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ヒルシュスプルング病(先天性巨大結腸症)の遺伝子検査|5遺伝子でわかる原因・遺伝する確率と、RETとがんの関係

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

ヒルシュスプルング病(先天性巨大結腸症)の遺伝子検査

ヒルシュスプルング病(先天性巨大結腸症)は、腸の一部に腸を動かす神経の細胞がなく、生まれつき便が出にくくなる病気です。多くは遺伝子1つで決まる病気ではありませんが、原因の遺伝子がわかると、次のお子さんで同じ病気が起こる可能性や、ご家族が気をつけたいことを具体的に考えられるようになります。とくにRET遺伝子の一部の変化は、甲状腺のがん(甲状腺髄様がん)にもつながることがあり、わかればご本人とご家族の見張りに役立ちます。このページでは、ヒルシュスプルング病とは何か、症状・大人になったら・寿命、遺伝する確率と、5つの遺伝子を調べる遺伝子検査でわかることを、臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. ヒルシュスプルング病の遺伝子検査で何がわかりますか?

ヒルシュスプルング病の原因として知られる5つの遺伝子(RET・EDNRB・EDN3・GDNF・ECE1)に、病気の原因となる変化がないかを一度に調べます。RETの一部の変化が見つかれば、甲状腺髄様がん(多発性内分泌腫瘍症2A型)への備えにもつながります。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

ヒルシュスプルング病と診断され原因を知りたい方、ご家族にヒルシュスプルング病の方がいて、次のお子さんへの遺伝が気になる方、病変の範囲が長い型の方などです。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・頬の内側の粘膜などで、唾液・粘膜ならオンライン診療でも受けられます。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。原因が見つかれば、ご家族が同じ変化をもっているかをピンポイントで調べられます。意義がまだわからない変化(VUS)が見つかることもあり、その扱いもご説明します。

🧬 Q. パネルに入っていない遺伝子も調べられますか?

SOX10・ZEB2・PHOX2Bなど、このパネルに入っていない遺伝子も追加して調べることができます。遺伝カウンセリングのときにご相談ください。

\ 一生変わらない遺伝子を知って、ご家族のこれからの計画に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

お問い合わせはこちら | ヒルシュスプルング病(病気の詳しい解説)

1. ヒルシュスプルング病(先天性巨大結腸症)とは

ヒルシュスプルング病とは、肛門から続く腸の一部に、腸を動かす神経の細胞(神経節細胞)が生まれつきなく、その部分の腸が動かないために便が通りにくくなる病気です。神経節細胞のない腸の手前で便やガスがたまり、腸が大きくふくらむことから「先天性巨大結腸症」とも呼ばれます。

腸の神経がない部分ができる病気(病型・何人に1人)

腸の壁には、腸の動きを調節する神経のネットワーク(腸管神経系)があります。この神経は、おなかの赤ちゃんの時期に神経堤細胞という細胞が腸の中を口側から肛門側へ移動してできあがります。この移動が途中で止まると、肛門側の腸に神経節細胞のない部分が残ります[2]。

ヒルシュスプルング病は約5,000人の出生に1人の病気です。日本では年間約200人が発症すると推計されています(難病情報センター)。海外の報告では、アジア系の人で1万人あたり2.8人と、ほかの集団よりやや多いとされています[1][2]。男の子に多く、海外の報告では男女比は全体で約4対1[1]、日本の難病情報センターでは約3対1とされています。

🩺 ヒルシュスプルング病の病型(神経節細胞のない範囲)

病型 神経節細胞のない範囲 割合(海外の報告)
短域型 直腸からS状結腸まで 約80%(男女比は約4対1)
長域型 S状結腸より口側まで 約15〜20%(男女差は小さい)
全結腸型 大腸全体 約5%
小腸型(全腸型) 小腸まで まれ

※割合はGeneReviews[1]による。日本の全国調査(1998〜2002年、1,103例)では、全結腸型以上が9.4%、小腸型が2.9%でした(小児慢性特定疾病情報センター)。

「軽度」「軽い」と言われるのは、多くの場合、神経節細胞のない範囲が短い短域型のことです。範囲が短いと、新生児期にはっきりした症状が出ず、慢性の便秘として経過することもあります(小児慢性特定疾病情報センター)。

赤ちゃん・新生児の症状と、ふつうの便秘との違い

新生児期の主な症状は、胎便(生まれて最初の便)が出にくいこと、おなかのふくらみ、嘔吐です。放っておくと腸炎を起こし、敗血症に進むことがあります(難病情報センター)。乳幼児期以降は、がんこな便秘が続くことがあります。

ふつうの便秘との大きな違いは、生まれてすぐから便が出にくいことと、おなかが張る・吐くといった症状を伴うことです。ただし、範囲が短い型では便秘だけで経過することもあり、症状だけでふつうの便秘と見分けることはできません。生まれてすぐから便の出が悪い、おなかが張って吐くといったときは、小児科・小児外科を受診してください。

