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マイヤー症候群(Myhre症候群)とは?SMAD4遺伝子変異で全身に線維化が進む超希少疾患を遺伝専門医が解説

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

のべ10万人以上の意思決定に伴走。国際医療誌『Medical Care Review APAC』『Global Woman Leader』の2誌で表紙を飾り、「Top Prenatal Testing Service in APAC 2025」に選出されるなど、世界基準の遺伝医療を提供。

マイヤー症候群(Myhre症候群)は、SMAD4という1つの遺伝子の、ごく限られた場所に起きた「機能獲得型」の変化によって、皮膚・関節・心臓・血管・気道など全身の結合組織が少しずつかたく・厚くなっていく(線維化する)希少な疾患です。診断例は近年増えてきましたが、それでも身近に同じ病気の人がいることはまれで、名前を聞いたことがある方は多くないと思います。それでも、この病気を理解することには大きな意味があります。マイヤー症候群を引き起こすSMAD4は、体のあらゆる細胞で「増えるか止まるか」「かたくなるか柔らかいままか」を決めるTGF-βという情報伝達の中心にある遺伝子であり、同じ遺伝子の別の壊れ方は、若年性ポリポーシスや遺伝性出血性毛細血管拡張症といったまったく違う病気を起こすからです。つまりマイヤー症候群を丁寧に読み解くことは、「結合組織がかたくなる」という現象そのものを理解することにつながります。本記事では、原因・症状・診断・遺伝・管理を、遺伝専門医の視点でやさしく整理します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約18分
🧬 SMAD4・進行性線維化・結合組織疾患
臨床遺伝専門医監修

Q. マイヤー症候群とはどんな病気ですか?まず結論だけ知りたいです

A. SMAD4遺伝子の「機能獲得型」変異によって、皮膚・関節・心臓・血管・気道など全身の結合組織が進行性にかたく厚くなる(線維化する)希少な疾患です。低身長・特徴的な顔だち・難聴・心血管の合併症を伴い、手術や気管挿管などの侵襲的処置でかえって線維化が進みやすいという、この病気ならではの注意点があります。多くは新生突然変異(生まれる前に新しく起きた変化)で、ご両親に同じ変異がないことがほとんどです。

  • 原因 → SMAD4のMH2ドメインの、ごく限られた場所(codon 500 と 496)に起きた機能獲得型の変異
  • 遺伝形式 → 常染色体顕性(優性)遺伝。ただし大半は新生突然変異で、家族歴がないことが多い
  • 主な症状 → 低身長・かたく厚い皮膚・偽性筋肥大・特徴的な顔だち・難聴・心血管や気道の線維化
  • 生命予後にかかわる点 → 収縮性心膜炎・拘束型心筋症・大動脈や気道の狭窄。手術・挿管で悪化しうる
  • ご家族にとって → 多くは新生突然変異のため同胞(きょうだい)の再発率は低い。次の妊娠の見通しは遺伝カウンセリングで整理できる

🧬 マイヤー症候群の基本情報

項目 内容
疾患名 マイヤー症候群(Myhre症候群)/英名 Myhre syndrome/旧称 LAPS症候群(現在は通常使用されません)
原因遺伝子 SMAD4(18番染色体長腕 18q21.2)/機能獲得型の変異
遺伝形式 常染色体顕性(優性)遺伝/浸透率はほぼ完全。ただし大半は新生突然変異で家族歴なし
OMIM表現型番号 139210
頻度・報告例数 超希少疾患。分子診断が確定した患者は200例以上が報告されている(有病率は不明。約90万人に1人という概算あり)
主な症状 低身長/特徴的な顔だち/かたく厚い皮膚・結合組織の線維化/偽性筋肥大/関節可動域の制限/難聴(伝音性・混合性)/心血管の合併症/気道の狭窄
診断の決め手 臨床所見に加え、SMAD4のcodon 500 または 496 に限局した変異を遺伝学的検査で確認
鑑別すべき疾患 ゲレオフィジック骨異形成症アクロミクリック異形成症ワイル・マルケサーニ症候群
再発率・保因者 新生突然変異例では同胞の再発リスクは低い(性腺モザイクの可能性は残る)。罹患者からお子さんへは50%の確率で伝わる
検査上の注意 手術・気管挿管などの侵襲的処置で線維化が進みうるため、診断名を医療チームで共有しておくことが重要

各項目の根拠と詳しい解説は、本文の該当セクションをご覧ください。

1. マイヤー症候群とは ─ 結合組織が「かたく厚くなる」進行性の疾患

マイヤー症候群は、体じゅうの結合組織が生後からゆっくりとかたく厚くなっていく、進行性の希少疾患です。低身長・特徴的な顔だち・かたい皮膚・関節の動きにくさが土台にあり、成長とともに心臓や気道の線維化が問題になっていきます。

