NIPT(新型出生前診断)と羊水検査の違いとは?

東京でNIPTをはじめとする遺伝子検査提供するミネルバクリニックです。

NIPT新型出生前診断)とは、「妊娠9-10週目以降の母体から採血し、その血液を検査することにより胎児の染色体異常を調べる検査」のことをいいます。新型出生前診断という名称自体は日本での通称名であり、母体血清マーカ―テストなどの従来の血液による出生前診断と比較して感度特異度からみる検査自体の精度がきわめて高い為、従来の出生前診断と区別してこのように呼ばれています。正式には非侵襲的出生前検査といいます。

NIPTができるまえはどうやって検査していたの?

おなかの赤ちゃんの染色体疾患や遺伝子疾患などを診断するためには、従前は羊水穿刺や絨毛採取などといった【侵襲的な】方法であかちゃんの細胞を直接採取して検査していました。

この画像は羊水検査を説明するものですが、羊水ではなく胎盤を刺すのが絨毛検査です。

しかしこれらの侵襲的な方法のリスクは意外と高くて、羊水穿刺では約0.3%、絨毛採取では約1%の可能性で妊婦さんが流産を合併するといわれています。
ごくまれではあっても母体の腸管を損傷してしまったり、感染などの合併症もおこることから,そういうリスクのない非侵襲的な検査の開発がなされてきました。

NIPT開発の歴史

この開発の歴史は意外と古くて、1997年に香港のDenis Loさんたちが妊婦さんの血漿(血液から細胞成分をとりのぞいた残りの割と透明な液体をこう呼びます)の中に赤ちゃん由来のDNA断片(cell-free fetal DNA)が存在していることをはじめて報告しました。
それ以来ずっと母体血の赤ちゃん由来遺伝子を用いて赤ちゃんの診断ができないものかと研究されていたのです。
そして、2010年台に次世代シークエンサーが登場しました。

これで何が変わったのかというと、『飛行機で月に行けるようになった』くらいのとんでもない進歩が訪れました。

それまではサンガー法というやりかたでちまちまDNAの塩基配列を決定していたのですが、格段にスピードアップしたんです。
サンガー法で人間一人の塩基配列を決定するというプロジェクトは1990年台に10年と6000億をかけて世界中のコンピューターを使用して行われましたが、この次世代シークエンサーNGSの登場でそれが1週間に短縮しました。現在ではわずか2日となっています。
こうした技術の進歩がNIPTの臨床応用の試みをさらに加速させることになり、世界では2011年にNIPTが上市されました。
これにより、非侵襲的なNIPTをまず行なって、陽性と結果がでたものについては確定診断をするために羊水検査を確定的検査として用いるという流れが出来ました。

どうして断片化されたDNAがあるの?

人間の細胞は日に日に新陳代謝で置き換わっていきますね?
古い細胞が死に、新しい細胞と置き換わる。
死んだ細胞がどうなるのかというと、アポトーシスという壊れ方をします。
工事現場のビルの解体を思い出してください。大きなビルが壊れて粉々にしてダンプカーに乗せて道路を運びますね?
道路が血管、粉々ビルが細胞のいろんな部分の断片と思うとちょうどいいです。
つながっていたDNAはこうしてバラバラになり血管のなかを運ばれて、ほかの細胞に取り込まれて再利用されたりします。

NIPTはどうやって検査しているの?

赤ちゃんに由来するcell-free DNAは母体血漿中に7週くらいから出現し、10週だと母体血中のDNA断片の約10%を占めるといわれています。
母体血漿中のDNA断片をあつめて、それらの塩基配列を決定(シークエンスするといいます)し,各々のDNA断片が何番染色体のどの部分なのかをきめていきます。
そして各染色体に由来するDNA断片量が正常と比べてどれくらい変化しているかということを計算して胎児のトリソミーを診断しています。
この方法による検査の精度は非常に高くなっています。

ワイドシークエンス法による<a href=NIPTの解析イメージ画像です。” width=”478″ height=”229″ />

こんな感じでブロックがどこの部分のものなのかを判定して、積み上げていって、足らないところはないか、増えてるところはないか、を見ている、とイメージしてくださるといいかなと思います。

文責 仲田洋美(総合内科専門医がん薬物療法専門医臨床遺伝専門医

 

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