目次
NIPTで陽性結果がでたとき慌てないために
陽性なNIPT(新型出生前診断/新型出生前検査)結果は何を意味しているのでしょうか?
NIPT(新型出生前診断/新型出生前検査)とは何ですか?
NIPT(新型出生前診断/新型出生前検査)は、非侵襲的出生前検査、非侵襲的出生前スクリーニング(NIPS)とも呼ばれています。母体血清中のDNA断片を次世代シークエンスを行い、バイオインフォマティクスのアルゴリズムを利用して、妊娠中の特定の染色体の状態の確率を決定するスクリーニング検査です。 すべての人は、血液中に自分のセルフリーDNAを持っています。妊娠中、胎盤の絨毛と呼ばれる組織からのセルフリーDNA(主に絨毛芽細胞)も母体の血流に入り、母体のセルフリーDNAと混ざり合います。 絨毛細胞のDNAは通常、胎児の染色体構成を反映しています。
セルフリーDNAは、トリソミー21、18トリソミー、13トリソミーのスクリーニングを日常的に行っています。胎児の性別、性染色体異数性、その他の異数性、三倍体(1~22番までの常染色体と性染色体1本のセットが3組ある)、および特定の微小欠失(美声欠失)のスクリーニングも可能です。セルフリーDNAパネルに含まれる条件は、実施する検査機関によって異なります。
関連記事 NIPT セルフリーDNA トリソミー21(ダウン症候群(21トリソミー)) 18トリソミー 13トリソミー
NIPT(新型出生前診断/新型出生前検査)の結果が陽性とはどういうことですか?
陽性な結果は、陽性と指定された疾患のリスクが高いことを示しています。しかし、陽性な結果は診断的なものではありませんので、患者さんは羊水穿刺などの診断的な方法で確定診断のための検査を受ける必要があります。陽性な結果は、胎児に影響があることを示す場合もありますが、影響のない妊娠、限局性胎盤モザイク症、胎盤および胎児モザイク症、バニシングツイン、母体の未認識の状態、またはその他の未知の生物学的発生の場合には、偽陽性を示すこともあります。
陽性または異数性検出の結果と「>99%」の数字の違いは何ですか?
報告の違いは検査室固有のものですが、すべて「リスクが増加しています」という同じことを意味します。これらの結果はセルフリーDNAをつかった検査の所見を表しており、胎児の染色体構成を表しているとは限りません。
99%以上のリスクは、妊娠中に何らかの疾患の影響を受けている可能性が99%以上あることを意味するものではありません。 「陽性」または「異数性が検出された」という結果は、胎児が染色体の状態を持っていることを意味するものではありません。
陽性な結果はどれくらい正確なのでしょうか?
これらの検査は、しばしば患者や医療提供者に99%以上の精度であると宣伝されています。しかし、これは集団レベルの統計であり、検査を受けたすべての女性に適用されることを認識することが重要です。 ほとんどの妊娠は影響を受けず、ほとんどの結果は「低リスク」であるため、この検査はすべての女性にとって99%の確率で正しいものです。 しかし、高リスクの結果が胎児に影響を与えていることを示す可能性は、大多数のケースでは99%ではありません。 高リスクの結果が真の陽性である確率を決定するためには、陽性的中率を計算しなければなりません。
陽性的中率とは?
陽性的中率(PPV)とは、真の陽性である陽性結果の割合のことをいいます。言い換えれば、PPVは『NIPT(新型出生前診断/新型出生前検査)の結果が異常であれば、胎児がこの状態である可能性はどのくらいあるのか』という質問に答えるものです。陽性的中率(PPV) は、検査の感度と特異度だけでなく、その状態の有病率(事前確率)にも大きく依存しています。
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陽性的中率(PPV)
有病率(事前確率)
陽性的中率(PPV) は、NIPT(新型出生前診断/新型出生前検査)の感度と特異性だけでなく、疾患、研究集団、その集団における疾患の発生率(事前確率)によっても変化します。NIPT(新型出生前診断/新型出生前検査)は従来のスクリーニング検査よりも高い陽性的中率(PPV)を有することが研究で裏付けられていますが、これらの陽性的中率(PPV)は患者さんに普遍的に適用できるものではないことに注意することが重要です。 年齢やその他のスクリーニング結果に基づいた事前確率が高い患者では陽性的中率(PPV)は高くなり、事前確率が低い女性では陽性的中率(PPV)は低くなる。例えば、母体年齢が高くなるにつれて異数性のプリオリリスクが高くなるため、他のすべての条件が等しくなると、20歳よりも40歳の女性の方が陽性的中率(PPV)は当然高くなるのです。
これらを踏まえてNIPTの陽性結果をどう受け止めたらいいのでしょうか?
NIPT(新型出生前診断/新型出生前検査)は従来のスクリーニングよりも偽陽性の結果が少ないことを考慮して、他のスクリーニング検査を説明するのと同じように、これらの結果を説明することができます。陽性の結果が得られると懸念が大きく高まりますが、診断的な答えを提供するものではなく、確認のためにはさらなる検査が必要です。懸念の程度は、スクリーニングの感度と特異度、障害の有病率に大きく依存し、特定の疾患、母体年齢、妊娠年齢、超音波所見、家族歴などに影響されます。
例えば、40歳の場合、胎児の鼻骨欠損または低形成が超音波で認められ、ダウン症(21トリソミー)の陽性なNIPT(新型出生前診断/新型出生前検査)の結果も合わさっていたとします。そうすると、この場合では真の陽性の結果である確率が非常に高くなります。(この集団では有病率とそのため陽性的中率(PPV)が高いため)。これを、正常な超音波検査と13トリソミーの異常なNIPT(新型出生前診断/新型出生前検査)の結果を持つ24歳と比較すると、真の陽性を持つ可能性が低くなります(この集団では有病率とそのため陽性的中率(PPV)が低いため)。従来の母体血清マーカーテスト(クワトロテスト)のように、すべての陽性結果が同じ程度のリスクを示すわけではありません。
関連記事:超音波マーカー 母体血清マーカーテスト(クワトロテスト)
超音波で異常所見もあるNIPT結果陽性の人の場合は?