この病気が1つの疾患単位として認識されるまでには、40年近い歴史があります。1981年にMyhreらが最初の症例を報告し、その後LAPS症候群(喉頭気管狭窄・関節症・下顎前突・低身長の頭文字。現在この名称は使われていません)と呼ばれた一群や、成長遅延を伴う別の記載とが、実は同じ病気だったことが少しずつ分かってきました。そして2011年、これらすべての背景にSMAD4という同じ遺伝子の、しかもごく限られた場所の変異があることが突き止められ、マイヤー症候群という1つの疾患として統合されました[1]。ばらばらに見えていた症例が1本の線でつながった瞬間です。

かつては報告例が非常に少ない疾患でしたが、遺伝子検査の普及とともに診断例は増えてきました。2024年に更新された国際的な専門データベースGeneReviewsでは、分子遺伝学的に確定した患者が200例以上報告されています[2]。正確な有病率は分かっていませんが、およそ90万人に1人という概算も示されています[2]。日本語では「マイヤー」のほか「マイア」「ミーレ」「ミューレ」などと表記されることもありますが、いずれも同じMyhre syndromeを指します。国際的な遺伝性疾患データベースOMIMでは、表現型番号139210として登録されています[3]。それでもまれな病気であることに変わりはなく、診断まで時間がかかりやすいため、成人になってから初めて名前がつくことも少なくありません[2]

ご本人やご家族にとって、この「まれさ」は二つの意味を持ちます。ひとつは、身近に同じ病気の人がいないため孤立しやすいこと。もうひとつは、担当する医師にとっても出会う機会が少ない疾患であることが多く、正しい診断名が分かること自体が、その後の医療の質を大きく左右するということです。とりわけ後の章で述べる「手術で悪化しうる」という特性は、診断名を医療チームが共有していて初めて事前に備えられます。だからこそ、まず病気の全体像を正確に知っておくことに価値があります。

2. 原因遺伝子SMAD4 ─ 同じ遺伝子でも「壊れ方の向き」で病気が変わる

マイヤー症候群の原因は、SMAD4という1つの遺伝子の、MH2ドメインというごく限られた部分に起きる「機能獲得型」の変異です。同じSMAD4でも、逆に働きが失われる「機能喪失型」の変異は、まったく別の病気を起こします。同じ部品でも、壊れる向きによって結果が変わるのがこの遺伝子の特徴です。

SMAD4がつくるタンパク質は、TGF-βシグナルBMPシグナルという、細胞の運命を決める2つの伝達経路が最後に合流する「共通の中継役(co-SMAD)」です。細胞の外から届いた「増えなさい」「かたくなりなさい」「コラーゲンをつくりなさい」といった指令は、いくつものSMADタンパク質を経て、最後にSMAD4と手を組んで核へ入り、遺伝子のスイッチを操作します。SMAD4は多くの経路が集まる合流点の交通整理役であり、ここが乱れると全身に影響が及びます。

マイヤー症候群を起こす変異は、驚くほど場所が限られています。SMAD4のMH2ドメインの中の、たった2か所のアミノ酸(500番目と496番目)に集中しているのです[1][4]。具体的には、500番目のイソロイシンがバリン・スレオニン・メチオニン・ロイシンのいずれかに置き換わる変化と、496番目のアルギニンがシステインに置き換わる変化に、ほぼ限られます。数百塩基のうちの、ほんの数か所です。これほど変異の場所が集中している遺伝性疾患はまれで、そのこと自体が「特定の性質を新たに獲得した変異」であることを強く示しています。

💡 用語解説:機能獲得型変異と機能喪失型変異

機能喪失型変異は、遺伝子の働きが弱まったり失われたりする変化です。多くの遺伝性疾患は、この「足りなくなる」タイプで説明できます。一方機能獲得型変異は、遺伝子が本来もっていない性質を新たに手に入れたり、正常な調節がうまくきかなくなったりする変化です。

マイヤー症候群の変異は、この機能獲得型にあたります。同じSMAD4でも、働きが失われる機能喪失型の変異は若年性ポリポーシス/遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)を起こします。こちらは血管がもろくなったり消化管にポリープができたりする病気で、マイヤー症候群の「かたく厚くなる」とはむしろ対照的です。同じ遺伝子でも、壊れ方の向きが違えば病気の姿は大きく変わる——これがSMAD4を理解するうえで最も大切な視点です。

同じSMAD4遺伝子、向きの異なる2つの病気

機能獲得型/調節異常

SMAD4遺伝子

TGF-β/BMPシグナルの調節が乱れる

結合組織がかたく・厚くなる(線維化)

