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妊娠9週の壁を乗り越えるには|魔の9週・流産確率と心拍が確認できないときを臨床遺伝専門医が解説

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

「妊娠9週の壁」「魔の9週」は、妊娠9週前後に流産が多いのではないかという不安から使われるようになった言い方で、産婦人科の診断名ではありません。実際のデータでは、症状がなく、超音波で赤ちゃんの心拍が確認できている妊婦さんの場合、9週で受診したあとに流産したのは0.5%と報告されています[1]。この時期の流産の多くは赤ちゃんの染色体の異常によるもので、お母さんの行動が原因ではありません。この記事では、9週の流産の確率、心拍が確認できないときの再検査の決まり、9週の赤ちゃんとお母さんの体の変化、過ごし方を、データと出典つきでまとめます。週ごとの全体像は妊娠初期(1〜4か月)に気をつけることでも確認できます。

⏱️ 30秒でわかる要約

🤰 Q. 妊娠9週の壁(魔の9週)とは何ですか?

妊娠9週前後に流産が起こりやすいのではないか、という不安から生まれた言い方で、医学の診断名ではありません。9週を越えれば安心、9週で流産しやすい、という決まった線があるわけではありません。

🤰 Q. 9週で心拍を確認できたあと、流産する確率は?

症状がなく心拍が確認できた妊婦さん696人を追った研究では、9週で受診した人のその後の流産は0.5%でした。受診した週数が遅いほど、その後の流産は少なくなっていました。

🤰 Q. 9週で心拍が確認できないと言われたら?

英国の診療ガイドラインでは、1回の超音波だけで流産と決めず、7日以上あけてもう一度確かめることになっています。次の受診日と、出血や腹痛があったときの連絡先を、かかりつけの産婦人科で確かめておいてください。

🤰 Q. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?

大丈夫とは言い切れません。生まれつきの病気はダウン症候群だけではなく、18・13トリソミーや微小欠失症候群は、ダウン症候群だけの検査では調べられません。当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、これらの病気や、一部の自閉症・発達障害・知的障害の原因になる変化まで調べられるプランがあります。

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18・13トリソミーや微小欠失症候群、一部の自閉症・発達障害・知的障害の原因まで、当院のNIPTで調べられます(6〜8週は臨床研究として受けられます)。
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この記事でわかること
📖 読了時間:約12分
🤰 妊娠9週・9週の壁・心拍・つわり
★ 臨床遺伝専門医監修
  • ➤9週の壁 → 診断名ではない。心拍確認後の9週の流産は0.5%という報告
  • ➤流産の原因 → 流産した組織の約80%に染色体の異常。お母さんの行動のせいではない
  • ➤心拍が見えないとき → 1回で決めず、7日以上あけて再検査
  • ➤赤ちゃんの大きさ → 9週の頭殿長(CRL)は中央値20.0〜27.6mm(日本人の基準値)
  • ➤検査 → NIPTは妊娠9週から(6〜8週は臨床研究)

妊娠9週の壁(魔の9週)の流産確率・心拍が確認できないときの再検査・赤ちゃんの大きさを解説するアイキャッチ画像

1. 妊娠9週の壁(魔の9週)とは?

妊娠9週の壁(魔の9週)は、「9週前後に流産が多いのではないか」という不安から使われている言い方で、産婦人科の診断名ではありません。日本産科婦人科学会の一般向けの解説でも、流産は「稽留流産」「切迫流産」などの状態で分類されていて、「9週の壁」という区切りは出てきません[2]。

妊娠9週は、最終月経の初日を0週0日として数えたときの9週0日から9週6日までの1週間で、妊娠3か月(8〜11週)の2週目にあたります。最近は妊娠検査薬で早く妊娠に気づき、早い時期に超音波(エコー)で心拍を確かめる人が多くなりました。心拍が見えて一度ほっとしたあと、次の受診までの間に「もし次の健診で心拍が止まっていたら」と心配になる。この時期の不安が「9週の壁」という言葉に表れていると考えられます。

