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NIPT(新型出生前診断)を受けるタイミングが早すぎると、潜在的な問題点が浮かび上がります。胎児の染色体異常の検出には適切な妊娠週数が必要であり、早すぎるタイミングでのNIPTは確定診断の制約や偽陽性率の増加などをもたらす可能性があります。この記事では、NIPTの適切な受診時期と早期検査がもたらす潜在的な問題点に焦点を当て、妊娠中の女性と医療専門家に対する情報と指針を提供します。
NIPT(新型出生前診断)の概要と重要性
NIPTは、血液サンプルを採取することで行われ、胎児の健康状態を評価するために用いられます。NIPTは高い精度と安全性を提供し、早期に問題を検出できるため、妊娠中のケアと意思決定において重要なツールとなっています。この非侵襲的な検査は、健康な妊娠をサポートする一環として、医療分野で注目されており、妊婦と医療専門家にとって重要な役割を果たしています。
早すぎるタイミングでNIPTを受けることに関連する問題
NIPT(新型出生前診断)を早すぎるタイミングで受けることにはいくつかの問題が関連してきます。これらの問題には以下が含まれます。
- 偽陽性率・偽陰性率の増加
- 早すぎる段階でNIPTを受けた場合、偽陽性・偽陽性結果のリスクが増加する可能性があります。早すぎると胎児のDNAが十分ありませんので、十分な胎児のDNAがないとNIPT検査の正確性が損ねられるからです。たとえば、平石クリニックが6週で検査していますが、6週で平石で受けた性別判定と、9週でミネルバクリニックで受けた性別判定が違っていたというケースは、今まで数件相談がありました。どうしても6週で検査を受けたい方のために、ミネルバクリニックにおいても6週で検査を開始しましたが、6週だと検査結果が出せる人(胎児分画と言われる胎児DNA比率が結果の正確性を保証できる値をしっかり超えている人)が50%程度となっています。7週になると80%くらいの方がきちんと胎児分画をクリアして正確性を担保できる形で結果をお出しできますので、7週以降をおすすめします。
- イルミナの国内販売機械は研究用
- 研究用機器ですので、胎児分画が一定の値の場合に結果を出さないようにするようなプログラムがありません。胎児のDNAが殆どなくても結果が出せてしまうという問題点があります。
大学病院等が提出している検査機関は、大手検査会社で、米国のNIPT検査機関の開発したプログラムを使用許諾契約の元、使って解析しています。ですので、イルミナのシークエンサー自体が研究用機器であることに違いはないのですが、医療用プログラムとして認証されたものを使っていますので、安心です。
これに対して、平石クリニックやヒロクリニックが使っているのは、イルミナのシークエンサーとイルミナのプログラム(Veriseq2)です。研究用なので、イルミナはカットオフ値も指示することが出来ない状態ですので、正常異常という判定につかうカットオフ値自体をクリニック側(検査会社側)で用意しないといけません。遺伝子検査はそんなに簡単なものではありません。ミネルバクリニックが契約している世界の大手検査会社では、数百人規模のバイオインフォマティシャンを雇用して研究開発しています。これらのクリニックが、そういうバイオインフォマティシャンを潤沢に抱えて信頼性を担保できる状態で検査出来ているのかについて、疑問に感じます。厚生労働省がイルミナジャパンに対してヒロクリニックや平石クリニックの使っている検査会社にシークエンサーを納入したことについて立腹していると聞きますが、当然のことだと思っています。
こうした問題点を踏まえて、ミネルバクリニックでは自社でシークエンサーを購入して検査するのではなく、信頼性が担保された世界の一流検査会社に検査を提出しています。 - 遺伝カウンセリングの不足
- 早期にNIPTを受けた場合、遺伝カウンセリングや医師の詳細なアドバイスが不足することがあり、検査結果の適切な理解が難しくなります。ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医がしっかりカウンセリングしておりますのでご安心ください。
