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出生前診断の読み方とは?専門用語・検査種類・費用を徹底解説【2025年最新】

この記事のポイント
  • 出生前診断の正しい読み方と専門用語の基礎知識
  • 6種類の出生前診断検査の特徴と検査可能時期
  • 検査費用と保険適用の有無
  • 各検査のメリット・デメリットと選び方
  • 専門医による遺伝カウンセリングの重要性

赤ちゃんの健康に害を及ぼす染色体異常を発見できる出生前診断。最近ではNIPTの実施施設が増え、侵襲的検査を受ける前に安全なNIPTを受ける妊婦さんも増えています。

妊娠したばかりの妊婦さんは出生前診断がどのような検査なのか学んでおくことは大事ですが、たくさんの専門用語が並んで理解しづらいことも多々あります。

そこでこの記事では、出生前診断の読み方や出生前診断に関する専門用語を詳しく解説していきます。しっかりと予備知識を身につけて、出生前診断を受ける準備を整えておきましょう。

出生前診断の読み方について

妊娠健診が始まると、赤ちゃんの生命を脅かす染色体異常やさまざまな症候群の存在を意識するようになります。まずは、妊婦さんなら理解しておきたい出生前診断とは何か、そして出生前診断の正しい読み方についてご説明していきます。

そもそも出生前診断とは何か?

出生前診断の定義

出生前診断は、お腹にいる赤ちゃんの染色体数や形態の異常を出生前に調べられる検査であり、「結果に応じて適切な分娩や出生後の準備を早い段階から進められる」というメリットがあります。

出生前診断は、妊娠健診で実施されている胎児超音波検査や新型出生前診断と呼ばれる「NIPT」など全6種類の検査があり、それぞれ染色体異常症の有無を判定できる確率が異なります。

出生前診断の正しい読み方

「出生前診断」ですが、一通りの読み方ではなくいくつかの読み方で読まれています。

大辞林・広辞苑・日本国語大辞典では出生(しゅっしょう)と読まれており、出生前診断(しゅっしょうぜんしんだん)、出生率(しゅっしょうりつ)、出生届け(しゅっしょうとどけ)と掲載されています。

しかし、一般的には出生(しゅっしょう)という読み方で普及していますが、医学用語になると出生(しゅっせい)と読まれることが多くなります。

複数ある読み方の中でも出生前診断は主に以下の2通りで読まれています。

読み方 使用される場面
しゅっせいぜんしんだん 医療現場や専門書など、医学用語として使われる場合
しゅっしょうまえしんだん 一般的な会話や説明で使われる場合

大辞林に載っている読み方ではなく、上記の2通りで読まれるケースが多いと覚えておきましょう。

読み方の重要性

医療機関で出生前診断について相談する際、正しい読み方を知っておくことで、医師や看護師とのコミュニケーションがスムーズになります。また、インターネットで情報を検索する際にも、適切なキーワードで検索できるようになります。

出生前診断の種類と特徴

出生前診断にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴や実施時期、検査の正確性が異なります。ここでは主な出生前診断検査について解説します。

出生前診断は大きく分けて「非確定的検査」と「確定的検査」の2つに分類されます:

非確定的検査

可能性を判定する検査で、母体や胎児へのリスクが少ない

  • 胎児超音波検査
  • NIPT(新型出生前診断)
  • 母体血清マーカー検査
  • コンバインド検査

確定的検査

染色体異常を確定できる検査だが、流産などのリスクがある

  • 絨毛検査
  • 羊水検査

出生前診断の各検査方法の詳細

検査名 検査時期 検査方法 費用(目安) 保険適用
胎児超音波検査(NT検査) 妊娠10週〜13週頃 超音波(エコー)で胎児の後頚部の浮腫(NT)などを測定 2〜5万円 ×
NIPT(新型出生前診断) 妊娠9週〜10週以降 母体血を採取して胎児のDNAを分析 8〜20万円 ×
母体血清マーカー検査 妊娠15週〜18週 母体血中のタンパク質を分析 2〜5万円 ×
コンバインド検査 妊娠11週〜13週 超音波検査と母体血清マーカー検査(2種類)の組み合わせ 3〜6万円 ×
絨毛検査 妊娠10週〜14週 子宮内の胎盤組織(絨毛)を採取して分析 10〜15万円 △(条件付き)
羊水検査 妊娠15週以降 羊水を採取して胎児の染色体を分析 10〜15万円 △(条件付き)