大切なのは、9週という1週間だけに特別な危険があるわけではない、という点です。妊娠初期の流産は、週数が進むにつれて少しずつ起こりにくくなっていきます。次の節で、その数字を見ていきます。

9週の流産の確率は?心拍確認後のデータ

症状がなく、超音波で心拍が確認できた妊婦さんでは、9週で受診したあとに流産したのは0.5%と報告されています[1]。これはオーストラリアの病院の妊婦外来で、妊娠6〜11週に初めて受診し、出血や腹痛などの症状がなく、1人の赤ちゃんの心拍が確認できた696人を追った研究です。全体では696人中11人(1.6%)が流産し、受診した週数が遅いほど、その後の流産の割合は下がっていました[1]。

📊 心拍が確認できた受診の週数と、その後の流産の割合

受診したときの週数 その後に流産した割合
妊娠6週 9.4%
妊娠7週 4.2%
妊娠8週 1.5%
妊娠9週 0.5%
妊娠10週 0.7%
全体(6〜11週) 1.6%(696人中11人)

※出典:Tong S ほか, Obstet Gynecol 2008[1]。症状がなく、1人の赤ちゃんの心拍が確認できた妊婦さんが対象です。週数は受診した時点の満の週数です。出血・腹痛のある方や、心拍がまだ確認できていない方には、そのまま当てはまりません。

一方、心拍が確認できる前の時期も含めた妊娠全体で見ると、流産の頻度はもっと高くなります。日本産科婦人科学会は「妊娠の約15%は自然流産に終わります」と説明していて、12週未満の早い時期の流産がもっとも多いとしています[2]。数字の違いは、どの時点から数えた割合かの違いです。心拍が確認できて、出血や腹痛がない状態で9週を迎えている方は、その後の流産はまれというのが、上の研究から読み取れることです。

お母さんの年齢によっても流産の割合は変わります。ノルウェーの全国登録を使った研究では、流産の割合は25〜29歳でもっとも低く(10%)、45歳以上では53%でした[3]。日本産科婦人科学会も、流産率は年齢とともに上がり、40歳を過ぎると妊娠の40%以上が流産するといわれていると説明しています[2]。ただしこれらは、心拍の確認の有無を問わない妊娠全体の数字で、9週に心拍が確認できている方の数字ではありません。

なぜ妊娠初期に流産が起こるのか

妊娠12週未満の早い時期の流産で、もっとも多い原因は赤ちゃん側の異常です。日本産科婦人科学会は、流産した組織(将来胎盤になる絨毛組織)の染色体を調べると、約80%に異常を認めたという報告を紹介しています[2]。染色体は遺伝情報を収めた設計図の束で、受精した時点で本数が多かったり少なかったりすると、多くは途中で育つことができません。

この染色体の変化の多くは、卵子や精子ができる過程や受精のときに偶然起こるもので、妊娠に気づいたあとのお母さんの生活が原因で起こるものではありません。仕事をした、重い物を持った、運動をした、といったことが原因で9週前後の流産が起こるわけではない、ということは知っておいてください。

また、出血や腹痛があっても赤ちゃんが生きている状態を「切迫流産」といいます。日本産科婦人科学会は、切迫流産に対して安静にしたり、薬を使ったりしても、流産を予防する効果はなさそうだと説明しています[2]。切迫流産の詳しい説明は切迫流産とはにまとめています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「自分のせいだったのでは」と考えてしまう方へ】

妊娠初期の流産のあと、「あのとき無理をしなければ」と自分を責めてしまう方は少なくありません。けれども、流産した組織の約8割に染色体の異常が見つかるというデータは、この時期の流産の多くが、受精のときにすでに決まっていた変化によるものだということを示しています。生活のしかたで防げるものではない、と考えています。

臨床遺伝専門医として大切だと考えているのは、「なぜ起こったのか」を正しく知ることが、次の妊娠を考えるときの土台になるということです。流産をくり返している場合には、ご夫婦の染色体などを調べることで、次の妊娠に向けて分かることもあります。ひとりで原因を探そうとせず、かかりつけの産婦人科医に相談してください。

2. 妊娠9週で心拍が確認できないときは?

