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羊水検査は出生前診断の一つです。絨毛検査と同じく確定診断であり検査結果は100%となっています。しかしながら、兼s名を受けられる時期が決まっています。
今回の記事では羊水検査が受けられる時期、検査の内容、検査結果が出るまでどれくらいかかるのかなどを詳しくは解説していきます。どうして診断結果が100%なのかもわかる内容となっていますのでぜひ最後までご覧ください。
羊水検査はいつから受けられるか
羊水は妊娠初期から存在しています。そのためいつでも検査が受けられると思いがちですが、妊娠初期は羊水の量が少ないため受けることはできません。
羊水は妊娠10週で約30 ml、妊娠20週で約350 ml と増加していきます。検査をするのに十分な量になるのは妊娠15~18週の間になります。つまり羊水検査が受けられる時期は妊娠4ヵ月から5ヵ月の間と思ってください。
検査は、 お腹に針を刺すこと・羊膜に穴を開けることなどから、およそ1/300(0.3%)の割合で流産・死産の可能性があります。また、医師からいきなり羊水検査を受けるように勧められることはありません。ほとんどが妊婦健診の際に気になることがあったら妊婦さんへ説明をした上で新型出生前診断(NIPT)やクアトロテスト(母体血清マーカー)、コンバインド検査といった非確定検査を受けるように勧めてきます。それらの結果で陽性の判定が出たら羊水検査を受けるのが一般的な流れです。
非確定検査の時期と結果が出るまでの期間
非確定検査を受けられる時期と結果が出るまでの期間は下にある表の通りです。
検査名 | 検査時期 | 結果報告までの期間 |
---|---|---|
新型出生前診断(NIPT) | 9週目以降(ミネルバクリニック) 10週目以降 |
1~2週間 |
胎児精密超音波検査 | 11週目〜13週目(初期) | 当日の場合が多い |
コンバインド検査 | 11週目〜13週目 | 約2週間 |
クアトロテスト(母体血清マーカー検査) | 15週目〜18週目 | 約2週間 |
新型出生前診断(NIPT)やコンバインド検査を受けて陽性と判定されたならば羊水検査を受けられる時期に入りますが、クアトロテスト(母体血清マーカー)の場合はぎりぎりになります。妊娠15週目に受けられたら17週目に結果が返ってくるので間に合います。しかし、16週目に入ると結果が戻ってくるのが18週目になるため羊水検査の受検可能時期を逃してしまう可能性があります。
もし妊娠して非確定検査を受けるのであれば羊水検査が受けられる時期も踏まえて選ぶことをおすすめします。
羊水検査でわかること
羊水には胎児由来の成分が浮遊しています。そのためて胎児の染色体などに関する情報を得ることが可能です。羊水検査で以下の染色体異常による先天性疾患が明らかになります。
- ・ダウン症候群(21トリソミー)
- ・エドワーズ症候群(18トリソミー)
- ・パトウ症候群(13トリソミー)
- ・ターナー症候群(モノソミーX)
- ・トリプルエックス症候群(トリソミーX)
- ・クラインフェルター症候群
この他に赤ちゃんの性別、染色体の転座、欠失も判明します。上記はすべて染色体の異常によるものです。それぞれ症状や発症頻度、寿命などはさまざまです。詳しくは以下のページに記載していますのでご確認ください。
羊水検査の結果が出るまで|結果はいつ帰ってくるの?
