18トリソミー(エドワーズ症候群)とは?エコーでの所見・原因・治療法・寿命などを解説

18トリソミーとは1960年のその疾患を発見したイギリスのエドワーズ(John.H.Edwards)によって報告されたことにちなみ、エドワーズ症候群とも呼ばれている、染色体異常による疾患です。18トリソミーの症状、原因、合併症、治療法、予後や寿命についてご説明します。

18トリソミー(エドワーズ症候群)とは?

22対ある常染色体のうちの18番目の染色体が、2本1組でなければならないところ、3本になる(トリソミー、三染色体性)ことによって、成長障害や筋骨格系、心臓や臓器に合併症を抱える先天性疾患です。多くは生後1年以内に死亡する難病のため、出生後の合併症の治療が重要になります。

18トリソミー(エドワーズ症候群)の特徴

エドワーズ症候群(18トリソミー)の特徴イメージ画像

胎児のときから成長障害を抱えるため、低出生体重で生まれてきます。筋骨格系にも障害がみられ、胎児期から合指症や多指症、手指の変形、短い胸骨、揺り椅子状の脚といった障害がみられます。

この他にもこの他にもさまざまな身体的な特徴がみられます。

  • ・子宮の中にいる期間(在胎週数)に比べて体格がとても小さい
  • ・筋肉の筋緊張が低下している
  • ・骨格筋(普通の筋肉)および皮下の脂肪組織に低形成が著しい
  • ・泣き声(啼泣)が弱弱しい(微弱)
  • ・大きな音を耳元で立ててもびっくりする反応が弱い
  • ・眉があるところの骨のはりだしも形成もわるい
  • ・上まぶたと下まぶたの裂け目(眼瞼裂:がんけんれつ)が短い(眼瞼裂狭小)
  • ・口が小さい
  • ・顎が小さい
  • ・全体的にとてもやつれたように見えるかおつき(顔貌)をしている
  • ・頭が小さい(小頭症)
  • ・後頭部がおおきく突き出ている(後頭部突出、後頭部隆起
  • ・耳が変形している
  • ・耳が低い位置についている(耳介低位)
  • ・骨盤が狭い
  • ・胸骨が短くて小さい
  • ・示指の第3指および第4指への重なりを伴う手の握り
  • ・指先では低位弓状紋(指紋がアーチ型)
  • ・特に頸部背面の余剰な皮膚が襞になっている
  • ・第1趾(足の親指)が短くてしばしばそりかえっている(背屈)
  • ・内反足(足底が内向きになっている)
  • ・揺り椅子状足底(踵が目立ち、足底が凸面になっている)

超音波(エコー)検査でみられる特徴

妊娠中の超音波(エコー)画像からも、手指の重なりが確認でき、第3指と第4指上に第2指と第5指がそれぞれかぶさった特徴的な握りこぶしをしています(合指症)。
また、胎児期より下のような症状がみられます。

  • ・胎動が弱い(胎動不良)
  • 羊水が多い(羊水過多)
  • ・胎盤が小さい(胎盤矮小)
  • ・単一臍帯動脈
  • ・脳嚢胞
  • ・指を握ったままの屈曲拘縮(overlapping finger)

18トリソミー(エドワーズ症候群)の合併症

18トリソミーには二分脊椎症という背骨の形成不全により脊髄の機能に障がいを抱え、泌尿器系や知覚、下肢の運動に機能障害をきたす症状がみられます。個人差はありますが、車いすが必要なこともあります。また、消化器系にも障害をかかえており、食道が途中で途切れてしまう食道閉鎖や、肛門が塞がっている鎖肛、胃の内容物が逆流を起こし食道が炎症を起こす胃食道逆流などの症状がみられます。心臓にも疾患がみられ、心臓の筋肉に穴が開いた心室中隔欠損や、大動脈が狭くなり腎不全を引き起こす大動脈管狭窄がみられ、出生後間もなくの手術が必要になります。

この他にも以下の合併症があります。

  • ・90%で先天性心疾患が見られ、重度なことが多い
  • ・心室中隔欠損症と動脈管開存症が中でも多い
  • ・心内膜床欠損症
  • ・単心室
  • ・総肺静脈還流異常症
  • ・ファロー症候群
  • ・肺、横隔膜、消化管、腹壁、腎臓および尿管でも奇形の発生率が高い
  • ・停留精巣
  • ・腹直筋ヘルニア
  • ・腹直筋離開
  • ・難聴
  • ・悪性腫瘍