9週の健診で心拍が見えなかったとしても、1回の超音波だけで流産と決めることはしません。英国国立医療技術評価機構(NICE)の診療ガイドラインは、経腟超音波で赤ちゃんの頭からおしりまでの長さ(頭殿長、CRL)が7.0mm未満で心拍が見えないときは、診断する前に最初の検査から7日以上あけてもう一度検査するとしています[4]。7.0mm以上で心拍が見えないときも、別の医師に確認してもらう、または7日以上あけてもう一度検査してから診断するとしています[4]。

💡 用語解説:頭殿長(CRL:とうでんちょう)

頭殿長(CRL:crown-rump length)は、超音波で測る赤ちゃんの頭のてっぺんからおしりまでの長さです。妊娠初期は個人差が小さいため、妊娠週数を確かめたり、予定日を決め直したりするのに使われます。足は曲がっていて測りにくいため、身長ではなくこの長さで成長を見ます。

「心拍確認できない→復活した」はなぜ起こるのか

再検査の決まりがあるのは、週数のずれや見え方の問題で、生きている赤ちゃんを流産と見誤らないためです。最終月経から数えた週数は、排卵が遅れた周期では実際より進んで計算されます。そうすると、「9週なのに心拍が見えない」と思われても、実際の発育はまだ6〜7週相当で、赤ちゃんが小さく心拍が見えにくいだけ、ということがあります。週数の数え方と頭殿長の関係は妊娠週数の数え方と頭殿長で説明しています。

NICEが頭殿長7.0mmや胎嚢(赤ちゃんを包む袋)の平均の直径25.0mmを区切りにし、それより小さければ7日以上あけて見直すとしているのは、そのためです[4]。お腹の上から当てる経腹超音波で調べた場合は、14日以上あけて再検査するとされています[4]。「心拍が確認できない」と言われたときは、次にいつ、どのような条件で確かめるのかを、かかりつけの産婦人科で聞いておくと、待つ間の見通しが立ちやすくなります。

超音波で心拍が見えない
▶
頭殿長・胎嚢の大きさを測るCRL 7.0mm・胎嚢25.0mmが目安
▶
7日以上あけて再検査大きい場合は別の医師の確認も
▶
診断と今後の相談かかりつけの産婦人科で

※NICEの診療ガイドライン[4]の経腟超音波の場合の流れを簡略化したものです。実際の検査の間隔は、かかりつけの産婦人科医の判断によります。

稽留流産と診断されたら

💡 用語解説:稽留流産(けいりゅうりゅうざん)

稽留流産は、出血や腹痛がないまま、子宮の中で赤ちゃんが亡くなっている状態です[2]。自覚症状がないため、健診の超音波で初めて分かることがほとんどです。「9週の壁」で心配されているのは、多くがこの稽留流産です。

稽留流産と診断されたあとは、流産した組織が自然に出てくるのを待つ方法と、子宮内容除去術(流産手術)を行う方法があります[2]。英国のNICEは、流産と確定した場合、まず7〜14日間は自然に出てくるのを待つ方法を基本としています[4]。日本ではどちらを選ぶかは、体調や出血の状態、仕事や生活の予定、ご本人の希望を踏まえて、かかりつけの産婦人科医と決めることになります。

「稽留流産と言われたけれど、本当は生きていたのでは」という不安を持つ方もいます。上で見た再検査の決まりは、まさにその見誤りを避けるためのものです。納得できないときは、もう一度確かめてから決めたいと伝えてかまいません。それぞれの方法の流れは、流産の自然排出を待つメリットとデメリットと流産手術が必要なケースで詳しく説明しています。

流産の兆候は?出血・腹痛・つわりの変化

稽留流産には出血や腹痛がないことも多く、自分で気づけるはっきりした「予兆」はありません。一方で、出血が多い、生理より強い腹痛がある、といったときは、流産が進んでいる場合もあるため、時間外であってもかかりつけの産婦人科に連絡してください。少量の茶色いおりものなど、判断に迷う症状も、自己判断せず連絡して指示を受けるのが確実です。

