妊妊娠9週の壁を乗り越えるには|魔の9週・流産確率を解説
妊娠9週目の妊婦さんの状態
妊娠9週目の妊婦さんは最も”つわり”がつらくなる時期です。つわりが起きる原因は妊娠を維持させようとする妊娠ホルモン(「ヒト絨毛性ゴナドトロピン」または「hCG」)によるものです。他にもストレスの蓄積や低血糖、胃酸の増加などが影響を与えています。症状は個人によって大きく差がありますが、吐き気を伴います。他にも”特定のにおいがダメになる匂いづわり”や眠くて仕方がない”寝つわり”といった症状もあるためつわりによる対策が必要です。その際はかかりつけの医師に相談しておくのがいいでしょう。
妊娠9週目(3ヶ月)に入った時期は子宮がだんだん大きくなり、大人のにぎりこぶしや、アボカドぐらいになります。同時に子宮の筋肉も引き延ばされるので下腹部に痛みを感じることもあります。子宮の圧迫によって腸の動きが鈍くなるため便秘になりがちです。妊娠初期は、一時的におりものの量が急に増える傾向があります。 胎盤は、この時期に形成されている最中です。そして乳腺が発達して脂肪が増えるので、ママのおっぱいは大きく重くなり、敏感になります。この症状は出産するまで続いていきます。
また、妊娠ホルモンの変化や腰回りが大きくなるため妊娠前に着ていた服がきつくなってくる頃です。これからお腹が大きくなってくる準備として、すこしゆったりした服も必要になってきます。最近ではゆったりした服や、ウエストを調節できるボトムスなども増えているので、ファッションも楽しめますのでお好きなものを選んでみてください。
「妊娠9週目の壁」「魔の9週目」とは
「9週の壁」・「魔の9週」という言葉が生まれた理由は、日本の医療事情と妊活が大きく関係をしています。昔は、予定月経が1ヶ月以上遅れてからでないと医師にも妊娠と判定するのが難しかったのですが、現在は妊娠検査薬や経腟超音波検査の普及により妊娠6~7週に初診ができるようになりました。最初の心音を確認してから2週間後が妊娠9週目です。
その時に心音確認ができていれば妊活は終わり妊娠生活へと移っていきますが、最も流産しやすい時期であるため乗り越えられなかった妊婦さんがたくさんいます。しかし9週目を超えると流産する確率がグッとさがるため「妊娠9週目の壁」「魔の9週目」と呼ばれるようになったのです。
妊娠9週目までに流産する原因の約70%が染色体の異常によるもの
人は、受精から着床、その後の器官形成期までに約70%以上が流産していると言われています。これは薬や放射線、感染症、染色体の異常などよって器官を作るのが困難となり、発育が停止するからです。奇形や染色体の異常を持つ多くが子宮内で亡くなり、流産としてカウントされています。
腹痛や出血などの自覚症状はなく、定期診察の際に赤ちゃんの心音が確認できず亡くなってしまっている稽留流産(けいりゅうりゅうざん)のほとんどが染色体異常によるものです。また、受精から着床までの1週間で約30%が、その後心拍確認前までに起きる流産を化学流産といいますが、こちらも原因の多くは受精卵の染色体異常です。
もう一つ診断で出てくるのが「切迫流産」です。ただ、流産と名前が付いていても「流産になりかけている」状態です。超音波検査で心音が確認できたら妊娠は継続できます。
妊娠9週目に流産してしまう確率
実際に妊娠9週目にどれくらいの確率で流産してしまうのでしょう。日本産婦人科学科によると妊娠8~12週の流産の確率は34~48%です。妊娠5~7週は22~44%、妊娠13~16週は6~9%という結果が出ています。一般的な流産率が15%のため比較すると妊娠9週目は流産しやすい時期といえるでしょう。
また厚生労働省が実施した「流産に関する実態調査」によると、35~79歳の妊娠経験がある2503人内、953 人(38%)が流産したことがあるという結果が出ました。ただし、妊娠何週目に流産したのかはわかっていません。
妊娠9週目の赤ちゃんの様子とエコー写真
(妊娠9週目の胎児のエコー写真(医療法人社団惠松会ますだ産婦人科HPより引用))
