目次
- ➤ モノソミー・トリソミーの基本的な違いとメカニズム
- ➤ 21・18・13番染色体異常の症状と特徴の違い
- ➤ NIPT検査での診断方法と最新のCOATE法技術
- ➤ 検査結果の解釈とその後の対応方法
- ➤ 染色体異常判明時の医療的・社会的サポート体制
出生前診断や遺伝子検査で耳にする「モノソミー」「トリソミー」という言葉。これらは染色体異常の種類を表す重要な専門用語です。
特に21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトウ症候群)は、NIPT(新型出生前診断)で検査される主要な染色体異常として知られています。この記事では、これらの染色体異常の基本的な違いから、最新のNIPT検査技術まで、臨床遺伝専門医の視点から分かりやすく解説します。
染色体異常の基本:モノソミーとトリソミーの違い
そもそも染色体とは?
人間の体は約60兆個の細胞から構成されており、その一つひとつの細胞の核には46本の染色体が含まれています。これらの染色体は23対(44本の常染色体と2本の性染色体)で構成され、遺伝情報を次世代に伝える重要な役割を果たしています。
- ➤ 常染色体:1番~22番(22対44本)
- ➤ 性染色体:X・Y染色体(1対2本)
- ➤ 総数:46本(23対)
モノソミーとは
モノソミーとは、通常2本で1対となる染色体の片方が欠損し、1本になってしまった状態を指します。最も代表的なのはXモノソミー(45,X)で、これはターナー症候群の原因となります。
- ➤ Xモノソミー(45,X):ターナー症候群の原因
- ➤ 常染色体モノソミー:ほとんどが胎児期に致死的
- ➤ 5pモノソミー:5番染色体短腕欠失症候群
トリソミーとは
トリソミーとは、通常2本で1対となる染色体が3本になってしまった状態を指します。これは染色体不分離という現象により発生し、母体年齢の上昇とともに発生率が高くなることが知られています。
主要な染色体異常の種類と特徴
21トリソミー(ダウン症候群)
21トリソミーは、21番染色体が3本ある状態で、最も頻度の高い染色体異常です。出生1000人中約1人の割合で発生し、適切な医療と支援により平均寿命は60歳前後まで延びています。
- ➤ 発生頻度:出生1000人中約1人
- ➤ 主な症状:知的障害、特徴的な顔立ち、先天性心疾患
- ➤ 平均寿命:約60歳
- ➤ 社会生活:適切な支援により就学・就労が可能
18トリソミー(エドワーズ症候群)
18トリソミーは、18番染色体が3本ある状態で、ダウン症候群に次いで多い常染色体異常です。重篤な合併症を伴うことが多く、生命予後は厳しいとされています。
- ➤ 発生頻度:出生6000人中約1人
- ➤ 主な症状:成長障害、重度の知的障害、多発奇形
- ➤ 生命予後:約90%が1年以内に死亡
- ➤ 合併症:先天性心疾患、呼吸器疾患
13トリソミー(パトウ症候群)
13トリソミーは、13番染色体が3本ある状態で、最も重篤な染色体異常の一つです。多発奇形を伴い、生命予後は18トリソミーよりもさらに厳しいとされています。
- ➤ 発生頻度:出生12000人中約1人
- ➤ 主な症状:重度の知的障害、口唇口蓋裂、多指症
- ➤ 生命予後:約95%が1年以内に死亡
- ➤ 合併症:中枢神経系異常、重度の心疾患
21・18・13トリソミーの違い【比較表付き】
モノソミー・トリソミーの検査方法
NIPT(新型出生前診断)での検査
NIPT(Non-Invasive Prenatal genetic Testing)は、妊婦の血液中に含まれる胎児由来のDNA断片を解析することで、染色体異常の可能性を調べる検査です。
- ➤ 検査時期:妊娠9週0日~(当院では6週から可能)
- ➤ 検査方法:母体血液の採取のみ
- ➤ 安全性:母体・胎児ともにリスクなし
- ➤ 検査精度:感度・特異度ともに99%以上
最新のCOATE法による高精度NIPT
ミネルバクリニックでは、従来のNIPTをさらに進化させたCOATE法による検査を提供しています。この最新技術により、より高い精度での検査が可能になりました。
- ➤ 技術革新:胎児由来DNA断片の高精度解析
- ➤ 検出疾患:従来法より約2.5倍向上
- ➤ 検査範囲:13/18/21トリソミーと、その他染色体の中で多い3つのトリソミーを検出
- ➤ 偽陽性率:大幅に低減
その他の出生前診断
NIPTは非確定的検査であり、陽性結果が出た場合は確定診断のための検査が必要です。
- ➤ 羊水検査:妊娠15週以降、診断精度99%以上
