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VI型コラーゲン異常症の遺伝子検査|ベスレムミオパチー・ウルリッヒ病の原因をCOL12A1まで含む4遺伝子で調べる

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

VI型コラーゲン異常症の遺伝子検査

VI型コラーゲン異常症は、生まれつき筋力が弱いウルリッヒ病(ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィー)から、大人になってから気づくこともあるベスレムミオパチーまでを含む、遺伝性の筋肉の病気です。この検査では、原因となるCOL6A1・COL6A2・COL6A3の3つの遺伝子に、よく似た症状を起こすCOL12A1を加えた4つの遺伝子を、一度に調べます。「肘や膝は硬いのに、手首や指はやわらかすぎる」「エーラス・ダンロス症候群と言われたけれど筋力も弱い」など、診断までに回り道をしやすい病気です。1回の検査で原因を確かめられれば、呼吸や背骨の見張り、ご家族の検査、次の妊娠への備えまで、次の一手を具体的に決められます。ただし、検査を受けた全員に原因が見つかるわけではありません。このページでは、症状・見通し・遺伝のしかたと、この検査でわかること・わからないことを、臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. VI型コラーゲン異常症の遺伝子検査で何がわかりますか?

ベスレムミオパチー・ウルリッヒ病の原因となるCOL6A1・COL6A2・COL6A3に、似た症状を起こすCOL12A1を加えた4遺伝子に、病気の原因となる変化があるかを調べます。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

関節が硬い・やわらかすぎることと筋力低下があるお子さんや大人の方、COL6A1〜3の検査で原因が見つからなかった方、エーラス・ダンロス症候群と迷っている方、ご家族にこの病気の方がいる方です。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・頬の内側の粘膜で、オンライン診療でも受けられます。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。お子さんやきょうだいへの確率は、原因と遺伝のしかたでご家族ごとに違います。ご家族の検査や、意義がまだわからない変化(VUS)の扱いもご説明します。

\ 一生変わらない遺伝子を知って、これからの計画に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

VI型コラーゲンの3遺伝子とCOL12A1の4遺伝子を一度に調べ、結果は臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

お問い合わせはこちら | 3遺伝子の検査との違いを見る

1. VI型コラーゲン異常症とは:ウルリッヒ病からベスレムミオパチーまで続く1つの病気

VI型コラーゲン異常症(英語では collagen VI-related dystrophies、COL6-RD)は、VI型コラーゲンをつくる遺伝子の変化で起こる筋肉の病気です。重いウルリッヒ型から軽いベスレム型まで、重さの違う型が切れ目なく続く1つの病気と考えられています[1]。筋力が弱くなることに加えて、関節が硬くなる(拘縮)ところと、やわらかすぎるところが同じ体に見られるのが大きな特徴です。

コラーゲンは体の組織を支えるたんぱく質で、いくつもの型があります。VI型コラーゲンは、筋肉の細胞のまわりを取りかこむ細胞外マトリックスをつくる成分のひとつで、筋肉の細胞の表面にある基底膜と、そのまわりの組織をつなぐ役目をしています。生まれつき筋肉が弱くなる病気のグループについては、先天性筋ジストロフィー(CMD)総論で解説しています。

重いウルリッヒ型・中間型・軽いベスレム型

遺伝性疾患の解説書GeneReviewsは、VI型コラーゲン異常症を、重いほうから「ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィー(ウルリッヒ病)」「中間型」「ベスレムミオパチー」に分けています[1]。日本では、ウルリッヒ病が指定難病29、ベスレムミオパチーが指定難病31として、別々の病名で指定されています(第12章)。

🧬 VI型コラーゲン異常症の3つの型

型 歩くこと 夜間の呼吸の補助
ウルリッヒ型(ウルリッヒ病) 一人で歩けた子も10〜11歳ごろに車いすが中心に。一人で歩けない子・膝で歩く子もいる 全員で呼吸が弱くなり、平均11歳ごろに必要になる
中間型 11歳を過ぎても一人で歩け、車いすが中心になるのは平均19歳ごろ 10代後半〜20代前半に必要になる
ベスレムミオパチー 始まる年齢は生まれつきから大人の中ごろまで幅がある。50歳を過ぎると2/3を超える人が屋外で杖や車いすを使う 呼吸の弱さはいつも出るわけではない

※GeneReviews[1]による。年齢は平均や目安で、一人ひとりの見通しではありません。

どれくらいの人がなる病気か:日本では福山型に次いで多い先天性筋ジストロフィー

日本の先天性筋ジストロフィーの患者さん362人を筋肉の組織で調べた研究では、7.2%がVI型コラーゲンの欠損によるもので、福山型に次いで2番目に多い先天性筋ジストロフィーでした[2]。難病情報センターによると、日本で報告されているウルリッヒ病の患者さんは約300人ですが、実際はもっと多い可能性があります。ベスレムミオパチーは日本での報告がとても少なく、多くの方が診断されていないと考えられています(いずれも2026年10月時点で確認)。

海外の数字では、北イングランドで人口10万人あたり、ベスレムミオパチーが0.77人、ウルリッヒ型が0.13人と推定されています[1]。数字は調べ方や地域で変わるので、目安として受け取ってください。