赤ちゃんは妊娠8週目くらいまでに脳をはじめ、心臓や肺、肝臓、腎臓などの器官の基本的な形がほぼ完成していきます。大きさはサクランボぐらいで2頭身から3頭身くらいに成長します。身長は1.5~1.8センチメートル、体重は3.4グラムほどです。
生殖器の発達がスタートしますが、性別が分かるのはもう少し後になります。超音波検査なら妊娠14週くらいからチェック可能です。NIPT(新型出生前診断)を受検すればもっと早い段階で調べられます。ママとはへその緒でつながっており、超音波エコーの写真で見るとおなかから下に足のようにへその緒が伸びていて成長とともに太くなっていきます。
脳や臓器といった体の重要な機関が完成したので手足の基本形ができ始めます。正式には手は腕、足は自由下肢(かし)といい、腕はやがて肘を中心に上腕、前腕、手の3つの部分に分かれていきます。自由下肢は、股関節から足先までをいい、誕生した後に自由に動かせる部分です。歩く、走るだけではなく体重を支えないといけないため腕よりも多くの骨や関節があるのです。妊娠10週目にはると手足が動かせるようになります。
つらいつわりの症状を抑えるには
食事が十分に摂れない人は無理をせず、食べられる食物を食べられる量だけ食べるようにしましょう。
ただし、つわりがひどくても水分補給だけは欠かさないでください。なぜなら赤ちゃんは絨毛を通して栄養をもらっているからです。またお腹が空いた時にいつでも食べ物を口にできるように、小分けしてバッグに入れておいたり、体を締め付ける服を避けたりして個々の症状に合わせた対策をしましょう。もしつわりで食欲が旺盛になったママさんは食べ過ぎに注意してください。妊娠糖尿病にかかる恐れがあるからです。
糖尿病はすい臓から分泌されるインスリンというホルモンが不足し、エネルギー源であるブドウ糖が十分に利用されず尿中に排出される病気です。そのままではトラブルが起こりやすいため血糖値のコントロールが必要です。主に食事療法によって摂取エネルギーをコントロールします。それでも足りない場合はインスリンの注射を打たないといけません。出産までに血糖値が高いままだと体の機能が未発達な巨大児が生まれる可能性があり、重症だと逆に低出生体重児が生まれることもあります。ただし、血糖値のコントロールができれば出産も問題ありません。
染色体異常による9週の壁を乗り越えるには
どんな原因であれ、妊娠9週の壁を越えられず流産となってしまうのは本当につらい気持ちになるでしょう。「あの時こうしていたら」「もっと早く病院に行っていたら」とご自分を責めて後悔するお気持ちになるのも当然です。
しかしながら染色体異常による早期流産を防ぐ方法はありません。そして妊婦さんの生活や行動が原因によって起きることはありません。
もし妊娠9週の壁を越えられなかったとしてもご自分を責めないでください。防止策もないので少しでも早くショックから立ち直ってほしいと思います。
妊娠9週で心拍が確認できなくなったら
原則として1~2週間後に再度診察となります。そのときに心拍が確認できない場合は流産と診断されます。
もし稽留流産ならば胎嚢が子宮内に残っているため、排出を待つか、手術で胎嚢を除去するかのどちらかになります。その時の妊婦さんの体調や状況、ご希望で変わるのでご自分の意思を伝えておきましょう。
自然に胎嚢が排出されるのを待待機療法は身体に負担がかからないのが特徴です。ただし、いつ排出されるのかわからなかったり、きれいに出てこなかったりします。もし2週間経っても排出されない場合は手術に移ります。
妊娠9週目の妊婦さんがやっておいたほうがいいこと・注意しておいたほうがいいこと
妊娠9週目に入ると普段の生活やご自分の身体に対して気をつけないといけないことが増えてきます。この項ではやっておいたほうがいいこと、注意したほうがいいことをご紹介します。
妊娠9週目にやっておいたほうがいいこと
- ・職場に伝えておく
- ・妊婦健診はきちんと受けておく
- ・便秘やつわりがひどいときは医師に相談