「9週でつわりが急に楽になった。流産の予兆では」と心配する方も多くいます。つわりと流産の関係を調べたアメリカの研究では、吐き気がある妊婦さんは、ない妊婦さんに比べて妊娠が途中で終わる割合が低く(ハザード比0.50)、吐き気と嘔吐の両方がある場合はさらに低い(同0.25)という結果でした[5]。ただしこれは、過去に1〜2回の流産を経験した797人を対象にした研究で、「つわりがある方が流産しにくい」という傾向を示したものです。「つわりが軽くなった=流産した」ことを示すものではありません。つわりの強さは日によっても変わります。流産かどうかは超音波で確かめるしかないため、心配なときは次の健診を待たずに、かかりつけの産婦人科に相談してください。

3. 妊娠9週の赤ちゃんの様子と大きさ

妊娠9週の赤ちゃんの頭殿長(CRL)は、日本人の基準値の中央値で、9週0日が20.0mm、9週6日が27.6mmです。日本超音波医学会が日本人の単胎妊娠353例を経腟超音波で測ってまとめた基準値では、9週0日の5〜95パーセンタイルは11.7〜27.0mm、9週6日では17.1〜37.3mmでした[6]。9週の1週間で、中央値は約7.6mm大きくなります。同じ9週でも0日と6日では大きさがかなり違うので、「9週なのに小さい」と比べるときは、日数まで合わせて見る必要があります。

📏 妊娠9週の頭殿長(CRL)の基準値(日本人)

妊娠週数 5パーセンタイル 中央値(50パーセンタイル) 95パーセンタイル
9週0日 11.7mm 20.0mm 27.0mm
9週2日 13.3mm 22.5mm 30.3mm
9週4日 15.1mm 25.0mm 33.7mm
9週6日 17.1mm 27.6mm 37.3mm

※出典:日本超音波医学会「超音波胎児計測の標準化と日本人の基準値」表1-1 CRL値の妊娠日数毎の基準値[6]。月経周期が規則的な日本人の単胎妊娠353例を経腟法で測った値です。原表に載っている日(9週0日・2日・4日・6日)だけを示しています。5〜95パーセンタイルは、100人中90人がこの範囲に入るという意味です。

海外では、8か国の健康な妊婦さんを対象にした国際研究(INTERGROWTH-21st)で、妊娠9週0日〜9週6日に測った頭殿長の平均が27.47mm(標準偏差4.83mm、554人)と報告されています[7]。これは1週間分をまとめた平均で、日本人の基準値ではありません。

エコー写真では、頭と胴体の区別がつき、手足の形も見えてくる時期です。数mmの差で「小さいのでは」と心配になる方もいますが、頭殿長は週数を確かめるための目安で、健診で「予定日を修正しましょう」と言われることもあります。これは排卵日のずれを反映したもので、赤ちゃんの異常を意味するものではありません。

1週前の様子は妊娠8週の赤ちゃんとお母さんの体、1週後の様子は妊娠10週の壁と赤ちゃんの成長で説明しています。

4. 妊娠9週のお母さんの体とつわり

妊娠9週は、つわりがつらい方が多い時期です。先ほどのアメリカの研究では、妊娠8週までに57.3%の人が吐き気を、26.6%の人が吐き気と嘔吐の両方を経験していました[5]。吐き気のほか、においに敏感になる、眠気が強い、空腹になると気持ち悪くなる、といった形で現れることもあります。

食事がとれないときは、食べられるものを、食べられるときに少しずつとってかまいません。気をつけたいのは水分です。水分もとれない、尿の量が明らかに減った、体重が急に減ったというときは、つわりが重くなった妊娠悪阻(にんしんおそ)の可能性があるので、かかりつけの産婦人科に相談してください。つわりの仕組みや対策はつわり(悪阻)とは、重症の場合は妊娠悪阻とはで詳しく説明しています。