原因:VI型コラーゲンの3つの遺伝子と、4つ目のCOL12A1

VI型コラーゲンは3本の鎖からできていて、それぞれをCOL6A1・COL6A2・COL6A3という遺伝子がつくっています。COL6A1とCOL6A2は21番染色体(21q22.3)に、COL6A3は2番染色体(2q37.3)にあります。原因が見つかった方のうち、COL6A1が35〜38%、COL6A2が44〜46%、COL6A3が18〜19%を占めると報告されています[1]。

この検査には、もう1つ、XII型コラーゲンをつくるCOL12A1(6番染色体・6q13-q14.1)が入っています。COL12A1の変化でも、VI型コラーゲン異常症とよく似た症状が起こることがわかっているからです[4][5]。COL12A1については、第3章で詳しくご説明します。

2. 症状:体の付け根の関節は硬く、手首・足首・指はやわらかい

VI型コラーゲン異常症の症状は、筋力低下と、関節の硬さとやわらかさの組み合わせです。肘や膝などの関節が硬くなる一方で、手首や指の関節はやわらかすぎる、というちぐはぐさが、ほかの筋肉の病気と見分ける手がかりになります。

ウルリッヒ病の症状(生まれつき・赤ちゃんのころから)

難病情報センターは、ウルリッヒ病の症状として次をあげています(2026年10月時点で確認)。

  • ●おなかの中での胎動が少ない、生まれたときの泣き声・お乳を飲む力・呼吸が弱い
  • ●肘や膝の関節が硬い(拘縮)一方で、手首や指の関節はやわらかすぎる
  • ●先天性股関節脱臼、かかとの骨が後ろに出っ張って見える
  • ●首のすわりやおすわり、歩き始めなどの運動の発達が遅れることが多い

赤ちゃんのころに体がやわらかく、ぐにゃっとした感じに見える状態はフロッピーインファントと呼ばれ、ウルリッヒ病もその原因のひとつになります。

ベスレムミオパチーの症状(大人になってから気づく人も)

ベスレムミオパチーは、生まれつきから大人の中ごろまで、症状が始まる年齢に幅があります[1]。難病情報センターによると、赤ちゃんのころに関節の硬さや運動の発達の遅れが見られることが多く、症状は10〜20代からはっきりしてきます。腕や太ももの筋力低下と筋肉のやせに加えて、指(とくに人差し指から小指)・肘・足首の関節が硬くなり、動かしにくくなります。子どものころは目立たず、大人になって「階段がつらい」「指が伸びにくい」ことから気づく方もいます。

皮膚の特徴と、心臓・知能

皮膚の特徴として、毛穴がぶつぶつと硬くなる毛孔性角化、傷あとが盛り上がるケロイド、薄く萎縮した傷あとが、どの型にもみられます[1]。手術や筋肉の検査の傷あとがケロイドになりやすいことは、医療を受けるときに伝えておきたい情報です。

知能は正常から高めとされています[1]。心臓そのものの病気(心筋症など)は、どの型でも起こらないとされています。ただし、呼吸の補助が足りないと心臓の右側に負担がかかることがあり、補助をきちんと行うと戻ることが多いと報告されています。そのため、年1回の心エコー・心電図が勧められています[1]。

血液検査のクレアチンキナーゼ(CK)は、正常か、少し上がる程度とされています[1]。CKがとても高いときは、ほかの筋ジストロフィーも含めて考えます。なお、同じく日本で多い福山型先天性筋ジストロフィーは原因の遺伝子が違うため、この検査では調べません(第7章の選び方の表)。

3. COL12A1とは:VI型コラーゲン異常症とエーラス・ダンロス症候群の「境目」の病気

COL12A1は、XII型コラーゲンをつくる遺伝子です。2014年に、VI型コラーゲンの3つの遺伝子に変化がないのにVI型コラーゲン異常症とよく似た症状をもつ方で、COL12A1の変化が見つかりました[4][5]。筋肉の病気と、関節や皮膚などの結合組織の病気の両方の特徴をもつのが、この病気の特徴です。

XII型コラーゲンとCOL12A1のはたらき

XII型コラーゲンは、太いコラーゲンの線維にくっついて、組織の形を保つのを助けるコラーゲンです。COL12A1の病気をもつ方の皮膚の細胞では、XII型コラーゲンが細胞の外にうまく出ていかず、中にたまっていることが報告されています[4]。変化をもつたんぱく質が、正常なたんぱく質の働きまで邪魔してしまう「ドミナントネガティブ」というしくみが、一部で考えられています。

COL12A1で起こる病気:ベスレムミオパチー2型・ウルリッヒ型2型(エーラス・ダンロス症候群と筋肉の病気が重なる病気)

COL12A1の変化で起こる病気は、遺伝のしかたで重さが違います。

  • ●顕性(優性)の変化:英国の研究では、ベスレムミオパチーによく似た2家系で、COL12A1の顕性の変化が見つかりました[4]。新しく起きた顕性の変化をもつ方は症状が軽く、成長とともに良くなって歩けるようになったという報告もあります[5]。遺伝子と病気の対応表(OMIM)では「ベスレムミオパチー2型」として登録されています。
  • ●潜性(劣性)の変化:両方の遺伝子に変化をもつきょうだいは、全身の関節がゆるく、筋力が弱くて一人で歩けませんでした[5]。OMIMでは「ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィー2型」として、まだ暫定的な対応として登録されています。