マイヤー症候群

機能喪失型/シグナル伝達機能の低下

SMAD4遺伝子

TGF-β/BMPシグナルの伝達機能が低下する

血管がもろく・消化管にポリープ

若年性ポリポーシス/HHT

出発点は同じSMAD4遺伝子ですが、変異の向きによって行き着く病気は異なります。

では、この変異は具体的に細胞の中で何をしているのでしょうか。長く提唱されてきたのは、「変異したSMAD4が分解されにくくなって細胞内にたまり、TGF-βシグナルが過剰に活性化する」という考え方です。実際、患者さん由来の線維芽細胞ではSMAD4タンパク質の増加や標的遺伝子の発現亢進が報告されています[4]。一方で2022年に発表された機能研究では、タンパク質の安定性も上流のSMADのリン酸化も変わっておらず、むしろタンパク質どうしの結合が強まることで転写活性が高まる「ドミナントネガティブ様の調節不全」だと報告されました[5]。つまり「機能獲得によってTGF-β/BMPシグナルの制御が乱れ、結果として線維化に傾く」という大枠は共通していますが、その正確なしくみはまだ完全には決着していません。GeneReviewsでも、機能獲得を支持する研究とドミナントネガティブ機序を支持する研究の両方があり、未解決とされています[2]。この記事では、「安定化して過剰活性化する」という表現は一つの提唱段階のものとして扱い、確定した事実としては書かない立場をとります。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「同じ遺伝子=同じ病気」ではありません】

遺伝子の名前がひとつ出ると、「その遺伝子に変化があれば、決まった病気になる」と受け取られがちです。けれどSMAD4は、その素朴なイメージが通用しないことを教えてくれる遺伝子だと考えています。同じSMAD4でも、働きが強まる向きに壊れればマイヤー症候群、弱まる向きに壊れれば若年性ポリポーシスと、行き着く先が変わるからです。

大切なのは、変異があるかどうかだけでなく、「どこに」「どの向きに」起きた変異なのかまで見ることだと考えています。マイヤー症候群では変異の場所が2か所に集中しているため、この特徴を知っておくことが正確な診断の入り口になります。遺伝子検査の結果は「変化の有無」で終わらせず、その意味まで一緒に読み解くべきものだと、私たちは考えています。

3. 全身の症状 ─ 成長・皮膚・顔だち・関節・偽性筋肥大

マイヤー症候群は「全身の結合組織の病気」です。低身長、かたく厚い皮膚、特徴的な顔だち、関節の動きにくさ、筋肉が発達して見える偽性筋肥大などが、成長とともに少しずつ目立ってきます。生まれてすぐより、幼児期から学童期にかけて特徴がはっきりしてくることが多いのが特徴です。

成長面では、胎児期から発育がゆるやかなことがあり、その後も身長の伸びがゆっくりで、低身長が高い頻度で見られます。近年報告された最大規模の47例のコホート研究でも、成人身長が予測より大きく低くなる例が多く確認されています[6]。ただし成長ホルモンへの反応は限定的とされ、単純なホルモン不足とは異なるしくみが背景にあると考えられています。骨は太く短くなる傾向があり、頭蓋骨の肥厚や特徴的な骨の所見が画像で確認されることもあります。

皮膚は厚くかたくなり、つまむと通常より抵抗を感じます。これは真皮のコラーゲンなど細胞外マトリックスが過剰に蓄積するためで、マイヤー症候群の「線維化」という本質が皮膚に現れたものです。関節も同じ理由で動きが制限され、肘・膝・指などの可動域がだんだん狭くなっていきます。筋肉については、実際に筋力が強いわけではないのに、見た目が発達しているように見える「偽性筋肥大」がしばしば見られます。これも筋肉そのものというより、周囲の結合組織の変化を反映した所見です。

顔だちにも共通する特徴があります。眼が小さめ(狭い眼瞼裂)、上唇が薄い、下顎が前に出る(下顎前突)、鼻が短めといった要素が組み合わさり、経験のある医師には「マイヤー症候群らしい顔つき」として認識されます。こうした顔の特徴は成長とともにはっきりしてくるため、年長児や成人で診断の重要な手がかりになることがあります。一方でご家族にとっては「うちの子の個性」でもあります。特徴を医学的に記述することと、その子らしさを尊重することは矛盾しません。特徴を知る目的は、あくまで早く正しい診断にたどり着き、必要な備えをするためです。

💡 用語解説:偽性筋肥大とは

偽性筋肥大(ぎせいきんひだい)は、筋肉が発達しているように「見える」けれども、実際の筋力はそれに見合っていない状態を指します。マイヤー症候群では、筋そのものが鍛えられているのではなく、筋肉を包む結合組織が厚くなることで、がっしりした印象になります。見た目の力強さと実際の運動能力が一致しないため、「体格がしっかりしているから大丈夫」と判断しないことが、ご本人の生活を考えるうえで大切です。

4. 心臓・血管・気道と全身の合併症 ─ 生命予後を左右する進行性の線維化

マイヤー症候群でとりわけ注意が必要なのが、心臓・血管・気道の合併症です。これらの臓器でも結合組織の線維化が進むため、心臓を包む膜がかたく縮んだり、大動脈や気道が狭くなったりします。生命予後にかかわる部分であり、この病気の管理の中心になります。