保険適用について

出生前診断検査は基本的に保険適用外で、全額自己負担となります。絨毛検査や羊水検査は特定の条件下(高齢妊娠、遺伝性疾患の家族歴がある場合など)で一部保険適用される場合がありますが、医療機関によって対応が異なりますので、事前に確認が必要です。また、医療費控除の対象にもならないので注意しましょう。

妊婦さんが知っておきたい専門用語

ここからは、出生前診断に関する知っておきたい専門用語をご紹介していきます。読み方が分からない専門用語を覚えながら、出生前診断や染色体異常症などの知識を深めておきましょう。

染色体

染色体は細胞の中心にある核の中に存在し、たくさんの遺伝情報を格納している分子です。

細胞は人間のあらゆる組織をつくる働きがありますが、染色体は各細胞に親から子どもに受け繋がれる遺伝情報を届ける役割があります。

染色体異常症

染色体が細胞分裂の過程や突然変異によって本来あるべき数よりも本数が多い、形態が正常ではないなどの異常が起こることで、ダウン症候群などの染色体異常症が発生します。

染色体異常症は根本的な治療がなく、全ての妊娠にリスクが伴います。

NIPT|新型出生前診断

NIPTの基本情報

NIPTは「non-invasive prenatal genetic testing」を略したもので、「エヌアイピーティー」と読みます。また、別名で新型出生前診断とも呼ばれ、「しんがたしゅっせいぜんしんだん」「しんがたしゅっしょうまえしんだん」と読まれています。

妊娠9週〜10週から受けられるようになるNIPTは、赤ちゃんが染色体異常症を持っている確率を安全に調べられる検査で、検査精度は感度99%・特異度99%を誇ります。

非確定的検査に分類され、安全且つ高精度の検査として妊婦さんの需要も高まっています。

感度・特異度

染色体検査の精度を表す際に用いられる言葉で、感度は疾患を持っている患者が検査を受けて陽性反応が出る確率を指し、特異度は疾患を持っていない患者が検査で陽性反応が出る確率を指します。

胎児超音波検査

胎児超音波検査は、主に妊娠10週以降に実施されている出生前診断です。

赤ちゃんの後頚部のむくみの厚さを示すNT(読み方:エヌティー)・血流・鼻骨などを計測して染色体異常症を持つ確率を調べる検査で、検査項目は21トリソミー・18トリソミー・13トリソミーになります。

トリソミー

トリソミーは、染色体が本来あるべき数よりも多くなった状態を指します。

トリソミーの種類 症候群名 特徴
21トリソミー ダウン症候群 特徴的な顔貌、知的発達の遅れ、心臓疾患などを伴うことがある
18トリソミー エドワーズ症候群 多発奇形、重度の発達遅滞、生存率が低い
13トリソミー パトウ症候群 脳や顔面の奇形、多指症、重度の発達遅滞、生存率が極めて低い

母体血清マーカー検査|クアトロテスト

母体血清マーカー検査は、主に妊娠15週〜妊娠18週に実施されている出生前診断です。

母親の血液を採取し、3種類〜4種類のタンパク質の分析を行うことで染色体異常性を持つ確率を調べることができます。

  • 1 AFP(読み方:アルファ・フェトプロテイン)
  • 2 hCG(読み方:ヒト絨毛性ゴナドトロピン)
  • 3 uE3(読み方:非抱合性エストリオール)
  • 4 Inhibin A(読み方:インヒビン A)

