目次

18トリソミー(エドワーズ症候群)とは?原因・リスク・治療法など解説

エドワーズ症候群18トリソミー)は本来2本あるはずの18番染色体が3本あるという染色体疾患(染色体異常)です。低体重・小さい顎・耳介低位・指の重なり・重度の心疾患などの症状がみられ、多くは生後1年以内に死亡する難病です。

エドワーズ症候群(18トリソミー)の特徴

超音波画像から確認できる特徴的な症状として、第3指と第4指上に第2指と第5指がそれぞれかぶさった特徴的な握りこぶしをしています。

その他の特徴としては、心奇形・低出生体重・重度の発達障害・指の奇形・後頭部の突出があります。

エドワーズ症候群(18トリソミー)の原因

エドワーズ症候群(18トリソミー)は染色体異常により発症する先天性疾患です。

1960年にイギリスのエドワーズ(John.H.Edwards)によって報告されました。

22対ある常染色体のうちの18番目の染色体が、2本一組でなければならないところ、3本になる(トリソミー、三染色体性)ことによっておこる疾患です。

18トリソミー(Trisomy 18)とも呼ばれます。

この染色体異常は、卵子が高年齢化するごとに減数分裂時の失敗が起こりやすくなるため、妊婦が高齢になればなるほど発生するリスクが高くなります。

東京・神宮外苑ミネルバクリニック
がんと遺伝の専門医・総合内科専門医

エドワーズ症候群(18トリソミー)の症状

50~90%が流産・死産となるため、生まれてこられる赤ちゃんは10~50%です。

また、生存確率も低く、2か月までには半数が亡くなり、1年生存率は10%程度とされています。

しかし、現在は医療的ケアにより、その平均寿命が6歳までに延びています。

生後の症状としては

・低体重
・小さい顎
・耳介低位
・指の重なり
・重度の心疾患

などがあげられます。

エドワーズ症候群(18トリソミー)の特徴イメージ画像

出生前の症状

お腹の中にいるときは以下のような症状がみられます。

・胎動が弱い(胎動不良)
羊水が多い(羊水過多)
・胎盤が小さい(胎盤矮小)
・単一臍帯動脈
・脳嚢胞
・指を握ったままの屈曲拘縮(overlapping finger)

出生後の症状(身体的特徴)

生後は以下のような身体的特徴がみられます。

・子宮の中にいる期間(在胎週数)に比べて体格がとても小さい
・筋肉の筋緊張が低下している
・骨格筋(普通の筋肉)および皮下の脂肪組織に低形成が著しい
・泣き声(啼泣)は弱弱しい(微弱)
・大きな音を耳元で立ててもびっくりする反応が弱い
・眉があるところの骨のはりだしも形成もわるい
・上まぶたと下まぶたの裂け目(眼瞼裂:がんけんれつ)が短い(眼瞼裂狭小)
・口が小さい
・顎が小さい
・全体的にとてもやつれたように見えるかおつき(顔貌)をしている
・頭が小さい(小頭症)
・後頭部がおおきく突き出ている(後頭部突出、後頭部隆起
・耳が変形している
・耳が低い位置についている(耳介低位)
・骨盤が狭い
・胸骨が短くて小さい
・示指の第3指および第4指への重なりを伴う手の握り
・指先では低位弓状紋(指紋がアーチ型)
・特に頸部背面の余剰な皮膚が襞になっている
・第1趾(足の親指)が短くてしばしばそりかえっている(背屈)
・内反足(足底が内向きになっている)
・揺り椅子状足底(踵が目立ち、足底が凸面になっている)

出生後の症状(合併症)

エドワーズ症候群(18トリソミー)は、以下の合併症状があります。

最も多い症例のは心臓の奇形です。

・90%で先天性心疾患が見られ、重度なことが多い
・心室中隔欠損症と動脈管開存症が中でも多い
・心内膜床欠損症
・単心室
・総肺静脈還流異常症
・ファロー症候群
・肺、横隔膜、消化管、腹壁、腎臓および尿管でも奇形の発生率が高い
・停留精巣
・腹直筋ヘルニア
・腹直筋離開