- ➤ 絨毛検査:妊娠10-13週、診断精度99%以上
- ➤ 実施体制:当院では2025年6月より自院で実施可能
検査結果の解釈とその後の対応
NIPTの結果の読み方
NIPTの検査結果は、「陽性」「陰性」「判定保留」の3つで報告されます。
- ➤ 陽性:染色体異常の可能性が高い
- ➤ 陰性:染色体異常の可能性が低い
- ➤ 判定保留:判定が困難(再検査が必要)
陽性結果が出た場合の対応
NIPT陽性の場合、確定診断のための検査と遺伝カウンセリングが重要です。
臨床遺伝専門医による詳細な説明
今後の選択肢について相談
羊水検査または絨毛検査の実施
24時間体制でのサポート
染色体異常が判明した場合のサポート
医療的サポート
染色体異常が確定した場合、適切な医療体制での対応が重要です。
- ➤ 専門医との連携:小児科、心臓外科等の専門医紹介
- ➤ 出生前準備:NICU等の受け入れ体制整備
- ➤ 継続的ケア:出生後の長期的な医療サポート
心理的サポート
染色体異常の診断は、ご家族にとって大きな心理的負担となります。適切なサポートが必要です。
- ➤ 遺伝カウンセリング:臨床遺伝専門医による継続的な相談
- ➤ 家族支援:きょうだい児や祖父母を含めた家族支援
- ➤ 患者会紹介:同じ悩みを持つ家族との交流
よくある質問(FAQ)
現在のところ、モノソミーやトリソミーを予防する方法はありません。これらは染色体不分離という偶発的な現象により発生するためです。ただし、母体年齢が高くなるにつれて発生率が上昇することが知られているため、妊娠計画の際には年齢要因を考慮することが重要です。
母体年齢とともに染色体異常のリスクは上昇します。例えば、21トリソミーの場合、30歳で1/1000、35歳で1/400、40歳で1/100程度とされています。ただし、これは確率的なものであり、高齢妊娠でも正常な赤ちゃんが生まれる確率の方が高いことも理解しておくことが大切です。
標準的なNIPTでは、13・18・21トリソミーと性染色体異常を検査対象とします。ミネルバクリニックのCOATE法による検査では、13/18/21トリソミーと、その他染色体の中で多い3つのトリソミーを検出可能です。ただし、すべての遺伝的疾患を検出できるわけではないため、検査の限界についても十分に理解しておくことが重要です。
NIPTは非確定的検査であり、陽性結果が出ても必ず染色体異常があるとは限りません。陽性的中率は母体年齢や検査項目によって異なりますが、21トリソミーの場合、35歳で約80%、40歳で約95%程度です。正確な診断のためには、羊水検査や絨毛検査による確定診断が必要です。
NIPTは妊娠9週0日以降に受けることができます。ミネルバクリニックでは、臨床研究として妊娠6週からの検査も実施しています。早期に検査を受けることで、その後の選択肢や考える時間を確保できるメリットがあります。ただし、検査を受けるかどうかは個人の価値観によるため、十分な遺伝カウンセリングを受けて決定することが重要です。
- ➤ COATE法:最新の次世代NIPT技術により自院採用検査のなかで最高精度を実現(微細欠失症候群従来検査の陽性的中率70%台➡>99.9%)
- ➤ 臨床遺伝専門医常駐:専門医による遺伝カウンセリング
- ➤ オンライン対応:全国どこからでも受検可能
- ➤ 24時間サポート:陽性時の手厚いフォロー体制
- ➤ 陽性時の確定検査を自院で可能:NIPT検査から陽性時の確定検査までワンストップで対応いたします
まとめ
モノソミー・トリソミーは、染色体の数的異常により発生する遺伝的疾患です。21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトウ症候群)は、それぞれ異なる症状と予後を示します。
- ➤ 早期診断:NIPTにより妊娠初期から高精度な検査が可能
- ➤ 専門医の重要性:臨床遺伝専門医による適切な遺伝カウンセリング
- ➤ 継続的サポート:検査前後の手厚いサポート体制
- ➤ 技術の進歩:COATE法による更なる精度向上
ミネルバクリニックでは、非認証施設でありながら臨床遺伝専門医が常駐し、最新のCOATE法による高精度NIPT検査を提供しています。また、2025年6月より産婦人科を併設し、確定検査(羊水・絨毛検査)を自院で実施できるようになりました。
出生前診断は、ご夫婦にとって重要な選択の一つです。十分な情報収集と専門医との相談を通じて、最適な選択をされることをお勧めします。
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