ダウン症(ダウン症候群・21トリソミー)とは?身体的特徴や症状、原因、寿命、確率などを解説します

ダウン症ダウン症候群21トリソミー)の身体や顔貌の特徴、原因、寿命、ダウン症のお子さんを妊娠する確率などについて解説します。

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ダウン症(ダウン症候群・21トリソミー)とは?

ダウン症候群(21トリソミー)のお子さんのお写真
ダウン症(ダウン症候群)とは、人にある22本の染色体のうち、21番目に余分な1本が増えてしまったことで先天性異常を引き起こす疾患です。21トリソミーともいわれており、知的障害や身体的な異常が見られます。1866年にダウン症(ダウン症候群・21トリソミー)の特徴を正確に述べる論文を発表したジョン・ラングドン・ダウンの名にちなんでつけられました。主に三つのタイプがあります。

標準型

ダウン症(21トリソミー)の95%を占めるので標準型と呼ばれています。母親由来の染色体と父親由来の染色体が配偶子を形成する際に不均等に分離するため(これを染色体不分離といいます)、子どもの21番染色体が3本になってしまうタイプです。この場合、両親の染色体はほとんどが正常です。

モザイク型

モザイク型は全体の数パーセントととても珍しいパターンで、ダウン症(21トリソミー)の全症例の約1%しか占めていません。他のタイプのダウン症候群の方と比べて特徴が出てこない可能性があります。

だからといって軽い症状だとは言えません。脳や心臓などの重要臓器が殆どが21トリソミーの細胞というケースもあります。

転座型

転座型は全体の5%を占めるパターンです。どちらかの親の21番染色体のうち、1本が他の染色体にくっつくことで、一部だけトリソミーになってしまっている状態になります。

このように一部が他の染色体とくっついてしまう状態が転座といいます。この場合、両親のどちらかが転座染色体の保因者です。

ダウン症候群(21トリソミー)の特徴とは?

ダウン症候群(21トリソミー)の特徴
上のイラストはダウン症候群(21トリソミー)の特徴をあらわしたものです。
また、以下のような特徴があります。

  • ・扁平化した顔、特に鼻の橋
  • ・上に傾いたアーモンド型の目
  • ・短い首
  • ・小耳
  • ・口からはみ出しがちな舌
  • ・目の虹彩(色のついた部分)に小さな白い斑点がある
  • ・小さな手と足
  • ・手のひらを横切る一本の線(手のひらの折り目):猿手といいます。
  • ・小指が親指に向かって曲がっていることがある
  • ・筋力低下や関節の緩み
  • ・子供や大人になるにつれて身長が低くなる

 

しかし、その症状には非常にばらつきがあるのも特徴の一つです。ダウン症(21トリソミー)を持つ各人は、これらの特徴を持っているかもしれませんが、または全く持っていないこともあり、程度はばらばらです。軽度から中等度の低い範囲でIQ(知能の指標)を持っており、他の子供よりも話すのが遅いです。平均IQは70と言われています。知的障害:知的障害の程度はばらつきは大きく、現時点で治療法は存在しません。早期からの療育によりQOLが改善されることが見込まれています。

ダウン症(ダウン症候群・21トリソミー)にはどんな症状があるの?

ダウン症(ダウン症候群・21トリソミー)になると身体の多くの部分が影響を受けます。以下に記載したのが主な症状です。

  • ・先天性心疾患(50%)
  • ・低身長・肥満・筋力が弱い・頸椎が不安定
  • ・閉塞性睡眠時無呼吸(50-75%)
  • ・男性の場合、全て不妊。
  • ・女性の場合多くは妊娠が可能であるが、多くは自然流産
  • ・40歳以降にアルツハイマー病を高確率で発症

 

また、母親(または父親)がダウン症候群(21トリソミー)患者の場合、胎児のダウン症候群(21トリソミー)発症率は50%であるため高確率で遺伝します。

他にも鎖肛・先天性心疾患・先天性食道閉鎖症・白血病・円錐角膜・斜視・甲状腺機能亢進症・甲状腺機能低下症などが合併症として出てくるケースも考えられます。

ダウン症(21トリソミー)はどのようにして検査・診断されるのですか?

