目次
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- ➤ NIPT性別判定の99%という高い精度
- ➤ バニシングツインなど外れる7つの原因
- ➤ 他の検査方法との精度比較
- ➤ 検査可能時期と費用の詳細
- ➤ 性別不一致が発覚した場合の対処法
- ➤ よくある疑問への専門医による回答
NIPTとは?
NIPT(Non-Invasive Prenatal Testing)は、非侵襲的な出生前検査の略称で、妊婦の血液から胎児の遺伝子情報を調べるための先進的な医療検査です。この検査は、妊婦の血液中に胎児のDNAが含まれていることを利用して、胎児の健康状態や遺伝子異常を評価することができます。
NIPTは非侵襲的でリスクが低く、性別判定や染色体異常(ダウン症など)のスクリーニングに用いられます。この検査は、従来の羊水穿刺や絨毛膜検査などよりも安全で正確であるため、多くの妊婦に推奨されています。
NIPTによる性別判定の精度と時期
検査精度(正確性)
胎児の性別判定におけるNIPTの診断精度は非常に高いものです。
NIPTの診断精度は妊娠週数とともに上昇し、以下のような変化を示します:
- • 第6週未満:感度74.5%
- • 妊娠第6週~11週:94.8%
- • 第19週以降:99.0%
ミネルバクリニックのNIPTでは、現在までに性別が判定できなかった症例は5000人に1人未満となっています。
検査可能時期
NIPTの性別判定が外れる可能性と原因
外れる確率
NIPTによる性別判定が間違っている確率は、妊娠10週目以降に検査を行った場合、約1パーセントです。ミネルバクリニックでは、今までに性別判定が外れた人が2人いらっしゃり、確率としては数千人に1人となっています。
両方とも、NIPTでは男の子だったのに実際生まれたら女の子だったケースでした。
外れる主な原因
1. バニシングツイン
バニシングツインとは:
バニシングツイン(Vanishing Twin Syndrome)とは、双子妊娠において、妊娠初期に一方の胎児が自然に消失する現象です。「消える双子」という意味で、医学的には「双胎一児死亡吸収症候群」とも呼ばれます。
発生頻度と特徴:
- • 双子妊娠の約20-30%で発生
- • 妊娠12週未満(特に妊娠8週以前)に多く発生
- • 本人も産婦人科医も気付かないことが多い
- • 近年の超音波技術向上により、より頻繁に発見
2. 低胎児DNA濃度
正確な判定をするために必要な胎児の遺伝物質(セルフリーDNA)が母体の血流に十分含まれていない場合:
妊娠初期:
- • 胎盤からのDNA放出量がまだ少ない
- • 妊娠週数とともに胎児DNA濃度が上昇
母体の肥満の場合:
- • BMI 30以上で胎児DNA濃度の低下リスクが高まる
- • 血液量増加により胎児DNAが希釈される
3. 技術的な制約
- • 高度な遺伝子解析技術の制約
- • 試料の処理ミス
- • 人為的なエラーや試料の混同
4. 性分化疾患
表現型の性が変わってしまう性分化疾患を胎児が持っている可能性:
性分化疾患とは:
卵巣や精巣などの内性器や外性器が典型的な男女の形態ではない先天性疾患です。染色体の性と外見上の性が一致しない場合があります。
XY染色体なのに女性として発達する主な疾患:
- • アンドロゲン不応症候群(AIS):完全型ではXY染色体だが外性器は完全に女性型
- • 5α-還元酵素欠損症:出生時は女性様外性器、思春期に男性化することも
XX染色体なのに男性として発達する疾患:
- • 先天性副腎皮質過形成(CAH):女性胎児のアンドロゲン過剰産生
発生頻度:約4,500人に1人の発生
5. モザイク状態の胎児
モザイク状態とは:
同一個体内に異なる遺伝子型を持つ細胞が混在している状態のことです。
性染色体モザイクの例:
- • 45,X/46,XY:一部の細胞がX染色体のみ、一部がXYの混在
- • 46,XX/46,XY:女性型と男性型の細胞が混在
発生頻度:約1,000~2,000人に1人で発生
6. 母体モザイク
母体モザイクとは:
母体自身が異なる遺伝子構成を持つ細胞を持っている状態です。通常、女性はすべての細胞でXX染色体を持ちますが、稀に母体の一部の細胞にY染色体を含む細胞が存在することがあります。
NIPTへの影響:
- • 母体血液中に母体由来のY染色体DNAが含まれる
- • 発生頻度:約2,000件に1件
7. マイクロキメリズム
マイクロキメリズムとは:
以前の妊娠で男の子を妊娠・出産した場合、その男性胎児由来の細胞が母体内に長期間残存する現象です。これらの細胞は何年も、時には何十年も母体内に存在し続けます。
NIPTへの影響:
- • 現在女の子を妊娠していても、過去の男の子の細胞由来のY染色体DNAが血液中に存在
- • 特に妊娠初期や胎児DNA濃度が低い場合に影響が大きい
他の検査との性別判定比較
超音波検査(エコー)による性別判定
検査時期と精度:
- • 早くて妊娠12週頃から判別の可能性