循環器の合併症は高頻度で、47例のコホートでは約4分の3(77%)の患者さんに何らかの心血管の異常が認められました[6]。内容はさまざまで、生まれつきの心臓の構造異常(心房中隔欠損や動脈管開存、大動脈二尖弁など)に加え、成長とともに現れる線維化に伴う問題があります。とくに心臓を包む膜が厚くかたくなって心臓の動きを締めつける「収縮性心膜炎」や、心筋そのものが伸び縮みしにくくなる「拘束型心筋症」は、この病気に特徴的で注意を要する合併症です。同コホートでは心膜の病変が約13%、拘束型心筋症が約4%に見られました[6]

血管では、大動脈をはじめとする太い血管が細くなる(低形成・狭窄)変化が約6割で報告されています[6]。高血圧を伴うこともあります。気道では、喉頭や気管が線維化で狭くなる喉頭気管狭窄が起こりえます。これはかつてこの病気がLAPS症候群と呼ばれた由来にもなった特徴で、呼吸や発声、そして次章で述べる麻酔・挿管に直接かかわります。聴力については、伝音性または混合性の難聴が多いのが特徴です。進行性・生涯累積でみるとOrphanetでは約83%とされ[7]、ある時点で横断的に評価した47例では約39%に難聴が認められました[6]。数字が違うのは、加齢とともに難聴が増えていくことと、評価した時期の違いを反映しています。近年は、網膜の中心(中心窩)の形成が不十分な所見が眼の精密検査(OCT)で報告されるなど、新しい特徴も見つかりつつあります[8]

「進行性の線維化」が各臓器で起こすこと

心臓を包む膜

かたく縮み締めつける
(収縮性心膜炎)

心筋

伸び縮みしにくい
(拘束型心筋症)

大動脈・血管

細くなる・狭くなる
(低形成・狭窄)

喉頭・気管

狭くなる
(喉頭気管狭窄)

中耳

聞こえにくくなる
(伝音性・混合性難聴)

共通する原因は「結合組織がかたく厚くなる」線維化です。臓器ごとに現れ方が違うだけで、根っこは同じです。

まれに報告される腫瘍と、その受け止め方

まれではありますが、腫瘍の報告もあります。2020年の症例報告では、分子診断が確定したマイヤー症候群の6名に腫瘍がみられ、そのうち3名は女性の子宮内膜癌でした[9]。その後にまとまった追加報告は多くありませんが、GeneReviewsにはさらに子宮内膜癌1例や視床下部過誤腫などの報告も記されています[2]。ここで大切なのは受け止め方です。マイヤー症候群は、若年性ポリポーシスのような確立した「遺伝性腫瘍症候群」ではありません。腫瘍のリスクがどの程度なのか、特定のSMAD4変異(子宮内膜癌の一部で報告されたp.Arg496Cysなど)と本当に関連するのかは、現時点では確立していません[2]。過度に不安になる必要はありませんが、とくに女性では、月経量の増加などが子宮内膜の変化のサインになりうるため、婦人科的な見守りが勧められています[2]

これらの合併症は、必ずしも全員に、同じ時期に起こるわけではありません。けれども生命にかかわりうる部分だからこそ、症状が出てから対応するのではなく、診断がついた時点から各臓器を定期的に見守っていくことが重要だと考えられています[2]。ご本人・ご家族にとって、これは「今すぐ何か起きるかもしれない」という不安の材料ではなく、むしろ「見ておくべき場所が分かっているから、先回りして備えられる」という安心の土台になります。GeneReviewsが示す見守りの目安を、参考までに整理します。

見ておく臓器・観点 主な検査 目安の頻度
成長・血圧・呼吸 身長・体重、血圧、呼吸状態の確認 受診ごと
心臓 心エコー(初回が正常で無症状の場合) 2年ごと
大動脈 CTまたはMR血管造影 5〜10歳ごろから5〜10年ごと(病状により調整)
呼吸機能 呼吸機能検査(6歳以上・協力可能なら) 毎年
眼・聴力・皮膚 眼科診察、聴力検査、異常瘢痕の評価 毎年(必要に応じて)
内分泌・骨 血糖・HbA1c、骨密度(DXA)、女性は月経量 10代以降、適宜

※GeneReviews(2024年更新)の推奨サーベイランスをもとに整理したものです[2]。実際の検査内容と間隔は、年齢や所見に応じて主治医が個別に設計します。

5. 手術・麻酔・処置の注意 ─ 「悪化させないための知識」

マイヤー症候群には、他の多くの病気にはない特有の注意点があります。それは、手術や気管挿管などの侵襲的な処置をきっかけに、その部位の線維化がかえって進んでしまうことがあるという点です。これを知っているかどうかが、時に予後を大きく左右します。