診断はどうやって決まる?(遺伝子検査の役割)

ヒルシュスプルング病の診断は、直腸の組織を少し取って、神経節細胞がないことを確かめる検査(直腸生検)で決まります。遺伝子検査は、診断を決めるための検査ではありません。すでに診断された方や、ご家族にヒルシュスプルング病の方がいる方が、「なぜ起きたのか」「次のお子さんやご家族はどうか」を知るための検査です[1]。欧州の診療指針は、家族歴があることや、関係する症候群があることを、精密検査に進む目安を下げる要素として挙げています[5]。

治療と、大人になったら・寿命

根治的な治療は、神経節細胞のない腸を切除して、神経節細胞のある腸を肛門の近くにつなぐ手術です。薬だけで根治することはできません(難病情報センター)。ただし手術の前後には、腸の洗浄や排便の管理、腸炎に対する抗菌薬などの治療が必要になることがあります[6]。欧州の診療指針(2020年)によると、手術(プルスルー手術)は、診断から2〜3か月以内に、赤ちゃんの状態が落ち着き、体重が増え、腸の張りが取れてから予定して行うのが一般的です。生まれてすぐに手術する特別な利点は示されておらず、最適な時期を決めるだけのデータはまだないとされています[5]。範囲の長い全結腸型以上では、人工肛門が必要になることが多いとされています(小児慢性特定疾病情報センター)。

大人になったら:難病情報センターによると、手術で神経節細胞のある腸を肛門の近くにつなげることができれば、排便が得られ、通常の日常生活が送れるようになります。欧州の指針でも、多くの方の排便の機能は良好から正常とされる一方、一部の方には便が漏れる・便秘が強いといった問題が残ります。こうした問題は手術のあとの最初の数年に多いため、その時期はとくに丁寧に経過を見ます。適切な手術のあと4歳までに便の自立ができない場合は、追加の評価が勧められています[5]。全結腸型・小腸型では、水分・栄養の管理が必要になり、長い入院や在宅での静脈栄養が必要になることもあります(難病情報センター)。

⚠️ 手術の前にも後にも:ヒルシュスプルング病関連腸炎

ヒルシュスプルング病関連腸炎は、ヒルシュスプルング病で重い合併症や死亡につながる主な原因です[6]。欧州の指針では、患者さんの約30%が手術のあとに少なくとも1回この腸炎を起こすとされています[5]。熱が出る、おなかの張りや嘔吐が強くなるなど、いつもと様子が違うときは、早めに主治医に連絡してください。

寿命:日本の全国調査(1998〜2002年、1,103例)では、全体の死亡率は3.0%でした。神経節細胞のない範囲が長いほど高く、全結腸型以上で15.8%、小腸型で35.5%と報告されています(小児慢性特定疾病情報センター、2014年の解説)。古い調査なので今の治療成績とは違う可能性がありますが、「寿命」は病型によって大きく違うことを知っておいてください。

指定難病・小児慢性特定疾病(2026年10月時点)

全結腸型と小腸型のヒルシュスプルング病は、指定難病291の対象です。難病情報センターによると、全結腸型・小腸型は全体の約1割で、対象となる患者さんは約1,000人と考えられています(情報更新は令和5年1月)。また、ヒルシュスプルング病は小児慢性特定疾病(慢性消化器疾患)の対象疾病にも含まれています。医療費の助成を受けるには、それぞれの制度の認定の条件を満たし、申請する必要があります。認定の基準や申請の方法は、難病情報センター・小児慢性特定疾病情報センターや、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。

ヒルシュスプルング病類縁疾患との違い

小児慢性特定疾病では「ヒルシュスプルング病及び類縁疾患」として、腸がうまく動かない病気がひとつのグループにまとめられています。類縁疾患には、ヒルシュスプルング病とは原因の違う病気が含まれます。たとえば、腸の平滑筋そのものが働きにくくなる内臓ミオパチー1型や巨大膀胱短小結腸腸管蠕動不全症候群5型(いずれもACTG2遺伝子が関係)、X連鎖性慢性特発性偽性腸閉塞症などです。これらの病気の原因遺伝子は、このページのパネルでは調べません。類縁疾患が疑われる場合は、別の検査を考えます(第3章の表)。

2. ヒルシュスプルング病は遺伝する?原因遺伝子と遺伝する確率

ヒルシュスプルング病は、遺伝子が関わる病気です。ただし多くは遺伝子1つで決まるのではなく、複数の遺伝子の変化が組み合わさって起こると考えられています[1][2]。きょうだいに同じ病気が起こる確率は全体で約4%で、一般の人の約0.02%よりはっきり高くなります[1]。

