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ダウン症を2回連続妊娠する原因と再発リスク|東京・ミネルバクリニック

ダウン症を2回連続妊娠する原因と再発リスク|東京・ミネルバクリニック

ダウン症を2回連続妊娠する原因と再発リスク
臨床遺伝専門医が詳しく解説

この記事でわかること
📖 読了時間:約15分
🩺 染色体異常・反復妊娠
臨床遺伝専門医監修

Q. ダウン症を2回連続で妊娠することはありますか?原因は何ですか?

A. はい、稀ですが実際に報告されています。
一般的な再発リスクは1〜2%程度ですが、性腺モザイクロバートソン転座がある場合は、再発リスクが20〜50%、時に100%まで上昇することがあります。通常の血液検査では見つからないことが多く、専門的な検査が必要です。


  • 一般的な再発リスク → 母体年齢リスク+約1%(1%ルール)

  • 性腺モザイクがある場合20〜50%と大幅に上昇

  • 21番同士の転座保因者ほぼ100%が21トリソミーに

  • 通常の血液検査性腺モザイクは検出困難、FISH法など専門検査が必要

  • 次の妊娠への対策NIPT羊水検査、PGT-Aなど

\ 反復リスクの評価は臨床遺伝専門医へ /


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1. ダウン症の再発リスク|「1%ルール」の真実

【結論】 一度ダウン症児を妊娠した場合の再発リスクは、一般的に母体年齢リスク+約1%とされています。しかし、35歳未満で2回以上連続して発生した場合は、「1%」という数字は意味をなさず、個別の詳細なリスク評価が必要です。

「また同じことが起きるのでは」「次の妊娠が怖い」そんな不安を抱えていらっしゃる方も多いでしょう。一度ダウン症のお子さんを妊娠されたご経験は、次の妊娠への大きな心理的負担となることは、十分に理解できます。

ダウン症候群(21トリソミー)は、ヒトで最も頻度の高い生存可能な染色体異常であり、約700人に1人の割合で発生します。その多くは、減数分裂時の染色体不分離という偶発的なエラーによるものです。

📊 再発リスクの階層構造
  • 一般的な再発リスク(1%ルール):母体年齢リスク+約1%(リスク比1.6〜2.3倍)
  • 性腺モザイクがある場合:20〜50%と大幅に上昇
  • ロバートソン転座保因者(rob(14;21)など):女性10〜15%、男性1〜2%
  • 21番同士の転座 t(21q;21q)保因者:ほぼ100%(生存可能な妊娠はすべてダウン症)

「1%ルール」の限界

遺伝カウンセリングでよく用いられる「1%ルール」は、あくまで統計的な平均値です。しかし、35歳未満の若年女性で2回以上の連続発生が見られた場合、この数字は全く意味をなしません。

医学文献では、特定の家族において再発リスクが20%〜50%、場合によっては100%に達することが報告されています。このような場合、背後には通常の血液検査では見つからない原因が隠れている可能性が高いのです。

⚠️ 重要:「偶然」と片付けてはいけません。特に35歳未満で2回以上の連続発生が見られた場合は、性腺モザイクが最も強力な候補原因であり、詳細な遺伝学的検査が必要です。

2. 性腺モザイクとは|最も見逃されやすい原因

【結論】 性腺モザイク(Gonadal Mosaicism)とは、親の血液や皮膚などの体細胞は正常でも、卵巣や精巣の一部に21トリソミーの細胞が存在する状態です。通常の血液検査では発見できず、連続妊娠の最も重要な原因とされています。

「血液検査で正常と言われたのに、なぜ繰り返すの?」そんな疑問を持たれる方も多いでしょう。その答えが、この「性腺モザイク」にあります。

🧬 性腺モザイクのメカニズム
  • 発生時期
    親自身の発生初期(胚盤胞〜原腸胚期)において、将来生殖腺へ移動する細胞系譜で有糸分裂エラーが発生
  • 結果
    卵巣(または精巣)の一部だけに21トリソミーの細胞が存在。血液や皮膚は正常
  • 影響
    トリソミーの卵子(または精子)が作られやすくなり、繰り返しダウン症児を妊娠する可能性が上昇
  • 診断の難しさ
    末梢血の染色体検査では検出不可能(生殖腺は調べていないため)

