上の子がトリソミー|次の子の確率は?
再発リスクとNIPTを臨床遺伝専門医が解説
Q. 上の子がトリソミーだった場合、次の子も同じになる確率は高くなりますか?
A. はい、統計的には再発リスクがやや上昇します。ただし、30歳未満では同年代の約8.2倍、30歳以上では約2.2倍という数字は、あくまで「相対リスク」であり、絶対的な確率としては依然として低いことを知っておいてください。
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再発リスクの目安 → 30歳未満で約8.2倍、30歳以上で約2.2倍(同年代比) -
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転座型の場合 → 親が均衡型転座保因者の場合は再発率が大きく上昇することも -
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大切なこと → 不安を一人で抱え込まず、臨床遺伝専門医に相談することで正しい情報と心の準備ができる
1. 上の子がトリソミーだった場合の再発リスク|結論から
【結論】 上の子がトリソミー(ダウン症など)だった場合、次の子にも同じ染色体異常が起こる確率は統計的にはやや上昇します。しかし、絶対的な確率としては依然として低く、多くのご家族が健康な赤ちゃんを授かっています。
「上の子がダウン症だったから、次の子も心配」「2人目を考えているけど、また同じことになったらどうしよう」そんな不安を抱えてこのページをご覧になっている方へ。その気持ちは、とても自然なことです。
まず知っていただきたいのは、上の子がトリソミーだったからといって、次の子も必ずそうなるわけではないということ。そして、正しい情報を知ることで、不安は少しずつ和らいでいくということです。
💡 トリソミーとは?
通常、人間の染色体は2本1組で23組(合計46本)ありますが、特定の染色体が3本になってしまう状態を「トリソミー」と呼びます。21番染色体が3本になるとダウン症候群(21トリソミー)、18番ならエドワーズ症候群(18トリソミー)、13番ならパトウ症候群(13トリソミー)となります。
2. 年齢別の再発確率|具体的な数字で解説
【結論】 Morris JKらの研究によると、ダウン症児の妊娠歴がある場合、30歳未満では同年代の約8.2倍、30歳以上では約2.2倍の再発リスクがあるとされています。ただし、これは「相対リスク」であり、絶対的な確率は依然として低いことを理解しておくことが大切です。
「8.2倍」「2.2倍」という数字を聞くと、とても高いリスクに感じるかもしれません。しかし、これは「同じ年齢の他の女性と比べて」という相対的な数字です。具体的に見ていきましょう。
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①
30歳未満の場合
・一般的なダウン症発生率:約1/1,000〜1/1,500
・上の子がダウン症だった場合:約8.2倍 → 約1/120〜1/180程度
・つまり、約99%以上は同じ状況にはならない -
②
30歳以上の場合
・年齢とともに一般的な発生率も上昇
・上の子がダウン症だった場合:約2.2倍
・例:35歳で約1/350 → 再発リスクは約1/160程度 -
③
なぜ若い方がリスク倍率が高いのか
・若い女性はもともとダウン症の発生率が非常に低い
・そのため、わずかな上昇でも「倍率」としては大きくなる
・実際の確率自体は、年齢が上がるほど高くなる点に注意
| 母体年齢 | 一般的なダウン症確率 | 再発リスク倍率 | 推定再発確率 |
|---|---|---|---|
| 25歳 | 約1/1,250 | 約8.2倍 | 約1/150 |
| 30歳 | 約1/900 | 約2.2倍 | 約1/410 |
| 35歳 | 約1/350 | 約2.2倍 | 約1/160 |
| 40歳 | 約1/100 | 約2.2倍 | 約1/45 |
⚠️ 注意:上記の数値はあくまで統計的な目安です。個々のケースでは、トリソミーの種類(標準型・転座型・モザイク型)によって再発リスクは大きく異なります。正確なリスク評価のためには、臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングをお勧めします。
🩺 院長コラム【「倍率」に惑わされないでください】
「8.2倍」という数字を見て、怖くなってしまった方もいらっしゃるかもしれません。でも、数字の意味を正しく理解することが大切です。
例えば、宝くじの当選確率が「2倍になった」と聞いても、もともとの確率が非常に低ければ、2倍になってもやはり低いままですよね。トリソミーの再発リスクも同じです。
25歳の方がもともと1/1,250の確率だとすると、8.2倍になっても約1/150。つまり、約99%以上は同じ状況にはならないのです。
もちろん、不安なお気持ちは十分に理解できます。だからこそ、正しい数字と、その意味を一緒に考えていきましょう。当院では、検査前の遺伝カウンセリングでこうした数字の解釈についても丁寧にご説明しています。
3. トリソミーの種類別|再発リスクの違い
【結論】 トリソミーには標準型(約95%)、転座型(約4%)、モザイク型(約1%)の3種類があり、再発リスクは種類によって大きく異なります。特に転座型の場合は、親が保因者かどうかで再発率が大きく変わります。
お子さんがトリソミーと診断された際、「どのタイプか」を確認されましたか?実は、このタイプによって次の子への再発リスクは大きく異なります。
標準型トリソミー(約95%)
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受精時の偶発的なエラーで発生
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親の染色体は正常
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再発リスク:年齢相応+約1%程度
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最も多いタイプ
転座型トリソミー(約4%)
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染色体の一部が他の染色体にくっついている
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親が保因者の場合がある
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再発リスク:母親が保因者で約10〜15%、父親で約2〜5%
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親の染色体検査が重要
モザイク型トリソミー(約1%)
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正常な細胞とトリソミー細胞が混在
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受精後の細胞分裂エラーで発生
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再発リスク:標準型と同程度(低い)
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症状が軽いことが多い
4. 転座型の場合|親の染色体検査の重要性
【結論】 上の子が転座型ダウン症だった場合、ご両親の染色体検査を受けることが非常に重要です。親が「均衡型転座保因者」の場合、再発リスクは母親で約10〜15%、父親で約2〜5%と高くなります。
転座型トリソミーの場合、親の染色体を調べることで、より正確な再発リスクを評価できます。これは次の妊娠を考える上で、とても大切な情報となります。
💡 均衡型転座保因者とは?
