目次
「NIPT(新型出生前診断)は確定診断なの?」
「NIPTの検査結果は100%的中するの?」
「染色体異常に関する確定診断にはどんなものがあるの?」
染色体異常の検査を受けるか否か判断する際は、やはり的中率が気になるかと思います。
診断結果について100%間違いないと診断することを「確定診断」といいますが、妊娠中には将来のさまざまなことを考えるため、あいまいな状態ではなく確定診断を得たいという方もいるでしょう。
しかし、残念ながらNIPTは確定診断ではありません。
技術の進歩により精度は向上していますが、染色体異常を持つ赤ちゃんを早期に発見するための、スクリーニング検査となります。
この記事では、妊娠中の染色体異常と確定診断との関係や、NIPTの精度(的中率)について解説します。
1、NIPT(新型出生前診断)は確定診断ではなくスクリーニング検査
冒頭にてご紹介したように、NIPT(新型出生前診断)は、確定診断ではありません。
この章では、NIPTは確定診断ではないということを踏まえ、確定診断とスクリーニング検査の違いについて解説します。
1-1. NIPT(新型出生前診断)は確定診断ではない
NIPT(新型出生前診断)は確定診断ではないため、「陽性」と診断された場合であっても確実に染色体異常があるわけではありません。
あくまでも、お腹の中の赤ちゃんに染色体異常が見られる可能性があるというだけです。
では、「陽性」だった場合、どの程度の割合で染色体異常があるのかというと、検査項目や年齢などによって異なります。
そして、日本ではNIPTの結果が「陽性」だった場合、確定診断を受けるため絨毛検査や羊水検査をすることになります。
1-2. 確定診断とは?
染色体異常の確定診断とは「異常がある」という結果が生じた際、その結果が100%間違いないことを示すものです。
通常、NIPT(新型出生前診断)で「陽性」となった場合、引き続き同じ医療機関で絨毛検査や羊水検査などを受けることができます。
それらの費用についてはNIPTの費用に含まれていることが多いですが、クリニックにより対応が異なるため、詳しくは直接確認すると確実です。
なお、NIPTが「陰性」だった場合、検査項目についての的中率は99%以上です。
ただし、「偽陰性」の可能性は0ではなく、また、検査項目以外の先天性異常の可能性もあるため、結果が「陰性」でも異常を持っている可能性が0というわけではありません。
確定診断に関しても同じことがいえます。
確定診断で「異常がある」と診断された場合、何らかの遺伝子異常があることは間違いありませんが、「陰性」の場合、全く異常がないとは限りません。
1-3. スクリーニング検査とは?
病気や疾患を100%確定する確定診断に対して、NIPT(新型出生前診断)のように異常のリスクを発見するための検査をスクリーニング検査といいます。
NIPTは、妊娠早期の段階で遺伝子異常のリスクが高いか否かを、リスクをほとんど負うことなく検査できるというメリットがあります。
絨毛検査や羊水検査は、1%以下の確率ではありますが、流産したり胎内の赤ちゃんにキズをつけたりするリスクがあります。
一方、NIPTは妊婦さんの血液採取のみの検査であるため、母子ともにほとんどリスクを負いません。
NIPTを受けることは、先天異常のリスクが低い方を振り分け、リスクが高いと考えられる方のみ確定診断が受けられるという点で、大いにメリットのあることです。
2、非確定診断であるNIPT(新型出生前診断)の的中率は?
NIPT(新型出生前診断)が確定診断ではないとして、実際の的中率はどの程度なのでしょうか?
結果を告げられた時、冷静に判断するためにもおおよその可能性をイメージしておくことは大切です。
この章では、NIPTの的中率について解説します。
2-1. 「偽陰性」の確率は?
「陰性」と診断されたものの、実際のところは遺伝子に異常が生じているケースを「偽陰性」といいます。
NIPTでは、精度の向上もあり「陰性」の的中率は99.9%以上です。
イメージとしては「偽陰性」の確率は1,000人に1人以下ということです。
「100%ではないから、完全には安心できない」
という考えももちろんあるとは思いますが、NIPTはとても精度の高い検査であることは事実です。
2-2. 「偽陽性」の確率は?
