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健診でカルテに「NT」と書かれたのに説明がない…医師の「大丈夫」を信じて良い?【20代・18トリソミーの事例】

健診でカルテに「NT」と書かれたのに説明がない…医師の「大丈夫」を信じて良い?【20代・18トリソミーの事例】|ミネルバクリニック

健診でカルテに「NT」と書かれたのに説明がない…医師の「大丈夫」を信じて良い?【20代・18トリソミーの事例】

この記事でわかること
📖 読了時間:約15分
📊 約9,000文字
臨床遺伝専門医監修


  • 医師が「NT」を説明しない理由 → 確定診断ではないからこそ説明を避ける医師の心理と、置き去りにされる妊婦さんの不安について。

  • 【実話】20代でも陽性だった事例 → 「年齢的に大丈夫」という言葉を信じきれなかった女性が、18トリソミーと診断されるまでの経緯。

  • 年齢リスク以外の落とし穴 → ダウン症だけでなく、年齢に関係なく起こる微細欠失精子の突然変異(デノボ)のリスクについて。

  • ミネルバクリニックの「守る力」 → 陽性的中率99.9%以上のCOATE法検査と、万が一の時にあなたを守るトリプルリスクヘッジの全貌。

「健診で先生がカルテに何か書いていたけど、説明してくれなかった」
「エコー写真に『NT』って文字が見えたけど、どういう意味?」

待望の妊娠生活の中で、ふとした瞬間に芽生えた違和感。勇気を出して聞こうとしても、「順調ですよ」「若いから大丈夫」と流されてしまい、誰にも言えない不安を抱えている妊婦さんは少なくありません。

東京・青山のミネルバクリニックには、そんな「説明のない不安」を抱えた妊婦さんが全国から訪れます。実は、20代であっても染色体異常のリスクはゼロではありません。今回は、実際に当院へ相談に来られた20代女性のエピソードと、臨床遺伝専門医として私が伝えたい「知る権利」と「守るための検査」についてお話しします。

1. なぜ産婦人科医は「NT」を説明しないのか?

妊婦健診のエコー検査で、医師が赤ちゃんの首の後ろのむくみ(NT: Nuchal Translucency)を測定することがあります。この厚みがある一定以上(一般的に3mm以上)あると、染色体異常や心疾患のリスクが高まるとされています。

しかし、多くの妊婦さんが「測っているのに説明がない」という経験をされています。そこには、医師側の複雑な事情があります。

💡 用語解説:NT(Nuchal Translucency)

妊娠11〜13週頃に見られる、赤ちゃんの首の後ろの皮下貯留液(むくみ)のこと。これ自体は病気ではありませんが、厚みが増すとダウン症などの染色体異常や、先天性心疾患の可能性が高くなる指標(マーカー)の一つとされています。

「確定ではない」からこそ言えないジレンマ

日本の一般的な妊婦健診は、あくまで「赤ちゃんが元気に育っているか」を見る場であり、出生前診断(染色体異常の検査)を主目的としていません。また、NTが厚くても正常に生まれてくる赤ちゃんはたくさんいます(偽陽性が多い)。

そのため、多忙な外来の中で「NTが厚いですね」と伝えて妊婦さんを過度に不安にさせるよりも、「様子を見ましょう」とカルテに記載するだけにとどめる医師が多いのが現状です。しかし、インターネットで情報を得られる現代において、カルテの隅に見えた「NT?」という文字や、医師の曖昧な態度は、かえって妊婦さんを深い疑心暗鬼に陥らせてしまいます。

2. 【実話】「大丈夫」と言われた20代妊婦さんの事例

ある日、ミネルバクリニックに20代後半の女性がご夫婦でいらっしゃいました。当時、当院でNIPTを受ける方は30代後半以上がほとんどで、20代の方は稀でした。正直なところ、私も診察前は「若いし、受けなくてもいいのでは?」と思っていました。

彼女が抱えていた「孤独な不安」

彼女は言いました。
「健診で何も説明されなかったのですが、カルテに『NT?』と書かれていたんです。次の週に来てと言われて行ったら『大丈夫だったみたい』と言われました。でも、それがどういう意味なのか、なぜ大丈夫なのか、何も説明してくれませんでした。不安でたまらないんです」

思いつめた表情の彼女を励まそうと、私はこう声をかけました。
「大丈夫よ。気にしなくても。あなたの年齢ならリスクは低いから、きっと陰性よ」

しかし、検査結果が出たとき、私は言葉を失いました。

1/8000の確率が、現実に

📊 データ:18トリソミー(エドワーズ症候群)の年齢別リスク

母体年齢 妊娠10週頃の確率 出生時の確率
20歳 約 1/2,500 約 1/8,000
30歳 約 1/1,300 約 1/3,800
35歳 約 1/480 約 1/1,300
40歳 約 1/120 約 1/300

出典:Snijders et al. (FMF)

