目次
クアトロテストとは?NIPT検査との違い・費用・結果の見方を遺伝専門医が解説
Q. クアトロテストの検査結果「1/300」などは、どれくらい信用できますか?
A. あくまで「確率」であり、白黒はっきりしません。
クアトロテストは非確定的検査であり、検査結果は「確率」でしか出ません。また、妊婦さんの年齢が高いほど偽陽性(異常がないのに陽性と出る)が増える傾向があります。「安さ」だけで選んでしまい、曖昧な検査結果に妊娠中ずっと怯えることになるケースが後を絶ちません。確実な安心を求めるなら、より精度の高いNIPT検査(特にCOATE法を用いた次世代検査)が第一選択となります。
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クアトロテストとは何か・その限界 → 費用は安いが、感度はNIPT検査に劣る現実。妊娠15週からの検査方法で出産前に十分間に合うのか? -
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検査結果の解釈と確率のカラクリ → 35歳以上だとなぜ陽性になりやすい?カットオフ値(1/295)の意味を正しく理解。 -
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妊娠中に調べられる病気の数 → クアトロテストで調べられるのは3疾患。他のNIPT検査なら全染色体・微細欠失・精子の新生突然変異まで。 -
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ミネルバの解決策 → 偽陰性ゼロの実績(第3世代)と、次世代NIPT「ダイヤモンドプラン(COATE法)」を案内。 -
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安心の保証制度 → 羊水検査費用を全額カバーする互助会と、産婦人科併設による院内完結体制。
1. クアトロテスト(母体血清マーカー検査)とは?確率しか出ない検査の現実
「妊娠中のお腹の赤ちゃんに病気がないか調べたい…」「でも羊水検査は怖いし、まずは安い検査から試してみようかな」——そんな気持ちで出生前診断としてクアトロテストを検討されている妊婦さんも多いのではないでしょうか。
その不安、とてもよくわかります。出産を前にして、「もし何かあったら…」と夜も眠れない日が続いている方も少なくありません。だからこそ、検査を受ける前にその仕組みと限界を十分に理解していただきたいのです。
臨床遺伝専門医として、まず最初に説明しておきたいことがあります。
クアトロテストの検査結果は「確率」でしか出ません。「病気がある」「ない」と白黒はっきりつけることはできないのです。
「1/300」や「1/1000」といった数字を突きつけられ、「これって安心してもいいの?」「それとも危険なの?」と、かえって不安の迷路に迷い込んでしまう妊婦さんが後を絶ちません。それぞれの検査方法を比較して、ご自身にとって本当に必要な検査を選んでいただければと思います。ご希望の方は、当院へのお問い合わせや電話でのご相談も承っております。
クアトロテストとは何か・検査方法と仕組み
クアトロテストとは、妊婦さんの血液中に含まれる胎児や胎盤由来の4つの成分(AFP・hCG・uE3・Inhibin A)を測定し、その値と「母体の年齢」などを掛け合わせて、赤ちゃんが対象疾患を持っている確率を算出するスクリーニング検査です。採血によって血液を採取し、検査会社で分析を行います。
💡 用語解説:スクリーニング検査とは?
「振り分け検査」とも呼ばれ、病気の可能性が高い人と低い人を分けるための検査方法です。確実に病気があるかないかを診断する「確定検査」とは異なり、あくまで「可能性の目安」を示すものです。クアトロテストで陽性が出ても、実際に赤ちゃんに染色体異常があるとは限りません(偽陽性)。逆に、陰性でも見逃しがある可能性があります(偽陰性)。検査結果の解釈には十分な注意が必要です。
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いつから受けられる?(検査時期)
妊娠15週0日〜18週頃まで(推奨は15〜16週)。
※NIPT検査(妊娠9〜10週から可能)に比べて時期が遅く、検査結果が出る頃には妊娠中期に入っているため、次の判断までの時間が限られます。 -
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調べられる病気(対象疾患)
21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、開放性神経管奇形(二分脊椎など)の3疾患のみ。
※13トリソミーや性染色体異常、微細欠失(染色体の微細な欠け)など他の疾患はわかりません。 -
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検査方法
妊婦さんから約10ml程度の血液を採取(採血)し、検査会社で4つの成分を測定します。
検査結果が出るまでの日数は約10日〜2週間程度です。 -
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費用の目安
約2万〜3万円前後。
NIPT検査に比べて安価ですが、確定診断(羊水検査)が必要になった場合の費用は含まれていないことがほとんどです。
クアトロテストで調べる4つの成分とは?