なぜ血液検査で見つからないのか

通常の染色体検査(Gバンド法)では、血液中のリンパ球から20〜50個程度の細胞を観察します。しかし、トリソミーの細胞は分裂速度が遅いため、正常細胞との競合に負けて血液中から消失していることが多いのです。

たとえ血液で陰性であっても、卵巣組織では40〜47%もの細胞がトリソミーであったという報告もあります。つまり、「血液検査で正常=モザイクなし」とは言えないのです。

検出できる組織

  • 卵巣生検(侵襲的だが最も確実)
  • 口腔粘膜(血液より検出率高い場合も)
  • 皮膚線維芽細胞

検出しにくい理由

  • トリソミー細胞の増殖速度が遅い
  • 生体内での選択的排除(in vivo selection)
  • 標準検査の細胞数が少ない(20〜50個)
仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「正常」と言われても諦めないで】

臨床現場で「両親の染色体検査は正常でした」と言われ、原因不明のまま次の妊娠を迎えるご夫婦を何組も見てきました。しかし、末梢血の染色体検査だけでは性腺モザイクは見つかりません

連続して21トリソミー妊娠を経験された方には、FISH法による詳細な検査や、口腔粘膜など他組織の検査をお勧めしています。「原因がわからない」で終わらせず、専門的な視点から原因を探ることが、次の妊娠への大切な第一歩です。

3. 染色体転座による再発|ロバートソン転座と21番同士の転座

【結論】 親が均衡型転座の保因者である場合、再発リスクは大幅に上昇します。特に21番同士の転座 t(21q;21q)を持つ場合、生存可能な妊娠はほぼ100%がダウン症となります。

ダウン症の約5%は、転座型(Translocation type)と呼ばれるタイプです。これは親のどちらかが「均衡型転座」を持っている場合に起こりやすく、再発リスクが明確に予測できるタイプでもあります。

転座の種類と再発リスク

転座の種類 保因者の性別 再発リスク 備考
ロバートソン転座
rob(14;21)
女性 約10〜15% 最も一般的な転座型
ロバートソン転座
rob(14;21)
男性 約1〜2% 女性より低リスク
21番同士の転座
t(21q;21q)
どちらでも ほぼ100% 極めて稀だが深刻
同腕染色体
i(21q)
どちらでも ほぼ100% t(21q;21q)と同様
🔬 なぜ男性保因者はリスクが低いのか?

ロバートソン転座保因者の再発リスクが女性10〜15%に対し男性1〜2%と大きく異なる理由には、精子と卵子の形成過程の違いがあります。

① 精子形成での「品質管理」

男性の精子形成過程では、染色体異常を持つ精子はアポトーシス(プログラム細胞死)により選択的に排除されます。これが自然の「品質管理システム」として機能しています。

② 精子競争による淘汰

1回の射精で数億個の精子が競争します。不均衡な染色体を持つ精子は運動能力や受精能力が低下するため、卵子にたどり着く前に自然淘汰されやすいのです。

③ 卵子形成との違い

一方、女性の卵子形成では減数分裂が胎児期に始まり排卵時まで長期間停止しているため、このような選択圧が働きにくく、不均衡な染色体を持つ卵子も排卵される確率が高いのです。

⚠️ 21番同士の転座 t(21q;21q) について

この転座を持つ親から作られる配偶子は、「21番染色体を持たない」か「21番染色体を2本持つ」かのどちらかになります。21番を持たない配偶子が受精した場合は21モノソミーとなり致死的(流産)。21番を2本持つ配偶子が受精した場合は21トリソミー(ダウン症)となります。つまり、流産以外の妊娠はすべてダウン症となるのです。

