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NIPT受けるべきか悩む人へ:判断基準と7つのポイント【医師監修】

NIPT受けるべきか?判断基準と夫婦で話す7つのこと【医師監修】

この記事でわかること
📖 読了時間:約15分
📊 約10,000文字
臨床遺伝専門医監修


  • 「35歳の壁」はもう古い? → 米国産婦人科学会(ACOG)が示す「全妊婦対象」の根拠。

  • 「12週の壁」と早期NIPTの重要性 → なぜ妊娠6週からの検査が必要なのか。中期中絶のトラウマ回避という視点。

  • 意外な盲点「微細欠失」と「父親リスク」 → 若い方でも起こりうるリスクと、それらをカバーする第3世代NIPTについて。

  • 夫婦で話し合うべき7つのポイント → 検査を受ける目的、費用、結果への対応など、具体的な話し合いのロードマップ。

  • 受検率データと統計 → ダウン症の赤ちゃんが生まれる確率の真実。

「NIPTを受けるべきか」―妊娠が分かってから、多くの妊婦さんとそのパートナーがこの問いに直面します。日本では「35歳以上が受けるもの」というイメージが強いですが、世界的な医療のスタンダードは異なりつつあります。
本記事では、最新の海外ガイドラインや臨床遺伝専門医の視点を交え、NIPTを受けるべきかどうかの判断基準、メリット・デメリット、そして夫婦で話し合うべき7つのポイントについて解説します。

1. 「受けるべき?」世界基準の答え

まず、日本の「35歳以上」という基準について、世界ではどのように考えられているのかを見てみましょう。

🌎 世界のニュースタンダード

「すべての妊婦に、NIPT(出生前検査)の情報と選択肢が提供されるべきである」

これは、米国産婦人科学会(ACOG)が2020年に発表したガイドライン(Practice Bulletin No. 226)の結論です。
かつては「高齢妊娠=ハイリスク」としてスクリーニングが行われていましたが、現在では「母体の年齢やリスクに関わらず、希望するすべての妊婦さんが検査を受けられるべき」というのが医学的な世界基準となっています。

つまり、「35歳未満だから受ける必要はない」「若いから心配しすぎ」と考える必要はありません。年齢に関わらず、赤ちゃんの健康状態を知りたいと願うことは、親として自然な権利なのです。

2. NIPTの基本と「見逃されやすい」リスク

一般的なNIPTでは何がわかり、何がわからないのか。そして、多くの検査で見逃されがちな「その他のリスク」について解説します。

基本検査(多くの施設で実施)

21, 18, 13トリソミー

いわゆるダウン症候群などの「染色体の数が1本多い状態」です。これらは「母体の年齢」に依存してリスクが上がります。

性染色体検査

性別判定だけでなく、ターナー症候群やクラインフェルター症候群などの性染色体の数異常を調べます。

💡 用語解説:トリソミー(染色体異常)
通常は2本ペアである染色体が、細胞分裂の際のエラーで3本になってしまう状態のこと。21番目の染色体が多いとダウン症になります。

基本検査ではわからないリスク(重要)

実は、出生前診断を検討する上で見落とされがちなのが「微細欠失」「父親由来のリスク」です。これらは一般的なNIPT(基本検査)では検出できませんが、ミネルバクリニックのスーパーNIPT・ダイヤモンドプランでは検査可能です。

① 微細欠失症候群

染色体の微細な欠けによって起こる異常です(例:22q11.2欠失症候群)。

  • 年齢に関係なく起こる:母体年齢に依存しません。
  • 若い人ほど要注意:35歳未満の妊婦さんにおいては、年齢依存のトリソミーよりも、微細欠失のリスク割合が相対的に高くなることが知られています。

② 父親由来のリスク(デノボ変異)

精子の分裂過程で起こる遺伝子の「突然変異(コピーミス)」です。

  • 父親の年齢に依存:男性が高齢になるほどリスクが上昇します。
  • 深刻な疾患の可能性:骨格異常や神経発達障害、自閉症スペクトラムの一部に関与する可能性があります。
💡 用語解説:微細欠失(びさいけっしつ)
顕微鏡では見えないほど小さな「染色体の欠け」のこと。通常の染色体検査(Gバンド法)では見逃されてしまうほど小さい欠損ですが、赤ちゃんの成長や発達に影響を与えることがあります。

3. 日本における受検率と統計データ

「みんなは受けているの?」という疑問に対し、厚生労働省の調査データ(2020年)を見てみましょう。

📊 年齢別NIPT受検率
  • 40歳以上
    22.7%
  • 35~39歳
    10.2%
  • 35歳未満
    2.4%

※厚生労働省調査(2020年)より

⚠️ 重要な統計データ

実際にダウン症候群の赤ちゃんを出産する人の約8割は35歳未満です。
35歳以上での妊娠では個々のリスクが高くなるものの、出産全体に占める35歳未満の割合が圧倒的に多いため、実数としては35歳未満の妊婦さんからの出生が多くなります。

4. 検査を受けるべきか:判断基準

最終的には個人の価値観によりますが、医学的な観点から検討をお勧めするケースをまとめました。

✅ 検討する価値がある人

  • 35歳以上での妊娠(染色体リスクへの懸念)
  • 35歳未満だが不安がある(微細欠失リスクなど)
  • パートナーが高齢である(コピーミスによるリスク)
  • 過去の妊娠で染色体異常の指摘を受けた
  • 不安を軽減して妊娠期間を過ごしたい