この報告の著者は、COL12A1の病気を「エーラス・ダンロス症候群と筋肉の病気が重なる症候群」と呼んでいます[5]。難病情報センターのウルリッヒ病のページにも、欧米ではXII型コラーゲンの遺伝子の変化による例が報告されていると書かれています(2026年10月時点で確認)。報告されている方はまだ少なく、症状の幅や長い目で見た見通しは、これから明らかになっていく段階です。

VI型コラーゲン異常症との見分けにくさと、手がかり

COL12A1の病気とVI型コラーゲン異常症は、背骨の曲がり(後側弯)、赤ちゃんのころの体のやわらかさ、関節のゆるさ、かかとの出っ張り、やわらかい皮膚が共通していて、症状だけでは見分けにくい病気です[1]。

GeneReviewsは、COL12A1の病気を考える手がかりとして、全身の関節のゆるさが強いこと、関節が外れやすいこと、顔が長いこと、口の天井(口蓋)が高いことをあげています。重い型では呼吸の弱さが早く出ることがあり、軽い型では手足の先のほうの筋肉が主に弱くなることがあるとされています[1]。ただ、これらは目安であって、どちらの病気かを最終的に確かめられるのは遺伝子検査です。

COL6A1〜3で見つからなかった方・エーラス・ダンロス症候群と言われたが筋力も弱い方へ

VI型コラーゲンの3つの遺伝子だけを調べて原因が見つからなかった方や、関節のゆるさからエーラス・ダンロス症候群を疑われたものの筋力の弱さも目立つ方では、COL12A1まで含めて調べる意味があります。この検査は、VI型コラーゲンの3つの遺伝子とCOL12A1を一度に調べるので、どちらの病気かを1回の検査で確かめられる可能性があります。関節のゆるさが中心で筋力低下が目立たない方には、エーラス・ダンロス症候群の遺伝子検査のほうが向くことがあります(第7章)。

4. 寿命・進行・治療の見通し

ウルリッヒ病は進行性の病気で、見通しを大きく左右するのは呼吸の管理です。ベスレムミオパチーはゆっくり進み、多くの方が長く歩くことができます。病気そのものを治す治療はまだありませんが、呼吸・背骨・関節への手当てでできることは多くあります。

ウルリッヒ病は進行性?歩行の見通し

GeneReviewsによると、ウルリッヒ型で一人で歩けるようになった子も、10〜11歳ごろに車いすを中心に使うようになります。一人で歩けるようにならない子や、膝で歩く子もいます[1]。難病情報センターも、重い方は一人で歩けるようにならず、歩けるようになった方も多くは10歳ごろまでに歩けなくなるとしています。一方、中間型では11歳を過ぎても一人で歩け、車いすが中心になるのは平均19歳ごろです[1]。

寿命は呼吸の管理に左右される

VI型コラーゲン異常症の145人を調べた国際研究では、肺活量(努力肺活量)が、ウルリッヒ型では年2.6%、中間型では年2.3%ずつ下がっていきました。夜間に呼吸を助ける機械(非侵襲的換気)を使い始めた年齢は、ウルリッヒ型で平均11.3歳、中間型で平均20.7歳でした[3]。ベスレム型では、年齢と肺活量のあいだにはっきりした関係は見られませんでした[3]。

歩けていても、呼吸の力が先に弱くなることがある点は大切です。GeneReviewsは、肺活量を座った姿勢と寝た姿勢の両方で測ることを勧めています[1]。難病情報センターも、呼吸の状態が生命の見通しに大きく関わるため注意深く見ていく、としています。これらの年齢は多くの方の平均で、一人ひとりの見通しを決めるものではありません。

ベスレムミオパチーの見通し

ベスレムミオパチーは、歩きにくさがゆっくり進みます。50歳を過ぎた方の2/3を超える人が屋外で杖・松葉づえ・車いすを使うとする報告がある一方[1]、難病情報センターは「50代で約半数が補助具か車いすを使う」としています。呼吸や心臓の障害はまれとされていますが、進んだ方では呼吸の補助が必要になることもあります(難病情報センター、2026年10月時点で確認)。

治療:根本の治療はまだないが、できることは多い

2026年10月時点で、VI型コラーゲン異常症そのものを治す治療はありません。GeneReviewsは、症状に合わせて次の手当てを行うとしています[1]。

  • ●呼吸:夜間に呼吸を助ける機械(BiPAP)、たんを出すのを助ける機械
  • ●背骨:側弯を年1回、診察とレントゲンで確かめる。ウルリッヒ型と中間型では手術が必要になることが多い
  • ●関節:理学療法・作業療法でのストレッチや水中運動。足首の硬さが強いときはアキレス腱の手術
  • ●栄養:口から十分に食べられないときは胃ろう

研究の段階では、COL6A1の特定の変化について、変化を打ち消す方向の方法が培養した細胞で効果を示したという報告があります[6]。ただし、これは細胞での研究で、治療として使える段階ではありません。治療やリハビリは、脳神経内科・小児神経科など専門の医療機関でご相談ください。

5. 遺伝のしかた:筋ジストロフィーは遺伝する?確率はご家族ごとに違う

VI型コラーゲン異常症は、同じ病気でも、顕性(優性)で伝わる場合と潜性(劣性)で伝わる場合があり、お子さんやきょうだいへの確率はご家族ごとに違います。「筋ジストロフィーは遺伝するのか」「遺伝する確率は」という疑問には、原因の遺伝子の変化がわかってはじめて、具体的にお答えできます。