転座の診断

転座は通常の染色体検査(Gバンド法)で検出可能です。ダウン症児を妊娠された場合、ご両親の染色体検査を行うことで、転座保因者かどうかを確認できます。

転座が見つかった場合は、家系内の他のご親族にも同じ転座が存在する可能性があるため、ご希望に応じて検査をお勧めすることがあります。

4. 実際の症例報告|医学文献から

【結論】 連続したダウン症妊娠は稀ですが、実際に医学文献で複数報告されています。中には35歳未満で5回以上のダウン症妊娠を経験した症例もあり、その多くで性腺モザイクが原因として示唆されています。

「自分だけがこんな経験をしているのでは」と孤独を感じている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、同様の経験をされた方は世界中に存在し、医学的な研究も進んでいます。

代表的な症例報告

📚 症例1:Hasegawa et al. (2025)

患者:35歳未満の日本人女性

妊娠歴:9回の妊娠中、5回が21トリソミー

両親の血液検査:正常(46,XX / 46,XY)

全エクソーム解析:原因となる遺伝子変異は特定されず

結論:母親の性腺モザイクが最も有力な原因

📚 症例2:Magalhães et al. (2017)

患者:27歳の健康な女性

妊娠歴:健常児1人の後、3回連続でダウン症妊娠(異なるパートナー間でも発生)

通常の染色体検査:正常

FISH法による詳細検査:末梢血0.4%、口腔粘膜3.0%にトリソミー細胞を検出

結論:わずか数%の体細胞モザイクでも、生殖系列ではより高頻度である可能性

📚 症例3:Tseng et al. (1994)

患者:健康な女性

妊娠歴:3人連続でダウン症児を出産(健常児1人あり)

両親の血液検査:正常

卵巣生検:約40%の細胞が21トリソミー

結論:卵巣組織の直接検査により、性腺モザイクを確認した貴重な症例

原因不明と言われたままにしていませんか?

通常の血液検査では見つからない原因があるかもしれません。
臨床遺伝専門医による詳細な評価で、次の妊娠への道筋を見つけましょう。


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5. 診断アプローチ|原因を特定するための検査

【結論】 連続したダウン症妊娠の原因を特定するには、標準的な血液検査だけでは不十分です。FISH法による詳細解析、複数組織の検査、DNA親由来解析などを組み合わせた多層的なアプローチが必要です。

「どこまで検査すればいいの?」「検査で原因がわかるの?」という疑問に、一つずつお答えしていきます。

推奨される検査アプローチ

検査 目的 検出できるもの
Gバンド法
(標準的染色体検査)
両親の染色体構造の確認 転座、大きなモザイク(10%以上)
FISH法
(蛍光in situハイブリダイゼーション)
低頻度モザイクの検出 1〜2%レベルのモザイク
複数組織検査
(口腔粘膜、皮膚など)
組織特異的モザイクの確認 血液で陰性でも他組織で陽性の場合
DNA親由来解析
(STRマーカー)
過剰な21番が父由来か母由来かの特定 性腺モザイクがどちらの親に存在するか

FISH法の優位性

標準的なGバンド法では20〜50個の細胞しか観察しないため、10%以下のモザイクを見逃す確率が高いです。一方、FISH法は数百〜数千個の細胞核を迅速にスキャンできるため、1〜2%レベルの低頻度モザイクも検出可能です。

🔬 検査の推奨
  • 連続妊娠例では、Gバンド法と並行して500細胞以上のFISH解析を推奨
  • 血液だけでなく口腔粘膜や皮膚など複数組織の検査を検討
  • 患児のDNAを用いた親由来解析で、どちらの親に問題があるか特定
  • 臨床遺伝専門医と相談しながら、必要な検査を選択

6. 次の妊娠への対策|NIPT・羊水検査・PGT-A

【結論】 連続妊娠を経験されたご夫婦には、PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)NIPT羊水検査・絨毛検査などの選択肢があります。2回以上の連続発生は、PGT-Aの医学的に正当な適応理由となります。

