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新型出生前診断(NIPT)にかかる費用|他の検査との違いも紹介

高年齢で妊娠した人の間で広まりつつある出生前診断ですが、費用を理由に受けることを迷う人も少なくないでしょう。
本記事では、出生前診断の概要や費用相場について解説しています。ご自分にとって本当に出生前診断が必要かどうかを判断する際にお役立てください。

出生前診断とは?

妊婦イメージ マタニティフォト

出生前診断の基本を確認しましょう。

検査の方法と調べられる3つの疾患

出生前診断は妊娠中の胎児に先天性疾患がないかを調べる検査です。最近は検査の方法が進化したため「新型出生前診断(NIPT)」という名称で広がりつつあり、「無侵襲的出生前遺伝学的検査」「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査」とも呼ばれます。
この検査は妊娠10~16週の妊婦の血液を採取して行われ、以下の3つの疾患の有無を調べることが可能です。

  • ・21トリソミー(ダウン症候群)
  • ・18トリソミー(エドワード症候群)
  • ・13トリソミー(パトウ症候群)

検査の3つの特徴

出生前診断には大きく3つの特徴があります。

精度が高い

出生前診断の特徴のひとつとして精度の高さが挙げられます。以下の表は、従来の検査方法と精度を比較したものです。

検査名 感度(検査の精度)
NIPT(新型出生前診断) 99~99.9%
母体血清マーカー検査(クアトロテスト) 83%
コンバインド検査 80%

出生前診断は従来の検査方法よりも精度が高く、医療機関によっては99.9%の確率で正確な診断を受けることができます。

妊娠周期の早い時期からも検査が可能

母体血清マーカー検査やコンバインド検査などの従来の検査は、早くても妊娠11週以降にならないと受けることができませんでした。一方、出生前診断は妊娠10週以降から受けることができるため、胎児の状態をより早く確認できます。

死産のリスクが低い

確定的検査と呼ばれる羊水検査や絨毛検査の精度は100%です。ただし、羊水検査で300件に1件、絨毛検査は100件に1件の割合で流産・死産のリスクがあります。一方、出生前診断の検査方法は採血によるものなので、流産・死産のリスクがなくより安心して受けられます。

検査結果の3つの種類

出生前診断の検査結果は以下の3つのいずれかで通知されます。

検査結果 感度(検査の精度)
陽性 疾患がある
陰性 問題がない
判定保留 陽性でも陰性でもない

陽性の結果が出た場合は、確定検査である羊水検査・絨毛検査のいずれかを受け再度判断します。
陽性でも陰性でもない、判定保留となった場合は出生前診断による再判定が必要です。採取した血液のDNA量が不足している場合や、投薬の影響などによって判定ができなかった場合に判定保留となるケースがあります。

出生前診断の判定は100%ではない

出生前診断の精度は99%以上と高いものです。しかし、出生前診断は確定診断ではありません。そのため、結果が陰性だからといって、100%先天性疾患を持たない子どもが生まれると約束されたわけではないということです。もちろん、その逆もあり得ます。
陽性と診断された場合は確定診断を受けるようにすすめられるため、より確かな診断を知りたい方は受けることをおすすめします。
また、出生前診断は妊婦の年齢が若くなるにつれ的中率が下がるのが特徴です。この点も考慮して出生前診断の受検を検討しましょう。

出生前診断の費用相場

出生前診断の費用はどのくらい?費用相場や保険について解説

出生前診断というと費用が高いというイメージを持たれるかもしれません。実際、出生前診断にかかる費用はどの程度なのでしょうか。

費用には幅がある

出生前診断の費用は医療機関によって幅があります。安いところで8万円程度、一般的には20万円程度です。より詳しい検査を希望する場合は、さらに費用がかかることもあります。「同じ検査なら安いところで受けたい」と考えるかもしれませんが、値段だけで決めるのはおすすめできません。

費用に幅がある理由

出生前診断の費用に幅があるのには理由があります。1つ目の理由は、検査を受けられる染色体の数の違い、もう1つは遺伝カウンセリングの有無です。
出生前診断を行う施設には認可施設と無認可施設があり、認可施設では検査前に遺伝カウンセリングを実施して検査の内容や結果について詳しく説明します。
一方、無認可施設では遺伝カウンセリングを実施していないため、費用が安くなるというわけです。
胎児の先天性疾患の有無を調べる出生前診断は、妊婦にとっても不安の多い検査です。少しでも安心して受けたいという場合は、遺伝カウンセリングを行う認可施設での受検をおすすめします。

他の検査と費用相場

出生前診断を検討する際はほかの検査とも比較し、ご自分にとって必要な検査を受けることが大切です。
ほかの検査の概要と費用を紹介します。

検査名 概要 費用
超音波エコー検査 ・妊婦健診で行う一般的な検査
・胎児の発育や羊水の量、胎盤の位置、心臓などの主要な臓器の異常の有無を調べる
2~3万円程度
(通常の妊婦健診では行わないNT検査の場合)
クアトロテスト ・妊婦の血液を採取し、胎児の遺伝子異常を調べる検査
・ダウン症、エドワーズ症候群、開放性神経管欠損症の3つの疾患の有無を調べる
・非確定診断
2~3万円程度
コンバインド検査 ・超音波エコー検査とクアトロテストを組み合わせた検査
・2つを同時に検査したほうが診断結果の精度が高い
・非確定検査
3~5万円程度
羊水検査 ・妊婦の体に針を刺し、羊水を採取して調べる検査
・妊娠15~16週目以降から受けられる
・確定診断のため陽性の場合、生まれてくる子どもは先天性疾患を持つ
・検査時、妊婦に痛みをともなう
・流産する可能性がわずかにある
10~20万円程度(出生前診断を受けた場合、費用を負担してくれるクリニックもあるので要確認)
絨毛検査 ・妊婦のお腹に針を刺し、胎盤の内側にある絨毛細胞を採取する
・確定診断のため陽性の場合、生まれてくる子どもは先天性疾患を持つ
・検査時、妊婦に痛みをともなう
・流産する可能性がわずかにある
10~20万円程度(羊水検査に比べて実施する施設が少ないため要注意)

出生前診断に保険は適用される?

医療助手と医師は、受付カウンターでレポート用紙を分析し、患者を助けるために健康診断書と予約に取り組んでいます。 ロビーの病院登録デスクには多様なスタッフがいます。

妊娠・出産にともなう検査には費用がかかり、出生前診断のような検査は費用が高額です。少しでも費用を抑えたいと考えるのは当然で、保険が適用になるのか疑問に思う人もいるでしょう。

しかし、残念ながら出生前診断は保険適用にはなりません。これは、保険適用になるのは病気やケガなどの医療行為に対してのみだからです。
妊娠・出産は病気ではないため、それにともなう検査は全額自己負担となります。自治体から付与される妊婦検診の補助券も使用できません。
また、同様の理由で医療費控除の対象からも外れるので注意しましょう。

【まとめ】出生前診断は遺伝カウンセリング対応の信頼できるクリニックに任せよう

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高齢妊娠した人をはじめ、胎児の先天性疾患の有無を調べられる出生前診断の利用を検討する人は少なくないでしょう。出生前診断は精度が高く、流産などのリスクが低いというメリットがある一方、費用が高く全額自己負担というデメリットもあります。

胎児の状態を調べる検査はほかにもあるため、比較しながら出生前診断の必要性を検討することをおすすめします。また、遺伝カウンセリングを実施する信頼性の高いクリニックに相談し、検査内容や費用などの説明を受けたうえで家族と話し合う機会を設けるとよいでしょう。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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