寿命

かつてはエドワーズ症候群(18トリソミー)の平均寿命は、男児が2~3ヶ月月、女児が10ヶ月といわれていました。

しかし医学的介入、特に心臓手術の技術革新により平均寿命は6歳くらいまでに延びてきているそうです。

なかには20歳近くになるお子さんもいらっしゃいます。

エドワード症候群における深刻な合併症状は心臓疾患です。心臓が機能不全に陥らなければ、手術は必要になるものの生命予後は長いといわれています。

年齢別死亡数

以下は1999年~2014年のエドワーズ症候群の年齢別死亡数です。
この期間のエドワーズ症候群の最長寿者は20~24歳で亡くなったお一人です。

年齢死亡数
0歳2363
1歳141
2歳39
3歳18
4歳7
5~9歳20
10~14歳7
15~19歳0
20~24歳1

出典:古庄知己(2007).日本における18トリソミーの予後 日本未熟児新生児学会雑誌 19,38-42

コラム:エドワーズ症候群(18トリソミー)と有名人

レイザーラモンRGさんの第2子はエドワーズ症候群(18トリソミー)だったそうです。

超音波(エコー)検査で異常所見があり、染色体検査をして診断がついたようです。

ご家族でその状況を受け入れると決めたのですが、出産に至る前に子宮内胎児死亡したそうです。

エドワーズ症候群(18トリソミー)のお子さんは、生まれてきても短命です。

ご夫婦で受け入れようと決断した中でのお子さんの死は、筆舌に尽くしがたい悲しみでしょう。

しかし、その経験を超えて得られる心境もあります。

エドワーズ症候群(18トリソミー)のお子さんを宿したことについては、必ず大きな意味があると思います。

エドワーズ症候群(18トリソミー)の妊娠確率

エドワーズ症候群(18トリソミー)の確率は1/3000〜1/10000人という報告があります。

流産になってしまう例もあるので、細かな数字が出しづらいのですが赤ちゃんの3000~10000人の1人の割合で疾患が見られます。

この確率は母体の年齢とともに上がります。

出産時のママの年齢診断がついた検査とエドワーズ症候群(18トリソミー)の確率
絨毛検査(12~15週)羊水検査(16週~)満期産(生まれてから染色体検査)
18歳1/25201/31501/9000
19歳1/25201/31501/8990
20歳1/25101/31401/8960
21歳1/25001/31301/8930
22歳1/24901/31101/8890
23歳1/24701/30901/8830
24歳1/24501/30601/8750
25歳1/24201/30201/8630
26歳1/23801/29701/8480
27歳1/23201/29001/8280
28歳1/22501/28001/8010
29歳1/21501/26801/7660
30歳1/20201/25301/7220
31歳1/18701/23301/6655
32歳1/16801/21001/5990
33歳1/14601/18301/5220
34歳1/12301/15401/4380
35歳1/9901/12401/3530
36歳1/7701/9601/2730
37歳1/5701/7101/2030
38歳1/4101/5101/1460
39歳1/2901/3601/1040
40歳1/2101/2601/740
41歳1/1501/1901/530
42歳1/1101/1401/400
43歳1/901/1101/310
44歳1/701/901/250
45歳1/601/701/210
46歳1/501/651/185
47歳501/601/170
48歳1/451/551/160
49歳1/401/501/150