ウルリッヒ病の多くは、お子さんで新しく起きた顕性の変化

GeneReviewsによると、ウルリッヒ型と中間型の多くは、お子さんで新しく起きた(新生突然変異・de novo)、常染色体顕性(優性)の変化で起こります。潜性で起こる場合は、それより少ないとされています[1]。難病情報センターも、多くは新しく起きた変化で、一部は両親から1つずつ受け継いだ変化によるとしています。お子さんで新しく起きた変化なら、ご両親のせいではないことがはっきりします。

潜性(劣性)遺伝のとき:次のお子さんは4分の1

常染色体潜性(劣性)遺伝では、ご両親がともに変化を1つずつもつ保因者で、お子さんが両方から受け継ぐと発症します。2つの違う変化を1つずつもつ状態を複合ヘテロ接合といいます。ご両親がともに保因者なら、次のお子さんが発症する確率は4分の1、症状のない保因者になる確率は2分の1、どちらでもない確率は4分の1です[1]。保因者のしくみは劣性遺伝(潜性遺伝)とは?保因者の仕組みと子どもへ遺伝する確率で詳しく解説しています。

ベスレムミオパチー(顕性):お子さんへは2分の1

ベスレムミオパチーはふつう顕性で伝わりますが、潜性の報告もあります[1]。親が顕性の変化をもっている場合、お子さん1人あたり2分の1の確率で同じ変化を受け継ぎます[1]。性別には関係しません。難病情報センターは、両親に症状がなくても、新しく起きた変化などのためにこの病気でないとは言えない、としています。

親御さんがモザイクのこともある:次のお子さんは「最大で2分の1」

お子さんで新しく起きたと思われる変化でも、親御さんの体の一部の細胞や、卵子・精子のもとになる細胞(生殖細胞)にだけ同じ変化がある「モザイク」のことがあります。GeneReviewsは、顕性のVI型コラーゲン異常症では、親御さんのモザイクは珍しくないとしています[1]。くわしくは体細胞モザイク・性腺モザイクで解説しています。

変化をもつ生殖細胞からできる卵子・精子は2分の1の確率で変化を受け継ぎます。生殖細胞のうちどれくらいが変化をもつかは実際の診療では調べられないため、お子さん1人あたりの確率は『最大で2分の1』とお伝えしています。血液で測ったモザイクの割合も、生殖細胞の割合の目安にはなりません。「新しく起きた変化だから、次は大丈夫」と小さく見積もらないことが大切です。

COL12A1の遺伝のしかた

COL12A1の病気には、顕性で伝わる型(ベスレムミオパチー2型)と、潜性で伝わる型(ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィー2型)があります[4][5]。どちらかによって、お子さんへの確率は2分の1にも4分の1にもなります。原因の変化を確かめてから、ご家族ごとに考えます。

同じ家族でも、重さが違うことがある

同じ変化をもっていても、症状の重さが人によって違うことがあります[1]。これを表現型の多様性といいます。変化の種類やたんぱく質のどの場所に変化があるかで重さがある程度変わることも知られていますが(遺伝子型-表現型相関)、それだけで一人ひとりの見通しを決めることはできません。

⚠️ 「自分が軽いから、子どもも軽い」とは言えません

ベスレムミオパチーの親御さんが軽い症状で気づいていなくても、同じ変化を受け継いだお子さんが同じ程度の症状になるとは限りません。だからこそ、ご家族の誰かでこの病気がわかったときは、症状の有無だけで判断せず、原因を知ったうえで計画することに意味があります。

6. どんな人がこの検査を受けるとよいか

筋力低下と、関節の硬さ・やわらかさがある方や、ご家族にこの病気の方がいる方に向く検査です。とくに、COL6A1〜3で原因が見つからなかった方、エーラス・ダンロス症候群と迷っている方には、COL12A1まで含めて調べる意味があります。病名が決まると、呼吸の見張りや背骨・関節の手当てなど、次の一手が具体的になります。

お子さんに筋力低下と、関節の硬さ・やわらかさがあるご両親

赤ちゃんのころから体がやわらかい、首のすわりや歩き始めが遅い、肘や膝が伸びきらないのに手首や指はやわらかすぎる、かかとが目立つ、といったお子さんでは、VI型コラーゲン異常症が考えられます。原因がわかれば、病名と見通しがはっきりし、呼吸の機能を座った姿勢と寝た姿勢で測る、側弯を年1回確かめる、といった見張りの計画を早く立てられます[1]。

大人になって筋力低下・関節の拘縮が出てきた方

指が伸びにくい、肘や足首が硬い、階段がつらいといった症状が10〜20代以降にはっきりしてきた方では、ベスレムミオパチーが考えられます。ベスレムミオパチーは顕性で伝わることが多いので、ご自身の結果は、ご両親・きょうだい・お子さんが自分のことを考える手がかりにもなります。

エーラス・ダンロス症候群と言われたが、筋力低下もある方

関節がやわらかすぎることからエーラス・ダンロス症候群を疑われたものの、筋力の弱さや運動の発達の遅れも目立つ場合は、COL12A1の病気やVI型コラーゲン異常症が隠れていることがあります[1][5]。この検査は、その両方を一度に確かめられます。