TGF-βは、本来「傷を治す」ときに働く経路でもあります。組織が傷つくと、TGF-βが活性化して線維芽細胞を集め、コラーゲンをつくって傷をふさぎます。ふつうはこの反応が適切なところで止まります。ところがマイヤー症候群では、もともとTGF-β/BMPシグナルの調節が乱れているため、手術や挿管という「刺激」をきっかけに、修復のための線維化が過剰に進み、止まりにくくなることがあると考えられています。心膜の手術後に再び心膜が厚くなる、腹部・骨盤の手術後に癒着が広がる、といった経過が報告されており、これは「医原性(医療行為がきっかけになる)線維化」と呼べる現象です[2]

💡 ここが最重要:処置の前に知っておくこと

GeneReviewsなどの専門的なまとめでは、マイヤー症候群の患者さんに対して、組織への外傷(トラウマ)を最小限にすることが最も重要な予防策とされています。可能な限り侵襲的な処置を避け、やむを得ず気管挿管が必要な場合には、気道が狭くなりやすいことを見越して、通常より細いサイズのカフなし気管チューブを用いるといった配慮が提案されています[2]。また、緊急でない気管の手術・挿管はできるだけ避け、気管切除は行わないこととされています。

これらの配慮が意味を持つのは、手術や麻酔を担当するチームが、事前にマイヤー症候群という診断を知っている場合だけです。だからこそ、診断名を医療者間で共有しておくこと、そして手術や麻酔の予定があるときに「この病気があること」を必ず伝えることが、ご本人を守る具体的な行動になります。

この特性は、ご本人・ご家族にとって「怖い話」ではなく、先回りできる知識として受け止めていただきたい点です。診断名が分かり、それを医療チームと共有できていれば、必要な手術も、より安全な方法を選んで行うことができます。手術が必要かどうかの判断も含め、心臓外科・麻酔科・耳鼻咽喉科など複数の科が診断名を前提に一緒に計画を立てることが、いちばんの備えになります。

6. 発達・神経・行動の特徴 ─ 幅があることを前提に

発達や行動の面にも特徴が見られますが、その程度には大きな幅があります。知的発達は正常範囲の方から支援を要する方までさまざまで、コミュニケーションの取り方や落ち着きにくさに特徴が出ることもあります。「必ずこうなる」と決めつけないことが大切です。

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GeneReviewsによれば、自閉スペクトラム症はおよそ40〜70%に認められると報告されており、その幅は軽度の社会性の課題から重い自閉症までさまざまです[2]。注意・多動(ADHD)や不安も観察されています[2]。専門施設で詳細に評価された47例のコホートでは、自閉スペクトラム症に関連する特性がさらに高い頻度で認められましたが[6]、これは専門クリニックに集まった患者さんを詳しく評価した結果であり、そのままマイヤー症候群全体の頻度と読み替えることはできません。まず、聴力の問題が言葉の発達やコミュニケーションに影響している可能性があり、難聴への対応が発達の見え方を変えることがあります。同じ遺伝子変化でも現れ方に幅があることを、専門的には表現度の差や浸透率という言葉で説明します。

ご家族にとって大切なのは、統計上の割合よりも「目の前のお子さんに合わせた支援を早く始めること」です。聴力の評価と補助、コミュニケーションの支援、必要に応じた療育は、いずれも数字の予測を待たずに始められます。診断がつくことの価値のひとつは、こうした支援に早くつながれることにあります。発達の見通しは一人ひとり違うという前提を置きながら、できる支援から始めていくのが現実的です。

7. 診断の進め方 ─ 臨床的な気づきから遺伝学的確定まで

診断は、まず臨床的に「マイヤー症候群らしさ」に気づくところから始まり、最終的にはSMAD4の遺伝学的検査で確定します。原因となる変異の場所が2か所に集中しているため、遺伝子検査が診断の決め手になりやすい疾患です。

臨床の入り口は、低身長・かたく厚い皮膚・特徴的な顔だち・関節可動域の制限といった所見の組み合わせです。ここでマイヤー症候群が疑われたら、血液から採取したDNAを用いてSMAD4を調べます。ポイントは、codon 500 と 496 という限られた場所の変異を確認することです[1]。これは、置き換わったアミノ酸が1つだけのミスセンス変異であり、これまでに報告されたマイヤー症候群の病的変異はこの2か所に限られています[2]。検査で狙う場所がはっきりしているのは、診断する側にとって大きな利点です。

出生前に疑われる場合もあります。妊娠初期の超音波で首の後ろのむくみ(NT)が厚い、心臓のまわりに液体がたまる(心嚢液)といった所見をきっかけに、胎児のSMAD4を調べてマイヤー症候群が診断された報告があります[10]。少数ながら出生前診断の症例がまとめて報告されるようにもなってきました[11]。ただし、これらはSMAD4のマイヤー症候群でよく報告される場所に新しく生じた変異が確認されたケースであり、超音波所見だけでこの病気を確定することはできません。確定には、絨毛検査や羊水検査で胎児由来の細胞を採り、遺伝学的に調べる必要があります。