- • 主に妊娠24週目以降から高精度での判定が可能
- • 精度:95~99%(完全に100%ではない)
- • 間違いが起こる確率:最大5%程度
NIPTで性別がわかる費用
NIPTで性別の判定は可能ですが、施設により対応が異なります。認可施設では性別判定は行っていませんが、認可外施設では多くのクリニックで性別判定に対応しています。
主な費用相場:
認可外施設では、基本的なNIPT検査に性別判定が含まれている場合が多く、費用は施設やプランによって異なります。一般的には15万円~25万円程度の範囲で提供されています。
性別判定が外れた場合の対処法
NIPTで男の子→実際は女の子だった場合
最も考えられる原因:バニシングツイン
対処方法:
- • 多くの場合はバニシングツインが原因で、医学的な問題はありません
- • 出生後に外性器の発達が正常であることを小児科医に確認してもらう
- • 正常な発達であれば、特別な治療や検査は不要です
NIPTで女の子→実際は男の子だった場合
考えられる原因:
- 1. 胎児DNAが不足して誤判定した可能性
- 2. 染色体はXXで女性なのに外性器は男性という性分化疾患の可能性
対処方法:
- • 必ず小児科で精密検査を受けてください
- • 染色体検査により正確な性別を確認
- • 治療方針について専門医と相談
よくあるご質問
NIPTによる性別判定の要点
NIPTによる性別判定は99%の高い精度を持ち、妊娠10週目(当院では6週目)から安全に実施できる検査です。超音波検査よりも早期に、羊水検査や絨毛検査よりも安全に性別を知ることができます。
重要なポイント:
- • 検査精度は99%と非常に高い
- • 妊娠週数とともに精度が向上
- • 外れる確率は約1%(主な原因はバニシングツイン)
- • 他の検査と比較して安全性が高い
- • 早期からの検査が可能
稀にバニシングツインや性分化疾患といった症状が起こる可能性もあるため、NIPTと超音波検査による性別の間違いが起こっても、慌てることなく担当の医師を頼りましょう。
安全かつ高精度の出生前診断をされたい方は、遺伝子検査・新型出生前診断において豊富な実績を持つ「ミネルバクリニック」をご相談ください。
ミネルバクリニックは、遺伝子専門のクリニックとして、NIPTを初めて体験される方にその全てを包み隠さずご説明することができます。妊婦さんが抱える悩みと真剣に向き合い、心から安心できる出生前診断の場を提供いたします。ぜひこの機会にご相談ください。
COATE法採用
最新の次世代NIPT技術により、従来検査の陽性的中率70%台から99.9%を実現。偽陽性を大幅に削減します。
臨床遺伝専門医常駐
非認証施設で唯一、臨床遺伝専門医が常駐。専門医による遺伝カウンセリングを受けられます。
オンライン対応
全国どこからでもオンライン診療で受検可能。地元で採血して結果をお伝えします。
確定検査も自院で
2025年6月より産婦人科を併設し、NIPT陽性時の確定検査(羊水・絨毛検査)をワンストップで対応。
業界最多検査項目
国内最大12か所13疾患の微小欠失症候群、56遺伝子のデノボ変異検査を提供(2025年8月当院調べ)。
24時間サポート
陽性時には24時間体制で手厚いフォロー。不安な時はいつでもご相談いただけます。
? ミネルバクリニックの特徴
患者さん思いの医療を実現!
✓ 臨床遺伝専門医が常駐する非認証施設
✓ 2022年11月より4Dエコーを導入し、NIPT前に当日の胎児の状態を確認
✓ 2025年6月から確定検査(絨毛検査・羊水検査)を自院で実施
✓ より安心してNIPT検査を受けていただける体制を整備
「患者のための医療を実現することを貫いています」
? 参考文献・引用元
- Norwegian Institute of Public Health「Non-invasive prenatal testing (NIPT) for foetal sex determination」
- 日本医学会「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」
- 日本産科婦人科学会「NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)の実施に関する指針」
- 厚生労働省「出生前検査に関する専門委員会報告書」
- American Journal of Obstetrics and Gynecology「Cell-free DNA screening for sex chromosome abnormalities」
- Prenatal Diagnosis「Noninvasive prenatal testing for fetal sex determination: systematic review and meta-analysis」
- 日本人類遺伝学会「遺伝カウンセリングに関するガイドライン」
- International Society for Prenatal Diagnosis「NIPT Position Statement」