ダウン症候群の診断は赤ちゃんがお腹の中にいるときと出産した後の二つに分かれますので両方とも詳しく紹介をします。
患者に説明する女性医師

出生前のダウン症候群(21トリソミー)の検査

赤ちゃんが生まれる前に行うことができるダウン症(21トリソミー)の検査は、胎児の超音波検査と血液検査(または血清スクリーニング検査)、NIPT新型出生前診断)、羊水検査絨毛検査の5つです。

超音波検査は、改めて説明の必要はないとは思いますが、母体に超音波エコーを当てて胎児の見る検査です。血液検査(または血清スクリーニング検査)では、母親の血液中のさまざまな物質の量を測定します。NIPT(新型出生前診断)は、母体の血液を採取して胎児の遺伝子の断片から染色体異常を検出することができるようになっています。どちらもスクリーニングといわれており、異常がありそうだと判定する検査です。しかしながら、NIPT(新型出生前診断)は精度が高く約99%と高確率です。妊娠9週目から受けられます。

一方、羊水検査と絨毛検査は確定診断と呼ばれており、異常がありそうな人の診断を確定する検査です。羊水検査は、子宮内を満たしている羊水の細胞を採取してダウン症候群(21トリソミー)かどうかを診断します。絨毛検査も妊婦さんの子宮から絨毛を採取して診断をする検査です。羊水検査は通常、妊娠15週から20週の間の第2期に、絨毛検査は9週から14週の間に行われます。

出生後のダウン症候群(21トリソミー)の検査

出生後になると、ダウン症候群の乳児には、この症候群を示唆する特徴的な外見が認められます。診断を確定するため、乳児の血液で検査を行います。特徴としては筋肉の緊張が低い、手のひら全体に一本の深いしわがある、顔の輪郭がやや平坦である、目が上向きに傾いているのがあります。

ただし、これらの特徴は、ダウン症(21トリソミー)ではない赤ちゃんにも見られることがあるため、診断を確定するためには核型と呼ばれる染色体分析検査が行われます。赤ちゃんの血液を採取して細胞(リンパ球)を調べてダウン症候群(21トリソミー)を診断することができます。

ダウン症(21トリソミー)の確率とは?

米国の疾病対策予防センターCDCによると、米国では700人に1人の割合で約1人の赤ちゃんがダウン症(21トリソミー)で生まれており、最も多い染色体異常です。米国では毎年約6,000人のダウン症(21トリソミー)の赤ちゃんが生まれています。実際に生まれるのは700人に一人ですが、出生前診断で中絶される数があるため、妊娠されるダウン症候群(21トリソミー)は500人に一人だといわれています。

20年前は1000人に一人とされていたのですが、先進国ではどこの国でも女性の社会進出に伴い晩婚化が進み、出産年齢が上がっていることでダウン症候群(21トリソミー)の妊娠数が増加していると考えられています。ダウン症候群(21トリソミー)の妊娠確率は、どの国でもそんなに変わりませんが、各国で実際にダウン症(21トリソミー)の赤ちゃんが生まれる数は、出生前診断の普及率と陽性になった後の中絶率に大きく影響されています。

母体年齢とダウン症の妊娠確率

ママの年齢とダウン症のお子さんを妊娠する確率は、報告により多少の上下はありますが、大体は以下のようになっています。

出産時のママの年齢ダウン症の確率
18歳1/1500
19歳1/1490
20歳1/1450
21歳1/1450
22歳1/1450
23歳1/1400
24歳1/1400
25歳1/1350
26歳1/1300
27歳1/1200
28歳1/1150
29歳1/1050
30歳1/940
31歳1/820
32歳1/750
33歳1/570
34歳1/460
35歳1/350
36歳1/270
37歳1/200
38歳1/150
39歳1/110
40歳1/85
41歳1/70
42歳1/55
43歳1/45
44歳1/40
45歳1/35
46歳1/30
47歳1/30
48歳1/30
49歳1/25

 

ダウン症(21トリソミー)の原因は何ですか?