「次の妊娠はどうしたらいい?」「また同じことにならないためにできることは?」その不安に、具体的な選択肢をお伝えします。

🧬 PGT-A(着床前検査)

体外受精で得られた胚の染色体を移植前に検査し、正常核型の胚のみを移植する方法。

メリット:妊娠前にリスクを大幅に低減
考慮点:体外受精が必要、費用・身体的負担

🩸 NIPT(新型出生前診断)

妊娠10週から母体血で検査可能。検出率99%以上の高精度スクリーニング。

メリット:採血のみで流産リスクなし
考慮点:確定診断ではない(陽性時は確定検査が必要)

💉 羊水検査・絨毛検査

確定診断が可能。胎児の細胞を直接検査します。

メリット:最も確実な診断
考慮点:わずかな流産リスク(0.1〜0.3%)

反復例におけるPGT-Aの意義

連続して21トリソミー妊娠を経験されたご夫婦にとって、PGT-A(Preimplantation Genetic Testing for Aneuploidy)は、流産や中絶という身体的・精神的苦痛を回避するための最も有効な選択肢の一つです。

日本産科婦人科学会の見解においても、反復流産や染色体構造異常保因者はPGT-Aの対象となりうるとされており、「反復トリソミー妊娠」もまた、医学的に正当な適応理由となり得ます。

⚠️ 注意:転座保因者の場合、正常胚が得られる確率は低くなるため、採卵回数が増える可能性があります。また、PGT-Aは体外受精を伴うため、費用や身体的負担についても十分にご説明した上で選択していただきます。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「次は大丈夫」という安易な保証はしません】

遺伝カウンセリングでは、「再発リスクは低いから大丈夫」と安心させることが良いことだと思われがちです。しかし、2回以上の連続発生を経験された方に「次は大丈夫」と言うことは、科学的に正確ではありません

当院では、FISH法による詳細検査や親由来解析など、可能な限り原因を特定する努力をし、その結果に基づいた現実的なリスク評価をお伝えします。そして、NIPT、羊水検査、PGT-Aなど、選択可能なすべてのオプションについて一緒に考えていきます。

不安を抱えたままではなく、正しい情報と選択肢を持って次の妊娠に臨んでいただきたいと思っています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【ある患者さんのこと、そして医師の祈り】

今、私の心から離れない患者さんがいます。

その方は、1回目の妊娠で別のクリニックでNIPTを受け、21トリソミー陽性。ご自身で予約していた産院で確定診断を受け、また別のクリニックで中絶をされました。バラバラの医療機関を転々とする中で、どれほど孤独で、どれほど不安だったか。想像するだけで胸が痛みます。

2回目の妊娠では、「今度こそきちんとしたフォローを受けたい」と当院にいらっしゃいました。初診の日、その方は震えていました。怖くて、怖くて仕方なかったのだと思います。

基本的に、ダウン症が2回続く確率は決して高くありません。だから「今度は大丈夫」と言いたかった。でも、結果は再び21トリソミー陽性でした。

私たちはご夫妻の染色体検査を行いました。均衡型転座があれば、再発の原因として説明がつくからです。しかし、結果は正常。生殖細胞系列モザイクの可能性は否定できませんが、それを証明する術もありません

その後、3回目の妊娠をされましたが、NIPTで胎児分画が足りず結果が出ないまま流産。そして今回、4回目の妊娠で先日検査をされました。

私にできることは、すべてやりました。最高精度の検査、丁寧なカウンセリング、あらゆる選択肢の提示。でも、検査の結果を変えることは、私にはできません

手を尽くしてやり切ったあとに、医師ができることは何でしょうか。

私は祈ることしかできません。「神様、どうかこの方に健康な赤ちゃんを」と。科学者の癖に、と思われるかもしれません。でも、医療の限界を知っているからこそ、祈らずにはいられないのです。