診断の3ステップ

STEP 1 臨床的な気づき
低身長・かたい皮膚・特徴的な顔だち
STEP 2 SMAD4の検査
血液(胎児では絨毛・羊水)
STEP 3 確定診断
codon 500/496 の変異を確認

狙う場所がはっきりしているため、臨床的に疑えれば遺伝学的な確定にたどり着きやすい疾患です。

診断がつくことは、ご本人・ご家族にとって「レッテルを貼られること」ではありません。それまで説明がつかなかった複数の所見が1つの病名でつながり、何を見守り、何に備えればよいかが明確になることを意味します。とくにこの病気では、診断名を知っていること自体が、手術や麻酔の安全につながります。診断は終わりではなく、適切な管理の出発点です。

8. 似ているが違う病気(鑑別診断)

マイヤー症候群は、低身長やかたい皮膚、関節可動域の制限を特徴とする「先端性異形成症」と呼ばれる一群の病気と見た目が似ています。しかし原因遺伝子も予後も異なるため、鑑別を正確に行うことが重要です。区別の決め手はやはり遺伝学的検査です。

代表的な鑑別疾患が、ゲレオフィジック骨異形成症アクロミクリック異形成症です。これらもFBN1やLTBP3といった、やはりTGF-βの調節にかかわる遺伝子が原因で、低身長やかたい皮膚など表面的な特徴が重なります。しかし予後は大きく異なります。ゲレオフィジック骨異形成症では、心臓の弁の病変や気道の狭窄が重く、5歳になる前に亡くなる例が約3分の1にのぼるという報告があります[12][13]。一方、アクロミクリック異形成症では、生命にかかわる重い心呼吸器合併症は基本的になく、寿命はほぼ正常とされています[13]同じように見えても予後がここまで違うのですから、区別は決定的に重要です。

もうひとつの鑑別がワイル・マルケサーニ症候群です。低身長・関節のかたさに加え、水晶体の位置異常など眼の症状を伴うのが特徴で、こちらもFBN1などが関与します。これらの病気を見分けるには、共通してかかわるFBN1やSMAD4など、原因遺伝子を直接調べるのが最も確実です。マルファン症候群やロイス・ディーツ症候群といった、TGF-β経路にかかわる遺伝性大動脈疾患とも、症状の一部が重なることがあります。ご本人・ご家族にとって、正確な鑑別は「必要以上に不安にならないため」にも、「本当に必要な備えを見落とさないため」にも役立ちます。

疾患 主な原因遺伝子 見分けの手がかり
マイヤー症候群 SMAD4(codon 500/496) 進行性の全身線維化。心膜・気道の病変、処置で悪化する特性。
ゲレオフィジック骨異形成症 FBN1・ADAMTSL2・LTBP3 心臓弁膜症・気道狭窄が重く、幼少期の予後に注意を要する。
アクロミクリック異形成症 FBN1 重い心呼吸器合併症は基本的になく、寿命はほぼ正常とされる。
ワイル・マルケサーニ症候群 FBN1・ADAMTS10 ほか 水晶体の位置異常など眼の症状を伴うのが特徴。

9. 遺伝形式・家族へのリスクと、検査・遺伝カウンセリング

マイヤー症候群は常染色体顕性(優性)遺伝の形をとりますが、そのほとんどは新生突然変異です。つまり、ご両親には同じ変異がなく、お子さんに新しく生じた変化であることが大半です。このため、同じご両親から次のお子さんに再発する確率は、一般に低いと考えられます。

この病気の変異は、新生突然変異のなかでも父親由来の割合が高いことが知られています。精子をつくる細胞では、特定の変異を持った細胞がわずかに有利に増える「利己的な選択」という現象が起こることがあり、父親の年齢が上がるほどそうした変異を持つ精子の割合が増えると考えられています[14]。ここで強調したいのは、これは誰かの生活習慣や落ち度によって起こるものではないということです。新生突然変異は、生殖の過程でどうしても一定の頻度で生じる、避けようのない現象です。

一方で、ご本人(罹患者)がお子さんをもつ場合には、常染色体顕性遺伝のルールに従い、1回の妊娠あたり50%の確率で変異が受け継がれると計算されます。実際、親から子へ受け継がれた家族例も報告されています[15]。また、ご両親に変異が見つからない場合でも、精子や卵子の一部にだけ変異がある「性腺モザイク」の可能性はわずかに残ります。こうした遺伝形式を正確に把握することが、次の妊娠を考えるうえでの出発点になります。