家族にこの病気の方がいて、「自分も・子どもも」と不安を抱えている方へ

ご家族にベスレムミオパチーの方がいると、指が少し伸びにくい、階段で疲れた、というだけでも「始まったのでは」と不安になりながら暮らしている方もいます。ご家族の原因の変化がわかっていれば、ご自身が同じ変化を受け継いでいるかを調べられます。受け継いでいないとわかれば、その変化については、ご家族と同じ確率でお子さんのことを心配しなくてよくなります。受け継いでいるとわかった場合は、呼吸の見張りや関節のリハビリなど、早めに始められることがあります(第10章)。

当院は、ライフステージごとに患者さんの人生をサポートするという考え方で診療しており、知りたいと願う方を拒むことはしません。遺伝カウンセリングで十分に考えたうえで、ご本人が知りたいと決めた場合は、その意思を尊重して検査まで行います。知らないでいる選択も、同じように尊重します。検査の前後で、臨床遺伝専門医と時間をかけて考えていただけます。

この検査より別の検査が向いている場合

症状が筋肉だけでなく脳や目にもある、多くの関節が生まれつき硬い、症状が広くて病気をしぼれない、といった場合は、別の検査のほうが向くことがあります。次の章の表で選び方をご説明します。

\ 原因がわかれば、次のお子さんの確率と備えを具体的に考えられます /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

ご家族で原因がわかっていれば、妊娠したときの羊水検査・絨毛検査まで院内で受けられます(2025年6月から産婦人科を併設)。

お問い合わせはこちら | どの検査がよいか迷う方へ

7. 3遺伝子と4遺伝子、どちらの検査を選ぶ?

ウルリッヒ病・ベスレムミオパチーをはっきり疑っていてVI型コラーゲンの3遺伝子を調べたい方は3遺伝子の検査、COL12A1まで含めて1回で確かめたい方や、エーラス・ダンロス症候群と迷う方はこの4遺伝子の検査、と考えてください。当院の検査ページで、COL6A1〜3とCOL12A1の4つをまとめて調べられるのは、このページの検査です(2026年10月時点の各ページの遺伝子一覧で確認)。

🔍 VI型コラーゲン・COL12A1を調べられる検査の比べ方

検査 COL6A1〜3 COL12A1 向いている方
このページの検査(4遺伝子) ○ ○ VI型コラーゲン異常症を疑い、COL12A1まで1回で確かめたい方。エーラス・ダンロス症候群と迷う方
ウルリッヒ病・ベスレムミオパチーの遺伝子検査(3遺伝子) ○ × ウルリッヒ病・ベスレムミオパチーをはっきり疑う方
神経筋疾患遺伝子パネル検査 ○ × 筋肉・神経のどこの病気かしぼれない方
関節拘縮症の遺伝子検査パネル COL6A2・COL6A3のみ × 生まれつき多くの関節が硬い方
エーラス・ダンロス症候群の遺伝子検査 × ○ 関節のゆるさ・皮膚の症状が中心で、筋力低下が目立たない方
結合組織疾患NGSパネル検査 × ○ エーラス・ダンロス症候群・マルファン症候群など、結合組織の病気を広く調べたい方
全エクソーム検査(WES) ほぼすべての遺伝子を調べる 症状が広く、病気をしぼれない方

※○×は2026年10月時点の各検査ページの遺伝子一覧による。どの検査が合うかは、症状・診察所見・ご家族の情報で変わります。遺伝カウンセリングで一緒に決めます。

筋肉の病気の遺伝子検査は、症状の出かたや始まった時期から、どのパネルを選ぶかを考えます。

🧭 症状・CK値・始まった時期から選ぶ筋肉の病気の検査

こんなとき 向いている検査
赤ちゃん〜大人。筋力低下に、体の付け根の関節の硬さと手首・指のやわらかさ。CKは正常か軽く上がる程度 このページの検査、または3遺伝子の検査
全身の関節のゆるさ・関節が外れやすいことが強く、筋力も弱い このページの検査(COL12A1を含む)
生まれつきの筋力低下に、脳や目の症状がある ジストログリカン関連先天性筋ジストロフィー遺伝子検査・症候性先天性筋ジストロフィー遺伝子検査
赤ちゃんのころから体がやわらかく、筋肉の病気と言われたが関節の症状は目立たない 先天性ミオパチー遺伝子検査パネル
子どものころ〜大人で、肩や腰まわりの筋肉から弱くなる 肢帯型筋ジストロフィーNGS遺伝子パネル検査
筋肉・神経のどこの病気かしぼれない 神経筋疾患遺伝子パネル検査、または全エクソーム検査

※VI型コラーゲン異常症のCK値はGeneReviews[1]による。CKがとても高いときは、ほかの筋ジストロフィーも含めて考えます。

8. この検査で調べる4つの遺伝子と、わかる病気

この検査では、COL6A1・COL6A2・COL6A3・COL12A1の4つの遺伝子を調べます。同じ遺伝子でも、変化の種類によって顕性でも潜性でも病気が起こるのが、この病気の特徴です。

🧪 VI型コラーゲン異常症の遺伝子検査で調べる4つの遺伝子

遺伝子 つくるもの 関係する病気(OMIM番号) 遺伝のしかた
COL6A1 VI型コラーゲンのα1鎖 ベスレムミオパチー1A(158810)/ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィー1A(254090) 常染色体顕性/常染色体潜性
COL6A2 VI型コラーゲンのα2鎖 ベスレムミオパチー1B(620725)/ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィー1B(620727)/筋硬化症(255600) 常染色体顕性/常染色体潜性(筋硬化症は潜性)
COL6A3 VI型コラーゲンのα3鎖 ベスレムミオパチー1C(620726)/ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィー1C(620728)/ジストニア27(616411) 常染色体顕性/常染色体潜性(ジストニア27は潜性)
COL12A1 XII型コラーゲンのα1鎖 ベスレムミオパチー2(616471)/ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィー2(616470・暫定的な対応) ベスレムミオパチー2は常染色体顕性/ウルリッヒ型2は常染色体潜性