上記4種類のタンパク質を対象とした検査はクアトロテストといい、21トリソミー・18トリソミー・開放性神経管奇形が検査対象となります。

開放性神経管奇形

開放性神経管奇形(読み方:かいほうせいしんけいかんきけい)は、赤ちゃんの脊髄や脳に疾患を患っている状態を指します。脊髄や頭蓋骨が正常な形とは異なるなどの症状が挙げられ、新生児のうちに手術が必要とされています。

コンバインド検査

コンバインド検査は、主に妊娠11週〜妊娠13週に実施されている出生前診断です。

超音波検査と母体血清マーカー検査(2種類のタンパク質)の両方を行う検査で、21トリソミー・18トリソミーを持っている確率を調べることができます。

NIPT、胎児超音波検査、母体血清マーカー検査、そしてコンバインド検査は非侵襲的検査とも呼ばれ、検査の手技によって胎児が死亡したり母親に合併症が発生するリスクはありません。

絨毛検査

絨毛検査は、主に妊娠10週〜妊娠14週に実施されている出生前診断です。

妊婦さんのお腹に極細の穿刺針(読み方:せんしばり)を刺して子宮内まで挿入し、胎盤組織にある絨毛を採取して染色体異常症の有無を調べます。超音波検査を経て、胎児を傷つけない安全な場所を定めた上で穿刺が行われます。

手技が難しく、胎児が流産・早産・死亡などに至る確率が約1%ある侵襲的検査(読み方:しんしゅうてきけんさ)と呼ばれており、リスクを十分に理解した上で検査を受けることが必要となります。

穿刺針

血液や体液を採取するために用いられる極細の針で、絨毛の採取だけではなく子宮内の羊水の採取にも用いられています。

羊水検査

羊水検査は、主に妊娠15週以降に実施されている出生前診断です。

絨毛検査と同じ要領で胎児の位置を確認し、母親のお腹から穿刺針を刺して子宮内の羊水を採取して染色体異常症の有無を調べます。羊水細胞にある染色体の分析を行うために細胞の培養が行われますが、稀に培養が上手くいかずに再検査が必要となる場合もあります。

侵襲的検査であり、胎児が死亡する確率が0.3%あることを必ず理解しておきましょう。

出生前診断の選び方ガイド

妊婦さんそれぞれの状況に合わせた出生前診断の選び方について解説します。

年齢別おすすめ検査

年齢 リスク おすすめの検査
35歳未満 比較的低い 基本的には健診の超音波検査。不安がある場合はNIPTがおすすめ
35歳〜40歳 中程度 NIPTを受けることを検討。結果に応じて確定検査を検討
40歳以上 比較的高い NIPTを受けた後、必要に応じて羊水検査などの確定検査を検討

検査選択のフローチャート

1
妊娠初期(9〜10週)

NIPT検査が可能になる時期

2
検査結果が陰性

通常の妊婦健診を継続

3
検査結果が陽性

確定検査(絨毛検査または羊水検査)を検討

費用の目安(2025年5月現在)

検査名 費用目安 保険適用 検査期間
NIPT 10〜20万円 × 9〜10週以降
母体血清マーカー 2〜5万円 × 15〜18週
羊水検査 10〜15万円 △(条件あり) 15週以降
絨毛検査 10〜15万円 △(条件あり) 10〜14週

費用軽減のヒント

一部のクリニックでは、NIPTで陽性結果が出た場合、羊水検査の費用を一部または全額補助するサービスを提供しています。ミネルバクリニックでも、陽性の場合の羊水検査費用を最大15万円まで負担するサポートがあります。検査を検討する際は、このような付帯サービスも比較検討するとよいでしょう。