18トリソミー(エドワーズ症候群)の原因

エドワーズ症候群(18トリソミー)は染色体数の先天異常です。22対ある常染色体のうちの18番目の染色体が、2本1組でなければならないところ、3本になる(トリソミー、三染色体性)ことによっておこる疾患です。ほとんどが卵子減数分裂受精卵の細胞分裂の不全によって生じます。

東京・ミネルバクリニック

18トリソミー(エドワーズ症候群)の妊娠確率

エドワーズ症候群(18トリソミー)の確率は1/3000〜1/10000人という報告があります。 流産になってしまう例もあるので、細かな数字が出しづらいのですが赤ちゃんの3000~10000人の1人の割合で疾患が見られます。 この確率は母体の年齢とともに上がります

出産時のママの年齢診断がついた検査とエドワーズ症候群(18トリソミー)の確率
絨毛検査(12~15週)羊水検査(16週~)満期産(生まれてから染色体検査)
18歳1/25201/31501/9000
19歳1/25201/31501/8990
20歳1/25101/31401/8960
21歳1/25001/31301/8930
22歳1/24901/31101/8890
23歳1/24701/30901/8830
24歳1/24501/30601/8750
25歳1/24201/30201/8630
26歳1/23801/29701/8480
27歳1/23201/29001/8280
28歳1/22501/28001/8010
29歳1/21501/26801/7660
30歳1/20201/25301/7220
31歳1/18701/23301/6655
32歳1/16801/21001/5990
33歳1/14601/18301/5220
34歳1/12301/15401/4380
35歳1/9901/12401/3530
36歳1/7701/9601/2730
37歳1/5701/7101/2030
38歳1/4101/5101/1460
39歳1/2901/3601/1040
40歳1/2101/2601/740
41歳1/1501/1901/530
42歳1/1101/1401/400
43歳1/901/1101/310
44歳1/701/901/250
45歳1/601/701/210
46歳1/501/651/185
47歳501/601/170
48歳1/451/551/160
49歳1/401/501/150

この表から、エドワーズ症候群の妊娠確率は加齢とともに上がり、妊娠週数が進むにつれて下がっていることがわかります。妊娠週数とともに確率が減るのは、その間に流産になってしまうからだと考えられます。

18トリソミー(エドワーズ症候群)の診断方法

18トリソミーは超音波(エコー診断)で、身体的な特徴や発育不全、羊水過多、脈絡叢嚢胞、単一臍帯動脈といった症状から、その疾患を疑うことができます。

「脈絡叢嚢胞」は脈絡叢という脳の組織の周りに袋状のものができ、全胎児の1%に認められる症状です。しかし、この他にも奇形を伴う場合は、18トリソミーの可能性が高くなり、18トリソミーの胎児の45~50%に脈絡叢嚢胞の症状がみられます。

「単一臍帯動脈」は通常2本あるはずのへその緒が1本しか確認できない異常です。1本は退化してしまった、もしくは、もともとつくられなかった可能性がありますが、いずれにせよこの異常がみられると、先天異常を持って生まれてくることになります。

超音波(エコー)検査の他にも母体血を用いたスクリーニング検査である、母清マーカー検査や新型出生前診断NIPT)で、疾患の可能性を検出することができます。

超音波(エコー)検査、母清マーカー検査や新型出生前診断(NIPT)で疾患の可能性が疑われた場合は、診断を確定させるために羊水検査、絨毛検査を受ける必要があります。羊水検査や絨毛検査については以下のページをご覧ください。

エドワーズ症候群(18トリソミー)の再発危険率は先ほども述べた通り、約1%といわれています。
しかし、転座型では次の児もエドワーズ症候群(18トリソミー)を発症する確率がさらに高いので、出生前診断を含め遺伝カウンセリングを受けることをおすすめします

18トリソミー(エドワーズ症候群)の診断確定から合併症状・治療まで

18トリソミーの診断は、羊水検査を受けられる妊娠16~19週ぐらいには確定させることがあります。18トリソミー児は、深刻な奇形や心臓や中枢神経系に合併症を伴って生まれてくることが可能性が高いため、NICU(新生児集中治療室)での治療、合併奇形を確認する心臓超音波検査、脳の状態を確認する頭部超音波検査、MRI検査、消化管や腎の異常を調べるX線やCT検査を受ける必要があります。