※病名・番号・遺伝のしかたはOMIMほかの遺伝子データベースで確認(2026年10月)。遺伝子の位置はHGNCによる。顕性・潜性の両方があることはGeneReviews[1]、COL12A1は文献[4][5]による。

この4つの遺伝子の解説ページは、いまのところ当院のサイトにはありません。病気の全体像は、上の先天性筋ジストロフィー(CMD)総論もあわせてご覧ください。

9. この検査でわかること・わからないこと

この検査でわかるのは、4つの遺伝子の中の小さな変化(1文字の置き換わりや、短い欠失・挿入)と、遺伝子の大きな欠失・重複です。次世代シークエンサーで、遺伝子のたんぱく質をつくる部分と、その境目を読みます。VI型コラーゲン異常症の病的な変化の多くは、この方法で見つかると報告されています[1]。それでも、遺伝子検査には必ず限界があります。

  • ●遺伝子の奥深くの変化:この検査は、たんぱく質をつくる部分から20塩基より奥のイントロン(深部イントロン変異)を調べません。COL6A1には、イントロンの奥にあるのに病気を起こす変化(c.930+189C>T)が知られていて、VI型コラーゲン異常症で多い変化のひとつと報告されています[1][6]。この変化はこの検査の範囲の外にあるため、陰性でも、別の方法で調べる必要が残ることがあります。
  • ●小さな欠失・重複:エクソン1つだけの欠失・重複は、ふつうは見つかりません。2つ以上続くエクソンの欠失・重複は血液の検体で、遺伝子全体の欠失・重複は血液と頬の粘膜の検体で見つけられます。見つかった欠失・重複は、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します。
  • ●見つけられない変化:染色体の組み換わり(転座・逆位)、繰り返し配列の伸び、遺伝子の働きを調節する部分の多くの変化は見つけられません。また、体の一部の細胞だけにある変化(モザイク)を見つけるための検査ではありません。
  • ●意義がまだわからない変化(VUS):病気の原因かどうか、まだ判断できない変化が見つかることがあります。ご希望によりVUSを報告書に載せない選択(VUS除外)もできます。
  • ●陰性でも否定はできません:この検査は4つの遺伝子だけを調べます。原因が見つからなくても、ほかの遺伝子の病気や、この検査で見つけられない変化が残る可能性があります。

10. 病的変異が見つかったら、次にできること

病気の原因となる変化が見つかると、病名と見通しが決まり、何を見張ればよいか、ご家族が何を調べられるか、次の妊娠でどう備えられるかが具体的になります。結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。

ご本人(症状のある方):呼吸・背骨・関節の見張りと、制度の利用

GeneReviewsは、呼吸の機能を座った姿勢と寝た姿勢の両方で測ること、側弯を年1回確かめること、年1回の心エコー・心電図、関節のストレッチなどのリハビリを勧めています[1]。また、皮膚の傷あとがケロイドになりやすいこと、背骨の手術では呼吸を助ける機械をあらかじめ使い始めておくことなど、手術や麻酔の前に担当の医師へ伝えておきたいことも記されています[1]。遺伝子で原因が確定していることは、指定難病や小児慢性特定疾病の申請を考えるときにも手がかりになります(第12章)。治療・リハビリは、脳神経内科・小児神経科など専門の医療機関で受けていただきます。

症状のないご本人・ご家族:同じ変化があるかをピンポイントで調べられる

ご家族の中で原因の変化がわかると、ご両親・きょうだい・お子さんは、同じ場所だけを調べて、同じ変化をもっているかを確かめられます。ベスレムミオパチーのように顕性で伝わる場合は、症状の軽い親御さんが同じ変化をもっていることもあります。潜性の場合は、ご両親がそれぞれ保因者かどうかと、パートナーが同じ遺伝子の保因者かどうかが、次のお子さんの確率を決めます。症状のない方の検査は、ご本人の同意のうえで、遺伝カウンセリングで知ることの意味をよく考えてから行います。

子どもを持つときの選択肢(知ってから選べること)

GeneReviewsは、ご家族で原因の変化がわかっていれば、リスクのある妊娠での出生前検査と、着床前の遺伝学的検査が可能としています[1]。ご家族で原因の遺伝子の変化がわかっていれば、妊娠したときに赤ちゃんで同じ変化があるかを調べられます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。出生前診断を行えるかどうかは、病気の重さや国内の指針を踏まえて個別に考えますので、妊娠を考えている段階からご相談ください。

日本でも、日本産科婦人科学会の指針(「重篤な遺伝性疾患を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-M)」に関する指針、2026年9月改定)にもとづく審査を経て、PGT-Mが行われています(当院は体外受精・PGT-Mを行っていません)。準備に必要なことは遺伝性疾患をお持ちで海外でPGT-M(着床前診断)を考えている方へで解説しています。

