【医師執筆】13トリソミー(パトウ症候群)|症状・原因・エコー・治療法・妊娠中の出生前診断

13トリソミーとは、2本あるべき13番染色体が3本になってしまう染色体異常です。知的障害や、口唇裂口蓋裂・頭皮部分欠損・多指など重度な奇形がみられます。

13トリソミー(パトウ症候群)とは?

13トリソミーパトウ症候群)とは、赤ちゃんの細胞の一部、または全部に13番染色体のコピーが追加されてしまい、重篤な症状が起きる遺伝性疾患です。

各細胞は、両親から受け継いだ遺伝子を含む染色体を23対含んでいます。しかし、13トリソミー(パトウ症候群)の赤ちゃんは、13番染色体が通常2つのところ3つのコピーを持っています。正常な数ではないため発達を阻害してしまいます。多くの場合、流産、死産または出生後まもなく赤ちゃんが亡くなるケースが多く見られます。

13トリソミー(パトウ症候群)の赤ちゃんは、子宮内での発育が遅く、低体重で生まれてくるといわれていますが、実際のところ正常に近い体重で生れてくるケースが多いようです。

13トリソミーの超音波(エコー)所見の特徴とは?

13トリソミー(パトウ症候群)は妊婦健診時の超音波(エコー)検査でも検出できます。
13トリソミーだけでなく、染色体異常時には一般的な超音波(エコー)写真で以下のような異常所見があります。

上記に加えてエコー写真で以下のような所見が加わると、さらにパトウ症候群の可能性が高まります。

  • ・全前嚢胞症(ぜんぜんのうほうしょう): 1/1万の頻度で出生。大脳半球(前脳といいます)が左右に分離することに失敗してしまうことでおこります。大脳皮質・基底核・視床はくっついてしまっています。13トリソミーなどの染色体異常による疾患に合併することが多くなっています。
  • ・小頭
  • ・口唇裂・口蓋裂
  • ・小眼球症
  • ・単眼症
  • ・多指症

これらのエコー所見が見られた場合には、羊水検査などの出生前診断を受けた方がいいでしょう。

13トリソミー(パトウ症候群)の症状

パトウ症候群(13トリソミー)の特徴
パトウ症候群の赤ちゃんは、健康上の問題を多く抱えている可能性があります。
子宮内での発育は遅れているといわれますが、18トリソミーほど顕著ではなく、出生時の体重は比較的正常に近い場合が多く見受けられます。ただし、10人に8人は心臓の構造に異常を持って生まれてきます。

また、全脳症という脳が2つに分裂しない症状を抱えており、顔の特徴に影響を与えてしまいます。他にも重度の奇形と、以下のような異常を引き起こすことがあります。

  • 口唇口蓋裂
  • ・小眼
  • ・片目がない
  • ・目の間が離れている

その他の顔や頭の異常も現れます。以下が主な症状です。

  • ・正常な頭の大きさよりも小さい(小頭症)
  • ・剥皮
  • ・耳の奇形・難聴
  • ・盛り上がった赤いあざ(毛細血管腫)

他にも口唇の一部に裂け目が現れたり、頭皮の一部がなかったりします。また、手の指か足の指が通常に比べて本数が多い症状や揺り椅子のような踵(かかと)しているといった外見なのが特徴です。
脳の奇形は特定の条件の下で症状が必ず発生し、合併症としてけいれんもあります。重度の心血管系の奇形が80%もあり、口から肛門までの食物が通る管が高い確率で異常な場合があります。他には精神の発達が停止あるいは不全の状態も起こり得ます。

パトウ症候群は、腎臓に分泌物が袋状に貯まる嚢胞(のうほう)になったり、子宮内で腹部が正常に発達せずに生まれてしまい腸が膜だけで覆われて体外に出てしまったり、陰茎やクリトリスが異常に膨れたりしてくるのです。しかも、多指症、足に丸みを帯びている症状もあります。

パトウ症候群(13トリソミー)の出生確率とは

出生確率は5000-10000人に1人程度といわれていますが、女性の年齢によって異なります。染色体の先天性異常で出生に至るトリソミーには13トリソミー、18トリソミー、21トリソミーの3つのトリソミーがあります。ところが3つの中では一番重傷で生まれてくる確率が低いトリソミーです。