この表から、エドワーズ症候群の妊娠確率は加齢とともに上がり、妊娠週数が進むにつれて下がっていることがわかります。

妊娠週数とともに確率が減るのは、その間に流産になってしまうからだと考えられます。

エドワーズ症候群(18トリソミー)の胎児超音波(エコー)異常所見

エドワーズ症候群はNIPT新型出生前診断)や血清マーカーの他にも、超音波(エコー)診断でその可能性を発見できます。

いずれの染色体異常に共通してみられる超音波(エコー)異常所見

NT肥厚(赤ちゃんの首の後ろのむくみが拡大している)
・子宮内発育の遅滞
・羊水過多
・心奇形

エドワーズ症候群(18トリソミー)に顕著に見られる超音波(エコー)異常所見

脈絡叢嚢胞:全胎児の1%に認められるもので、ほかの異常がなければ染色体異常の可能性はないのですが、他の奇形を伴うようなら18トリソミーの可能性が高くなります。18トリソミーでは45~50%に合併しています。

・横隔膜ヘルニア
・臍帯ヘルニア
・内反足
・指の重なり
・小顎

エドワーズ症候群(18トリソミー)の染色体異常の種類

18番染色体数が通常2本のところ3本になってしまうのが18トリソミーです。

染色体数が異常に構成されてしまうのにはいくつかの要因があり、それぞれに呼称があります。

標準型(フルトリソミー)エドワーズ症候群(18トリソミー):80%

標準型は配偶子(卵子精子)が形成される際に減数分裂が失敗して染色体不分離を起こしたものです。

卵子精子のどちらかの18番染色体が2本1組の状態で残ってしまいます。そのため受精後にトリソミーとなるのです。

モザイク型エドワーズ症候群(18トリソミー):10%

モザイク型は受精卵の体細胞分裂が正しく行われないことが原因となります。

モザイクというのは、違う性質のものが混在することをいいます。

この場合は、18トリソミーと正常な細胞が混在する、という意味です。

不明・その他のエドワーズ症候群(18トリソミー) 5%

細胞分裂の際に2本一組が2倍になって、分裂する娘細胞に半分ずつ分けられなければならないところ、4本を3本と1本に分けてしまうことが原因です。

正常細胞と18トリソミー細胞が混在することから、モザイク型の場合は臨床的に症状が軽度となります。

転座型エドワーズ症候群(18トリソミー):5%

転座型とは18番染色体が別の染色体の一部と交換されるか、あるいは短腕が欠けた染色体同士がくっついてしまう長腕同腕染色体となることで起こります。

転座型エドワーズ症候群(18トリソミー)は染色体が構造異常を起こすことに由来するトリソミーです。

両親のどちらかが均衡転座保因者である可能性が高いこともありますが、遺伝的要因ではなく突然変異で起こることもあります。

再発危険率が1%といわれるエドワーズ症候群(18トリソミー)ですが、転座型では次の児も高率にエドワーズ症候群を発症します。

不明・その他のエドワーズ症候群(18トリソミー) 5%

重複トリソミーといって、18番染色体以外の染色体が同時にトリソミーとなってしまうものがあげられます。

重複するのは性染色体トリソミーが多いという報告があります。

18トリソミー(エドワーズ症候群)の診断

胎児超音波検査

胎児超音波検査で成長が不十分であることや特徴的な手の握りなどの何らかの奇形から疑われることもあります。

母体血清マーカー検査

母の血液中の成分で異常の有無を推測します、診断はできません。

出生前検査

NIPT(非侵襲的出生前検査)、絨毛検査、羊水検査など。

エドワーズ症候群(18トリソミー)の再発危険率は先ほども述べた通り、約1%といわれています。

しかし、転座型では次の児もエドワーズ症候群(18トリソミー)を発症する確率が高いので、出生前診断を含め遺伝カウンセリングを受けることをおすすめします。

診断から確定、合併症状の把握まで

エドワーズ症候群(18トリソミー)をはじめパトウ症候群13トリソミー)、ダウン症候群21トリソミー)は妊娠9週目から受けられるNIPTなどの非侵襲的検査から、ある程度可能性を把握することができます(結果が確定する検査ではありません)。

