胞モザイクが多い
HOXA1 ボズレー・サリー・アロライニー症候群(脳幹形成異常) 常染色体潜性
HRAS コステロ症候群
表皮母斑・シンメルペニング症候群
常染色体顕性(多くはde novo)
体細胞モザイク
KCNK3 肺動脈性肺高血圧症4型 常染色体顕性
KDR 乳児血管腫(かかりやすさ) かかりやすさに関わる変化
KRAS 脳の動静脈奇形
ヌーナン症候群3型
CFC症候群2型
体細胞モザイク
常染色体顕性
常染色体顕性
KRIT1 脳海綿状血管腫1型 常染色体顕性
MAP2K1 CFC症候群3型
メロレオストーシス
常染色体顕性
孤発(体細胞モザイク)
NOTCH1 大動脈弁疾患1型
アダムス・オリバー症候群5型
常染色体顕性
常染色体顕性
NRAS ヌーナン症候群6型
先天性色素細胞母斑症候群
常染色体顕性
体細胞モザイク
PDCD10 脳海綿状血管腫3型 常染色体顕性
PIEZO1 リンパ管奇形6型(原発性リンパ浮腫)
脱水型遺伝性有口赤血球症1型
常染色体潜性
常染色体顕性
PIK3CA CLOVES症候群など(PIK3CA関連過成長スペクトラム)
巨脳症-毛細血管奇形症候群(MCAP)
脳海綿状血管腫4型
カウデン症候群5型
体細胞モザイク
体細胞モザイク
体細胞の変化
常染色体顕性
PTEN カウデン症候群1型(PTEN過誤腫症候群)
大頭症・自閉症症候群
常染色体顕性
常染色体顕性
RASA1 毛細血管奇形-動静脈奇形1型(CM-AVM1) 常染色体顕性
SMAD4 若年性ポリポーシス/HHT症候群
若年性ポリポーシス症候群
マイヤー症候群
常染色体顕性
常染色体顕性
常染色体顕性
SMAD9 肺動脈性肺高血圧症2型 常染色体顕性
SOX18 乏毛症-リンパ浮腫-毛細血管拡張症候群 常染色体潜性・常染色体顕性
STAMBP 小頭症-毛細血管奇形症候群 常染色体潜性
TEK 皮膚・粘膜の多発性静脈奇形(家族性)
原発性先天緑内障3E型
常染色体顕性
常染色体顕性
VEGFC リンパ管奇形4型(原発性リンパ浮腫) 常染色体顕性

※病名と遺伝のしかたは、OMIM(遺伝性疾患のデータベース)の登録をもとに記載(2026年10月確認)。がんなど、体の一部の細胞に起きる変化による病気は省略しています。病名に下線のあるものは、当院の解説ページにリンクしています。「体細胞モザイク」と書いた病気は、多くが受け継がれない型です。

7. この検査でわかること・わからないこと

この検査でわかるのは、44の遺伝子の配列の小さな変化(1文字の置き換わりや、小さな挿入・欠失)と、遺伝子のまとまった欠失・重複の一部です。一方で、遺伝子検査には必ず限界があります。

  • ●体の一部の細胞にだけある変化:この検査は、体細胞モザイクを見つけることを目的につくられた検査ではありません。血液・唾液で陰性でも、病変には変化がある可能性があります(第5章)。
  • ●欠失・重複の検出:遺伝子1つ分まるごとの欠失・重複(頬の粘膜・血液)と、2つ以上続くエクソンの欠失・重複(血液のみ)を見つけられます。エクソン1つだけの欠失・重複は、ふつうは検出されません。見つかった欠失・重複は、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します。
  • ●調べられない変化:染色体の転座や逆位、繰り返し配列の伸び、遺伝子の働きを調節する領域(プロモーター)やエクソンから離れたイントロンの変化は、この検査ではわかりません。
  • ●調べていない遺伝子:対象は44の遺伝子だけです。血管奇形には、ほかの遺伝子が原因のものもあります。
  • ●意義がまだわからない変化(VUS):病気の原因かどうか、今の知識では判断できない変化が見つかることがあります。
  • ●陰性でも否定はできません:原因が見つからなくても、血管奇形でないとは言えません。診断と治療は、診察と画像検査にもとづいて続けます。
🔬 検査の精度について(専門的な数値)