パトウ(パトー)症候群(13トリソミー)を持つ赤ちゃんが生まれてくる確率(リスク)は、母親の年齢とともに増えてきます。

出産時のママの年齢別13トリソミー(パトウ症候群)の確率

出産時のママの年齢診断がついた検査とパトウ症候群(13トリソミー)の確率
絨毛検査(12~15週)羊水検査(16週~)満期産(生まれてから染色体検査)
18歳1/70001/80001/14000
19歳1/70001/79001/14000
20歳1/70001/79001/14000
21歳1/69001/78001/13500
22歳1/69001/78001/13500
23歳1/68001/78001/13400
24歳1/68001/77001/13300
25歳1/67001/76001/13100
26歳1/66001/75001/12800
27歳1/64001/73001/12500
28歳1/61001/70001/12000
29歳1/59001/67001/11500
30歳1/55001/62001/10700
31歳1/50001/57001/9800
32歳1/45001/51001/8800
33歳1/39001/44001/7600
34歳1/32001/37001/6300
35歳1/26001/30001/5100
36歳1/21001/23001/4000
37歳1/16001/18001/3100
38歳1/12001/14001/2400
39歳1/9001/11001/1800
40歳1/7001/8001/1400
41歳1/6001/7001/1200
42歳1/5001/6001/1000
43歳1/4001/5001/800
44歳1/3801/4301/750
45歳1/3501/4001/680
46歳1/3201/3701/640
47歳1/3101/3501/610
48歳1/3001/3401/590
49歳1/2901/3301/570

この表からは年齢とともにパトウ症候群の確率が上がると同時に、妊娠週数が絨毛検査の時期(12週~15週くらい)から羊水検査(16週~)、出産時期と進むにつれて下がっているのがわかると思います。妊娠週数とともに減るのは、流産が多いからだといわれています。

13トリソミーが起こる原因とは?

13トリソミー(パトウ症候群)は13番染色体が3本ある(トリソミー)ことが原因で発症します。一般的に母体の年齢が上がるごとに染色体異常になりやすいといわれており、13トリソミーも例外ではありません。13トリソミーは受精の過程で染色体がうまく分離できなかったことが原因の一つです。
細胞が分裂するときにエラーが発生し、その結果、13番染色体の余分なコピー、または13番染色体の一部のコピーが余分にできてしまうことで、子宮にいる赤ちゃんの発育に影響を与えるのです。

多くの場合、赤ちゃんは成熟期に達する前に死亡するか(流産)、または出生時に死亡します(死産)。パトウ症候群のほとんどの場合、赤ちゃんは体の細胞内に13番染色体の余分なコピーを持っています。これは、13トリソミーまたは単純13トリソミーです。

パトウ症候群の10人に1人くらいの確率で、13番染色体と別の染色体の間で部分的に入れ替わっています。これを染色体転座といいます。この染色体転座が原因で発症したパトウ症候群は、遺伝する可能性があるのです。

また、20人に1人の割合で、一部の細胞だけが13番染色体の余分なコピーを持っている人たちがいます。これは13トリソミーモザイク症という症状です。時折、1本の13番染色体の一部だけが余分になることもあります(部分的13トリソミー)。モザイク症と部分トリソミーの両方の症状や特徴は、完全型13トリソミーよりも重度ではない傾向があり、その結果、より多くの赤ちゃんが長生きすることになります。

トリソミーは母体年齢が高くなるにつれてリスクが高まります。

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がんと遺伝の専門医・総合内科専門医

過剰な染色体は母親からの由来が多く見られます。卵子の高齢化とともに、細胞分裂するときに染色体がきちんと分離しない確率が高まるからです。その結果、2本を4本に増やして2本ずつに分けるところ、3本と1本に分かれてしまうという間違いがおこりやすくなります。

パトウ症候群(13トリソミー)の80%は標準型といって第13番目の染色体が3本あるのが原因でおこっています。15-19%は転座型パトウ症候群、1-5%はモザイク型パトウ症候群です。

転座型パトウ症候群(13トリソミー)とは?