羊水検査の結果が戻ってくるのは検査を受けてから約2~3週間かかります。非確定検査である新型出生前診断(NIPT)、コンバインド検査、クアトロテスト(母体血清マーカー)よりも時間がかかってしまいます。どうして非確定診断の検査よりも時間がかかるのか。それは染色体分析の方法についてご説明するとおわかりいただけるかと思います。
因みに同じ確定診断である絨毛検査も羊水検査同様、結果が戻ってくるまで2~3週間かかります。
羊水検査を出したあと結果が出るまでの過程
羊水検査は結果が出るまでに3つのステップを踏んでいきます。こういた段階を踏むことで診断結果に確実性をもたらしているのでどれも外せません。どういったステップを踏んでいくのかご覧ください。
羊水検査から結果が出るまでのステップ|1.羊水細胞培養
羊水検査から結果が出るまでの最初のステップで行うことは、羊水に含まれている赤ちゃんの細胞の培養です。人体は、細胞と呼ばれる数十億個の単位で構成されています。それぞれの細胞の中には、DNAでできた何千もの遺伝子があります。遺伝子は、体の成長や発達の仕方を教えてくれます。遺伝子は、染色体と呼ばれる構造体の上に次々と配置されています。ヒトの各細胞には通常46本の染色体があり、23本がペアになっています。最初の22本のペアには、大きい順に1から22までの番号が付けられています。
1~22番の番号が付いている染色体は、男性でも女性でも同じです。23組目の染色体は「性染色体」と呼ばれており、これはその人の遺伝的性別を決定するものです。私たちは親から染色体をもらい、それを子供に伝えます。それぞれのペアから1本の染色体は母親から、もう1本の染色体は父親から受け継いでいます。
染色体は通常の状態の細胞では観察できません。細胞が分裂するときにだけ観察することが可能です。
したがって、細胞を分裂させて染色体自体が見えるようにするのが染色体分析(核型)検査の第一段階です。
染色体分析は通常、血液サンプルを用いて行われますが、羊水検査では羊水の細胞を用いて行います。このため、血液サンプルとは若干の違いが出てきます。なぜなら、血液サンプルはリンパ球ですので、もともと分裂しやすい細胞なのですが、羊水の細胞は赤ちゃんの皮膚に由来していて、周囲にケラチンがあるため、培養環境が異なり、リンパ球の培養よりは難易度が高まるからです。
検査室では、サンプルから採取した細胞をいくつかの特殊な化学物質(培養液)の中に入れます。これらの化学物質は、細胞が分裂して数が増えるのを助けます。これにより、染色体を顕微鏡で見ることができます。また、染色体は染料で着色され、縞模様や帯状に見えるようになります。特別な訓練を受けた遺伝学研究室の技術者が、顕微鏡下で染色体を見分けるのに役立ちます。
羊水検査から結果が出るまでのステップ|2.核型分析
羊水検査から結果が出るまでのステップの2番目は、培養された細胞のなかから分裂している細胞を選び出して、顕微鏡に取り付けられたカメラを使って、1つの細胞内のすべての染色体を撮影することです。次に撮影された染色体を、コンピュータの画像処理プログラムを使って、ペアに並べ、大きさの順に整理します。このような染色体の配列を核型とよびます。細胞が成長し、顕微鏡で検査されるまでには3週間かかることもあります。
その後、染色体検査の専門的な訓練を受けた検査技師が、染色体の数、大きさ、形、バンドパターンが正しいかどうか、核型を検査します。染色体の数が異常な場合、染色体に余分なものや欠落したものがある場合、染色体の構造が異常な場合などは、染色体異常の可能性があります。
染色体検査では、顕微鏡で見ることのできる変化しか見つけることができません。
画像はダウン症候群(21トリソミー)の染色体検査(核型検査)結果です。
羊水検査から結果が出るまでのステップ|3.核型分析結果返却
羊水検査から結果が出るまでのステップの3番目は分析が終わって結果を返却するという過程です。上記の通りの過程を経て検査が終了するため、「羊水検査の結果はいつごろかえってくるのか」という質問には、「大体2~3週間くらいかかる」とお返事することになります。
羊水検査から結果が出るまで2~3週間、もっと短縮できないの?
羊水検査から結果が出るまでを短縮することは可能です。
FISH法と言われるやり方を併用するともっとはやくなります。FISH法だと自施設で行えるところは当日中に結果を知ることが可能ですが、大体は外注検査に出しているので検査会社の結果返却のスピードにも左右されるのですが、遅くても1週間以内に結果がわかることが多いです。
この画像は13番染色体と21番染色体のマルチカラーFHSHで、緑が13、赤が21です。赤が3個見えてますので21番トリソミー(ダウン症候群(21トリソミー))と診断されます。
マルチカラーFISHでは13/21/18/X/Yを対象に1度に可能です。
関連記事:FISH法
羊水検査の結果が出るまで何日くらいかかるの?いつごろ返ってくるの?
