目次
全染色体検査でわかること【完全ガイドVol.1】第1番〜第8番染色体|トリソミーより怖い「微細欠失・重複」とは
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1番〜8番染色体の特徴 → これらの染色体は非常に大きく、トリソミー(3本になること)は基本的に致死的(流産)です。だからこそ、一般的なNIPTでは検査対象外となっています。 -
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本当に怖いのは「微細欠失」 → 本数が正常でも、1番や4番、5番染色体の一部が欠けている「微細欠失症候群」は生まれてくる可能性が高く、重篤な障害を引き起こします。 -
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最新技術「ターゲット法」 → ミネルバクリニックのダイヤモンドプランは、意味の薄い全染色体スキャンではなく、特定の領域を深く読むターゲット法(Targeted Sequencing)を採用。欠失だけでなく重複も高精度に検出します。 -
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ミネルバのトリプルリスクヘッジ → 陽性時の「院内確定検査」「費用全額カバー」「専門医のサポート」で、あなたの不安を全力で受け止めます。
📚 全染色体検査・完全ガイドシリーズ
- 📍 Vol.1 第1番〜第8番(現在地):希少トリソミーと微細欠失・重複
- Vol.2 第9番〜第16番:9番モザイクと16番の流産リスク
- Vol.3 第17番〜第22番・性染色体:主要トリソミーと性染色体検査
1. なぜ「全染色体」ではなく「ターゲット」なのか?
まず重要な医学的事実をお伝えします。単に「染色体の数」を数えるだけの一般的な全染色体検査(1〜22番)では、医学的に意義のある異常はほとんど見つかりません。
実際、当院の別コラムで解説している通り、1,090人のハイリスク妊婦様を対象とした臨床研究でも、基本トリソミー以外の「数の異常」は0例でした。稀なトリソミーの多くは、検査をする前に自然淘汰(流産)されてしまうからです。
⚠️ ここで重要な「16トリソミー」の話
「0例だから検査しなくていい」のではありません。実は、第16番染色体のトリソミーは、全妊娠において最も発生頻度が高い染色体異常(流産の約15〜30%)であることが知られています。[PubMed]
ではなぜ臨床研究では0例だったのか?それは、NIPTを受ける時期(10週)より前に、ほとんどが自然流産してしまうからです。データには現れないけれど、確実に存在する「最多の流産原因」。それが16トリソミーの正体です。
「では、なぜミネルバクリニックは検査を行うのか?」
それは、広く浅く数を数えるのではなく、「特定の重要な領域(ターゲット)」を高深度(High Depth)で読み込むことで、「微細欠失・重複」や「流産の原因」を見逃さないためです。
💡 ダイヤモンドプラン(COATE法)の狙い
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①
数ではなく「欠失・重複」を見る:
1番や4番、5番染色体などは、本数が3本になる(トリソミー)ことは稀ですが、特定の部位が欠けたり(微細欠失)、増えたり(重複)する構造異常は比較的頻繁に起こり、重篤な疾患につながります。ターゲット法でこれらを正確に検出します。 -
②
生存するリスクを優先:
流産してしまうリスク(全染色体トリソミー)よりも、生まれてくるリスク(微細欠失・重複や遺伝子変異)を優先的に検査します。これが臨床遺伝専門医の考える「意味のある検査」です。 -
③
流産原因の特定(グリーフケア):
もし万が一流産となってしまった場合でも、検査対象に含まれる15/16/22番トリソミーなどが陽性であれば、それが「誰のせいでもない、偶発的な染色体異常だった」と知ることができます。これは次の妊娠へ向かうための心の救いになります。
2. 【詳説】第7番・第8番染色体トリソミーの特徴
ここでは、お問い合わせの多い「第7番」と「第8番」のトリソミーについて専門医が詳しく解説します。これらは当院のダイヤモンドプランの検査対象外(数ではなく微細欠失を見ているため)ですが、知識として知っておくことは非常に重要です。
🧬 第8番染色体トリソミー(Warkany症候群2)
8番染色体が3本ある状態は「Warkany(ワルカニー)症候群2」と呼ばれます。完全なトリソミー(全身の細胞が3本)の場合は致死的で、妊娠初期に流産となることがほとんどです。
⚠️ モザイク型は生存の可能性あり
一部の細胞だけがトリソミーである「モザイク型(Trisomy 8 mosaicism)」の場合、重症度は大きく異なりますが、出生し成長する可能性があります。
- 主な症状:
- 深い手掌・足底のしわ(特徴的)
- 関節拘縮(関節が固まって動かしにくい)
- 脊柱側弯などの骨格異常
- 軽度〜中度の知的障害(個人差が大きい)
- 腎臓の尿管奇形など
- 予後: 知的障害や身体的特徴を持ちながらも、成人まで生存するケースが報告されています。
🧬 第7番染色体トリソミー
7番トリソミーも完全型は早期流産に至りますが、この染色体で特に重要なのは「胎盤限局性モザイク(CPM)」の可能性です。
💡 CPMと赤ちゃんへの影響
7番染色体は、胎盤にはトリソミーがあるけれど、赤ちゃん自身は正常(2本)という現象(CPM)が比較的よく見られます。もし他院のNIPTで7番陽性と言われても、赤ちゃんは正常な可能性があるため、必ず羊水検査が必要です。
ただし、7番染色体異常が関与する場合、胎児発育不全(FGR)や、シルバー・ラッセル症候群(成長障害など)のリスクを考慮する必要があります。
3. 第1番〜第6番染色体の詳細:トリソミーと微細欠失
