NIPT(新型出生前診断)と羊水検査の違いや納得できる判断をするための知識

NIPTと羊水検査の違いは何でしょうか?

「NIPT(新型出生前診断)と羊水検査の違いはどんなところ?」
「NIPTと羊水検査のどっちを受けた方がいいの?」
「NIPTと羊水検査で陽性だったらどうすればいいの?」

染色体異常を出生前に診断するにはさまざまな方法がありますが、2013年に登場したNIPT(新型出生前診断)は的中率が高く、流産などのリスクが低い検査であるということで、多くの妊婦さんから注目されています。

一方、羊水検査は確定診断なので「陽性」の場合の的中率は100%です。

今回のNIPT調査隊コラムでは、出生前診断の代表的な方法である「NIPT」と「羊水検査」について、両者の違いや検査の受け方について解説します。
妊婦さん

1、NIPT(新型出生前診断)と羊水検査との違い

NIPT(新型出生前診断)と羊水検査との違いについて、あいまいな方も少なくありません。

その状態で、検査を受けるかどうかの冷静な判断は難しいのではないでしょうか。

まず、この章ではNIPTと羊水検査のそれぞれの特徴や違いについて解説します。

1-1. NIPT(新型出生前診断)の特徴

NIPT(新型出生前診断)は、妊娠9週目以降受けられるスクリーニング検査です。

ただし、厚生労働省認可の医療機関でNIPTを受けるためには条件(高齢出産であること・母体血清マーカー検査や胎児超音波検査で胎児の染色体疾患のリスクが高いと判断された場合など)があります。
無認可のクリニックで受ける場合は、希望すれば基本的には検査してもらうことができます。

NIPTは、母体の血液を20㏄程度採取することで検査を受けられます。
流産や死産のリスクはほとんどありません。

検査結果は、「陽性」(染色体異常が生じているリスクが高い)もしくは「陰性」(染色体異常がない)のいずれかです。

NIPTで「陰性」の結果が出た場合、その的中率は99.9%です。
一方、「陽性」の的中率は、妊婦さんの年齢や検査項目により異なります。

NIPTで「陽性」だった妊婦さんが、染色体異常について精度の高い検査を受けるには、羊水検査などの確定診断を受ける場合が多いです。

1-2. 羊水検査の特徴

羊水検査は、妊娠16週目頃に受けられる確定診断です。
対応可能な医院にて羊水検査を受けることができます。

羊水検査は、お腹の胎盤に針を刺して羊水中の胎児のDNA組織を分析する検査です。
針を刺すため1%以下ではありますが流産や死産のリスクがあります。

検査結果は、NIPTと同じく「陽性」もしくは「陰性」のいずれかです。
NIPTと大きく異なるのは、羊水検査は確定診断であり「陽性」だった場合には、100%染色体異常があるということです(ダウン症に関して)。

1-3. NIPT(新型出生前診断)と羊水検査との違い

NIPT(新型出生前診断)と羊水検査の違いを表にまとめました。

項目NIPT(新型出生前診断)羊水検査
検査時期
9週目以降(ミネルバクリニック以外は10週以降)16週目以降
検査項目
13トリソミー(パトウ症候群)
18トリソミー(エドワーズ症候群)
21トリソミー(ダウン症)
など(医療機関によりオプションが異なる)
ダウン症
ターナー症候群
クラインフェルター症候群
染色体異常
その他遺伝子疾患全般
費用
クリニックにより異なる※10万円前後~
診断
スクリーニング検査確定検査
流産リスク
無しあり(1%以下)

NIPTの検査費用は、クリニックによって5万円程度から20万円以上まで幅があります。
費用の違いは、検査項目の数の違いによるところが大きく、安いクリニックではダウン症のみなどかなり絞られているはずです。

ダウン症は、染色体異常のなかでは多くの割合を占めますが、それでも半分程度です。
また、ダウン症より重い症状の染色体異常もあるため、安いクリニックで受ける際には、項目に含まれていない内容については検査ができないことも踏まえた上での判断が必要となります。

2、NIPT(新型出生前診断)や羊水検査を受ける前に

妊婦さんと医師
NIPT(新型出生前診断)と羊水検査の共通点や相違点を踏まえて、検査を受ける前に把握しておきたいことや意識しておきたいことがあります。

2-1. 安易な気持ちでは受けないこと

確定診断である羊水検査についても、スクリーニング検査であるNIPT(新型出生前診断)に関しても、安易な気持ちで受けるのはおすすめしません。

NIPTの精度も高まっているため、告知を受ける際には冷静な判断が必要とされるからです。
的中率に関わらずNIPTで「陽性」の場合には、ショックを受けてしまうことも多いため、さまざまな状況を想定した上で受けるかどうかの判断をする必要があります。