そのほか、子宮が大きくなることによる下腹部の張りや引っぱられる感じ、便秘、おりものの増加、胸の張りなども、この時期によくみられる変化です。お腹のふくらみ方には個人差があります。服がきつく感じる場合は、便秘などによるお腹の張りのこともあります。

5. 妊娠9週の過ごし方・気をつけること

妊娠9週に特別に始めなければならないことはありません。9週の壁を「乗り越える」ために特定の食べ物や運動が必要なわけではなく、前の章で見たように、この時期の流産の多くは生活のしかたで防げるものではありません。そのうえで、体を守るためにできることを挙げます。

健診と受診の目安

妊婦健診は、かかりつけの産婦人科で決められた日に受けてください。出血、強い腹痛、水分もとれないほどのつわりがあるときは、健診の日を待たずに連絡します。母子健康手帳の交付や妊婦健診の受診券の手続きもこの時期に進めておくと、その後の健診がスムーズです。

仕事をしている方は「母健連絡カード」を

つわりなどで仕事を続けるのがつらいときは、「母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)」が使えます。厚生労働省は、このカードを、主治医などが行った指導の内容を、妊娠中の女性から事業主へ正確に伝えるためのものと説明していて、事業主はカードの記載内容に応じて、男女雇用機会均等法第13条にもとづき時差通勤や休憩時間の延長などの措置をとる義務があります[8]。カードの記入は、かかりつけの産婦人科医に依頼します。

カフェイン・お酒・葉酸

コーヒーなどのカフェインは、とりすぎないようにします。食品安全委員会のファクトシートによると、英国食品基準庁は妊娠中のカフェインを1日200mgまでとするよう勧めていて、欧州食品安全機関は習慣的なカフェインの摂取が1日200mg以下であれば胎児に健康リスクは生じないとしています。日本ではカフェインの1日摂取許容量は設定されていません[9]。お酒やたばこについては胎児性アルコール症候群と喫煙・カフェイン、葉酸の飲み方は葉酸サプリメントの効果で説明しています。

6. 妊娠9週でダウン症候群はわかる?9週から受けられる検査

妊娠9週の超音波検査で、ダウン症候群かどうかを見分けることはできません。赤ちゃんの首の後ろのむくみ(NT)を測って染色体の病気の可能性を調べる方法がありますが、国際超音波産婦人科学会(ISUOG)のガイドラインでは、NTは多くの専門家が妊娠11週0日〜13週6日(頭殿長45〜84mm)に測るよう勧めています[10]。9週はまだその時期の前です。

NIPTは妊娠9週から受けられる

一方、お母さんの血液に含まれる赤ちゃん由来のDNAを調べるNIPT(新型出生前診断)は、当院では妊娠9週から受けられます。妊娠6〜8週も臨床研究として受けられる体制があります(6〜8週のNIPTはほかの施設でも行われています)。受けられる時期の上限は特に設けておらず、これまでに妊娠36週で受けた方もいます。東京・北青山の当院で受けられる検査の範囲と料金は、東京のNIPT(新型出生前診断)のページにまとめています。早い時期に受ける意味と限界は早期NIPT(妊娠6〜8週)で説明しています。

週数が早いほど血液中の赤ちゃん由来のDNAが少なく、判定できずに再検査になることがあります。赤ちゃんの心拍を確認してから検査を受けることがなぜ大切かは、NIPTで心拍を確認してから検査をすることの重要性をご覧ください。

NIPTはスクリーニング(ふるい分け)の検査で、陽性の場合は確定検査で確かめる必要があります。当院でNIPTを受けた方は、陽性の場合も確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられます。絨毛検査は妊娠11〜13週、羊水検査は妊娠15週から行い、主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。2つの検査の違いは絨毛検査と羊水検査の違いにまとめています。

確定検査の費用は、NIPTを受ける方全員が加入する羊水検査互助会(カトレア会、1回のNIPTにつき8,000円)で補助され、補助の上限はありません。陽性の場合は、陽性後の遺伝カウンセリングを何度でも無料で受けられます。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【流産の不安と、検査を考えることは別の話です】