遺伝カウンセリングの重要性

出生前診断、特にNIPTを受ける際には、検査前後の遺伝カウンセリングが非常に重要です。

遺伝カウンセリングとは

遺伝カウンセリングとは、遺伝に関する医学的情報や検査について、専門知識を持った医師や認定遺伝カウンセラーが説明し、患者さんの意思決定をサポートするものです。

遺伝カウンセリングで得られること

  • 検査の内容や意義、限界についての正確な情報
  • 検査結果が陽性だった場合の対応について
  • 染色体異常について正しい医学的知識
  • 個人の状況に応じた適切なアドバイス
  • 心理的なサポート

遺伝カウンセリングを受けることで、十分な情報を得た上で検査を受けるかどうかを決断することができます。また、検査結果を受け取る前の心の準備にもなります。

ミネルバクリニックの遺伝カウンセリング

ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医による質の高い遺伝カウンセリングを提供しています。検査前には十分な説明を行い、検査後も結果に応じたフォローアップを行っています。

特に、NIPT検査で陽性結果が出た場合は、院長自ら24時間体制でサポートする体制を整えており、不安な時期を乗り越えるための手厚いケアを受けることができます。

ミネルバクリニックのNIPTの特徴
  • 臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリング
  • 高精度の検査技術(偽陰性率0%)
  • 基本検査だけでなく、微小欠失など幅広い検査項目
  • 陽性時の羊水検査費用補助(最大15万円)
  • 全国対応のオンラインNIPTサービス

よくある質問

出生前診断は何週から受けられますか?

検査の種類によって異なります。NIPTは妊娠9〜10週から、胎児超音波検査は妊娠10週以降、母体血清マーカー検査は妊娠15〜18週、絨毛検査は妊娠10〜14週、羊水検査は妊娠15週以降から受けることができます。

出生前診断の費用は保険適用されますか?

基本的に出生前診断検査は保険適用外で、全額自己負担となります。絨毛検査や羊水検査は特定の条件下(高齢妊娠、遺伝性疾患の家族歴がある場合など)で一部保険適用される場合がありますが、医療機関によって対応が異なります。また、医療費控除の対象にもならないのでご注意ください。

NIPTの検査精度はどのくらいですか?

NIPTの検査精度は、一般的には感度99%、特異度99%と非常に高いとされています。ただし、あくまでスクリーニング検査であり、陽性の場合は絨毛検査や羊水検査といった確定検査が必要です。ミネルバクリニックでは、偽陰性(陰性でも実は結果が間違っている確率)が0%という高精度の検査を提供しています。

NIPTと従来の検査(母体血清マーカー検査など)の違いは何ですか?

NIPTは母体血中の胎児由来DNAを直接分析するため、従来の検査(母体血清マーカー検査やコンバインド検査など)と比較して精度が非常に高く、偽陽性率が低いという特徴があります。また、妊娠早期(9〜10週以降)から検査可能で、母体や胎児へのリスクがないという利点もあります。ただし、費用は従来の検査より高額になる傾向があります。

遺伝カウンセリングは必ず受ける必要がありますか?

出生前診断、特にNIPTを受ける際には、検査の意義や限界、結果の解釈について正しく理解するために、遺伝カウンセリングを受けることが強く推奨されています。日本産科婦人科学会の指針でも、NIPTを実施する施設では検査前後の遺伝カウンセリングを提供することが求められています。ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医による質の高い遺伝カウンセリングを提供しています。

まとめ

出生前診断の読み方や出生前診断に関する専門用語の解説をしてきましたが参考になりましたか?

妊娠後に受けることになる出生前診断は「しゅっせいぜんしんだん」「しゅっしょうまえしんだん」という読み方で読まれることが多く、どちらも間違いではありません。

出生前診断にはNIPT(読み方:エヌアイピーティー)などの非確定的検査、羊水検査などの確定的検査があり、染色体異常症をどのくらいの確率で検査できるのか、母体と胎児に害を及ぼす可能性はないかなどを必ず理解した上で検査を受けるようにしましょう。

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免責事項

この記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の医学的アドバイスを提供するものではありません。出生前診断に関するご判断は、必ず医療専門家とのカウンセリングを受けた上で行ってください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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