専門医の視点:
確かに20代の確率は低いですが、「0」ではありません。今回の患者様のように、その「1」に当たることは現実に起こり得ます。また、この確率はあくまで「18トリソミーだけ」の話です。年齢に関係なく起こる微細欠失や遺伝子変異のリスクを含めると、全体の異常発生率はもっと高くなります。

結果は18トリソミー陽性。20代後半の彼女の年齢では、確率にして約1/8000という非常に低い数字です。しかし、確率はあくまで確率。「0」ではないのです。

結果をお伝えするために来院された日、ドアを開けて私と目が合った瞬間、彼女は「イヤーーッ!」と叫びました。女性の勘、母親の勘というのは、時に恐ろしいほど鋭いものです。私が口を開く前に、彼女は悟っていたのです。

「まだ何も決まったわけじゃない。羊水検査を受けよう。陽性的中率は30%くらいだから、きっと陰性よ」
そう励まし、彼女は実家の近くで羊水検査を受けることになりました。

しばらくして、彼女から連絡がありました。
「NIPTの結果が当たっていました」
羊水検査でも18トリソミーが確定し、彼女は今回の赤ちゃんをあきらめる選択をしました。

院長としての想い:知ることは、準備すること

小児科医の中には、「18トリソミーでも最近は寿命が延びているから、産んで育てたほうがいい」と言う先生もいます。もちろん、それも一つの真実です。しかし、だからといって「知らなくていい」理由にはなりません。

私自身、28年前に一卵性双生児の一人を36週6日で死産しました。無事に生まれたもう一人を見るたびに、失った子のことを想い涙しました。双子用のベビーカーを見るだけで辛くなり、親はいつまでも死んだ子の歳を数え続けるのです。

「どうせいつかお別れしなくてはいけないなら、早いほうがいい」
そう思う親御さんの気持ちを、誰が責められるでしょうか。子供を失ったことのない人には、この苦しみは分かりません。

彼女がもし、あのまま「NT?」の文字を見過ごし、医師の「大丈夫」を信じて出産していたら。心の準備もないまま、重篤な疾患を持つ我が子と対面し、すぐに別れを告げることになっていたかもしれません。彼女はミネルバクリニックに来たからこそ、真実を知り、自分たちで運命を選択することができたのです。

3. 年齢だけでは判断できない「2つの大きなリスク」

「私はまだ若いからNIPTは必要ない」
そう考える方は多いですが、実は年齢に関係なく起こる遺伝子の変化があります。これらは一般的なNIPTや妊婦健診では見過ごされてしまうことが多いのです。

① 微細欠失症候群(年齢無関係)

染色体の一部がごく微細に欠けてしまう変化です。母親の年齢に関係なく、誰にでも約1/1000の確率で起こります。ダウン症よりも重い知的障害や身体障害を伴うことが多く、通常の検診では発見が困難です。

② お父さん由来の「突然変異」

男性の精子は細胞分裂を繰り返して作られるため、加齢とともにコピーミス(突然変異)が蓄積します。「俺は大丈夫」と言う男性も多いですが、実はダウン症(1/700)よりも頻度が高い、積算リスク1/600という確率で、重篤な遺伝性疾患が発生しています。

症候性自閉症の深刻さ

特に注意が必要なのが、これらの微細欠失や遺伝子変異によって引き起こされる「症候性自閉症」です。これは、単にコミュニケーションが苦手といったレベルではなく、重度の知的障害や心疾患、特有の顔貌などの身体的特徴を伴う重い医学的疾患です。

ミネルバクリニックのダイヤモンドプランで検査する「56の遺伝子」や「微細欠失」には、この症候性自閉症の原因となるものが多数含まれています。

父親の加齢による精子の遺伝子変異(デノボ)とNIPT検査のイメージ図

(図:父親由来の遺伝子変異が精子形成の過程で蓄積するイメージ)

4. ミネルバクリニックの「ダイヤモンドプラン」

「受けるなら、万が一の時に備えてしっかり知っておきたい」
そうお考えの方に、臨床遺伝専門医として推奨するのが、当院で最も包括的なダイヤモンドプランです。

このプランでは、米国の4大遺伝子検査会社の一角が開発した新技術「COATE法」を採用しています。SNP法(個体識別)とターゲット法(深読み)を融合させたこの技術により、以下の画期的な精度を実現しました。

  • 微細欠失症候群の精度向上:
    従来の検査では陽性的中率が70%台でしたが、COATE法により99.9%以上へと飛躍的に向上しました。12か所13疾患を網羅的に検査します。
  • 精子の突然変異(デノボ)もカバー:
    父親の加齢リスク(新生突然変異)に関連する56遺伝子を検査します。これも陽性的中率は99.9%以上です。
  • 第15/16/22番トリソミー:
    基本の13,18,21番に加え、流産の原因になりやすいその他のトリソミーも検査可能です。

ミネルバクリニック独自の「トリプルリスクヘッジ」

ミネルバクリニックは、日本で初めて臨床遺伝専門医が遺伝子検査を提供するために開業したクリニックです。私たちは「検査して終わり」にはしません。患者様を徹底的に守るため、3つの備えを用意しています。