クアトロテストでは、以下の4つの成分をそれぞれ測定し、それらの値を総合的に計算して確率を算出します。この検査方法の仕組みについて説明します。
| 成分名 | 由来・役割 | 異常時の変化 |
|---|---|---|
| AFP(α-フェトプロテイン) | 胎児の肝臓で作られるタンパク質 | 開放性神経管奇形で上昇 |
| hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン) | 胎盤から分泌されるホルモン | ダウン症で上昇 |
| uE3(非抱合型エストリオール) | 胎児・胎盤由来のホルモン | ダウン症・18トリソミーで低下 |
| Inhibin A(インヒビンA) | 胎盤から分泌されるホルモン | ダウン症で上昇 |
これらの値は妊娠週数によって変化するため、正確な妊娠週数の計算が重要です。また、妊婦さんの体重や糖尿病の既往歴なども確率の計算に影響します。
2. 【重要】クアトロテストの「検査結果」と「確率」の正しい解釈・見方
「検査結果が出たけど、この数字はどう読めばいいの?」——そんな戸惑いの声を診療の現場でよく耳にします。ここが最も重要なポイントですので、しっかり理解していただきたいと思います。検査結果の解釈の方法について説明します。
クアトロテストの検査結果用紙には「陽性(スクリーンポジティブ)」や「陰性(スクリーンネガティブ)」と書かれていますが、その基準は非常に曖昧なものです。
カットオフ値「1/295」の意味と解釈
多くの検査機関では、ダウン症候群の確率の基準値(カットオフ値)を1/295に設定しています。これは、「35歳の妊婦さんがダウン症候群の赤ちゃんを妊娠している確率」とほぼ同じ数字です。[1]
- ✅ 確率が 1/295 より高い(例:1/100) ➡ 陽性(スクリーンポジティブ)
- ✅ 確率が 1/295 より低い(例:1/1000) ➡ 陰性(スクリーンネガティブ)
しかし、よく考えてみてください。1/300なら安心で、1/290なら危険なのでしょうか?
「1/300」という検査結果は、「あなたと同じ条件の妊婦さんが300人いたら、そのうち1人は赤ちゃんがダウン症候群です」という意味です。逆に言えば、299人はダウン症候群ではありません。
陽性と判定されても、実際には9割以上の確率で赤ちゃんは染色体異常を持っていない(偽陽性)ということが頻繁に起こります。この点を多くの妊婦さんが誤解されています。検査結果の解釈には十分な注意が必要です。
高齢妊娠だと「年齢だけ」で陽性になりやすい
クアトロテストの計算式には「母体年齢」が大きく影響します。35歳以上の方、特に40歳以上の方は、血液検査の数値が正常範囲内であっても、年齢という係数が掛け合わされることで、自動的に「陽性(高リスク)」と判定されやすくなります。[2]
⚠️ 年齢別の陽性率
- 35歳未満:約5%が陽性になる
- 35〜39歳:約18%が陽性になる
- 40歳以上:約40%が陽性になる
つまり、40歳以上の妊婦さんの約3人に1人以上が「陽性」と判定されてしまうのです。
⚠️ ここに注意:偽陰性(見逃し)のリスク
逆に、若い妊婦さんの場合、実際には赤ちゃんに染色体異常があっても、年齢の係数が低いために「陰性」と出てしまう(偽陰性:見逃し)リスクがあります。クアトロテストの感度(発見率)はダウン症候群で約80〜86%程度と報告されており、100人中約15〜20人の見逃しがあるのが現状です。[3]
👩⚕️ 臨床遺伝専門医としての経験から
以前は、クアトロテストで「年齢よりも確率が高い」と判定され、不安を抱えて当院にNIPT検査を受けに来られる方が多くいらっしゃいました。しかし、そうした方々がNIPT検査で実際に21トリソミー陽性となったケースは、私の経験ではほとんどありません。クアトロテストの「陽性」は、あくまで年齢係数を含めた確率計算の結果であり、実際の染色体異常の有無とは異なることが多いのです。この現実を知っていただくことで、少しでも不安が和らげば幸いです。
3. 妊娠中の出生前診断スケジュール