9週前後は、流産の心配と、出生前検査を受けるかどうかの迷いが同じ時期に重なります。けれども、この2つは分けて考えてよいことだと考えています。この時期の流産の多くは染色体の偶然の変化によるもので、NIPTを受けたからといって流産を防げるわけではありません。

NIPTで分かるのは、心拍が確認できて育っている赤ちゃんに、染色体などの変化があるかどうかです。早い時期に結果が分かれば、その後の妊娠をどう過ごすかを考える時間が持てます。受けるかどうかも含めて、検査で何が分かり、何が分からないのかを知ったうえで決めることが大切だと考えています。

ダウン症候群だけで大丈夫? ― 調べられる範囲で選ぶ

出生前検査というとダウン症候群(21トリソミー)を思い浮かべる方が多いのですが、生まれつきの染色体の病気はそれだけではありません。18トリソミーや13トリソミー、染色体の一部がわずかに欠けている微小欠失症候群は、ダウン症候群だけを調べる検査ではわかりません。当院のスタンダードプランは13・18・21トリソミーと性染色体の数の異常、22q11.2欠失症候群などの微小欠失を調べられ、プレミアムプラン・ダイヤモンドプラン・双子マックスプラン・インペリアルプランでは調べる範囲がさらに広がります。調べる範囲が広いプランでは、一部の自閉症・発達障害・知的障害の原因になる変化も対象になります(詳しくは自閉症はNIPTでわかりますか?)。範囲が広がるほど陽性や確定検査が必要になる場面も増えるため、どこまで調べるかは、90分の受診枠の中で臨床遺伝専門医が行う遺伝カウンセリングで一緒に決めます。

\ 陽性のときは確定検査まで院内で。主要な項目は3日以内に結果 /

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90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行います。
オンラインNIPT(全国対応) | NIPTは何週がベスト?

よくある質問(FAQ)

Q1. 妊娠9週の壁(魔の9週)とは何ですか?

妊娠9週前後に流産が起こりやすいのではないか、という不安から使われている言い方で、産婦人科の診断名ではありません。妊娠初期の流産は週数が進むにつれて起こりにくくなり、9週という1週間だけに特別な危険があるわけではありません。

Q2. 9週で心拍が確認できたあと、流産する確率はどのくらいですか?

症状がなく心拍が確認できた妊婦さん696人を追ったオーストラリアの研究では、9週で受診した人のその後の流産は0.5%、全体(6〜11週)では1.6%でした。出血や腹痛がある方や、心拍がまだ確認できていない方には、そのまま当てはまりません。

Q3. 9週で心拍が確認できないと言われました。もう望みはないのですか?

1回の超音波だけでは決めません。英国の診療ガイドラインでは、頭殿長が7.0mm未満で心拍が見えないときは7日以上あけて再検査し、7.0mm以上でも別の医師の確認か7日以上あけた再検査をしてから診断するとしています。週数のずれで赤ちゃんがまだ小さいこともあるため、次にいつ確かめるかをかかりつけの産婦人科で確認してください。

Q4. 9週でつわりが急に楽になりました。流産でしょうか?

つわりが軽くなったことだけで、流産かどうかは分かりません。吐き気がある妊婦さんの方が流産が少ない傾向を示した研究はありますが、つわりが軽くなったら流産した、ということを示したものではありません。流産かどうかは超音波で確かめるしかないため、心配なときはかかりつけの産婦人科に相談してください。

Q5. 流産したのは、仕事や運動をしたせいですか?

妊娠初期の流産のもっとも多い原因は赤ちゃん側の異常で、流産した組織の染色体を調べると約80%に異常が見つかったと報告されています。この時期の流産の多くは、妊娠に気づいたあとのお母さんの行動が原因で起こるものではありません。

Q6. 妊娠9週の赤ちゃんの大きさはどのくらいですか?

日本超音波医学会の日本人の基準値では、頭殿長(頭からおしりまでの長さ)の中央値は9週0日で20.0mm、9週6日で27.6mmです。9週の1週間で7mm以上大きくなるので、9週の前半と後半では大きさがかなり違います。

Q7. 妊娠9週でダウン症候群はわかりますか?

