目次
クアトロテストは受けるべき?
確率の見方・費用・後悔しない判断基準を専門医が解説
Q. クアトロテストは受けるべきですか?
A. 費用を抑えたい方には選択肢ですが、精度の限界を理解した上で判断してください。
クアトロテストは費用2〜3万円と安価ですが、結果は「確率」でしか出ず、35歳以上では約40%が偽陽性(実際は陰性なのに陽性と出る)になる限界があります。より確実に知りたい方にはNIPTをお勧めします。
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クアトロテストとは → 母体の血液中の4つのマーカーからダウン症などの「確率」を算出する検査 -
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検査時期 → 妊娠15〜17週(NIPTより遅い) -
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費用 → 約2〜3万円と安価(NIPTは約15〜25万円) -
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精度の限界 → 検出率約80〜83%、偽陽性率約5%(NIPTは検出率99%以上) -
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後悔しないために → 「確率」の意味と限界を理解し、陽性時の次のステップまで考えておく
1. クアトロテストとは?母体血清マーカー検査の基本
【結論】 クアトロテストとは、母体の血液中の4種類のマーカー物質を測定し、ダウン症候群(21トリソミー)・18トリソミー・開放性神経管奇形の「確率」を算出するスクリーニング検査です。
「クアトロテストって何?」「受けた方がいいの?」そんな疑問を抱えてこのページをご覧になっている方も多いでしょう。まずはこの検査の仕組みと特徴を、わかりやすくご説明していきます。
母体血清マーカー検査とは、妊婦さんの血液中に含まれる特定の物質(マーカー)の量を測定し、胎児の染色体異常などのリスクを推定する検査の総称です。測定するマーカーの数によって「トリプルマーカー検査(3種類)」「クアトロテスト(4種類)」と呼ばれます。クアトロテストは「クアトロ=4」を意味し、4種類のマーカーを測定することからこの名前がついています。
クアトロテストで測定する4つのマーカー
クアトロテストでは、以下の4種類の物質を測定します。これらの値と母体年齢・妊娠週数などを組み合わせて、染色体異常の「確率」を計算します。
| マーカー名 | 正式名称 | ダウン症での変化 |
|---|---|---|
| AFP | α-フェトプロテイン | 低下↓ |
| hCG | ヒト絨毛性ゴナドトロピン | 上昇↑ |
| uE3 | 非抱合型エストリオール | 低下↓ |
| InhibinA | インヒビンA | 上昇↑ |
クアトロテストでわかること・わからないこと
⚠️ 重要:クアトロテストの結果は「確率」であり、「陽性・陰性」の確定診断ではありません。「1/100」という結果が出ても、99人は問題ないということです。この「確率」の意味を正しく理解することが非常に重要です。
2. クアトロテストはいつから受けられる?検査時期と流れ
【結論】 クアトロテストは妊娠15週0日〜17週6日に実施可能です。これはNIPT(妊娠10週〜)より遅い時期となります。
「母体血清マーカー検査はいつから受けられるの?」というご質問をよくいただきます。検査には適切な時期があり、早すぎても遅すぎても正確な結果が得られません。
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コンバインド検査:妊娠11〜13週
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クアトロテスト:妊娠15〜17週 → NIPTより5〜7週遅い
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羊水検査(確定診断):妊娠15〜18週
クアトロテストの流れ
| ステップ | 時期 | 内容 |
|---|---|---|
| 1. 説明・同意 | 検査前 | 検査の意義・限界・結果の解釈について説明 |
| 2. 採血 | 妊娠15〜17週 | 母体から約10mlの血液を採取 |
| 3. 検査・分析 | 約1〜2週間 | 4種類のマーカーを測定、確率を計算 |
| 4. 結果説明 | 妊娠17〜19週頃 | 確率として結果を説明、必要に応じて羊水検査を提案 |
⏰ 検査時期が遅いことの影響
クアトロテストは妊娠15〜17週に実施するため、結果が出るのは妊娠17〜19週頃になります。もし陽性で羊水検査を受ける場合、確定診断は妊娠20週以降となり、その後の判断に使える時間が限られます。より早い段階で結果を知りたい方にはNIPT(妊娠10週〜)をお勧めします。
3. クアトロテストの費用と保険適用
【結論】 クアトロテストの費用は約2〜3万円と、NIPTと比較して安価です。ただし保険適用外(自費)であり、陽性時に羊水検査を受ける場合は追加費用がかかります。
「クアトロテストの費用はいくら?」「保険は使えるの?」費用面は検査を検討する際の重要なポイントですね。各検査の費用を比較してみましょう。
| 検査名 | 費用目安 | 保険適用 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| クアトロテスト | 約2〜3万円 | なし | 安価だが精度に限界 |