「いつ、どの検査を受ければいいの?」という疑問をお持ちの方も多いでしょう。妊娠中に受けられる出生前診断には、それぞれ適切な時期があります。以下のスケジュールを参考にしてください。検査方法の選択や時期について、ご希望があれば電話でのご相談も承っています。
| 妊娠週数 | 実施できる検査 | 備考 |
|---|---|---|
| 6〜9週 | 早期NIPT検査(臨床研究) | ミネルバクリニックで実施可能。中期中絶を回避したい方向け |
| 9〜10週〜 | NIPT検査(新型出生前診断) | 感度99.9%以上。早い時期から受検可能 |
| 11〜13週 | コンバインド検査(NT+血清マーカー) | 超音波と血液検査の組み合わせ |
| 15〜18週 | クアトロテスト(母体血清マーカー検査) | 感度約80%。検査結果が出るまで約2週間 |
| 15〜18週 | 羊水検査(確定検査) | 確定診断。わずかに流産リスクあり |
「とりあえず安いクアトロを受けて、陽性だったらNIPT検査を受けよう」と考える方もいますが、これはお勧めしません。クアトロの検査結果が出る頃には妊娠17〜18週になっており、そこからNIPT検査を受ける時間的余裕がないからです。
👩⚕️ 専門医からのアドバイス
出産前の限られた時間の中で、最初から精度の高い検査方法を選ぶことが結果として一番の安心につながります。「安いから」とクアトロテストを受け、陽性が出てパニックになり、結局高い費用を払って羊水検査を受ける…という方を数多く見てきました。これは精神的にも金銭的にも二重の負担です。十分ご検討ください。
4. クアトロテストとNIPT検査(新型出生前診断)の決定的な違い
現代の出生前診断において、精度・情報量ともにNIPT検査がクアトロテストより高い性能を示しています。それぞれの検査方法を比較してみましょう。
| 比較項目 | クアトロテスト | NIPT検査(ミネルバ) |
|---|---|---|
| 検査時期 | 妊娠15週〜 | 妊娠9週〜(早期なら6週〜) |
| 感度(発見率) | 約80〜86%(見逃しあり) | 99.9%以上 |
| 検査結果の出方 | 確率(例:1/300) | 陽性 / 陰性(明確) |
| 調べられる病気 | 21・18トリソミー 開放性神経管奇形 (3疾患のみ) |
6種のトリソミー、性染色体、 微細欠失(12か所13疾患)、 単一遺伝子疾患(56遺伝子) |
| 確定検査費用 | 自己負担(約15〜20万円) | 全額カバー(互助会) |
| 検査結果までの期間 | 約10日〜2週間 | 約10日前後 |
5. ミネルバクリニックの「COATE法」による次世代NIPT検査
ミネルバクリニックは、臨床遺伝専門医が遺伝子検査を提供するために開業した日本初のクリニックです。その高い専門性に基づいて、厳しい目で世界中から検査方法を選び、皆さんに提供しています。
現在提供しているのが「スーパーNIPT(第3世代)」と、さらに進化した「ダイヤモンドプラン(次世代NIPT検査)」です。当院の第3世代NIPTでは、これまで偽陰性は報告されておりません。ご希望の方への案内も行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
💡 用語解説:COATE法とは?
SNP法(個体識別技術)とターゲット法(特定領域を深く読み込む技術)を融合させた、米国4大遺伝子検査会社が開発した次世代のNIPT検査技術です。ターゲット領域を増幅させて深く読み込みつつ、SNP解析で母体と胎児のDNAを正確に区別することで、従来法では困難だった微細欠失の検出精度を飛躍的に向上させました。
ダイヤモンドプラン(COATE法)で調べられること
当院のダイヤモンドプランは、米国4大遺伝子検査会社の一角が検査を責任持って担当します。以下の項目をそれぞれ高精度で調べることが可能です。
トリソミー検査(6種類)
13・15・16・18・21・22トリソミー
※クアトロテストは2種類のみ
性染色体異常(4種類)
45,X(ターナー症候群)
47,XXX / 47,XXY / 47,XYY
単一遺伝子疾患(56遺伝子)
精子の新生突然変異による30以上の疾患
陽性的中率:>99.9%
父親由来の精子の新生突然変異もカバー
💡 用語解説:新生突然変異(デノボ変異)とは?