出生前診断を受けない、何もしないでそのまま産む、という選択も、もちろん選べる選択肢です。どの選択をされても、その選択を尊重します。

当院でのその後

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングでご説明し、ご本人の見張りの計画、ご家族の検査、次の妊娠の備えを一緒に考えます(遺伝カウンセリング料は30分22,000円・税込)。調べた目的とは別の病気の原因が見つかった場合の扱いは、当院の二次的所見の開示方針をご覧ください。

11. 陰性だったとき・VUSが見つかったとき

陰性でも、VI型コラーゲン異常症やCOL12A1の病気を完全に否定することはできません。VUSは、それだけで診断やご家族の検査には使いません。

陰性だったとき

4つの遺伝子に原因が見つからなかった場合は、第9章のように、この検査で見つけられない変化(COL6A1の深いイントロンの変化など)が残っている可能性と、ほかの筋肉の病気の可能性を考えます。症状に合わせて、第7章の表のほかのパネル検査や、全エクソーム検査を検討します。

意義がまだわからない変化(VUS)が見つかったとき

VUSは、研究が進んでのちに意味がはっきりすることがあります。ご両親が同じ変化をもっているかを調べることが、判断の手がかりになることもあります。どう扱うかは、遺伝カウンセリングでご説明します。

妊娠を考えている方:保因者検査と出生前診断

潜性の型では、パートナーが同じ遺伝子の保因者かどうかが大切になります。当院の拡大版保因者スクリーニングのうち、女性版1009遺伝子と男性版911遺伝子にはCOL6A2が含まれていますが、COL6A1・COL6A3・COL12A1は含まれていません。女性版787遺伝子・男性版714遺伝子と、NIPTと同時に受けるファミリーセーフティ プラスには、4つの遺伝子のどれも含まれていません(2026年10月時点の遺伝子一覧で確認)。ご家族の原因の遺伝子がわかっている場合は、その遺伝子をピンポイントで調べるのが確実です。

12. 日本の制度(2026年10月時点)

ウルリッヒ病は指定難病29、ベスレムミオパチーは指定難病31です(厚生労働省の指定難病の一覧、令和8年4月時点)。18歳未満の方については、小児慢性特定疾病の「神経・筋疾患」の中に「ウルリヒ(Ullrich)型先天性筋ジストロフィー(類縁疾患を含む。)」が掲載されています(小児慢性特定疾病情報センター、2026年10月時点で確認)。

COL12A1による病気がこれらの対象になるかは、難病情報センター・小児慢性特定疾病情報センターのページには書かれていません。医療費の助成を受けるには、それぞれの制度の認定の条件を満たして申請する必要があります。対象になるか、どのように申請するかは、主治医や、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。

13. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体

検査費用は税込330,000円で、結果までは2〜3週間です。血液・唾液・頬の内側の粘膜のいずれでも検査でき、オンライン診療でも受けられます。

ご予約
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
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検体の採取血液・唾液・頬の粘膜
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結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

この検査は、遺伝診療先進国・米国の3大遺伝子検査会社の一角で行います。※

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

💴 費用・日数・検体

項目 内容
調べる遺伝子 COL6A1・COL6A2・COL6A3・COL12A1(4遺伝子)
調べる内容 塩基配列の解析と、欠失・重複の解析(どちらも料金に含まれます)
検査費用 税込330,000円
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査費用とは別
結果までの期間 2〜3週間
オプション 至急:結果までの期間が約7日短くなります(55,000円)/VUS除外:意義がまだわからない変化を報告に載せません(無料)
検体 血液(EDTA採血管4ml×2本)・抽出したDNA(3μg)・頬の内側の粘膜・唾液
オンライン診療 唾液・頬の粘膜・血液のいずれでも可能。血液の場合は全国の提携医療機関で採血をお願いします

※当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。

オンライン診療(ビデオ通話)で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただく流れです。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。検体採取キットは、検査料金をお支払いいただいたあとにお送りします。検体の取り違えを防ぎ、検体の品質を保つため、キットが届く前にご自身で検体を採らないでください。

結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。報告書の見方は遺伝子検査結果の見かたで解説しています。

遺伝カウンセリングでは、検査で何がわかり、何がわからないか、結果がご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。遺伝カウンセリングについては遺伝カウンセリングとはもご覧ください。

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ご本人の結果がわかれば、ご両親・きょうだい・お子さんは同じ変化だけをピンポイントで調べられます。

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14. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「やわらかい」と「硬い」が同じ体にある病気を、検査で確かめる意味】

VI型コラーゲン異常症とCOL12A1の病気は、筋肉の病気と、関節や皮膚の病気の境目にあります。関節のやわらかさに目が向けばエーラス・ダンロス症候群を、筋力の弱さに目が向けば別の筋ジストロフィーを考えたくなり、症状だけでは見分けにくい病気です。だからこそ、原因の遺伝子を確かめることには大きな意味がある、と考えています。病名がはっきりすれば、呼吸の力を見張るべきか、背骨をどう見ていくか、ご家族が何を調べればよいかが決まります。

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。たとえば、きょうだいのお子さんの病気をきっかけに念のため検査を受けた方に、まったく別の遺伝子の病的な変化が、体の一部の細胞だけにある状態(モザイク)で見つかったことがあります。ご本人は発症していませんでしたが、卵子や精子のもとになる細胞にもその変化があれば、お子さんが発症することがある病気でした。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。

わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。知ったうえで次の妊娠を考えたい方には、出生前診断まで当院で続けて支えられる体制を整えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. ウルリッヒ病は進行性ですか?