そして、つらい時期に患者さんを抱きしめてあげること。これは女性医師の特権かもしれません。今の時代、男性医師が同じことをすればセクハラと言われてしまいますから。

医師には、こういう瞬間があります。検査や治療という「武器」を使い果たしたあと、ただ人として、その方の痛みに寄り添うしかない瞬間が。

この記事を読んでいる方の中にも、同じような経験をされた方がいらっしゃるかもしれません。どうか、一人で抱え込まないでください。私たちは、あなたのそばにいます。

7. NIPTと医療費控除について

【結論】 NIPTの費用は基本的には医療費控除の対象外です。「予防・検診」の扱いとなるためです。しかし、NIPTで陽性となり、その後の羊水検査や中絶手術へと進んだ場合は、一連の流れが「治療」とみなされるため、遡って最初のNIPT費用も医療費控除の申請が可能になります。

「NIPTの費用は控除できるの?」というご質問をよくいただきます。この点について詳しくご説明します。

💰 医療費控除の考え方
  • 原則:対象外
    NIPTは「予防・検診」に該当するため、単独では医療費控除の対象になりません。これは健康診断や人間ドックと同じ扱いです。
  • 例外:陽性の場合
    NIPTで陽性となり、羊水検査や中絶手術などの「治療」へ進んだ場合、一連の医療行為全体が「治療目的」とみなされます。
  • 控除申請が可能に
    この場合、遡って最初のNIPT費用も医療費控除の対象となります。羊水検査費用、中絶手術費用と合わせて申請可能です。

⚠️ 注意:医療費控除の適用については、最終的には税務署の判断となります。確定申告の際には、領収書と診療内容の説明ができるように準備しておくことをお勧めします。詳細は所轄の税務署または税理士にご確認ください。

8. 将来自立できないほど重い障害は検査でわかる?

【結論】 「将来社会的に自立できるかどうか」までを判定できる検査は存在しません。NIPTでわかるのは、あくまで染色体や一部の遺伝子の変化に起因する病気の「可能性」です。ただし、検査対象となる疾患の中には、重い発達障害や知的障害を伴うことが多い疾患が含まれています。

「子どもが将来自立できるか心配」「重い障害があるかどうか事前に知りたい」という気持ちは、親として自然なものです。ただ、この問いに対する答えは、単純ではありません。

NIPTでわかること・わからないこと

わかること

  • 染色体の数の異常(トリソミーなど)
  • 微細欠失症候群(22q11.2欠失など)
  • 一部の単一遺伝子疾患(検査プランによる)

わからないこと

  • 将来の自立能力や社会適応力
  • 知的障害の程度(同じ疾患でも個人差大)
  • すべての遺伝性疾患や障害

出生前診断の対象となる疾患について

医学的・倫理的観点から、出生前診断の対象となる疾患には一定の基準があります。基本的には、自立して生活することに支障が出るレベルの重篤な疾患が対象とされています。

例えば、ダイヤモンドプランで検査できる56の遺伝子には、重度の発達障害や知的障害を伴う症候性自閉症の原因となる疾患が多数含まれています。これらは、単なる発達の遅れではなく、生涯にわたるサポートが必要となる重篤な疾患です。

💡 検査の意味を正しく理解するために

出生前診断は「障害のある子を産まない」ためのものではありません。事前に情報を得ることで、適切な医療体制の準備、家族の心の準備、療育情報の収集など、どのような結果であってもお子さんを迎える準備ができるということが、検査の本質的な意義です。

9. ミネルバクリニックのサポート体制

ミネルバクリニックは、臨床遺伝専門医が遺伝子検査のために開業した日本初のクリニックです。連続したダウン症妊娠を経験されたご夫婦の原因究明から次の妊娠への対策まで、一貫してサポートいたします。

🔬 高精度な検査技術

スーパーNIPT(偽陰性ゼロのエビデンス)とCOATE法(陽性的中率99.9%以上)を採用。米国4大遺伝子検査会社が検査を担当します。

🏥 院内で確定検査まで対応

2025年6月より産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査も院内で実施可能に。転院の必要がなく、心理的負担を軽減できます。