💡 出生前の選択肢と、SMAD4を含む検査

次の妊娠に向けた選択肢としては、妊娠してから絨毛検査・羊水検査で胎児由来の細胞を直接調べる方法があります。マイヤー症候群は父親由来の新生突然変異が多いという背景があるため、父親の加齢に伴う単一遺伝子疾患(デノボ変異)のリスクに関心が向くこともあります。

当院のNIPTインペリアルプランは、SMAD4を含む一部の単一遺伝子疾患を対象にしています。ただしNIPTはあくまでスクリーニング(可能性を評価する検査)であり、確定診断ではありません。陽性の場合は絨毛検査・羊水検査による確定が必要です。詳しくはNIPTの総合案内をご覧ください。

治療の面では、現在のところ線維化そのものを止める確立した方法はなく、各臓器の合併症に対する対症的な管理が中心です。研究段階では、TGF-βの働きを抑える降圧薬ロサルタンが注目されています。患者さん由来の線維芽細胞では、ロサルタンが細胞外マトリックスの沈着の異常を改善しました[16]。さらに、3例に12か月間投与した小規模で対照群のないパイロット試験では、皮膚のかたさ・関節の可動域・心筋の動き(ストレイン)に改善がみられたと報告されています[17]ただし症例数がごく少なく対照群もないため、有効性は確立しておらず、マイヤー症候群の標準治療として推奨される段階ではありません。今後、規模の大きい対照試験で確かめられることが期待されます。

こうした検査や治療の前後では、臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングが役立ちます。話し合う内容は、検査で何が分かり何が分からないのか、結果がご本人やご家族にどのような意味を持つのか、そしてどのような選択肢があるのか、といった点です。検査を受けるかどうかを含め、決めるのはご本人・ご家族であり、私たちは中立の立場で判断材料を整理する役割を担います。なお、NIPTを受ける場合には互助会(カトレア会)への加入があり、陽性時の確定検査費用の負担を軽くするしくみが用意されています。遺伝診療の窓口臨床遺伝専門医の役割とあわせて、時間に余裕をもって相談されることをおすすめします。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【新生突然変異は、誰のせいでもありません】

お子さんに新生突然変異による病気が見つかったとき、ご両親が「自分の何かがいけなかったのでは」と考えてしまうことがあります。けれど新生突然変異は、生殖細胞ができる過程でどうしても一定の頻度で生じるもので、生活習慣や努力で防げる種類のものではないと考えています。「誰のせいでもない」という事実は、まず最初にお伝えしたい大切なことだと思っています。

そのうえで、次の妊娠をどう考えるかは、正確な情報があってはじめて落ち着いて選べるものだと考えています。再発の確率、出生前に調べる方法、それぞれの限界——こうした事実を中立に整理してお渡しし、ご家族自身が納得のいく決定にたどり着けるよう伴走することが、遺伝カウンセリングの役割だと私たちは考えています。

10. よくある誤解

誤解①「SMAD4の変化=マイヤー症候群」

同じSMAD4でも、変異の場所と向きで病気は変わります。マイヤー症候群を起こすのはcodon 500/496 に限られた機能獲得型変異だけで、それ以外の場所の機能喪失型変異は、むしろ若年性ポリポーシス/HHTという別の病気を起こします。

誤解②「親のせいで起きた病気だ」

多くは新生突然変異で、ご両親に同じ変異はありません。父親由来が多いことは知られていますが、これは生殖の過程で避けようなく生じるもので、生活習慣や落ち度によるものではありません。

誤解③「手術すればよくなるはず」

この病気では、手術や挿管がかえって線維化を進めることがあります。もちろん必要な手術は行いますが、診断名を医療チームと共有し、より安全な方法を事前に計画することが大切です。「治すために切る」が単純に当てはまらない疾患です。

誤解④「マイヤー症候群はがんの病気だ」

少数ながら腫瘍(とくに子宮内膜癌)の報告はありますが、若年性ポリポーシスのような確立した遺伝性腫瘍症候群ではありません。リスクの大きさや特定の変異との関連はまだ確立しておらず、過度に不安になる必要はありません。ただし女性では婦人科的な見守りが勧められています。

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この記事にたどり着いた方は、たとえばご本人やお子さんがマイヤー症候群と診断された方超音波所見や検査結果からこの病気の可能性を告げられた方、あるいはご家族に診断がつき、自分や次の子への影響を知りたい方かもしれません。次に確認しておくとよい観点を挙げておきます。

よくある質問(FAQ)

Q1. マイヤー症候群とはどんな病気ですか?

SMAD4遺伝子の機能獲得型変異によって、皮膚・関節・心臓・血管・気道など全身の結合組織が進行性にかたく厚くなる(線維化する)希少な疾患です。低身長・特徴的な顔だち・難聴・心血管の合併症を伴い、手術や気管挿管などの侵襲的な処置でかえって線維化が進みやすいという特性があります。多くは新生突然変異で、ご両親に同じ変異がないことがほとんどです。診断例は増えており、2024年更新のGeneReviewsでは分子遺伝学的に確定した患者が200例以上報告されています。正確な有病率は不明ですが、約90万人に1人という概算もあります。

Q2. 原因はどの遺伝子ですか?他のSMAD4の病気と何が違うのですか?