- 早期検査の倫理的側面
- NIPTを早い段階で受ける場合、正確性の担保されていない結果に基づき、中絶や妊娠の選択をしてしまうという倫理的な問題が浮かび上がり、感情的なストレスを引き起こす可能性があります。
これらの問題を避けるために、NIPTを受ける適切なタイミングと遺伝カウンセリングの提供が重要です。妊娠週数や医師のアドバイスに従い、慎重に計画されたNIPTが問題を最小限に抑えるのに役立ちます。
NIPTの基本的な原理と手順の説明
NIPT(新型出生前診断)は、非侵襲的な胎児スクリーニング検査で、以下の基本原理と手順に基づいて行われます。
基本原理
NIPTは、妊娠初期の母体の血液中に存在する胎児の遺伝情報(DNA)を分析することに基づいています。
母体の血液中には、胎児由来の細胞フリーDNA(cfDNA)が含まれており、これによって胎児の染色体異常や遺伝的疾患の兆候を検出することが可能です。
手順
- 血液採取: 妊婦の静脈から通常の採血手順で血液サンプルが採取されます。
- DNA抽出: 採取された血液サンプルから胎児由来のcfDNAが分離・抽出されます。
- DNAシーケンシング: 抽出されたcfDNAの塩基配列が高度な遺伝子シーケンシング技術によって解析されます。
- 染色体異常検出: 解析されたデータを元に、染色体異常(例:21トリソミー、18トリソミー、13トリソミー)や性別などが評価されます。
- 結果提供: NIPTの結果は数週間後に医師および患者に提供され、胎児の染色体異常の有無や性別などが伝えられます。
NIPTは非侵襲的で高い精度を持つ検査であり、妊婦と胎児の健康管理に貢献しています。ただし、確定診断のためには追加の検査が必要であることに留意する必要があります。
NIPTを受けるべきタイミングについての理解
NIPT(新型出生前診断)を受ける適切なタイミングについての理解は非常に重要です。以下はそのポイントです。
- 受診時期の選択
- NIPTは通常、妊娠初期から最終的な妊娠週数まで受けることができます。ただし、最適な受診時期は妊娠週数に依存します。一般的に、NIPTの適切な受診時期は妊娠週数が10週から12週の間です。
- 染色体異常検出の精度
- NIPTの精度は妊娠週数(胎児DNA比率の多さ)に影響を受けます。適切な時期に受けることで、染色体異常(例:21トリソミー、18トリソミー、13トリソミー)の検出精度が向上し、誤診のリスクが低減します。
- 確定診断への移行
- NIPTはスクリーニング検査であるため、陽性結果を確定診断するためには追加の検査が必要です。適切な受診時期を選択することで、確定診断の手順をスムーズに進めることができます。
- 医師との相談
- NIPTを受ける前に、妊娠週数を考慮して遺伝カウンセリングや医師との相談を行うことが重要です。受診時期についてのアドバイスを受け、最適な決定を下すのに役立ちます。
NIPTの受診時期は慎重に選び、医師との協力を通じて最善の結果を得ることが肝要です。
偽陰性と偽陽性のリスクについての理解
NIPT(新型出生前診断)は非侵襲的な染色体異常スクリーニング検査で、高い精度を持つ一方で、偽陰性と偽陽性のリスクが存在します。
偽陰性:これは、実際に染色体異常が存在するにも関わらず、NIPTが正常と判断する場合です。これはまれながら発生し、確定診断が必要な場合があります。
偽陽性:これは、NIPTが染色体異常があると判断する場合で、実際には染色体異常がない場合です。これもまれに発生し、誤診のリスクがあるため、確定診断が必要です。
偽陰性と偽陽性のリスクを最小限に抑えるために、NIPTの適切な受診時期、遺伝カウンセリングとの連携、そして確定診断が必要です。検査前に医師とよく相談し、リスクとメリットを理解することが大切です。
早期NIPTの提供する利点と同時に、早すぎる受診がもたらすリスクの議論
早期NIPTは問題の早期発見と感情的なサポートを提供する点で利点がありますが、確定診断の制約や倫理的問題といったリスクも存在します。妊婦と医師は検討に慎重さをもち、適切なタイミングと遺伝カウンセリングを通じて適切な判断を下す必要があります。