9週の超音波検査では見分けられません。首の後ろのむくみ(NT)は妊娠11週0日〜13週6日に測るのが一般的です。血液で調べるNIPTは、当院では妊娠9週から受けられ(6〜8週は臨床研究)、陽性の場合は確定検査で確かめます。

Q8. 妊娠9週は妊娠何か月ですか?

妊娠3か月です。最終月経の初日を0週0日として、8週0日〜11週6日が妊娠3か月にあたり、9週はその2週目です。

まとめ

妊娠9週の壁(魔の9週)は診断名ではなく、9週だけに特別な危険があるわけではありません。症状がなく心拍が確認できた妊婦さんでは、9週で受診したあとの流産は0.5%という報告があります[1]。この時期の流産の多くは染色体の異常によるもので、お母さんの行動が原因ではありません[2]。

9週で心拍が確認できないと言われても、1回の超音波では決めず、7日以上あけて確かめるのが診療ガイドラインの考え方です[4]。出血や強い腹痛があるときは、健診の日を待たずにかかりつけの産婦人科に連絡してください。赤ちゃんの染色体の病気を調べるNIPTは、当院では妊娠9週から受けられます。次の週の様子は妊娠10週のページで確認できます。

🧬 妊娠9週から受けられるNIPT

ダウン症候群だけでなく、18・13トリソミーや微小欠失症候群まで、当院のNIPTで調べられます。当院でNIPTを受けた方は、陽性の場合も確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どのプランが合うかを一緒に考えます。来院が難しい方は、オンラインNIPT(全国110か所の提携施設で採血)もご利用いただけます。

まだ決めていない方は、先にプラン別の料金と含まれるものをご覧ください。

関連記事

参考文献

  • [1] Tong S, Kaur A, Walker SP, Bryant V, Onwude JL, Permezel M. Miscarriage risk for asymptomatic women after a normal first-trimester prenatal visit. Obstet Gynecol. 2008;111(3):710-714. [PubMed 18310375]
  • [2] 日本産科婦人科学会. 流産・切迫流産. [日本産科婦人科学会]
  • [3] Magnus MC, Wilcox AJ, Morken NH, Weinberg CR, Håberg SE. Role of maternal age and pregnancy history in risk of miscarriage: prospective register based study. BMJ. 2019;364:l869. [BMJ]
  • [4] National Institute for Health and Care Excellence (NICE). Ectopic pregnancy and miscarriage: diagnosis and initial management. NICE guideline NG126. [NICE NG126]
  • [5] Hinkle SN, Mumford SL, Grantz KL, et al. Association of nausea and vomiting during pregnancy with pregnancy loss: a secondary analysis of a randomized clinical trial. JAMA Intern Med. 2016;176(11):1621-1627. [PubMed 27669539]
  • [6] 日本超音波医学会. 超音波胎児計測の標準化と日本人の基準値. 超音波医学. 2003;30(3).
  • [7] Papageorghiou AT, Kennedy SH, Salomon LJ, et al. International standards for early fetal size and pregnancy dating based on ultrasound measurement of crown–rump length in the first trimester of pregnancy. Ultrasound Obstet Gynecol. 2014;44(6):641-648. [doi:10.1002/uog.13448]
  • [8] 厚生労働省. 母性健康管理指導事項連絡カードの活用方法について. [厚生労働省]
  • [9] 食品安全委員会. ファクトシート「食品中のカフェイン」(2018年2月23日更新). [食品安全委員会]
  • [10] Salomon LJ, Alfirevic Z, Bilardo CM, et al. ISUOG practice guidelines: performance of first-trimester fetal ultrasound scan. Ultrasound Obstet Gynecol. 2013;41(1):102-113. [PubMed 23280739]

※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・検査の選択を示すものではありません。妊娠中の体調や受診については、かかりつけの産婦人科医にご相談ください。

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

記事の作り方と生成AIの使い方は、編集方針をご覧ください。