1. 金銭的リスクヘッジ(互助会)

検査時に「互助会」へご入会(会費8,000円・非課税)いただくことで、万が一陽性判定が出た場合の確定検査(羊水検査)費用を、上限15万円(税込16万5千円)まで当院が全額負担します。他院で羊水検査を受ける場合でも適用されますが、当院であれば窓口負担なしで受けられます。

2. 時間的リスクヘッジ(院内完結)

2024年より産婦人科を併設し、2025年6月からは陽性時の確定検査(羊水・絨毛検査)を自院で実施可能になりました。たらい回しにすることなく、ほとんどの場合3日以内にスピーディーに結果をお届けします。

3. 心理的リスクヘッジ(専門医サポート)

臨床遺伝専門医である院長が、検査前から検査後まで一貫して担当します。陽性という結果が出たとき、最も頼りになるのは「事情を知っているいつもの先生」です。1.5時間のカウンセリング枠で、あなたとご家族の心に寄り添います。

【NEW】安心結果保証制度

再検査が必要となったにも関わらず、流産などで検体が提出できなくなってしまった場合、診断書をご提出いただければ検査代金を全額返金いたします(2025年1月開始)。胎児分画不足などで結果が出ない不安にも、誠意を持ってお応えします。

8. まとめ

健診での「説明のないNT表記」は、妊婦さんにとって耐え難い不安の種です。しかし、そこで立ち止まらず、一歩踏み出して専門医を頼ってください。20代であってもリスクはゼロではなく、逆に年齢では測れないリスク(微細欠失やデノボ変異)も存在します。

ミネルバクリニックは、世界中から厳しい目で選んだ高精度な検査と、臨床遺伝専門医による手厚いサポートで、あなたの「知りたい」という気持ちと「守りたい」という愛情を全力で支えます。一人で悩まず、まずは私たちにお話ししに来てください。

よくある質問(FAQ)

Q1. NTが厚いと必ずダウン症ですか?

いいえ、必ずしもそうではありません。NTはあくまで「可能性のマーカー」であり、正常な赤ちゃんでも一時的に見られることがあります。しかし、染色体異常や心疾患のリスクが高まるサインであることは事実ですので、放置せずNIPTなどで詳しく調べることを推奨します。

Q2. 20代ですが、本当に検査を受けたほうがいいですか?

年齢が若くても、染色体異常(トリソミー)のリスクはゼロではありません。また、記事で解説した通り、母体年齢に関係なく起こる「微細欠失症候群」や、父親由来の「突然変異」のリスクもあります。「不安を抱えたまま過ごすよりも、はっきりさせて安心したい」という理由で受検される20代の方は増えています。

Q3. 夫が若いのですが、精子の突然変異リスクはありますか?

はい、あります。精子の突然変異は加齢とともに増加しますが、若い男性の精子でもコピーミスは起こり得ます。積算リスクは約1/600と決して低い数字ではなく、ダウン症(1/700)と同等かそれ以上の頻度であることを理解しておく必要があります。

Q4. NIPTで自閉症はわかりますか?

一般的な自閉症(非症候性)は分かりませんが、重い知的障害や身体的特徴を伴う「症候性自閉症」の原因となる遺伝子変異や染色体欠失については、当院のダイヤモンドプランで検査可能です。

Q5. ダイヤモンドプランは他社の検査とどう違いますか?

最大の違いは「精度」と「範囲」です。COATE法という最新技術により、従来は検出が難しかった微細欠失の陽性的中率を>99.9%まで高めました。また、日本で唯一、デノボ(新生突然変異)検査を提供しており、父親由来のリスクまで網羅できるのが特徴です。

Q6. もし陽性が出たら、見放されませんか?

絶対にそんなことはありません。ミネルバクリニックでは、院内で確定検査(羊水検査)まで完結できる体制を整えています。互助会加入で費用もカバーされますし、何より臨床遺伝専門医である院長が、どのような結論を出すにしても、あなたに寄り添い続けます。

🏥 臨床遺伝専門医へのご相談

NIPTに関するご不安、健診での指摘事項など、専門医が常駐するミネルバクリニックへお気軽にご相談ください。
最新の遺伝医学と、温かい心であなたをお迎えします。

参考文献

  • [1] Snijders RJ, et al. Maternal age- and gestation-specific risk for trisomy 21. Ultrasound Obstet Gynecol. 1999. [PubMed]
  • [2] Kong A, et al. Rate of de novo mutations and the importance of father’s age to disease risk. Nature. 2012. [PubMed]
  • [3] American College of Obstetricians and Gynecologists (ACOG). Practice Bulletin No. 226: Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities. 2020. [PubMed]



プロフィール
仲田洋美医師

この記事の筆者:仲田 洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。特に遺伝カウンセリング分野では15年以上の経験を持ち、全国初のオンライン遺伝カウンセリングを確立して、地方在住の方々にも質の高い遺伝医療を提供しています。


仲田洋美の詳細プロフィールはこちら

   

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