早期NIPTの提供する利点と、早すぎる受診がもたらすリスクについての議論は以下の通りです。
早い妊娠週数でNIPTを受けることのメリット
- 早期問題発見
- 早期NIPTは妊娠初期から染色体異常や遺伝的疾患の兆候を検出でき、問題が早期に特定され、必要な措置が講じられる可能性が高まります。
- 精度と安全性
- NIPTは高い精度を持ち、非侵襲的な検査であるため、妊婦にとって比較的安全な選択です。
- 感情的なストレスの軽減
- 早期に問題を特定できるため、妊婦と家族は早い段階で適切なサポートやカウンセリングを受けることができ、感情的なストレスを軽減できる可能性があります。
リスク
- 確定診断への移行
- 早期NIPTは確定診断を提供しないため、陽性結果の場合は追加の検査が必要です。早すぎるタイミングでNIPTを受けると、確定診断への移行までに時間がありすぎることで、確定診断を受けない人が増えると予想され、不確かさが残ります。
- 偽陽性・偽陰性率の増加
- 早期NIPTでは胎児分画が足りていないのに結果を出すことがあることが考えられ、偽陽性・偽陰性のリスクが高まる可能性があり、誤診のリスクが増します。少なくとも胎児分画をしっかり出してくれるところで検査しましょう。
- 倫理的問題
- 早期NIPTによって染色体異常や遺伝的疾患のリスクが早期に明らかになるため、中絶や妊娠の選択に関する倫理的な問題が浮かび上がり、悩みや疑念が生じる可能性があります。
早期NIPTを受ける際の実際のケースや事例の紹介
いくつかの事例をご紹介しましょう。
- ケース1
- 九州地方に住むAさんは、ヒロクリニックで早期NIPTを受けました。結果は陽性でした。夫は確定検査を望みましたが、Aさんはパニックになってしまい、毎日泣いてどうしようもありません。ヒロクリニックではカウンセリングはありませんし、かかっている産婦人科に相談したら、どうしてそんなところで受けたんだと怒られるだけです。Aさんの夫は困ってミネルバクリニックに電話をしてきました。Aさんと話をしてみたかったのですが、Aさんと直接話ができた頃には、もう中絶手術の予約をとっていて、どうしようもありませんでした。NIPTは事前のカウンセリングをしっかり受ける事、NIPTを受けたところでしっかりとカウンセリングを提供しているかどうかが非常に重要となります。Aさんの検査結果は3割が外れているというものだったのですが、確定検査を受けていただけなくて残念でした。
- ケース2
- Bさんは平石クリニックで検査を受けましたが、6週と10週の2回で胎児の性別判定が違うという事で相談を頂きました。胎児分画(胎児DNA比率)がしっかりないと、正確さが担保出来ません。
- Cさんは平石クリニックで6週で検査を受けましたが、女の子という結果でした。9週でミネルバクリニックでコンプリートデノボプラスという一番広い疾患を対象としたNIPTを受けようと決めていたのですが、6週で受けられるのが魅力だったので平石でも受けけました。ところが、ミネルバクリニックで受けたNIPTの結果は、2社とも胎児の性別は男性でした。
まとめ
- NIPTを早すぎるタイミングで受ける際の注意点
- 早期NIPTを受ける際には以下の注意点に留意することが重要です。まず、正確な妊娠週数を確認し、医師と相談して適切なタイミングを選びましょう。また、NIPTは確定診断ではないため、陽性結果には確認のための追加検査が必要です。最後に、NIPTの限界を理解し、検査結果に過度に依存せず、遺伝カウンセリングを受けることが大切です。
- NIPTを適切に活用し、健康な妊娠に向けた最良の方法
- NIPTは妊娠中の染色体異常のスクリーニングに役立つツールですが、確定診断を提供しないため、正確な診断を求める場合には追加検査が必要です。適切な活用には、妊婦と医師の協力、遺伝カウンセリング、そして検査結果を総合的に判断することが重要となります。NIPTは健康な妊娠に向けた一部の情報を提供する手段であることを理解し、妊娠全体の健康を保護するために適切に利用されるべきです。
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