染色体の一部が他の染色体にくっついている状態(転座)を持っていても、全体の遺伝情報に過不足がなければ、ご本人は健康に過ごせます。これを「均衡型転座保因者」と呼びます。
しかし、お子さんに染色体を渡す際に、不均衡が生じる可能性があります。そのため、転座型ダウン症のお子さんがいる場合は、ご両親の染色体検査をお勧めしています。
| 保因者の状況 | 再発リスク | 推奨される対応 |
|---|---|---|
| 両親とも正常(新生突然変異) | 約1%程度 | 標準型と同様の経過観察 |
| 母親が均衡型転座保因者 | 約10〜15% | 出生前診断を推奨 |
| 父親が均衡型転座保因者 | 約2〜5% | 出生前診断を推奨 |
| 21番同士の転座(稀) | 100% | 遺伝カウンセリング必須 |
上の子のトリソミーの種類を確認していますか?
標準型か転座型かで、次の子への再発リスクは大きく変わります。
臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングで、正確なリスク評価を受けましょう。
※オンライン診療も対応可能です
5. NIPTという選択肢|次の妊娠への備え
【結論】 上の子がトリソミーだった経験から、次の妊娠でNIPT(新型出生前診断)を選択されるご夫婦は多くいらっしゃいます。採血のみで流産リスクがなく、妊娠10週から検査可能なNIPTは、不安を抱えるご家族にとって心強い選択肢となります。
「次の妊娠では、早い段階で確認したい」「でも、流産のリスクがある検査は怖い」そんなお気持ちを持つ方にとって、NIPTは採血だけで高精度な検査ができるという大きなメリットがあります。
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採血のみ:流産リスクがなく、母体への負担が最小限
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妊娠10週から:早い段階で検査可能(当院では妊娠6週から対応)
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高い検出率:ダウン症で99%以上の感度
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複数の染色体異常:21、18、13トリソミーを同時に検査
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心の準備:結果を知ることで、出産に向けた準備ができる
当院のNIPT検査プラン
ミネルバクリニックでは、患者様のニーズに合わせた複数のNIPTプランをご用意しています。上の子がトリソミーだった経験をお持ちの方には、より包括的な検査プランをお勧めすることが多いです。
🔬 スーパーNIPT(第3世代)
21、18、13トリソミーを高精度で検査。偽陰性ゼロのエビデンスを持つ検査です。
💎 ダイヤモンドプラン(COATE法)
6種トリソミー+12種微細欠失+56遺伝子。陽性的中率99.9%以上の最高精度。
✅ 検査費用に含まれるもの:当院のNIPT費用には遺伝カウンセリング料(33,000円相当)が含まれています。検査当日の説明だけでなく、陽性時の追加カウンセリングも何度でも受けられます。「お金がかかるから相談しにくい」ということがないよう配慮しています。
6. 患者様からの手紙|同じ経験をされた方の声
上の子がトリソミーだった経験から、次の妊娠で当院のNIPTを受けられた患者様から、お手紙をいただくことがあります。同じ状況で悩んでいる方の参考になればと、ご本人の許可を得て一部をご紹介します。
📨 患者様からのお手紙より
「1人目の子がダウン症でした。次の妊娠がわかったとき、嬉しさよりも不安の方が大きかったです。
かかりつけの産婦人科の先生に相談したところ、NIPTについて教えていただきました。でも、その病院ではNIPTを受けられず、どこで受けたらいいか途方に暮れていました。
ネットで調べてミネルバクリニックを知り、臨床遺伝専門医の先生が直接説明してくれるという点に惹かれて予約しました。
仲田先生は、私の不安な気持ちを受け止めてくださった上で、再発リスクの正しい数字や、検査の意味について丁寧に説明してくれました。「倍率」に惑わされていた自分に気づけました。
結果は陰性で、今は元気な2人目を育てています。上の子も元気に成長しています。検査を受けてよかったと心から思っています。」
— 30代・2児の母
🩺 院長コラム【同じ経験を持つご家族へ】
上の子がトリソミーだった経験をお持ちの方が、次の妊娠を考えるとき。その不安は、経験したことのない人には想像しにくいものだと思います。
「また同じことになったらどうしよう」「でも、2人目も欲しい」「上の子のことは愛しているけど、もう一度同じ経験をする自信がない」
そんな矛盾した気持ちを抱えるのは、とても自然なことです。
私がお伝えしたいのは、検査を受けるかどうかは、ご自身で決めていいということ。そして、どんな選択をしても、私たちはサポートする準備ができているということです。
当院でお一人あたり1.5時間の枠をお取りしているのは、検査の意味、結果の解釈、陽性だった場合の選択肢など、すべてご理解いただいた上で検査を受けていただきたいからです。不安なまま検査を受けることはありません。
7. ミネルバクリニックのサポート体制
ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医の専門性を活かした診療体制を整えています。上の子がトリソミーだった経験をお持ちのご家族に対しても、丁寧なサポートを提供しています。
👩⚕️ 臨床遺伝専門医が常駐
