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NIPTコンソーシアムの問題点|ジーンテックの寡占性

NIPTコンソーシアムの問題点はたくさんあります。

NIPTコンソーシアムとは

www.nipt.jp/
こちらがNIPTコンソーシアムのホームページです。
そこから引用します。

■NIPTコンソーシアムの使命
・ 新しい出生前検査であるNIPTを国内に導入するに当たり、適切な遺伝カウンセリングによって情報提供できる検査体制を構築するためのコンセンサス形成の主体となる。
・一般社会、及び医師・遺伝カウンセラーに向けてNIPTについての正確な知識・情報を発信する。

■NIPTコンソーシアムの活動
・臨床研究の実施(NIPTに関する遺伝カウンセリングの実施とその評価)
・適切な周産期の遺伝カウンセリング体制構築への提言をする
・ NIPT実施状況を把握し、その転帰を含めた実態を公表する
・ 医師・遺伝カウンセラーへのNIPTについての情報提供などを行う
・一般社会に向けて出生前検査についての情報を発信する

と記載されています。

しかし、このページには About Us に匹敵するものが一切ありません。
誰がいつ何の目的でこれを組織し、何をしようとしている団体なのかが全く分からないです。

NIPTが始まる前年の全国遺伝子診療部門連絡会議の様子

NIPTコンソーシアムを作った一人である国立成育医療研究センターの佐合氏が、毎年の人類遺伝学会の最終日の午後から行われる全国遺伝子診療部門連絡会議の場でNIPTを日本で始めることを報告しました。
そこで問題として会場から声が上がったことは、まずは、日本の会社ではない、つまりアメリカの会社に出す、ということでしたが、NIPTはアメリカの4つの会社(ナテラ、ベリナタ、アリオサ、シーケノム)が同時期に上市したにもかかわらず、日本からはシーケノム1社に検体が提出されるという点でした。なぜシーケノムなのか?という問いに対して佐合氏は、技術が良いのだ、に集約される返答をしました。ところが、たとえばヘパリンを注射している妊婦さんたちで問題になるのは基本的にはシーケノムの検査で、ほかの検査会社は特にヘパリンの影響を受けるとは考えていない、など別にシーケノム1社が特段優れているわけではないのにどうしてなのか、という疑問はぬぐえませんでした。
このときの全国遺伝子診療部門連絡会議にわたしは出席していたので、これは伝聞ではありません。

日本からの検体の提出ルートの謎

シーケノムには日本支社があります。シーケノムジャパンといいます。
ところが、NIPTコンソーシアムは傘下の施設の検体を、シーケノムジャパンではなく、ジーンテックという会社を通して提出しました。
シーケノムジャパンに問い合わせましたが、なぜ日本支社を通さない形になっているのかも全く分からないそうです。
臨床研究という形でありながら、どこの会社にどういうルートで提出されるかという情報が成育医療研究センターの倫理審査委員会に提出された形跡はありません。
通常、検査を出す会社や提出するルートなどはすべて倫理審査委員会に提出されるものです。

シーケノム(ジーンテック)のNIPT寡占問題

日本にNIPTを導入する時からすでに、シーケノム1社にしか出せないのはおかしいという指摘がたくさん出ていたため、翌年からはいろんな会社が参入出来るようになりました。
ところが
www.genetech.co.jp/concerned/about/
ジーンテックのHPには
genetech
約9割のNIPTコンソーシアムからの検体を受け入れてきた実績が記載されています。
NIPTが導入されたのが2013年。
2014年からはいろんな会社が参入できるようになったにもかかわらず、相変わらずシーケノム(ジーンテック)が9割を占める寡占性を呈しています。
いったいどういうことでしょうか?
通常ならば、多くの企業が参入するとシェアは下がるものです。
最初の100%からすると下がっているのでしょうが、7年たった今でも9割を高らかに誇るというのは異常事態でしょう。
公正取引委員会は、NIPTコンソーシアムとジーンテックの関係に是非目を向けていただきたいものだと感じています。

