NIPT受けるべきか?判断基準と夫婦で話す7つのこと【医師監修】
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「35歳の壁」はもう古い? → 米国産婦人科学会(ACOG)が示す「全妊婦対象」の根拠。 -
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「12週の壁」と早期NIPTの重要性 → なぜ妊娠6週からの検査が必要なのか。中期中絶のトラウマ回避という視点。 -
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意外な盲点「微細欠失」と「父親リスク」 → 若い方でも起こりうるリスクと、それらをカバーする第3世代NIPTについて。 -
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夫婦で話し合うべき7つのポイント → 検査を受ける目的、費用、結果への対応など、具体的な話し合いのロードマップ。 -
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受検率データと統計 → ダウン症の赤ちゃんが生まれる確率の真実。
「NIPTを受けるべきか」―妊娠が分かってから、多くの妊婦さんとそのパートナーがこの問いに直面します。日本では「35歳以上が受けるもの」というイメージが強いですが、世界的な医療のスタンダードは異なりつつあります。
本記事では、最新の海外ガイドラインや臨床遺伝専門医の視点を交え、NIPTを受けるべきかどうかの判断基準、メリット・デメリット、そして夫婦で話し合うべき7つのポイントについて解説します。
1. 「受けるべき?」世界基準の答え
まず、日本の「35歳以上」という基準について、世界ではどのように考えられているのかを見てみましょう。
「すべての妊婦に、NIPT(出生前検査)の情報と選択肢が提供されるべきである」
これは、米国産婦人科学会(ACOG)が2020年に発表したガイドライン(Practice Bulletin No. 226)の結論です。
かつては「高齢妊娠=ハイリスク」としてスクリーニングが行われていましたが、現在では「母体の年齢やリスクに関わらず、希望するすべての妊婦さんが検査を受けられるべき」というのが医学的な世界基準となっています。
つまり、「35歳未満だから受ける必要はない」「若いから心配しすぎ」と考える必要はありません。年齢に関わらず、赤ちゃんの健康状態を知りたいと願うことは、親として自然な権利なのです。
2. NIPTの基本と「見逃されやすい」リスク
一般的なNIPTでは何がわかり、何がわからないのか。そして、多くの検査で見逃されがちな「その他のリスク」について解説します。
基本検査(多くの施設で実施)
21, 18, 13トリソミー
いわゆるダウン症候群などの「染色体の数が1本多い状態」です。これらは「母体の年齢」に依存してリスクが上がります。
性染色体検査
性別判定だけでなく、ターナー症候群やクラインフェルター症候群などの性染色体の数異常を調べます。
通常は2本ペアである染色体が、細胞分裂の際のエラーで3本になってしまう状態のこと。21番目の染色体が多いとダウン症になります。
基本検査ではわからないリスク(重要)
実は、出生前診断を検討する上で見落とされがちなのが「微細欠失」と「父親由来のリスク」です。これらは一般的なNIPT(基本検査)では検出できませんが、ミネルバクリニックのスーパーNIPT・ダイヤモンドプランでは検査可能です。
① 微細欠失症候群
染色体の微細な欠けによって起こる異常です(例:22q11.2欠失症候群)。
- 年齢に関係なく起こる:母体年齢に依存しません。
- 若い人ほど要注意:35歳未満の妊婦さんにおいては、年齢依存のトリソミーよりも、微細欠失のリスク割合が相対的に高くなることが知られています。
② 父親由来のリスク(デノボ変異)
精子の分裂過程で起こる遺伝子の「突然変異(コピーミス)」です。
- 父親の年齢に依存:男性が高齢になるほどリスクが上昇します。
- 深刻な疾患の可能性:骨格異常や神経発達障害、自閉症スペクトラムの一部に関与する可能性があります。
顕微鏡では見えないほど小さな「染色体の欠け」のこと。通常の染色体検査(Gバンド法)では見逃されてしまうほど小さい欠損ですが、赤ちゃんの成長や発達に影響を与えることがあります。
3. 日本における受検率と統計データ
「みんなは受けているの?」という疑問に対し、厚生労働省の調査データ(2020年)を見てみましょう。
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40歳以上
22.7% -
35~39歳
10.2% -
35歳未満
2.4%
※厚生労働省調査(2020年)より
⚠️ 重要な統計データ
実際にダウン症候群の赤ちゃんを出産する人の約8割は35歳未満です。
35歳以上での妊娠では個々のリスクが高くなるものの、出産全体に占める35歳未満の割合が圧倒的に多いため、実数としては35歳未満の妊婦さんからの出生が多くなります。
4. 検査を受けるべきか:判断基準
最終的には個人の価値観によりますが、医学的な観点から検討をお勧めするケースをまとめました。
✅ 検討する価値がある人
- 35歳以上での妊娠(染色体リスクへの懸念)
- 35歳未満だが不安がある(微細欠失リスクなど)
- パートナーが高齢である(コピーミスによるリスク)
- 過去の妊娠で染色体異常の指摘を受けた
- 不安を軽減して妊娠期間を過ごしたい
👐 受けない選択も尊重されます
- 「どんな子でも育てる」と決めている
- 検査結果待ちの精神的負担を避けたい
- 検査の限界(非確定であること)を理解した上で受けない
5. メリット・デメリットの整理
⭕ メリット
- 母体へのリスクなし(採血のみ、流産リスク0)
- 高い検査精度(21トリソミー感度99.9%)
- 早期検査が可能(妊娠9〜10週から。早期NIPTなら6週から)
- 安心感の獲得(海外の研究では、陰性確認による妊婦の不安スコア低下が報告されています)
❌ デメリット
- 非確定検査(陽性でも羊水検査が必要)
- 偽陽性の可能性(特異度は高いが100%ではない)
- 費用負担(10〜20万円台)
- 結果待ちの不安
6. 夫婦で話し合うべき7つのポイント
NIPTは夫婦の共同プロジェクトです。以下の7つのポイントについて事前に話し合っておくことで、後悔のない選択ができます。
7. 体験談:受けた人・受けなかった人
⭕ 受けた方の声(Aさん 38歳)
「高齢妊娠で不安があり受検。陰性結果のおかげで、残りの妊娠期間を安心して過ごせました。事前に夫婦で十分に話し合っていたことが良かったです。」
✋ 受けなかった方の声(Cさん 35歳)
「いざ妊娠すると『どんな子でも育てたい』という気持ちになり、受けませんでした。覚悟を決めていたので、その後の経過も落ち着いて受け止められました。」
ミネルバクリニックの特徴
ミネルバクリニックは、臨床遺伝専門医が常駐する施設として、世界最新鋭のNIPT検査と手厚いサポート体制を提供しています。
1. 早期NIPT(妊娠6週〜)
12週以降の中期中絶(出産と同じ負担)を避けるため、早期に結果を知りたい方へ。トラウマや長期休業(産後6週義務)を回避する選択肢です。
2. 院内完結(確定検査対応)
2025年6月より自院で確定検査(絨毛検査・羊水検査)が実施可能です。たらい回しを防ぎ、ワンストップで対応します。
3. 専門医による心理的サポート
臨床遺伝専門医が、検査前のカウンセリングから検査後のフォローまで一貫して担当。あなたに寄り添い続けます。
よくある質問(FAQ)
🏥 臨床遺伝専門医へのご相談
NIPTを受けるべきか悩んでいる方、パートナーと意見が合わない方など、まずはお気軽にご相談ください。
最新の遺伝医学と、温かい心であなたをお迎えします。
参考文献・関連リンク