転座型とは、染色体が転座したことで起こるものです。
染色体転座の図解
このように、染色体の一部が入れ替わる状態を染色体転座と言います。
染色体の詳しい模式図

上の画像は染色体の模式図です。13、14、15、21、22番染色体とY染色体は、上の形が他とは異なっています。これは端部着糸型(端部動原体型)染色体と言って、セントロメア(染色体の中心のくびれ)が一方の末端近くにある特殊な構造です。これらの短腕(動原体を境にした短い部分)の末端には、幅の狭い二次狭窄という部分を通ってクロマチンが凝縮したサテライトと呼ばれる小さな構造物が付着しています。

転座型パトウ症候群(13トリソミー)は、パトウ症候群(13トリソミー)の15%を占めており、転座トリソミーはお隣の第14番染色体との間の転座がほとんどです。
均衡型相互転座とトリソミー
この図は均衡型相互転座(400 人に1 人程度に認められる染色体異常)によるトリソミーを分かりやすくするために色を変えてあります。黒とオレンジのセットが片親、黄緑色とブルーのセットがもう片方の親の持っている染色体になります。

左下は黒とオレンジのセットの片親から13番、14番ともに短い部分がなくなってしまい、長い部分だけがくっついた「ロバートソン転座」と呼ばれる「均衡型相互転座(400 人に1 人程度に認められる染色体異常)」です。この転座を持つ染色体と13番が組み合わさって生殖細胞を作ると、13番染色体が2本分になり、もう片方の親からは1本継承された分と合わせて、合計3本の13番染色体の遺伝情報がお子さんに伝わることになります。

13番も14番も端部着糸型染色体(第13、14、15、21、22番染色体のこと)ですので、短いほうには枝みたいなのしかありません。この部分にはさまざまな反復配列(ゲノムの配列の一部)と、リボソームRNAタンパク質合成に欠かせない細胞)の遺伝子が数百コピーも含まれているだけです。短い部分がなくなってしまっても13番と14番の染色体にある長い部分がくっついてしまっても、当のご本人には何ら目立った症状は起きません。しかし、13番と14番の長腕相互転座(染色体異常の一つ)の保因者が生殖細胞を作るときに13番染色体の余分なコピーがお子さんに継承されて転座型パトウ症候群(13トリソミー)となります。
モザイク型パトウ症候群(13トリソミー)とは?
モザイク型パトウ症候群(13トリソミー)のモザイクとは、同じ細胞を起源として違う性質の細胞が混ざった個体です。受精胚の時点では正常だったものが、細胞が分裂するときに染色体が正常に分離できずに発生します。発生確率は1~5%と、高くはありません。

また、モザイクの入り方によって重症度や予後もさまざまです。例えば1個が2個に分裂するときであれば、2個になった細胞の片方はトリソミー(受精卵になったときに3本の染色体がある状態)、もう一つはモノソミー(通常2本1対の染色体のうち1本を失った状態)です。そのため常染色体のモノソミーは生き延びられず死んでしまい、100%トリソミーになってしまいます。

4細胞から8細胞になる時期でしたら、1個死ぬので7細胞が残り、モザイクになるのは1/7の確率です。しかし、その1細胞が胎盤を作る細胞になれば、赤ちゃんは正常に生まれてきます。赤ちゃんの体を作る細胞になれば、部分的にトリソミーのあるモザイク型13トリソミーの赤ちゃんになります。

こうしたことから、モザイク型パトウ症候群(13トリソミー)の重症度は軽症から完全トリソミーに近い重症型まで様々なのです。一般的に、最も重症度と相関するのが脳・心臓の奇形です。つまり脳・心臓がほとんど正常な場合は予後が良いと思ってください。なお、モザイク型は、皮膚に異常みられなければ、羊水検査をしても検出できません。

13トリソミー(パトウ症候群)を防ぐには

13トリソミー(パトウ症候群)は偶然に起こるものです。両親が妊娠前に何かをしたことが原因で起こるものではありません。したがって、予防方法もないのが現状です。

13トリソミー(パトウ症候群)の家族内再発:次の子もパトウ症候群の確率とは?