親から遺伝したものではなく、精子や卵子ができる過程で新たに発生する遺伝子の変異(コピーミス)のことです。父親の加齢とともに精子に蓄積されやすく、父親の年齢が1歳上がるごとに約2個の変異が増えることが報告されています。[4]
ダイヤモンドプランでは、父親の加齢とともに精子に蓄積される新生突然変異も検査可能です。これらには、重い知的障害を伴う「症候性自閉症」の原因となる56の遺伝子が含まれています。
⚠️ 症候性自閉症とは?
特定の遺伝子変異や微細欠失が原因で起こる自閉症で、身体的な特徴や合併症を伴うタイプです。一般的な自閉症(非症候性)と比べて、重い知的障害を伴うことが多いのが特徴です。脆弱X症候群やレット症候群などが代表的な疾患として知られており、専門的な治療やサポートが必要となります。[5]
📊 ミネルバクリニックの実績データ
- 56疾患の積算リスク:一般的には1/600
- 当院の陽性者:約1/60人(ダウン症並みの頻度)
- ダウン症(一般):1/700
- 当院のダウン症陽性者:約1/70人
※当院は高精度な検査を希望される方が多いため、陽性率が一般より高い傾向にあります。
6. 「陽性」だった場合の確定検査と互助会制度
クアトロテストでもNIPT検査でも、「陽性」の検査結果が出た場合は、羊水検査などの確定検査を受けることが推奨されます。しかし、この確定検査の費用は一般的に15〜20万円と高額です。
当院では、この経済的不安を解消するため、互助会(カトレア会)制度を設けています。
🏥 互助会(カトレア会)のメリット
- 陽性の場合、羊水検査費用を全額カバー
- 産婦人科併設なので院内で確定検査が完結
- 他院からの紹介状不要
- 検査から検査結果の説明まで臨床遺伝専門医が一貫して対応
「陽性」の検査結果を告げられた妊婦さんは、非常に大きな不安を抱えています。そんな時に他の病院を探して紹介状をもらい、初めての場所で確定検査を受けるというのは、精神的にも肉体的にも大きな負担です。
当院では、2025年6月から産婦人科を併設しました。これにより、NIPT検査から確定検査まで、すべて同じ院内で、同じ専門医のもとで完結できる体制が整っています。
7. よくある質問(FAQ)
🏥 臨床遺伝専門医へのご相談
ネットの情報に疲れたら、一人で抱え込まないでください。
あなたと赤ちゃんを守るための準備を、一緒に始めましょう。
お電話でのご相談・案内も承っております。
参考文献
- [1] 出生前検査認証制度等運営委員会「母体血清マーカー検査とは」jams-prenatal.jp/testing/maternal-serum-screening/
- [2] ラボコープジャパン「クアトロテスト™(母体血清マーカー検査)」www.labcorp.co.jp/general/quattro01.html
- [3] Malone FD, et al. First-trimester or second-trimester screening, or both, for Down’s syndrome. N Engl J Med. 2005;353:2001-2011. [PubMed]
- [4] Kong A, et al. Rate of de novo mutations and the importance of father’s age to disease risk. Nature. 2012;488(7412):471-475. [PubMed]
- [5] Maenner MJ, et al. Prevalence and Characteristics of Autism Spectrum Disorder Among Children. MMWR Surveill Summ. 2023. [CDC]
- [6] ACOG Practice Bulletin No. 226: Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities. Obstet Gynecol. 2020. [ACOG]
- [7] 日本産科婦人科学会「出生前に行われる遺伝学的検査および診断に関する見解」[日本産科婦人科学会]
- [8] ミネルバクリニック「互助会(カトレア会)について」[公式サイト]
- [9] ミネルバクリニック「ダイヤモンドプランについて」[公式サイト]