| NIPT | 約15〜25万円 | なし | 高精度、早期検査可能 |
| 羊水検査 | 約10〜20万円 | なし | 確定診断、流産リスクあり |
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偽陽性の問題:クアトロテストは偽陽性率が高いため、実際は問題ないのに羊水検査まで進むケースが多い
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トータルコスト:「安いから」とクアトロテストを選んだ結果、不要な羊水検査まで受けて総額がNIPTより高くなるケースも
🩺 院長コラム【「安いから」で検査を選ばないでください】
クアトロテストは確かに費用が安いのですが、私は「安いから」という理由だけで検査を選ぶことはお勧めしません。なぜなら、クアトロテストで「陽性(確率が高い)」と出た場合、次に羊水検査を受けることになります。羊水検査には約1/300の流産リスクがあり、また追加の費用もかかります。
クアトロテストは偽陽性が多いため、実際は何の問題もないのに「陽性」と出て、不要な羊水検査を受けることになる妊婦さんが少なくありません。その心理的負担と流産リスクを考えると、最初からNIPTを受けた方が結果的に安心できるケースが多いのです。
検査を選ぶ際は、費用だけでなく「精度」「検査時期」「陽性時の次のステップ」まで含めて総合的に判断してください。
4. クアトロテストの結果の見方|確率の正しい解釈
【結論】 クアトロテストの結果は「1/○○」という確率で表されます。一般的に「1/295以上」をスクリーニング陽性(要精密検査)、「1/296以下」を陰性とする基準が用いられます。
「結果が1/150って言われたけど、どういう意味?」「陽性と言われたら赤ちゃんは本当にダウン症なの?」結果の解釈は非常に重要です。正しく理解しないと、不要な不安を抱えることになります。
例えば結果が「1/100」の場合、これは「100人中1人がダウン症である可能性がある」という意味です。言い換えれば、「100人中99人は問題ない」ということでもあります。この確率は「陽性・陰性」の確定診断ではなく、あくまで「可能性の高さ」を示す数字です。
結果の判定基準
| 結果 | 判定 | 意味 | 次のステップ |
|---|---|---|---|
| 1/295以上 (例:1/100) |
スクリーニング陽性 | 確率が高め | 羊水検査による確定診断を推奨 |
| 1/296以下 (例:1/1000) |
スクリーニング陰性 | 確率が低め | 追加検査は通常不要 |
年齢別の陽性率(偽陽性の問題)
ここで非常に重要なポイントがあります。クアトロテストは母体年齢が高いほど「陽性」と出やすい傾向があります。これは、年齢とともにダウン症の発生率が上がることを計算に反映しているためです。
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35歳以上の妊婦さん:約15〜20%が「陽性」と判定される
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しかし実際にダウン症である確率:陽性者のうち約2〜3%程度
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つまり:「陽性」と言われた人の約97〜98%は実際には問題ない(偽陽性)
💡 陽性的中率(PPV)とは
「検査で陽性と出た人のうち、実際に疾患がある人の割合」を陽性的中率(PPV)といいます。クアトロテストの陽性的中率は約2〜3%と低く、NIPTの陽性的中率(約80〜95%)と比べると大きな差があります。これが「クアトロテストで陽性でも、羊水検査をしたら陰性だった」というケースが多い理由です。
5. クアトロテストのメリット・デメリット
【結論】 クアトロテストの最大のメリットは費用の安さと採血のみで流産リスクがないこと。デメリットは精度の限界(偽陽性・偽陰性)と検査時期が遅いことです。
✓ メリット
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費用が安い(約2〜3万円)
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採血のみで流産リスクがない
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多くの医療機関で受けられる
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開放性神経管奇形も検査できる
✗ デメリット
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検出率が低い(約80〜83%)
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偽陽性率が高い(約5%)
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検査時期が遅い(妊娠15〜17週)
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結果は「確率」のみで確定診断ではない
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13トリソミーは検査できない
検査選びで迷っていませんか?