👐 受けない選択も尊重されます

  • 「どんな子でも育てる」と決めている
  • 検査結果待ちの精神的負担を避けたい
  • 検査の限界(非確定であること)を理解した上で受けない

5. メリット・デメリットの整理

⭕ メリット

  • 母体へのリスクなし(採血のみ、流産リスク0)
  • 高い検査精度(21トリソミー感度99.9%)
  • 早期検査が可能(妊娠9〜10週から。早期NIPTなら6週から)
  • 安心感の獲得(海外の研究では、陰性確認による妊婦の不安スコア低下が報告されています)

❌ デメリット

  • 非確定検査(陽性でも羊水検査が必要)
  • 偽陽性の可能性(特異度は高いが100%ではない)
  • 費用負担(10〜20万円台)
  • 結果待ちの不安

6. 夫婦で話し合うべき7つのポイント

NIPTは夫婦の共同プロジェクトです。以下の7つのポイントについて事前に話し合っておくことで、後悔のない選択ができます。

1
目的の明確化

心の準備のためか、療育環境の準備のためか、今後の判断材料にするためか。検査を受ける「動機」を共有しましょう。

2
結果の受け止め方

「陽性」だった場合、確定検査へ進むのか。「陰性」でも100%ではないことを理解しているか。事前のシミュレーションが大切です。

3
検査範囲の決定

基本のトリソミーだけで良いか、微細欠失や父親由来のリスクまで詳しく調べるか(ダイヤモンドプラン等の検討)。

4
費用とスケジュール

自費診療の予算(10〜20万円台)と、検査を受ける週数(通常10週以降/早期なら6週以降)を確認しましょう。

5
情報共有の範囲

親族や職場に検査のことを伝えるかどうか。プライバシーに関わるため、夫婦での認識合わせが重要です。

6
陽性だった場合の選択

最も重いテーマですが、産むのか、諦めるのか、現時点での考えを共有しておくことが重要です。

7
互いの価値観の尊重

意見が食い違っても、一方的に決めつけず、尊重し合う姿勢を確認しましょう。正解のない問いだからこそ、対話が必要です。

7. 体験談:受けた人・受けなかった人

⭕ 受けた方の声(Aさん 38歳)

「高齢妊娠で不安があり受検。陰性結果のおかげで、残りの妊娠期間を安心して過ごせました。事前に夫婦で十分に話し合っていたことが良かったです。」

✋ 受けなかった方の声(Cさん 35歳)

「いざ妊娠すると『どんな子でも育てたい』という気持ちになり、受けませんでした。覚悟を決めていたので、その後の経過も落ち着いて受け止められました。」

ミネルバクリニックの特徴

ミネルバクリニックは、臨床遺伝専門医が常駐する施設として、世界最新鋭のNIPT検査と手厚いサポート体制を提供しています。

1. 早期NIPT(妊娠6週〜)

12週以降の中期中絶(出産と同じ負担)を避けるため、早期に結果を知りたい方へ。トラウマや長期休業(産後6週義務)を回避する選択肢です。

2. 院内完結(確定検査対応)

2025年6月より自院で確定検査(絨毛検査・羊水検査)が実施可能です。たらい回しを防ぎ、ワンストップで対応します。

3. 専門医による心理的サポート

臨床遺伝専門医が、検査前のカウンセリングから検査後のフォローまで一貫して担当。あなたに寄り添い続けます。

よくある質問(FAQ)

Q1. NIPTは全員が受けるべき検査ですか?

いいえ、任意の検査です。受けるかどうかは妊婦さん本人とパートナーの意思で決めるものです。ただし、ACOG(米国産婦人科学会)などは「全妊婦に選択肢として提示されるべき」としています。

Q2. 病院から勧められなくても受けられますか?

はい、自分の意思で受けることが可能です。年齢制限もありません。

Q3. 陽性だった場合、どうすればいいですか?

まずは専門医の説明を受け、確定診断(羊水検査など)へ進むか検討します。ミネルバクリニックでは陽性時の費用補助(互助会)や院内での確定検査対応を行っています。

Q4. NIPTの費用はどれくらいですか?

自費診療のため施設により異なりますが、一般的に10万〜20万円程度です。詳細な費用についてはNIPTの費用相場解説ページをご覧ください。

Q5. 20代でも受ける意味はありますか?

はい。染色体の数の異常(ダウン症など)のリスクは年齢とともに上がりますが、「微細欠失」などの構造異常は年齢に関係なく起こります。20代のNIPTについての解説も参考にしてください。

Q6. なぜ「妊娠6週」から検査できるのですか?

ミネルバクリニックでは、早期NIPTを臨床研究として実施しています。これにより、もし陽性で中絶を選択する場合でも、母体負担の大きい「12週以降の中期中絶」を回避できる可能性が高まります。中期中絶は労働基準法で産後6週間の休業が義務付けられるなど、身体的・社会的な負担が非常に大きいため、それを避けたい女性のための選択肢です。

🏥 臨床遺伝専門医へのご相談

NIPTを受けるべきか悩んでいる方、パートナーと意見が合わない方など、まずはお気軽にご相談ください。
最新の遺伝医学と、温かい心であなたをお迎えします。

参考文献・関連リンク



プロフィール
仲田洋美医師

この記事の筆者:仲田 洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。特に遺伝カウンセリング分野では15年以上の経験を持ち、全国初のオンライン遺伝カウンセリングを確立して、地方在住の方々にも質の高い遺伝医療を提供しています。


仲田洋美の詳細プロフィールはこちら

   

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