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上のお子さんがトリソミーなのでNIPTを希望

NIPT(新型出生前検査)を受ける理由の中に、上にトリソミーのお子さんがいる場合、次のお子さんもトリソミーだったら育てるのが難しいという意見があります。決して上のお子さんが生れてきたことを後悔しているわけではないのです。

上のお子さんがトリソミーで検査を受けに来る人は多いですので。
わたしにとってはそういう患者さんたちの一人でした。

ある日、手紙が届きました。
すごくかわいい封筒で分厚くて。
あけてみたら・・・・
以下、書いたブログから転載します。

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みなさま、こんにちわ。

なんかしつこく5チャンネルに書き込まれていて、

最近、ツイッターで有名になってしまい、初めてわたしのことをよく検索して5チャンネルをみてビックリする人がいます。

ホント迷惑しちゃいますね。

わたしのこと、アスペルガーとか言ってる人は、本当に共感する能力のないアスペルガーなら

こういうお手紙をいただけるのか、よく考えてください。

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先日、患者さんからお手紙をいただきました。

 

この患者さんは第1子の妊娠20週に突然、赤ちゃんに不整脈があると言われて、大きな病院に行くよう指示され、羊水検査したけど結果が返ってきたときにはすでに22週を過ぎてしまってて、中絶を選択する余地がなかったので、かえって良かったそうです。

お腹のお子さんは無事にうまれてこれない可能性のほうが高いと言われながら、無事産まれ。数か月後に退院することもできました。

いつかこの子は星になる。
そう思って一日一日を家族で大事に過ごすと決めて過ごした幸せな日々だったそうです。

そんな日々の中、お子さんの状態は奇跡的に落ち着きました。鼻から管を通して栄養を入れるのですが、それも元気に引っこ抜いてしまうくらいですが、なかなかチューブなしでは十分な栄養は取れないので、引っこ抜かれるたびに頑張って病院に入れに行っていたそうです。

下にお子さんもできるので、上のお子さんの栄養チューブを鼻からずっと続けていくのも本人も何度も自分で抜いたり、そのたびに入れられたりして大変になるので、胃から直接ってことも考えないといけない時期なのですが、なかなか思い切れない、とお話しなさっていました。

うちに来た時は、お子さんはおうちで待ってたので、わたしはトリソミーのお子さんにお目にかかってはいません。お手紙に書かれてある通り、上のお子さんはまだ下のお子さんが生れる前に突然亡くなってしまいました。
手紙にはかわいいお写真が添えられていました。本当に天使ちゃんと言うのにふさわしい素敵なお衣装で可愛く微笑むお子さんの写真が。愛情をたっぷりもらって幸せそうなお写真でした。

そんなに長生きはできない。2歳を迎えるのは殆ど無理。そういわれてトリソミーのお子さんと過ごした日々だったそうです。ご夫妻ともにトリソミーのお子さんと毎日向き合って、全力で3人で力を合わせて生きたので、悲しかったけど後悔することも思い残すこともないそうです。パパとママに素敵な思い出をたくさんと、命の尊さとかたくさん考えさせてくれました。その経験はきっと次の赤ちゃんを迎えて幼くして止まってしまった上のお子さんとの思い出も一緒に紡ぎながら暮らしていくのに生かされることでしょう。

1回検査で出会っただけなのに、こういうお手紙をもらえる医者である自分をちょっと誇らしく思いました。同時に私のこと好きでいてくれて本当にありがとうって思いました。もちろん、手紙を見た時は驚いてわーんって泣いちゃいましたけど。

お手紙をもらったので、患者さんにお電話しました。
いろんな話をしました。
検査では、今お腹にいるお子さんの性別を聞きたくない、に丸を付けていたのでお伝えしていなかったのですが、今は知りたいってことだったので性別もお伝えしました。

わたしは、検査の時だけじゃなくて、患者さんとは一期一会で大切に向き合うし、一期一会はサヨナラではなく、一生涯一期一会の関係が続いていくんだと思っています。

素敵な出会いをありがとうございました。

わたしも頑張ろうって思った。
こうして人と人は助け合って支えあって生きていくんですよね。

このお手紙は金庫で保管します。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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