はい、進行性の病気です。遺伝性疾患の解説書(GeneReviews)によると、ウルリッヒ型で一人で歩けるようになった子も、10〜11歳ごろに車いすを中心に使うようになり、呼吸の力も少しずつ弱くなります。ただし進み方には個人差があり、11歳を過ぎても歩ける中間型の方もいます。

Q2. ウルリッヒ病の平均寿命は?

平均寿命をまとめた信頼できる数字は見当たりません。見通しを大きく左右するのは呼吸の管理で、国際研究では、ウルリッヒ型の方が夜間に呼吸を助ける機械を使い始めた年齢は平均11.3歳でした。呼吸の機能を定期的に確かめ、必要なときに呼吸の補助を始めることが大切です。

Q3. ウルリッヒ病は治りますか?

2026年10月時点で、病気そのものを治す治療はありません。呼吸の補助、側弯の見張りと手術、関節のリハビリ、アキレス腱の手術、栄養の手当てなど、症状に合わせた治療が行われます。治療やリハビリは、脳神経内科・小児神経科など専門の医療機関でご相談ください。

Q4. ベスレムミオパチーは子どもに遺伝しますか?

ベスレムミオパチーはふつう常染色体顕性(優性)で伝わり、親が原因の変化をもっていれば、お子さん1人あたり2分の1の確率で受け継ぎます。潜性(劣性)で伝わる場合もあり、その場合はご両親がともに保因者なら次のお子さんで4分の1です。どちらに当てはまるかは、原因の変化を確かめてから考えます。

Q5. 3遺伝子の検査と4遺伝子の検査は、どちらを受ければよいですか?

ウルリッヒ病・ベスレムミオパチーをはっきり疑っている場合は、COL6A1・COL6A2・COL6A3を調べる3遺伝子の検査で足りることがあります。COL12A1まで含めて1回で確かめたい方、3遺伝子の検査で原因が見つからなかった方、エーラス・ダンロス症候群と迷っている方は、この4遺伝子の検査が向いています。遺伝カウンセリングで一緒に決めましょう。

Q6. エーラス・ダンロス症候群と言われましたが、筋力も弱いです。この検査は向いていますか?

向いている可能性があります。COL12A1の病気は、エーラス・ダンロス症候群と筋肉の病気が重なる病気として報告されており、VI型コラーゲン異常症も関節のやわらかさと筋力低下をあわせもちます。関節のゆるさが中心で筋力低下が目立たない場合は、エーラス・ダンロス症候群の遺伝子検査のほうが向くこともあります。

Q7. 筋ジストロフィーは結婚に差し支えますか?

結婚に差し支えるかどうかを、病気が決めることはありません。お子さんへの確率は、病気の型と遺伝のしかた、ご家族ごとに違い、検査で原因がわかれば、ご自身が変化をもっているか、パートナーが保因者か、お子さんへの確率はどれくらいかを具体的に知ることができます。知ったうえで、出生前診断なども含めて、おふたりで選べることがあります。

Q8. ウルリッヒ病は指定難病ですか?

はい。ウルリッヒ病は指定難病29、ベスレムミオパチーは指定難病31です(2026年10月時点)。小児慢性特定疾病にも「ウルリヒ(Ullrich)型先天性筋ジストロフィー(類縁疾患を含む。)」が掲載されています。医療費の助成を受けるには、それぞれの制度の認定の条件を満たして申請する必要があります。

🧬 一度の検査で、ご本人とご家族のこれからを考える

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。VI型コラーゲン異常症やCOL12A1の病気の原因がわかれば、呼吸や背骨の見張りの計画だけでなく、ご家族の検査や、次の妊娠への備えを考える手がかりになります。当院では、COL6A1・COL6A2・COL6A3・COL12A1の4遺伝子を一度に調べ、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

参考文献

  • [1] Foley AR, Mohassel P, Donkervoort S, Bolduc V, Bönnemann CG. Collagen VI-Related Dystrophies. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2004 (Updated 2021 Mar 11). [NCBI Bookshelf NBK1503]
  • [2] Okada M, Kawahara G, Noguchi S, et al. Primary collagen VI deficiency is the second most common congenital muscular dystrophy in Japan. Neurology. 2007;69(10):1035-1042. [DOI: 10.1212/01.wnl.0000271387.10404.4e](PMID: 17785673)
  • [3] Foley AR, Quijano-Roy S, Collins J, et al. Natural history of pulmonary function in collagen VI-related myopathies. Brain. 2013;136(Pt 12):3625-3633. [DOI: 10.1093/brain/awt284]
  • [4] Hicks D, Farsani GT, Laval S, et al. Mutations in the collagen XII gene define a new form of extracellular matrix-related myopathy. Hum Mol Genet. 2014;23(9):2353-2364. [DOI: 10.1093/hmg/ddt637](PMID: 24334769)
  • [5] Zou Y, Zwolanek D, Izu Y, et al. Recessive and dominant mutations in COL12A1 cause a novel EDS/myopathy overlap syndrome in humans and mice. Hum Mol Genet. 2014;23(9):2339-2353. [DOI: 10.1093/hmg/ddt627](PMID: 24334604)
  • [6] Bolduc V, Foley AR, Solomon-Degefa H, et al. A recurrent COL6A1 pseudoexon insertion causes muscular dystrophy and is effectively targeted by splice-correction therapies. JCI Insight. 2019;4(6):e124403. [DOI: 10.1172/jci.insight.124403]

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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