ダウン症
ダウン症(21トリソミー)の原因で21番染色体の追加の部分的コピーまたは完全コピーは、父親または母親のどちらかに由来する可能性があります。約5%は父親由来とされていますが、ほとんどは母親が原因となります。一部では、環境要因や妊娠前・妊娠中の両親のタバコ、アルコール、食べ物などの生活習慣が原因といわれていますが、科学的根拠はありません。

余分な完全染色体または部分染色体がなぜ生じるのかについてはまだわかっていませんし、同じように21本染色体が3本あるのになぜ重症度が患者さんによって違うのかについてもわかっていません。

ダウン症候群(21トリソミー)の子供を持つ確率はどのような状況で増加しますか?

ダウン症候群(21トリソミー)は、母体の高齢で頻度が増加することがわかっていますが、人種や経済的背景などは全く関係ありません。35歳の女性はダウン症(21トリソミー)の子供を350人に1人の確率で妊娠し、この確率は40歳になると100分の1に増加します。45歳になると約30人に1人の確率です。

どの先進国にも共通する問題として、晩婚化とキャリア形成のために子育てを先送りする夫婦が多いため、ダウン症候群(21トリソミー)の妊娠率が高くなることが予想されています。このため、両親への遺伝カウンセリングの重要性が高まっています。しかし、ダウン症(21トリソミー)の発生率や診断の進歩、ダウン症(21トリソミー)で生まれた赤ちゃんの医学的ケアや治療の方法などについて、患者へのアドバイスを十分に行っていない医師が多いのが現状です。

ダウン症(21トリソミー)の寿命はどれくらいでしょうか?

ダウン症の女性
50年前は2歳でしたが、現在では医療技術が進歩したことで、ダウン症(21トリソミー)の平均寿命は60歳となっています。

特別児童扶養手当・障害児福祉手当・小児慢性疾患医療助成制度などの金銭面での支援や特別支援学級・特別支援学校と教育面のサポートに加えて療育手帳の利点を活用することで就職先の選択肢も増えてきています。

ダウン症(21トリソミー)は家族性、つまり遺伝があるのでしょうか?

ダウン症(21トリソミー)の3つのタイプはすべて遺伝性(遺伝子が関係している)のですが、ダウン症(21トリソミー)の全症例のうち、遺伝性(遺伝子を介して親から子へと受け継がれる)の要素を持っているのは1%に過ぎません。トリソミー21(不分離)やモザイク型では遺伝は関係ありません。転座に起因するダウン症(21トリソミー)の3分の1の症例には遺伝性の要素があり、ダウン症(21トリソミー)の全症例の約1%を占めています。

母親の年齢は転座のリスクと関連していないようです。ほとんどの症例は散発的な偶然の出来事です。しかし、約3分の1のケースでは、片方の親が転座した染色体の保因者となっています。

一人目がダウン症(21トリソミー)の時、二人目の子供もダウン症(21トリソミー)という可能性はどのくらいですか?

女性がトリソミー21(不分離型)または転座型のダウン症(21トリソミー)の赤ちゃんを出産すると、40歳までの間にトリソミー21の赤ちゃんをもう1人産む確率は100人に1人と推定されています。

転座の再発リスクは、父親がキャリアであれば約3%、母親がキャリアであれば10~15%です。遺伝カウンセリングにより転座の起源を特定することができますので、臨床遺伝専門医にご相談ください。

関連記事:ダウン症候群(21トリソミー)の再発率

まとめ

ダウン症(ダウン症候群・21トリソミー)の特徴や症状、染色体のタイプ、原因に至るまで紹介をしてきました。日本でも35歳以上で妊娠をする女性が増えてきている今、ダウン症の子どもが生まれて来る可能性が高まっています。

治療法はありませんが、妊娠の早い段階で赤ちゃんの染色体を調べることは可能です。ミネルバクリニックでは、遺伝子の専門家である臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリング、NIPT(新型出生前診断)をオンラインで実施しています。ご自宅いながらご相談を受け付けています。妊婦さんの悩みや不安に寄り添った対応を心がけていますので是非お問い合わせください。

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染色体
常染色体
染色体異常
トリソミー
異数性
21トリソミー(ダウン症候群(21トリソミー))
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18トリソミー(エドワーズ症候群(18トリソミー))
13トリソミー(パタウ症候群(13トリソミー、パトー症候群))
モザイク
減数分裂

この記事の著者:仲田洋美医師

医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号