検査前後の遺伝カウンセリングは臨床遺伝専門医が担当。再発リスクの正確な評価から、結果の説明、今後の選択肢まで、専門家が寄り添います。
🏥 院内で確定検査まで対応
2025年6月より産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査も院内で実施可能に。転院の必要がなく、心理的負担を軽減できます。
💰 互助会で費用面も安心
互助会(8,000円)加入で、陽性時の確定検査(羊水検査)費用を全額カバー。上限なしで安心です。
🌐 全国対応・オンライン診療
オンラインNIPTで全国どこからでも受検可能。遠方の方も、臨床遺伝専門医の診療を受けられます。
NIPT施設選びで失敗しないために
NIPTを提供する施設は数多くありますが、すべての施設が同じ品質のサービスを提供しているわけではありません。特に上の子がトリソミーだった経験をお持ちの方は、より丁寧なカウンセリングが受けられる施設を選ぶことをお勧めします。
⚠️ NIPT施設選びのチェックポイント
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臨床遺伝専門医が在籍しているか
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検査前の遺伝カウンセリングが十分に行われるか
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陽性時のフォロー体制が整っているか
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確定検査への連携がスムーズか
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検査会社の技術レベルと実績はどうか
📌 補足:出生前診断は、基本的に自立して生活することに支障が出るレベルの重篤な疾患が対象となります。検査を受けるかどうか、結果をどう受け止めるかは、ご夫婦でよく話し合って決めていただくことが大切です。当院では、そのための情報提供と心理的サポートを行っています。
一人で悩まず、専門医を頼ってください
上の子がトリソミーだった経験から、次の妊娠に不安を感じるのは当然のこと。
臨床遺伝専門医による正確な情報で、不安を和らげましょう。
※オンライン診療も対応可能です
よくある質問(FAQ)
🏥 一人で悩まないでください
上の子がトリソミーだった経験から、次の妊娠に不安を感じていませんか?
その不安は当然のこと。臨床遺伝専門医があなたとご家族に寄り添います。
参考文献
- [1] Morris JK, et al. Recurrence of Down syndrome and other trisomies: a large population-based study. Am J Med Genet A. 2003;119A(1):6-13. [PubMed]
- [2] Hook EB. Rates of chromosome abnormalities at different maternal ages. Obstet Gynecol. 1981;58(3):282-285. [PubMed]
- [3] Warburton D, et al. Does the karyotype of a spontaneous abortion predict the karyotype of a subsequent abortion? Evidence from 273 women with two karyotyped spontaneous abortions. Am J Hum Genet. 1987;41(3):465-483. [PubMed]
- [4] American College of Obstetricians and Gynecologists. Practice Bulletin No. 226: Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities. Obstet Gynecol. 2020;136(4):e48-e69. [PubMed]
- [5] Hassold T, Hunt P. Maternal age and chromosomally abnormal pregnancies: what we know and what we wish we knew. Curr Opin Pediatr. 2009;21(6):703-708. [PubMed]
- [6] Gil MM, et al. Analysis of cell-free DNA in maternal blood in screening for fetal aneuploidies: updated meta-analysis. Ultrasound Obstet Gynecol. 2017;50(3):302-314. [PubMed]
- [7] International Society for Prenatal Diagnosis (ISPD). Position statement on maternal blood cell-free DNA screening. Prenat Diagn. 2015;35(8):725-734. [PubMed]
- [8] National Down Syndrome Society. Diagnosis of Down Syndrome. [Official Site]
- [9] 日本産科婦人科学会. 出生前に行われる遺伝学的検査および診断に関する見解. [日本産科婦人科学会]
- [10] 厚生労働省. 出生前検査に関する情報提供. [厚生労働省]