「偽陽性」の確率は、年齢や検査項目によって異なります。
例えば、NIPTのダウン症候群(21トリソミー)の検査項目において「陽性」だった場合、35歳では的中率が80%程度ですが40歳になると95%程度になります。
検査項目や年齢によっては、「陽性」の結果であっても的中率が50%程度のものもあります。
3、NIPT(新型出生前診断)の検査後に受けられる確定診断とは?
NIPT(新型出生前診断)が「陽性」だった際、確定診断を受けることで、より確実な結果を得ることができます。
ただし、確定診断は流産の危険を伴うこと、結果について冷静に受け止め判断する必要があることなどから、慎重な姿勢で臨む必要があります。
※NIPTの結果が「陽性」であっても希望しない場合、確定診断を受けないという選択肢も可能です。
検査結果の受け止め方については、NIPTを受ける前、もしくは後の遺伝相談室や担当医師からの説明を元に、ご本人やご夫婦でよく検討しましょう。
3-1. 絨毛検査
妊娠10~13週目に、お腹に針を刺し胎盤の一部である絨毛の組織を採取しておこなう確定診断です(通常は13週目に実施)。
NIPT(新型出生前診断)を受けていない方であっても、エコーで何らかの異常が見られる場合などにも絨毛検査が実施されることがあります。
絨毛検査は羊水検査と比較し、早期に結果が分かる反面、流産リスクは高くなる(約1%)という特徴があります。
絨毛検査にかかる費用の相場は10万円前後ですが、NIPTを実施している多くのクリニックでは、NIPTが「陽性」だったときの確定診断の料金をNIPTの料金に含めていたり、上限金額の範囲内で補助を出したりするなどの対応をとっています。
より詳しくご覧になりたい方は以下のページをご覧ください。
関連記事:絨毛検査
3-2. 羊水検査
羊水検査は、妊娠16週目頃に実施する確定診断で、お腹に針を刺し羊水の組織を採取しておこなう検査です。
羊水検査による流産のリスクは絨毛検査よりも低く、0.3%程度です。
お腹に針を刺す際、誤って赤ちゃんを傷つけてしまわないよう、超音波検査などをおこなったうえで、検査を実施します。
絨毛検査と同様に、NIPT(新型出生前診断)の検査実施後の羊水検査は、NIPTの初期費用に含まれていることがあります。
より詳しくご覧になりたい方は以下のページをご覧ください。
関連記事:羊水検査
羊水検査
羊水検査と痛み
羊水検査とリスク
東京都の羊水検査実施施設
羊水検査とNIPTの違いとは
羊水検査の結果はいつ帰ってくるの?
絨毛検査・羊水検査の精度とは
NIPT症例集|NIPT結果陽性で出産
NIPT症例集|NIPT陽性で羊水検査のために入院したのに…
NIPT症例集|羊水検査を受けずに中絶した人たち
4、まとめ
NIPT(新型出生前診断)は、精度が飛躍的に向上しているとはいえ、検査結果が100%ではない非確定診断です。
「陰性」の結果だった場合、的中率が99.9%以上とされていますが、「陽性」の精度は項目や年齢などに応じて異なります。
状況によっては的中率が50%程度の場合もあるので、NIPTで「陽性」が出たときには、確定診断である絨毛検査や羊水検査を受けられる方が多いです。
ただし、これらの検査には流産のリスクも伴いますし、検査結果に関してもより現実的なものとなります。
医学的・科学的な確かな知識と、ご本人やご家族のご意向などを踏まえて総合的に判断する必要があります。
出生前診断の中では新型出生前診断が頭一つ抜けて優れた検査精度を持ちますが、あくまで非確定検査で、診断のため疾患の有無を確定させることはできません。そのため、陽性反応が出たあとは羊水検査などの確定的検査が最後の砦となることを覚えておきましょう。
新型出生前診断をこれから受けることを考えている方は、臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングを受けられるミネルバクリニックをおすすめします。
ミネルバクリニックは新型出生前診断に関する最新技術や豊富な経験、知識が全て備わった遺伝子専門のクリニックです。
出産に対する悩みの相談先に困っている妊婦さんは、この機会に是非ご相談ください。