2-2. 正しい知識に基づいて受けること

NIPT(新型出生前診断)の検査項目についてや羊水検査に関する流産・死産のリスクなど、正しい知識を知ってから検査を受けることが大切です。

つまり、精神的な準備と必要十分な知識が揃って初めて、適切に受け止められるようになるということです。

とはいえ、なかなか正しい知識を得ることは難しいものです。
そこで大切なことは、信頼できるクリニックに相談することです。

2-3. 検査結果が「陽性」だった場合

検査結果が「陽性」だった場合には、さまざまな状況を判断しながら決定していくことになります。

「陽性」と知った上で出産をする場合は、赤ちゃんが過ごしやすいための環境を整えたり、サポートに必要なものを購入したりする必要があります。

中絶という判断をすることもあるでしょう。
(NIPT(新型出生前診断)の後に羊水検査を受ける方が多いですが、状況によっては羊水検査を受ける前に中絶の判断をすることもあります)

これらの判断は、NIPTや羊水検査を受けるかどうか以上にデリケートでシビアな判断になるため、クリニックの先生と相談しながら、納得のいく判断をすることが必要です。

2-4. 羊水検査を受けても全ての障害を発見できるわけではない

NIPT(新型出生前診断)や羊水検査を受ける際に、把握しておきたいのは、全ての先天性疾患が分かるわけではないということです。
スクリーニング検査であるNIPTではもちろんのこと、確定診断である羊水検査で「陰性」と診断された場合であっても、疾患を持っているリスクが全くないわけではないということです。

よく耳にする例で言えば、NIPTや羊水検査で「陰性」であったとしても、自閉症を始めとした発達障害のリスクを確認することはできません。
正しい知識を身に付けることにも通じる部分ですが、全ての障害を見つけられるわけではないということを理解したうえで、検査結果を判断する姿勢が必要です。

Q1. NIPTができるまえはどうやって検査していたの?

おなかの赤ちゃんの染色体疾患や遺伝子疾患などを診断するためには、従前は羊水穿刺や絨毛採取などといった【侵襲的な】方法であかちゃんの細胞を直接採取して検査していました。

羊水検査

この画像は羊水検査を説明するものですが、羊水ではなく胎盤を刺すのが絨毛検査です。

しかしこれらの侵襲的な方法のリスクは意外と高くて、羊水穿刺では約0.3%、絨毛採取では約1%の可能性で妊婦さんが流産を合併するといわれています。
ごくまれではあっても母体の腸管を損傷してしまったり、感染などの合併症もおこることから,そういうリスクのない非侵襲的な検査の開発がなされてきました。

関連記事: 羊水検査 絨毛検査

Q2.NIPTがどうやってできるようになったの?発見の歴史

この開発の歴史は意外と古くて、1997年に香港のDenis Loさんたちが妊婦さんの血漿(血液から細胞成分をとりのぞいた残りの割と透明な液体をこう呼びます)の中に赤ちゃん由来のDNA断片(cell-free fetal DNA)が存在していることをはじめて報告しました。
それ以来ずっと母体血の赤ちゃん由来遺伝子を用いて赤ちゃんの診断ができないものかと研究されていたのです。
そして、2010年台に次世代シークエンサーが登場しました。

これで何が変わったのかというと、『飛行機で月に行けるようになった』くらいのとんでもない進歩が訪れました。

それまではサンガー法というやりかたでDNAの塩基配列を一つ一つ決定していたのですが、自動化されて格段にスピードアップいたしました。
サンガー法で人間一人の塩基配列を決定するというプロジェクトは1990年台に10年と6000億をかけて世界中のコンピューターを使用して行われましたが、この次世代シークエンサーNGSの登場でそれが1週間に短縮しました。現在ではわずか2日となっています。
こうした技術の進歩がNIPTの臨床応用の試みをさらに加速させることになり、世界では2011年にNIPTが上市されました。
これにより、非侵襲的なNIPTをまず行なって、陽性と結果がでたものについては確定診断をするために羊水検査を確定的検査として用いるという流れが出来ました。

関連記事: サンガー法 遺伝子

どうして断片化されたDNAがあるの?

人間の細胞は日に日に新陳代謝で置き換わっていきますね?
古い細胞が死に、新しい細胞と置き換わる。
死んだ細胞がどうなるのかというと、アポトーシスという壊れ方をします。
工事現場のビルの解体を思い出してください。大きなビルが壊れて粉々にしてダンプカーに乗せて道路を運びますね?
道路が血管、粉々ビルが細胞のいろんな部分の断片と思うとちょうどいいです。
つながっていたDNAはこうしてバラバラになり血管のなかを運ばれて、ほかの細胞に取り込まれて再利用されたりします。

NIPTはどうやって検査しているの?

赤ちゃんに由来するcell-free DNAは母体血漿中に7週くらいから出現し、10週だと母体血中のDNA断片の約10%を占めるといわれています。
母体血漿中のDNA断片をあつめて、それらの塩基配列を決定(シークエンスするといいます)し,各々のDNA断片が何番染色体のどの部分なのかをきめていきます。
そして各染色体に由来するDNA断片量が正常と比べてどれくらい変化しているかということを計算して胎児のトリソミーを診断しています。

この方法による検査の精度は非常に高くなっています。

関連記事:   DNA トリソミー 染色体

ワイドシークエンス法によるNIPTの解析イメージ画像です。

こんな感じでブロックがどこの部分のものなのかを判定して、積み上げていって、足らないところはないか、増えてるところはないか、を見ている、とイメージしてくださるといいかなと思います。

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この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号