13トリソミー(パトウ症候群)は、再発するケースはほとんどありません。完全トリソミーの場合、再発リスクは1-2%と推定されています。
13トリソミー(パトウ症候群)は精子と卵子が結合し、胎児が発育を開始するときに偶発的に発生します。ただし、転座型の場合は、再発の危険性があります。

13トリソミー(パトウ症候群)の寿命(予後)

13トリソミー(パトウ症候群)のお子さんは、96%の確率で死産が流産になります。生まれてきたとしても生後1か月以内に80%が死亡してしまいます。1年間生存できるのは10%程度です。

ところがモザイク型だと比較的、予後良好となるケースもあります。
部分的またはモザイク13トリソミーなどの深刻な症状を呈さない赤ちゃんは10人に約1人の割合で、この約1人は1年以上生存する可能性も考えられます。寿命を決めるのは、心臓の機能です。

1999年~2014年のパトウ症候群(13トリソミー)の年齢別死亡数

出典:古庄知己(2007).日本における18トリソミーの予後 日本未熟児新生児学会雑誌 19,38-42

年齢死亡数
0歳551
1歳27
2歳14
3歳10
4歳3
5~9歳15
10~14歳1
15~19歳0
20~24歳0

一番長い寿命だったのは10歳~14歳の間で死亡した1人となります。627例中551例が0歳で亡くなっており、1歳で亡くなったのが27例と早く亡くなるケースばかりです。

13トリソミー(パトウ症候群)の検査方法は?

パトウ症候群(13トリソミー)は赤ちゃんが生まれる前に診断することが可能です。最も早期から受けられて検査精度(結果が正しい確率)が高いのはNIPT新型出生前診断)です。母親の血液から調べるので、母体・胎児への負担が軽いのが特徴です。NIPTの検査精度は99%台と非常に高いものの、非確定検査(さらに他の検査を受けて、診断を確定させる必要のある検査)といわれる種類の出生前診断です。もし結果が陽性だった場合、羊水検査や絨毛検査などの確定診断に至るため検査が必要となります。詳しくは出生前診断の記事をご覧ください。

13トリソミー(パトウ症候群)の治療

13トリソミーに対する根本的な治療はありません。口蓋裂、心奇形といった症状に合わせて外科的手術をしたり、必要なら薬物治療をしたりする対症療法が行われます。

13トリソミーは長く生きられないケースが多く、また、知的障害が重度であるため「生まれてきても延命のためのあらゆる医療行為を実施しない」疾患でした。しかし、新生児集中治療室(NICU)の増加や心奇形に対する外科手術など、積極的治療を受けた13トリソミーの子どもたちの予後に関するエビデンスが積み重なってきたころから、近年、大きく認識が変更され、「延命のための特別な治療をしないことを真剣に考慮すべき疾患ではあるが、両親の希望や児の状態を考えるべし」とされています。米国心臓協会(American Heart Association: AHA)のガイドラインでは、それまで蘇生を施さない状況に13トリソミーを含む疾患名が記述されていたのですが、2015年に除外されました。

13トリソミーのお子さんの1年生存率は約20%、10年生存率は約13%です。6か月まで生存できたお子さんたちの10年生存率は、約50%となっています。心臓手術は短期的な予後だけではなく、長期的予後も改善しているのです。また、生存して退院できた13トリソミー患児の生存期間中央値は約15年と非常に期待の持てる報告もされています。昔のように「あきらめる」だけではなく、医学の進歩とともに「希望が持てる」ようになってきているのです。このようなデータを踏まえて、13トリソミーに対する積極的治療も行われるようになってきたのですが、医療機関によっては今でも「なにもしない」と言い切ってしまっているところもあるようです。

NIPT(新型出生前診断)で生まれたあとの準備を

ミネルバクリニックの患者さんの中にも13トリソミーのお子さんを育てているママさんがいます。やはり治療の差し控えを提案されたそうですが、東京都内に転院して無事に手術を受けて退院して自宅に戻りました。6か月を超えて生存すると、その先の長期生存も見えてきます。医学の進歩の恩恵を受けて積極的治療をするのもしないのもまたご両親の考え方次第かもしれません。

だからこそ出生後に慌てるより、出生前に診断がついている方がゆっくりと意思決定できるので、NIPT(新型出生前診断)などの出生前診断の重要性が増しているように思います。

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この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号