以上より、羊水検査の結果が出るまで何日くらいかかるのか、いつ出るのかという質問に対する答えは、FISHなら遅くても1週間、染色体核型検査結果は2~3週間ということになります。
FISH法ですと最初の検査結果は3~7営業日以内に出てくるはずで、ダウン症(21トリソミー)、エドワーズ症候群(18トリソミー)、パタウ症候群(13トリソミー、パトー症候群)などの染色体異常が見つかったかどうかがわかります。
FISHでわからない核型や希少な疾患も検査している場合は、古典的な核型検査になりますので、結果が出るまでに3週間以上かかることもあります。
羊水検査で陽性の結果が出る確率(割合)や結果の意味
羊水穿刺は受けた女性のうちになる確率は1%から2%と推定されています。
しかし、それはすべての遺伝的要因を検査しているわけではありませんし、少数のケースでは、羊水検査でも異常を検出できない場合があります。
羊水検査で陰性の結果が出たとき
羊水穿刺は受けた女性のうちになる確率は98%から99%と推定されています。
羊水穿刺を受けた多くの女性は陰性、つまり「正常」な結果が得られます。これは、検査した条件のどれもで赤ちゃんに異常が見つからなかったことを意味します。
しかし、この検査は特定の遺伝学的要因によって引き起こされた赤ちゃんの身体的状況を調べるだけで、すべての条件を検査して除外することはできないため、正常な結果が出たからといって、赤ちゃんが完全に健康であることを保証するものではありません。
羊水検査で陽性の結果が出たとき
検査結果が陽性の場合、赤ちゃんは検査で陽性の結果が出た条件を持っていることになります。(確定的に診断がつきます。診断には臨床症状から見てこうなのではないかという臨床診断と、確定的な検査から見てこうだという確定診断があります。)
この場合、検査結果の影響については、医療者や家族と十分に話し合って、次に何をすべきかを決める必要があります。
赤ちゃんに病気が見つかった場合はどうなるのか
検査の結果、あなたの赤ちゃんがある病気を持って生まれてくることがわかれば、それが何を意味するのか、多くの専門家に話を聞いてください。
専門家には、助産師、子供の健康を専門とする医師(小児科のコンサルタント)、臨床遺伝専門医などがいます。
羊水検査で陽性の結果が出た時の選択肢
選択肢は以下の通りです。
妊娠を継続する
赤ちゃんが持っている身体状況についてできるだけ多くのこと早期に見つけて医学的対処を計画するのに役立ちます。
妊娠を中絶する
非常に難しい決断かもしれませんが、専門の医療従事者に相談するだけでなく、パートナーともしっかりと話し合いましょう。
まとめ
ここまで羊水検査がいつからいつまで受けられて、どういった段階を踏んで検索結果が出るのかまでを詳細に解説してきました。染色体に関する検査になるためどうしても時間がかかりますし、詳細な説明をするにしても染色体の知識を持つ医師でない難しい部分があります。そのため近年では羊水検査の前に新型出生前診断(NIPT)を実施して、検査前の遺伝カウンセリングで説明するケースもあります。
東京の「ミネルバクリニック」は臨床遺伝専門医が在籍するNIPT実施施設であり、たくさんの妊婦さんの悩みや不安と真摯に向き合い、笑顔になれる出産に導いてきました。ミネルバクリニックでは、妊娠9週から受けられる赤ちゃんの健康診断である「NIPT」を業界最新の技術と業界随一の対象疾患の広さで行っております。遺伝のエキスパートである臨床遺伝専門医が出生前診断を提供しておりますので、是非、お気軽にご相談ください。妊娠初期からの出生前診断を受ける医療機関にお悩みの方は、知識・経験・実績とも「第三者から認証されている」臨床遺伝専門医が診療している「ミネルバクリニック」まで是非、ご相談ください。