現在は仕事をしている女性が当たり前なので職場へ伝えるタイミングはどうしても気になるでしょう。可能であれば、このタイミングで伝えておくのがいいかもしれません。
なぜなら体調の変化が起きやすい時期であるので無理をすると身体に余計な負担をかけてしまうからです。この時期の流産する原因の7割が染色体異常によるものだとしても、無理をすることで胎児に負担がかかるのは避けてください。
また、つわりや妊娠高血圧症候群、切迫流産などで体調が悪いのに休めないならば「母性健康管理指導事項連絡カード」を取得しておきましょう。産院でもらえるほか、厚生労働省の関連サイトからもダウンロード可能です。
後、忘れないでほしいのが妊婦健診の受診です。くに妊娠初期には、母体の全身的な健康をチェックしたり、流産のリスクがないかどうか、双子などの多胎かどうかなど、基本的なことを調べたりします。妊娠が順調に進んでいるのかどうかを知るためにもきちんと受けるようにしましょう。
人によってはつわりや便秘がひどくなってしまうこともあります。そうした場合は早めに医師に相談をしてください。つわりや便秘は我慢してしまうと症状が進んでしまい重い病気につながる可能性が出てきます。我慢をしないで早めに診察を受けて体調を整えておきましょう。
妊娠9週目に注意しておいたほうがいいこと
- ・カフェインの摂取量
- ・ブラジャーのサイズ
この時期に注意しておきたいのがカフェインの摂取量です。1日のカフェイン摂取量はコーヒーカップ1杯分程度の200 mgに抑えるようにしてください。また、おっぱいのサイズに合ったブラジャーを着けているのかどうかもチェックしておきましょう。サポートブラを着けておくのもいいかもしれません。
まとめ
妊娠9週~10週になると、出生前診断であるNIPT(新型出生前診断)が受けられます。NIPT(新型出生前診断)とは、胎児が染色体異常症をもつ確率を調べることができるスクリーニング(非確定的)検査です。
母体の血液中に含まれる胎児に由来するDNAの欠片を採血し、胎児の染色体異常症である、ダウン症候群、エドワーズ症候群、パトウ症候群を調べることができます。従来の超音波検査や母体血清マーカーの検査精度が80~85%といわれているのに対して、新型出生前診断(NIPT)は精度99%以上といわれている非常に信頼できる検査です。
妊娠9週~10週という早い段階で胎児の状態を知ることで、妊娠生活を送っている間に赤ちゃんが産まれてから必要な準備をしっかり整えることができます。胎児が先天的になんらかの疾患を持っている可能性は、妊婦全体の3~5%といわれており、母体が35歳を過ぎるとさらにそのリスクが高まります。妊娠中の心配を取り除き、安心して妊婦生活を送るためにも、新型出生前診断(NIPT)を受けることを検討してみましょう。
東京の「ミネルバクリニック」では、「大学病院レベルの専門医療を地域で」という方針のもと、日本全国から患者さんを受け入れています。
全国に1200人程度の難関資格である、臨床遺伝専門医によるNIPT検査で、無認可医院でありながらクオリティーの高い診療が可能です。土日、夜間も完全予約制(当日予約可)にて診療を受け付けているので、NIPT検査を受けたいと考えている方は、ぜひ「ミネルバクリニック」までお気軽にご相談ください。
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デノボ|父親の加齢と相関する25遺伝子44疾患
ペアレントコンプリート:通常のNIPT(母親の側に原因がある疾患をチェック)+デノボ(父親側に原因がある疾患をチェック)
コンプリートNIPT:ペアレントコンプリート+カリオセブンの全部が入っています
イルミナVeriseq2(全染色体を7Mbで欠失・重複のスキャンが可能。但し、胎児のDNAが8%ないと正確性を担保できないため、妊娠11週からとなります)
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