18トリソミー(エドワーズ症候群)の治療

18トリソミーの根本的な治療法はありません。生後の精密検査で把握した合併症状に対する対症療法となります。
手術を要するが体が耐えられないといった、早急な治療が難しいこともあります。その場合には無理に手術をせず、症状を和らげる治療を行って、手術が可能になったら行うなどの待機的状況になります。自宅で療養する際には医療・福祉でのサポートが必要となるので、自治体の支援情報を確認することも重要です。

18トリソミー(エドワーズ症候群)の寿命と予後

18トリソミーのお子さんの1年生存率は約10%、10年生存率も約10%となっています。また、6か月まで生存することができた18トリソミー患児は、10年生存率は60.0%となっていることから、心臓の外科手術治療などの積極的医療介入が評価されつつあります。

このため、昔は、生まれても延命のための治療を積極的にしないのが一般的でしたが、最近では積極的治療介入を推奨はしないが、両親の意志を尊重するという姿勢に医療側も変わってきています。生存して退院することができた18トリソミー患児の生存期間中央値は、約16年と報告されています。

18トリソミー(エドワーズ症候群)の年齢別死亡数

以下は1999年~2014年のエドワーズ症候群の年齢別死亡数です。 この期間のエドワーズ症候群の最長寿者は20~24歳で亡くなったお一人です。

年齢死亡数
0歳2363
1歳141
2歳39
3歳18
4歳7
5~9歳20
10~14歳7
15~19歳0
20~24歳1

出典:古庄知己(2007).日本における18トリソミーの予後 日本未熟児新生児学会雑誌 19,38-42

コラム:18トリソミー(エドワーズ症候群)と有名人

レイザーラモンRGさんの第2子はエドワーズ症候群(18トリソミー)だったそうです。超音波(エコー)検査で異常所見があり、染色体検査をして診断がついたようです。ご家族でその状況を受け入れると決めたのですが、出産に至る前に子宮内胎児死亡してしまいました。 エドワーズ症候群(18トリソミー)のお子さんは、生まれてきても短命です。ご夫婦で受け入れようと決断した中でのお子さんの死は、筆舌に尽くしがたい悲しみでしょう。しかし、その経験を超えて得られる心境もあります。エドワーズ症候群(18トリソミー)のお子さんを宿したことについては、必ず大きな意味があると思います。

まとめ|妊娠中の新型出生前診断(NIPT)で18トリソミーを把握・備えを

積極的医療介入により18トリソミー(エドワーズ症候群)の生存期間の長期化が、今後も十分見込まれています。同時に、生まれてからどのように養育するか生まれるまでの短期間で決断しなければなりません。 医療機関や地域の医療支援の情報は予め集めておくに越したことはないでしょう。 「出生前診断であらかじめ生まれた後のことを考えられる方が良いのではないか」と私は感じています。 いまだに18トリソミーのお子さんが生まれたら「当院では積極的治療は行わない。治療を希望するなら自分たちで病院を探してほしい」と言い切る医療機関もあります。 私がお会いした患者さんの中には、そんな医療機関にあたってしまったので、ご自分たちで多くの18トリソミー児を治療してきた都内の病院を探し、そこに赤ちゃんを転院させました。 心臓の手術をして、今はおうちで家族一緒に暮らせていますが、どのような苦労があったのかはかり知れません。 このように生後すぐに病院を探したり、治療方針を医者と相談したり、手術の準備をしたりと、すべきことはたくさんあります。そのため赤ちゃんが生まれる前からトリソミーの事実を把握して、備えておいた方が良いと思います。新型出生前診断( NIPT)をはじめとする出生前診断の役割は、医学の進歩とともに「生命の選択」だけではなく「生命を包み込んで支援する」ということもまたあるのではないでしょうか?どちらにしても重たい決断ですが、そのような重たい決断を支えられる医師でありたいと感じています。 ミネルバクリニックでは日本で最も精度の高い新型出生前診断(NIPT)を遺伝専門医のもとで受けていただくことができます。オンラインでも診察を行っているので、全国各地の妊婦さんに検査をご提供しています。是非、ミネルバクリニックにご相談下さい。

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この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号