染色体番号が若い(1〜6番)染色体は非常にサイズが大きく、大量の遺伝情報を含んでいます。そのため、これらが丸ごと1本増える「トリソミー」の状態は、生命維持にとってあまりに負担が大きく、基本的にはごく初期の流産に至ります。
しかし、「染色体の一部が欠ける・増える(微細欠失・重複)」という変化であれば、赤ちゃんは生まれ、成長することができます。ミネルバクリニックのダイヤモンドプランでは、これらの微細欠失・重複も検出対象としています。
🧬 第1番染色体(最大)
人体で最も大きな染色体です。約3000以上の遺伝子を含みます。
- トリソミー: 致死的であり、着床しないか、極めて早期に流産となります。
- ★微細欠失(1p36欠失症候群):
染色体の先端がわずかに欠ける疾患です。重度の知的障害やてんかん、特徴的な顔貌を伴います。発生頻度は約1/5,000〜1/10,000と比較的多く、ダイヤモンドプランの検査対象に含まれています。
🧬 第2番・第3番染色体
非常に大型の染色体です。
- トリソミー: ほぼ100%が流産に至ります。もし万が一流産となった場合、胎児絨毛染色体検査などでこれらが陽性と判明すれば、「母体ではなく、偶発的な受精卵のエラーだった」と原因を特定できます。
🧬 第4番染色体
- トリソミー: 致死的です。
- ★微細欠失(ウォルフ・ヒルシュホーン症候群):
4番染色体短腕の一部欠失により生じます。「ギリシャ兵のヘルメット」と形容される特徴的な顔貌、成長障害、知的障害を伴います。ダイヤモンドプランの検査対象です。
🧬 第5番染色体
- トリソミー: 致死的です。
- ★微細欠失(猫鳴き症候群 / Cri-du-chat症候群):
5番染色体短腕の欠失により生じます。新生児期に子猫のような甲高い泣き声を上げることから名付けられました。発達遅滞などを伴います。ダイヤモンドプランの検査対象です。
🧬 第6番染色体
- トリソミー: ほぼ流産に至りますが、稀にモザイク型での生存報告や、一時的な生存例の報告があります。
4. スーパーNIPTとダイヤモンドプラン(COATE法)
ミネルバクリニックの「スーパーNIPT」は、私が6年前に第3世代NIPTを導入した際に名付けたプラン名で、現在はライト・スタンダードプランに相当します。そして現在、当院が自信を持って提供しているのが、最新の第4世代技術を用いた「ダイヤモンドプラン」です。
💎 ダイヤモンドプラン(COATE法)の画期的な精度
米国の4大遺伝子検査会社の一角が開発した「COATE法」を採用。従来の検査精度を過去のものにしました。
① 微細欠失・重複:陽性的中率 >99.9%
従来法では70%台だった陽性的中率が、99.9%以上まで向上しました。ターゲット法により特定領域を深く読むことで、欠失だけでなく重複(Duplication)も正確に検出します。偽陽性による無用な不安を極限まで減らします。
② 父方由来デノボ変異もカバー
56遺伝子の新生突然変異(デノボ)を検査可能。ここには重篤な身体的特徴を伴う「症候性自閉症」の原因遺伝子が多く含まれています。父親の加齢とともにリスクが上がるこれらの変異も、陽性的中率 >99.9% で検出します。
③ 検査対象のトリソミー
13, 18, 21番の基本トリソミーに加え、流産リスクと関連の深い15, 16, 22番のトリソミーを検査します。(※1〜8番などのその他のトリソミーは対象外です)
(図:父親由来の遺伝子変異が子へ伝わるイメージ)
5. ミネルバクリニックの「トリプルリスクヘッジ」
「検査して終わり」ではありません。当院は、陽性という結果が出た時こそ、患者様に寄り添う医療を提供します。
1. 金銭的リスクヘッジ(互助会)
検査時に「互助会」へご入会(会費8,000円・非課税)いただくことで、陽性時の羊水検査費用を上限15万円(税込16万5千円)まで当院が全額負担します。突然の出費に慌てる必要はありません。
2. 時間的リスクヘッジ(院内完結)
ミネルバクリニックは非認可施設ですが、2025年6月より産婦人科を併設し、陽性時の確定検査(羊水・絨毛検査)を自院で実施可能になりました。たらい回しにされることなく、いつものクリニックで検査を受けられます。
3. 心理的リスクヘッジ(専門医)
臨床遺伝専門医である院長が、一貫してサポートします。また、妊娠6週からの早期NIPTや、4Dエコーによる胎児確認も実施。不安な時間を少しでも短くし、安心して検査に臨める体制を整えています。
もし採血後の検査失敗などで再検査が必要となり、その間に残念ながら流産されてしまった場合は、診断書をご提出いただくことで検査費用を全額返金いたします。患者様の心情と負担を第一に考えた、ミネルバクリニックだけの制度です。
6. よくある質問(FAQ)
🏥 臨床遺伝専門医へのご相談
希少な染色体異常や、検査結果への不安は、一人で抱え込まずに専門医へご相談ください。
ミネルバクリニックは、あなたの「知りたい」に誠実にお応えします。
参考文献
- [1] Turleau C, et al. Trisomy 8 mosaicism. Ann Genet. 1984. [PubMed]
- [2] Kalousek DK, et al. Confined placental mosaicism and intrauterine development. Pediatr Pathol. 1987. [PubMed]
- [3] American College of Obstetricians and Gynecologists (ACOG). Practice Bulletin No. 226: Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities. 2020.
- [4] Kong A, et al. Rate of de novo mutations and the importance of father’s age to disease risk. Nature. 2012.