調べる領域の99%以上を、同じ場所を20回以上読み取る深さで解析します(≥99% at 20x)。同じ場所を何度も読むほど、読み間違いを見分けやすくなります。読み取りの質が基準に届かない部分や、確かめが必要な変化は、サンガー法でもう一度確かめます。

遺伝子の中には、よく似た配列(偽遺伝子など)がほかの場所にあるものがあり、そうした部分では変化を正しく見分けにくいことがあります。

8. 結果が出たあと

結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。結果の読み方は遺伝子検査結果の見かたもご覧ください。

家族で受け継がれる型が見つかったとき

生まれつき全身の細胞にある変化が見つかった場合は、病名がはっきりし、何に気をつけて経過をみればよいかが決まります。多くは常染色体顕性(優性)遺伝で、ご両親・きょうだい・お子さんも同じ変化をもっている可能性があります。ご家族の中で原因がわかっていると、ほかのご家族は同じ場所を調べることで、受け継いでいるかどうかを確かめられます。HHTや脳海綿状血管腫とわかった場合の経過のみかたは、それぞれの検査ページで解説しています。

ご家族で原因の遺伝子の変化がわかっていれば、妊娠したときに赤ちゃんで同じ変化があるかを調べることもできます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。その病気で出生前診断を行えるかは、病気の重さなどを踏まえて個別に考えますので、妊娠を考えている段階からご相談ください(羊水検査・絨毛検査)。

治療の手がかりになるとき

日本では、シロリムスの飲み薬が、2021年9月に難治性リンパ管疾患に、2024年1月には「難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形」に使えるようになりました。添付文書(2026年4月改訂)では、リンパ管腫(リンパ管奇形)・リンパ管腫症・ゴーハム病・リンパ管拡張症・血管内皮腫・房状血管腫・静脈奇形・青色ゴムまり様母斑症候群・混合型脈管奇形・クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群が対象として挙げられています(2026年10月時点で確認)。米国の第2相試験では、治療の難しい血管の病気をもつ方のうち、評価できた57人中47人で、6コース(1コース28日)の時点で部分的な効果がみられました(完全に消えた人はいませんでした)[14]。

PIK3CAの変化による病気(PROS)に対しては、PI3Kを抑えるアルペリシブの研究が進んでいます。19人に使った報告では、全員で症状がよくなったとされています[13]。米国では2022年4月に、全身の治療が必要な重い症状のPROS(2歳以上)に対して迅速承認されましたが、日本でのPROSへの承認は確認できませんでした(2026年10月時点)。薬が使えるかどうかは、病気の種類や重さで変わるため、主治医とご相談ください。

陰性だったとき

原因の変化が見つからなかった場合でも、血管奇形が否定されたわけではありません。とくに家族歴がなく病変が1か所だけの場合は、病変の組織にだけ変化がある可能性が残ります(第5章)。家族で受け継がれる型の可能性は低くなりますが、ゼロにはなりません。症状に合わせて、ほかの検査を考えます。

意義がまだわからない変化(VUS)が見つかったとき

VUSは、それだけで診断に使ったり、ご家族の検査に使ったりはしません。研究が進んで、のちに意味がはっきりすることもあります。扱い方はVUS(意義不明変異)の臨床的取り扱いで解説しています。調べた目的とは別の病気の原因が見つかったときの扱いは、当院の二次的所見の開示方針をご覧ください。

次のお子さんへの影響

血管奇形のお子さんをもつご両親にとって、「次の子にも起こるのか」は大きな心配です。病変の組織にだけある変化(体細胞モザイク)が原因とわかれば、多くの場合、ご両親から受け継いだものではなく、ご両親のせいでもありません。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。