NIPT施設認定する委員会の問題点

前段

2017年夏頃から日産婦から「NIPTを一般臨床にする」という方針が流れてきました。理由はセムクリニックの存在です。
セムクリニックの奥野氏は、無認可でNIPTを提供して行列ができるクリニックになっていました。
他にも数人NIPTを勝手に提供している医師たちはいたのですが、日産婦の呼び出しに応じて中止したそうです。
ところが、セムクリニックの奥野氏は、呼び出しに応じず退会しました。
学会というのは退会されてしまうと何の処分もできない存在です。
セムクリニック憎し。日産婦はセムクリニックに対抗するため、研究という枠組みを外し、一般臨床にして開業医たちに扱わせようとしたのです。
ちなみに、なぜこんな風に規制しなければならなかったのかということについては、産婦人科医会を外すため、ということでした。
つまり、産婦人科医会(医会)はもともと中絶医師たちの集まりでスタートしていて、優性思想に傾いた人たちであり、そうした開業医たちでNIPTののち安易に中絶が起こることを危惧したようです。NIPTがはじまったころの理事長は小西先生で、非常にバランスの取れたお考えの方でした。

久具部会

日本医学会の遺伝子社会健康検討委員会の下部組織である施設認定部会は、形式上日本産科婦人科学会の中にありました。
日本医学会会長(当時高久史麿氏)と日本産科婦人科学会理事長(当時小西氏)の間で覚書が交わされ、日産婦が運営するが委員は医学会から任命する決まりとなっていました。
ところが、日本医学会が日産婦の言うとおりにならないことにいら立った日産婦は、藤井理事長(東京大学)時代に、「事務員がやめてしまって続けられなくて審査作業を1年あまり中止している」、「お金を出してほしい」という要求をしてきました。
しかし、NIPTが始まる前に医学会会長の高久史麿先生と日本産科婦人科学会理事長の小西氏との間で交わされた覚書が存在しました。
これはお互いの公印を押してあるという法的にも有効なもので、その中には事務費用は日本産科婦人科学会が出すことが明記されていたそうです。
理事長が交代して、そういうことがわからなかった藤井氏はどう感じたのでしょうか。通常そうした覚書は両者で保管してあるはずなので、たとえ理事長が交代したとしても理事長にわかるように日産婦事務局が説明するのが組織というものです。
しかし、こんな大事な覚書の存在すら理事長が変わるとわからなくなってしまう日本産科婦人科学会の事務能力の低さは様々な問題の根源的原因を提供しています。
そして、日産婦は勝手に施設認定部会(都立墨東病院の久具先生がトップなので久具部会)を解散したと通告してきたそうです。
下部組織が自ら解散するという組織的なありえなさは日本産科婦人科学会の異常ぶりを示しています。

勝手に久具部会

日本産科婦人科学会は旧久具部会を今後は日本産科婦人科学会が運営する、と通告して勝手に行ったそうです。
そしてたまっていたNIPT施設認定申請を片付けたそうなのですが。
この中に、落ちてしまった施設がありました。
そして、その施設のNIPT契約施設はジーンテックではない会社でした。
ジーンテックじゃないから落ちたんじゃないか?という疑問がわきます。

仮説

ここで皆さまお気づきになられると思いますが、私の頭の中にも一つ仮説が成り立ちます。
日本産科婦人科学会は旧久具部会をのっとり、牛耳ってNIPTの施設認定をし、ジーンテックの寡占性が続くことに手を貸しているのではないかということです。
これはあくまでも仮説です。
しかし、NIPTが利権と化している現状を鑑みると、ただの仮説であるとも言いきるのも難しい気がします。

悪魔の証明

ないものをないと証明するのは悪魔の証明と申します。
日本産科婦人科学会ならびにNIPTコンソーシアムはこうした点に自らメスを入れて清浄化し、出生前診断を扱うにふさわしい倫理的思考力を身に着けていただきたいものだと真剣に感じる次第です。

この記事をかくにあたり

いろんな方々から情報収集をしていますが、わたしは当事者ではないので、自分が会場にいた、と明記している部分以外は伝聞であることに注意してください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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