超音波の異常所見は特定の疾患の疑いを高めるかもしれませんが、超音波は診断的なものではなく、リスクを評価するための別のツールとして使用する必要があります。診断を確定的に確認し、再発リスク評価、予後、管理のための遺伝カウンセリングを支援するためには、侵襲的検査が必要です。
関連記事:超音波胎児スクリーニング
NIPTで陽性の結果が出ました。次はどういうステップになるのでしょうか?
関連記事:NIPTで陽性の結果がでたときの確定診断
NIPTで陽性の結果がでましたが、侵襲的検査を拒否したいのですが?
NIPTで陽性の結果で診断検査を拒否した場合、その後の中絶を含めた妊娠の管理は超音波所見と母体の適応によって決定されるべきです。NIPT(新型出生前診断/新型出生前検査)の結果が陽性な場合には、追加の超音波検査や胎児心エコー検査を検討して異常所見があれば確定検査に代替することもあります。
以上述べてきたようにNIPTの陽性結果は原則的には確定診断たりえません
陽性の場合、基本的には羊水検査をお受けください。
ただし、第2・3世代では格段に検査精度が上がりましたので、第一世代の時代をいつまでも引きずって、20週近くなって出産と同じ中絶過程を経なければならない、というのも酷だと考えています。陽性になった内容により皆様に寄り添って一緒に考えたいと思います。
ミネルバクリニックは全国の臨床遺伝専門医の中で最多の症例を一例ずつ向き合って過ごしてまいりましたので、豊富な経験と科学的根拠に基づく知見から悔いのない選択を一緒にしたいと思います。
御安心の上お越しください。NIPT(新型出生前検査/新型出生前診断)が確定検査たりえない理由については上記にも書いてありますが、新型出生前診断は確定診断ですか?
により詳しくお示ししてありますのでご一読ください。
関連記事 羊水検査 臨床遺伝専門医 新型出生前診断は確定診断ですか? cffDNAベースの出生前検査(NIPT)の精度
あなたのなかには二つの命があります
あなたは考えることも行動することもできます。
しかし、赤ちゃんはなにもできません。
お母さんに意思を伝えることもできません。
そのうえまだ、赤ちゃんはNIPTが陽性でもまだあかちゃんが病気だと決まったわけではありません。
陽性的中率は、母集団の疾患の頻度(有病率)の影響を受けます。
たとえば40歳以上のT21(ダウン症候群(21トリソミー))ならば非常に高い的中率ですし、妊娠可能な年齢も限られていることから、羊水検査で確認せずに次のチャンスを早く得たい、という思いを抱くのも責められることではないと思います。
一律必ずやらないといけないとみなさまに強要する権利はわたしたち医師は持ち合わせていません。
また、ミネルバクリニックでは羊水検査どうしても回避したい、駄目なら早く中絶したいという人のために、精度の高い2か所の検査機関で同じ結果ならば羊水検査を省略しても良いのではと考えて、アラフォー応援コースなどをご用意しています。ですので、結果によっては羊水検査を省くことも可能ですが、内容によるので一律ではありません。
しかし。やはり医師として羊水検査が必要だと判断した場合は、羊水検査を受けてほしいと思います。
やはり偽陽性の場合、検査の陽性という結果に驚いて感情のまま突き進み、いきなり中絶すると、正常なお子さんかもしれなかったのにって一生後悔することになるんじゃないですか?
あなたはそのお子さんが欲しかったから、大丈夫なことを確かめようとしてNIPTを受けたんですよね?
じゃあ、今はお子さんを守っていただけませんか?あなたが落ち着くことで赤ちゃんは守られます。
ミネルバクリニックにはほかの無認可施設Hで全染色体検査を受けて陽性となり、中絶しようと思っていた妊婦さんが来られてちゃんと話を聞いて思いとどまり、羊水検査まで無事に進んで正常な赤ちゃんを出産したという例がちゃんとあります。
たとえ検査陽性でもまだ確定診断でそうと決まったわけではありません。
どうか落ち着いてください。
ミネルバクリニックでは、陽性になられた妊婦さんが落ち着いて羊水検査を迎えることができるよう、全力でサポートいたします。
陽性の場合は、遺伝専門医である院長の個人携帯番号を開示し、24時間お電話がつながる体制にしておりますし、何回でも無料でカウンセリングをお受けいただけます。
お金がかかるからカウンセリングはいいや、って思ってしまってこられなくて
そのまま中絶ってことをなるだけ防ぎたいからです。
怒りや不安を全部院長にぶつけてください。大丈夫です。
院長は研修医のときから白血病などの難治性の悪性腫瘍の患者さんたちに鍛えていただきました。
どんどんぶつけてください。
わたしは必ずあなたを全力でサポートします。
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