妊娠16週からだいたい19週くらいまでには羊水検査・絨毛検査などの診断を確定させる検査を受けられます。

ただし羊水検査・絨毛検査は流産のリスクがある検査だということも心に留めておきましょう。

また胎児期の超音波検査や出生後の奇形から疾患を疑い、染色体検査で18番染色体が3本あることがわかることでも診断が確定されます。

生まれた後は、NICU(新生児集中治療室)治療を受けたり、心臓や中枢神経系に合併症を起こしている場合があるので、心臓超音波検査などを行い心臓の合併奇形を確認したりします。

また、頭部超音波検査やMRI検査も行い、脳の状況を確認します。

X線やCTで消化管や腎の異常がないかどうかも確認する必要があります。

エドワーズ症候群(18トリソミー)の治療

エドワーズ症候群(18トリソミー)の根本的な治療法はありません。合併している症状に対する対症療法となります。

心臓の奇形に対しては手術という具合です。

「手術が必要だけれど、体が耐えられない」など、奇形の程度によっては治療がすぐには難しいこともあります。

その場合には無理に治療をせず、症状を和らげる治療を行って、手術が可能になったら行うなどの待機的状況になります。

自宅で療養する際には医療・福祉でのサポートが必要となるので、自治体との綿密な打ち合わせも必要です。

18トリソミーのお子さんの1年生存率は約10%、10年生存率も約10%となっています。

また、6か月まで生存することができた18トリソミー患児は、10年生存率は60.0%となっていることから、心臓の外科手術治療などの積極的医療介入が評価されつつあります。

このため、昔は、生まれても延命のための治療を積極的にしないのが一般的でしたが、最近では積極的治療介入を推奨はしないが、両親の意志を尊重するという姿勢に医療側も変わってきています。

生存して退院することができた18トリソミー患児の生存期間中央値は、約16年と報告されています。

まとめ

積極的医療介入により18トリソミー(エドワーズ症候群)の生存期間の長期化が、今後も十分見込まれています。

同時に、生まれてからどのように養育するか短期間で決断しなければなりません。

医療機関や地域の医療支援の情報は予め集めておくに越したことはないでしょう。

「出生前診断であらかじめ生まれた後のことを考えられる方が良いのではないか」と私は感じています。

いまだに18トリソミーのお子さんが生まれたら「当院では積極的治療は行わない。治療を希望するなら自分たちで病院を探してほしい」と言い切る医療機関もあります。

私がお会いした患者さんの中には、そんな医療機関にあたってしまったので、ご自分たちで多くの18トリソミー児を治療してきた都内の病院を探し、そこに赤ちゃんを転院させました。

心臓の手術をして、今はおうちで家族一緒に暮らせていますが、どのような苦労があったのかはかり知れません。

このように生後すぐに病院を探したり、治療方針を医者と相談したり、手術の準備をしたりと、すべきことはたくさんあります。

そのため赤ちゃんが生まれる前からトリソミーの事実を把握して、備えておいた方が良いと思います。

NIPTをはじめとする出生前診断の役割は、医学の進歩とともに「生命の選択」だけではなく「生命を包み込んで支援する」ということもまたあるのではないでしょうか?

どちらにしても重たい決断ですが、そのような重たい決断を支えられる医師でありたいと感じています。

是非、ミネルバクリニックにご相談下さい。

臨床遺伝専門医によるNIPT

エドワーズ症候群(18トリソミー)関連コラム

関連記事:
受精
染色体の数の異常がなぜ起こるのか?
染色体
常染色体
染色体異常
トリソミー
異数性
21トリソミー(ダウン症候群(21トリソミー))
ダウン症候群(21トリソミー)のより詳細な医療従事者向けリンク先はこちら
18トリソミー(エドワーズ症候群(18トリソミー))
13トリソミー(パタウ症候群(13トリソミー、パトー症候群))

この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号

パトウ症候群