原因はSMAD4という遺伝子で、そのMH2ドメインのcodon 500 と 496 という限られた場所に起きる機能獲得型変異が原因です。同じSMAD4でも、働きが失われる機能喪失型変異は若年性ポリポーシス/遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)というまったく別の病気を起こします。マイヤー症候群が結合組織のかたくなる病気であるのに対し、こちらは血管がもろくなったりポリープができたりする病気で、方向が対照的です。同じ遺伝子でも、変異の場所と向きによって病気の姿が変わります。

Q3. 子どもに遺伝しますか?次の妊娠での再発率は?

マイヤー症候群の大半は新生突然変異で、ご両親には同じ変異がありません。そのため、同じご両親の次のお子さんに再発する確率は一般に低いと考えられます。ただし精子や卵子の一部にだけ変異がある性腺モザイクの可能性はわずかに残ります。一方、ご本人(罹患者)がお子さんをもつ場合は、常染色体顕性遺伝のルールに従い、1回の妊娠あたり50%の確率で変異が受け継がれます。正確な見通しは、ご家族の状況をもとに遺伝カウンセリングで整理することをおすすめします。

Q4. どんな検査で診断できますか?出生前にわかりますか?

臨床的にマイヤー症候群が疑われたら、血液から採取したDNAでSMAD4のcodon 500/496を調べます。変異の場所が限られているため、疑えれば遺伝学的に確定しやすい疾患です。出生前には、超音波での首の後ろのむくみ(NT肥厚)や心嚢液などをきっかけに疑われ、絨毛検査や羊水検査で胎児由来の細胞を調べて診断された報告があります。ただし超音波所見だけで確定はできず、遺伝学的検査が必要です。

Q5. なぜ手術や麻酔で注意が必要なのですか?

TGF-βは本来「傷を治す」ときに線維化を起こす経路です。マイヤー症候群ではこの調節がもともと乱れているため、手術や気管挿管という刺激をきっかけに、修復のための線維化が過剰に進み、止まりにくくなることがあります。心膜や腹部・骨盤の処置後に病変や癒着が悪化する経過が報告されています。専門的なまとめでは、組織への外傷を最小限にすること、できるだけ侵襲的な処置を避けること、やむを得ず挿管する場合は通常より細いカフなしチューブを用いることなどが勧められています。診断名を医療チームで共有しておくことが、安全につながります。

Q6. 似た病気との違いはどう見分けますか?

低身長やかたい皮膚が似ている病気に、ゲレオフィジック骨異形成症、アクロミクリック異形成症、ワイル・マルケサーニ症候群があります。見た目が似ていても予後は大きく異なり、たとえばゲレオフィジック骨異形成症は幼少期の心呼吸器合併症が重い一方、アクロミクリック異形成症は寿命がほぼ正常とされます。これらを確実に見分けるには、SMAD4やFBN1など原因遺伝子を直接調べる遺伝学的検査が最も有効です。

Q7. 治療法はありますか?進行を止められますか?

現在の中心は、各臓器の合併症に対する対症的な治療と、心臓・血管・気道・聴力を定期的に見守る管理です。線維化そのものを止める確立した治療はまだありません。研究段階では、TGF-βの働きを抑える降圧薬ロサルタンが注目されており、患者さん由来の細胞での研究に加え、3例に12か月投与した小規模なパイロット試験で皮膚のかたさや関節可動域、心筋の動きの改善が報告されています。ただし対照群がなく症例数も非常に少ないため、有効性は確立しておらず、標準治療として推奨される段階ではありません。今後の研究の進展が期待されます。

Q8. 発達や知能はどうなりますか?

発達や行動の特徴には大きな幅があり、正常範囲の方から支援を要する方までさまざまです。GeneReviewsでは自閉スペクトラム症はおよそ40〜70%に認められると報告され、ADHDや不安も観察されています。専門施設のコホートではさらに高い頻度で認められましたが、これは専門クリニックで詳しく評価した結果であり、そのまま全体の頻度とは読み替えられません。聴力の問題がコミュニケーションに影響していることもあります。統計上の割合よりも、聴力の評価と補助、コミュニケーションの支援、必要に応じた療育を早く始めることが大切です。見通しは一人ひとり違うという前提で、できる支援から進めていきます。

🏥 マイヤー症候群・SMAD4・結合組織疾患の遺伝相談

マイヤー症候群をはじめとする希少な遺伝性疾患の
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臨床遺伝専門医が在籍するミネルバクリニックにご相談ください。

参考文献

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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