👩‍⚕️ 臨床遺伝専門医が常駐

検査前後の遺伝カウンセリングを臨床遺伝専門医が担当。結果の説明から今後の選択肢まで、専門家が寄り添います。

💰 互助会で費用面も安心

互助会(8,000円)に加入いただくと、陽性時の確定検査(羊水検査)費用を全額カバー。上限なしで安心です。

💡 遺伝カウンセリング料金について

当院の検査費用には遺伝カウンセリング料金(33,000円相当)が内包されています。これは当日の説明だけでなく、陽性になった時に何度でもカウンセリングを受けられる、妊娠経過中に心配なことがあればいつでも相談できる、といったサポートが含まれています。お金の心配をせずに、安心して相談していただける体制を整えています。

一人で抱え込まないでください

連続したダウン症妊娠の原因究明から、次の妊娠への対策まで。
臨床遺伝専門医と一緒に、あなたに合った選択肢を見つけましょう。


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よくある質問(FAQ)

Q1. ダウン症を2回連続で妊娠する確率はどのくらいですか?

一般的な再発リスクは母体年齢リスク+約1%とされています。しかし、性腺モザイクがある場合は20〜50%、21番同士の転座保因者の場合はほぼ100%まで上昇することがあります。35歳未満で2回以上連続した場合は、詳細な検査が必要です。

Q2. 性腺モザイクはどうすれば見つかりますか?

通常の血液検査(Gバンド法)では見つからないことが多いです。FISH法による500細胞以上の詳細解析や、口腔粘膜・皮膚など複数組織の検査が有効です。確実なのは卵巣生検ですが、侵襲的なためルーチンでは行いません。

Q3. 両親の染色体検査が正常でも再発することはありますか?

はい、あります。末梢血の染色体検査では性腺モザイクは検出できません。卵巣組織の40%以上がトリソミーであっても、血液検査は正常となる症例が報告されています。「血液検査が正常=モザイクなし」とは言えないのです。

Q4. PGT-Aは反復ダウン症妊娠の適応になりますか?

はい、2回以上の連続発生は、PGT-Aの医学的に正当な適応理由となり得ます。体外受精で得られた胚の染色体を移植前に検査し、正常核型の胚のみを移植することで、トリソミー妊娠のリスクを大幅に低減できます。

Q5. NIPTの費用は医療費控除の対象になりますか?

基本的には「予防・検診」扱いのため対象外です。ただし、NIPTで陽性となり、その後の羊水検査や中絶手術へ進んだ場合は、一連の流れが「治療」とみなされるため、遡ってNIPT費用も医療費控除の申請が可能になります。

Q6. 将来自立できるかどうかは検査でわかりますか?

「将来社会的に自立できるかどうか」までを判定できる検査は存在しません。NIPTでわかるのは、染色体や一部の遺伝子の変化に起因する病気の可能性です。ただし、検査対象には重い発達障害や知的障害を伴うことが多い疾患が含まれています。

Q7. 遠方ですが相談できますか?

はい、オンライン診療により全国どこからでもご相談いただけます。臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングもオンラインで受けていただけます。

Q8. ヘテロトリソミー(異なるトリソミーの連続)もありますか?

はい、稀ですが報告されています。1回目が21トリソミー、2回目が18トリソミーなど、異なる染色体のトリソミーが連続するケースです。これは特定の染色体のモザイクではなく、染色体分配機構全般の不安定性が疑われます。

🏥 一人で悩まないでください

連続したダウン症妊娠の原因究明から、次の妊娠への対策まで。
どんなことでもお気軽にご相談ください。
臨床遺伝専門医があなたとご家族に寄り添います。

参考文献

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  • [10] 日本産科婦人科学会. 出生前に行われる遺伝学的検査および診断に関する見解. 2013年(2022年改定). [PDF]

プロフィール
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の筆者:仲田 洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科・腫瘍学を軸に、
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。
出生前診断・遺伝学的検査においては、検査結果そのものだけでなく
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。
2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載
されました。


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