クアトロテストとNIPT、どちらを選ぶべきか。
臨床遺伝専門医と直接お話しすることで、あなたに最適な選択がわかります。
※オンライン診療も対応可能です
6. クアトロテストとNIPTの違い|どちらを選ぶべき?
【結論】 精度を重視するならNIPT、費用を最優先するならクアトロテストという選択になります。ただし、クアトロテストで陽性だった場合のトータルコストと精神的負担を考えると、多くの方にはNIPTをお勧めします。
「クアトロテストとNIPTの違いは?」「どちらを受けるべき?」この疑問は非常に多くの妊婦さんが抱えています。両者を詳しく比較してみましょう。
| 比較項目 | クアトロテスト | NIPT |
|---|---|---|
| 検査時期 | 妊娠15〜17週 | 妊娠10週〜 |
| ダウン症検出率 | 約80〜83% | 99%以上 |
| 偽陽性率 | 約5% | 約0.1%以下 |
| 費用 | 約2〜3万円 | 約15〜25万円 |
| 検査対象 | 21・18トリソミー、神経管奇形 | 21・18・13トリソミー +性染色体、微細欠失等 |
| 結果の形式 | 確率(1/○○) | 陽性/陰性/判定保留 |
| 陽性的中率(PPV) | 約2〜3% | 約80〜95% |
こんな方にはNIPTがお勧め
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できるだけ早く結果を知りたい方
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精度の高い検査を希望する方
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35歳以上の方(クアトロテストでは偽陽性が増える)
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13トリソミーや性染色体異常も調べたい方
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「陽性」と言われた後の不安を最小限にしたい方
⚠️ 重要な視点:クアトロテストの検出率は約80〜83%ですが、これは「実際にダウン症の赤ちゃんの約17〜20%は見逃される」ということを意味します。NIPTの検出率は99%以上で、見逃しは1%未満です。この差は非常に大きいと言えます。
7. クアトロテストを受けて後悔しないために
【結論】 クアトロテストで後悔しないためには、「確率」という結果の意味を正しく理解し、陽性だった場合の次のステップまで事前に考えておくことが重要です。
「クアトロテストを受けて後悔した」という声を聞くことがあります。その多くは、検査の限界を理解しないまま受けてしまったケースです。後悔しないために、以下のポイントを確認しておきましょう。
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1
「陽性」の意味を誤解:陽性=確定と思い込み、結果を聞いた瞬間にパニックになる
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2
偽陽性の現実を知らなかった:羊水検査で「陰性」と判明し、「無駄な心配をした」と後悔
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3
陰性でも100%安心ではない:「陰性」だったのに出生後にダウン症と判明(偽陰性)
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4
次のステップを考えていなかった:陽性後に羊水検査を受けるか迷い、時間だけが過ぎる
検査前に確認しておくべきこと
✓ 検査の限界を理解する
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結果は「確率」であり確定ではない
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検出率は約80〜83%(見逃しがある)
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偽陽性率は約5%(陽性でも問題ないケースが多い)
✓ 陽性だった場合を想定する
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羊水検査を受けるかどうか
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羊水検査の流産リスク(約1/300)
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確定診断後の選択肢と心の準備
🩺 院長コラム【検査前の十分な理解が「後悔しない」秘訣】
出生前診断で後悔される方のほとんどは、検査の意味を十分に理解しないまま受けてしまったケースです。私のクリニックでは、検査前にお一人あたり1.5時間の枠をお取りし、検査の意味、結果の解釈、陽性だった場合の選択肢など、すべてご理解いただいた上で検査を受けていただけます。
クアトロテストを選ぶにしても、NIPTを選ぶにしても、「なぜこの検査を受けるのか」「結果が出たらどうするのか」を事前に考えておくことが大切です。臨床遺伝専門医として丁寧にご説明しますので、不安なまま検査を受けることはありません。
出生前診断は、基本的には自立して生活することに支障が出るレベルの重篤な疾患を対象としています。検査を受けるかどうかも含めて、ご自身とご家族でよく話し合ってからお越しください。