一方、家族で受け継がれる型とわかれば、次のお子さんで同じ変化が受け継がれる確率は、変化をもつ親から1人ごとに2分の1です。ご両親のどちらも変化をもっていない、新しく起きた変化(de novo変異)の場合でも、親の生殖細胞にだけ変化がある性腺モザイクの可能性はゼロではありません。変化をもつ生殖細胞からできる卵子・精子は2分の1の確率で変化を受け継ぎます。生殖細胞のうちどれくらいが変化をもつかは実際の診療では調べられないため、お子さん1人あたりの確率は『最大で2分の1』とお伝えしています。

結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。

9. 日本の制度(2026年10月時点)

血管奇形の一部は、指定難病・小児慢性特定疾病の対象になっています。難病情報センター・小児慢性特定疾病情報センターで、2026年10月時点で次のように確認しました。

📋 指定難病になっている主な病気

番号 病名(指定難病の名称)
157 スタージ・ウェーバー症候群
227 オスラー病(遺伝性出血性末梢血管拡張症)
277 リンパ管腫症/ゴーハム病
278 巨大リンパ管奇形(頚部顔面病変)
279 巨大静脈奇形(頚部口腔咽頭びまん性病変)
280 巨大動静脈奇形(頚部顔面又は四肢病変)
281 クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群

※難病情報センターの各病気のページで確認(2026年10月)。肺動脈性肺高血圧症(86)も指定難病です。

小児慢性特定疾病では、「脈管系疾患」の中に、青色ゴムまり様母斑症候群・巨大静脈奇形・巨大動静脈奇形・クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群・原発性リンパ浮腫・リンパ管腫・リンパ管腫症・遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー病)・カサバッハ・メリット現象(症候群)が載っています。スタージ・ウェーバー症候群は「神経・筋疾患」の中に含まれています。

医療費の助成を受けるには、それぞれの制度の認定の基準を満たし、申請する必要があります。「巨大」とつく病名のように、病変の大きさや場所が条件になっているものもあります。認定の基準や申請の方法は、難病情報センター・小児慢性特定疾病情報センターや、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。

10. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・抽出DNA・頬の粘膜・唾液で、いずれもオンライン診療で受けられます。

ご予約
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
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検体の採取お支払い後にキット送付
▶
結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

💴 費用・日数・検体

項目 内容
検査内容 血管奇形に関係する44遺伝子(塩基配列・欠失/挿入は料金に含まれます)
検査費用 税込330,000円
結果までの期間 2〜3週間
至急オプション 55,000円(結果までの期間が約7日短くなります)
VUS除外オプション 無料(ご希望の方は遺伝カウンセリングでお申し出ください)
検体 血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色のキャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬の粘膜(スワブ)、唾液(ご希望により採取キットをお送りします)
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査費用とは別
オンライン診療 唾液・頬の粘膜・血液のいずれでも可能。血液の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします

※当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。

オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただく流れです。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。検体採取キットは、検査料金をお支払いいただいた後にお送りします。検体の取り違えを防ぎ、検査に使える品質を保つため、ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

遺伝カウンセリングでは、検査で何がわかり、何がわからないか、どの検体が合っているか、結果がご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。

\ 人生に一度の遺伝子検査を、ご家族とこれからの計画に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

臨床遺伝専門医が常駐し、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明してからマイページにアップします。

お問い合わせはこちら | 脳海綿状血管腫(CCM)の遺伝子検査

11. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「陰性だから安心」とも「受けても意味がない」とも言えない検査だからこそ】

血管奇形の遺伝子検査は、ほかの多くの遺伝子検査と少し違います。原因の多くが体の一部の細胞にだけある変化なので、血液で何も見つからなくても、病気が否定されたことにはなりません。一方で、家族で受け継がれる型は確かにあり、それがわかれば、ご家族の検査や、次の妊娠の計画まで考えられるようになります。どちらの型なのかは、見た目や家族歴だけでは決めきれないことがあります。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。たとえば、きょうだいのお子さんの病気をきっかけに念のため検査を受けた方に、まったく別の遺伝子の病的な変化が、体の一部の細胞だけにある状態(モザイク)で見つかったことがあります。ご本人は発症していませんでしたが、卵子や精子のもとになる細胞にもその変化があれば、お子さんが発症することがある病気でした。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。

だからこそ、検査の前に「この検査で何がわかり、何がわからないか」「どの検体が合っているか」を丁寧にお伝えすることを大切にしています。わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 血管奇形は遺伝しますか?