8. ミネルバクリニックのNIPT|検査選びで失敗しないために
ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医の専門性を活かした診療体制を整えています。出生前診断をお考えの方に、検査選びで失敗しないためのポイントをお伝えします。
NIPT施設選びで失敗しないために
NIPTを提供する施設は数多くありますが、「安さ」や「手軽さ」だけで選ぶと、陽性時に途方に暮れることがあります。以下のポイントを確認してください。
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遺伝専門医が在籍しているか:結果の解釈や今後の選択肢を専門的に説明できる医師がいるか
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陽性時のフォロー体制:確定検査(羊水検査)の紹介や心理的サポートがあるか
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遺伝カウンセリング:検査前後に十分な説明とカウンセリングが受けられるか
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検査の精度:どの検査会社の技術を使っているか、精度のエビデンスがあるか
ミネルバクリニックの特徴
🏥 院内で確定検査まで対応
2025年6月より産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査も院内で実施可能に。転院の必要がなく、心理的負担を軽減できます。
👩⚕️ 臨床遺伝専門医が常駐
臨床遺伝専門医が検査前後の遺伝カウンセリングを担当。結果の説明から今後の選択肢まで、専門家が寄り添います。
💰 互助会で費用面も安心
互助会(8,000円)に加入いただくと、陽性時の確定検査(羊水検査)費用を全額カバー。上限なしで安心です。
💡 検査費用に含まれる遺伝カウンセリング
当院の検査費用には遺伝カウンセリング料金33,000円が内包されています。これは当日の説明費用だけでなく、陽性になった時に何度でもカウンセリングを受けられる権利、妊娠経過中に心配なことがあってもいつでも相談できる環境を含んでいます。「お金がかかるから相談しにくい」ということがないよう、安心して日常生活を送れるような配慮をしています。
一人で悩まず、専門医を頼ってください
クアトロテストを受けるかNIPTにするか、迷いがあるなら
臨床遺伝専門医と直接お話ししてから決めてください。
※オンライン診療も対応可能です
よくある質問(FAQ)
🏥 一人で悩まないでください
出生前診断について心配なこと、検査選びで迷っていること、
どんなことでもお気軽にご相談ください。
臨床遺伝専門医があなたとご家族に寄り添います。
参考文献
- [1] Wald NJ, et al. First and second trimester antenatal screening for Down’s syndrome: the results of the Serum, Urine and Ultrasound Screening Study (SURUSS). Health Technol Assess. 2003;7(11):1-77. [PubMed]
- [2] Malone FD, et al. First-trimester or second-trimester screening, or both, for Down’s syndrome. N Engl J Med. 2005;353(19):2001-2011. [PubMed]
- [3] Gil MM, et al. Analysis of cell-free DNA in maternal blood in screening for fetal aneuploidies: updated meta-analysis. Ultrasound Obstet Gynecol. 2017;50(3):302-314. [PubMed]
- [4] American College of Obstetricians and Gynecologists. Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities. Practice Bulletin No. 226. Obstet Gynecol. 2020;136(4):e48-e69. [ACOG]
- [5] Society for Maternal-Fetal Medicine. SMFM Statement: Maternal serum screening. Am J Obstet Gynecol. 2016;215(5):B21-B27. [SMFM]
- [6] International Society for Prenatal Diagnosis. Position Statement from the Chromosome Abnormality Screening Committee. [ISPD]
- [7] UK National Screening Committee. Fetal Anomaly Screening Programme Standards. [NHS]
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- [9] 日本産科婦人科学会. 出生前に行われる遺伝学的検査および診断に関する見解. [日本産科婦人科学会]
- [10] 厚生労働省. NIPT等の出生前検査に関する専門委員会報告書. [厚生労働省]