多くは遺伝しません。血管奇形の多くは、受精したあとの発生の途中で、体の一部の細胞にだけ起きた遺伝子の変化が原因です。一方、家族性の静脈奇形、毛細血管奇形-動静脈奇形(CM-AVM)、HHT(オスラー病)、家族性の脳海綿状血管腫などは、親から子へ2分の1の確率で受け継がれることがあります。

Q2. 血管奇形は生まれつきですか?原因は何ですか?

血管奇形は生まれたときからあり、体の成長に合わせて大きくなる病気です。原因として、TEK・PIK3CA・GNAQ・KRASなどの遺伝子の変化が、病変の組織で見つかっています。家族で受け継がれる型では、RASA1・EPHB4・GLMNなどの遺伝子の変化が原因になります。

Q3. 血液や唾液の検査で異常がなければ、原因はないということですか?

いいえ。血管奇形の多くは病変の細胞にだけ遺伝子の変化があり、血液や唾液では見つからないことがあります。この検査は、生まれつき全身の細胞にある変化を見つけるための検査なので、陰性でも血管奇形は否定できません。

Q4. 血管腫と血管奇形の違いは何ですか?

乳児期の血管腫は、血管の内側の細胞が増えて急に大きくなったあと、小さくなっていく腫瘍です。血管奇形は細胞が増えておらず、生まれたときからあって、体の成長に合わせて大きくなります。古い呼び名の「単純性血管腫」「海綿状血管腫」は、今の分類では血管奇形にあたります。

Q5. 血管奇形は難病指定されていますか?

一部が指定難病になっています。2026年10月時点で、スタージ・ウェーバー症候群(157)、オスラー病(227)、リンパ管腫症/ゴーハム病(277)、巨大リンパ管奇形(278)、巨大静脈奇形(279)、巨大動静脈奇形(280)、クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群(281)が指定難病です。医療費の助成を受けるには、認定の基準を満たす必要があります。

Q6. クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群やスタージ・ウェーバー症候群も調べられますか?

原因になりやすいPIK3CAとGNAQは、この検査の対象遺伝子です。ただし、これらの病気の原因の多くは病変の細胞にだけある変化なので、血液や唾液の検査では見つからないことがよくあります。どの検体で調べるのがよいかは、検査の前の遺伝カウンセリングでご相談ください。

Q7. 遺伝子がわかると治療は変わりますか?

治療を選ぶときの手がかりのひとつになります。日本では、シロリムスの飲み薬が、静脈奇形・リンパ管奇形・クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群などの難治性の脈管奇形に使えます。PIK3CAの働きを抑えるアルペリシブは、米国ではPROSに対して迅速承認されていますが、日本でのPROSへの承認は確認できませんでした(2026年10月時点)。

Q8. 妊娠中のNIPTで血管奇形はわかりますか?

NIPTは、血管奇形を調べるための検査ではありません。当院のNIPTのダイヤモンドプランとインペリアルプランにはBRAF・HRAS・KRAS・MAP2K1・NRASが、インペリアルプランにはさらにPIK3CA・AKT3・SMAD4が含まれますが、調べる目的は赤ちゃんの全身の細胞に新しく起きた変化です。血管奇形の多くは体の一部の細胞にだけ起きる変化なので、NIPTで血管奇形がわかるわけではありません。当院のNIPTは妊娠9週から、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。

🧬 一度の検査で、原因と、ご家族のこれからを考える

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。血管奇形の原因が家族で受け継がれる型とわかれば、ご家族の検査や、結婚・妊娠の計画を考える手がかりになります。体の一部の細胞にだけある変化が疑われる場合も、どの検体で調べるのがよいかから、検査の前にご説明します。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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