多くは遺伝子1つでは決まらない

ヒルシュスプルング病のなりやすさに最も大きく関わるのは、RET遺伝子です。RETのタンパク質を作る部分の変化は、ご家族に複数の患者さんがいる場合の約50%、家族歴のない場合の15〜20%で見つかると報告されています[4]。ただし家族歴のない場合の割合は調べた集団によって違い、3〜10%(専門施設の集計では10〜35%)とする報告もあります。病型別では、短域型の17〜38%、長域型の70〜80%です[1]。

一方、RETの1番目のイントロンには、遺伝子の働く量を調節する部分(エンハンサー)に、多くの人がもっている「よくある変化」があり、これもなりやすさに関わります[2]。米国の研究では、こうしたよくある変化をまとめてもつ人は、患者さんの48.4%(対照の人では17.1%)でした。病気に関わるまれな遺伝子の変化は34.7%(対照5.0%)、大きな染色体の領域の増減(コピー数の変化)は11.4%(対照0.2%)で見つかり、少なくとも1つの遺伝的な要因が見つかった人は72.1%でした[3]。

同じ変化をもっていても発症しない人がいること(不完全浸透)、男の子に多いことも、この病気の特徴です[1]。遺伝のしかたの基本は、遺伝形式の解説をご覧ください。

きょうだい・お子さんに遺伝する確率

きょうだいに同じ病気が起こる確率は、患者さんの性別、きょうだいの性別、神経節細胞のない範囲の長さによって、約1%から33%まで大きく違います[1]。

👪 ヒルシュスプルング病のきょうだいへの再発率(遺伝する確率の目安)

患者さん きょうだい 長域型 短域型
男の子 男の子 17% 5%
男の子 女の子 13% 1%
女の子 男の子 33% 5%
女の子 女の子 9% 3%

※GeneReviews[1]の表(米国の家系研究による。全結腸型は含まない)。集団の平均の値で、ご家族ごとの確率ではありません。

この表からわかるように、女の子の患者さんや、範囲の長い型では、きょうだいへの確率が高くなります。ただし、これは多くの家族をまとめた平均の値です。ご家族に遺伝子1つで起こる型の原因が見つかれば、確率はその遺伝子の遺伝のしかたに沿って考えることになり、平均の値とは違ってきます。ご本人が大人になって子どもを持つときも同じで、原因がわかっているかどうかで、考え方が変わります。

ダウン症候群・ほかの症候群との関係

ヒルシュスプルング病の約70%はほかの異常を伴わずに起こり、約12%は染色体の異常、約18%はほかの先天異常を伴います[2]。日本の全国調査では、22.8%に心臓の病気・腸閉鎖・中枢性低換気症候群・難聴・ダウン症候群などの合併がありました(小児慢性特定疾病情報センター)。神経堤細胞から生まれる組織の病気がまとめて起こることがあり、こうした病気のグループは神経堤病変(ニューロクリストパチー)と呼ばれます。

🧩 ヒルシュスプルング病を伴うことがある主な症候群

症候群 ヒルシュスプルング病との関係 主な原因
ダウン症候群 ヒルシュスプルング病の2〜10%がダウン症候群。ダウン症候群の0.6〜3%がヒルシュスプルング病[1] 21番染色体が1本多い(このパネルでは調べない)
ワーデンブルグ症候群4型 難聴・髪や目の色の変化にヒルシュスプルング病を伴う[2] EDNRB・EDN3(両アレルの病的変化)、SOX10(1つの変化)
モワット・ウィルソン症候群 典型的な方の44%で、生検で確かめられたヒルシュスプルング病がある[7] ZEB2(このパネルでは調べない)
先天性中枢性低換気症候群 約20%にヒルシュスプルング病を伴う[2] PHOX2B(このパネルでは調べない)
L1症候群(X連鎖性水頭症) ヒルシュスプルング病を伴う例が報告されている[1] L1CAM(このパネルでは調べない)
バルデー・ビードル症候群 ヒルシュスプルング病を伴う例がいくつか報告されている[2] BBS遺伝子群(このパネルでは調べない)

※割合はそれぞれの文献による。症候群の診断は、症状と、それぞれに合った検査で行います。

ほかの症状を伴う場合は、このページのパネルより、症候群に合った検査のほうが向いていることがあります。次の章で、検査の選び方をご説明します。

3. どんな人がこの遺伝子検査を受けるとよいか

ヒルシュスプルング病と診断され原因を知りたい方、ご家族にヒルシュスプルング病の方がいる方、次のお子さんへの遺伝が気になるご両親に向く検査です。原因がわからないまま「次の子もそうなるのでは」と悩み続けるより、わかることから次の計画を立てるほうが、前に進みやすいと考えています。

  • ●原因を知りたい方:ヒルシュスプルング病と診断され、なぜ起きたのかを知りたい方。とくに範囲の長い型(長域型)の方は、RETの変化が見つかる割合が高いと報告されています[1]。
  • ●次のお子さんへの遺伝が気になるご両親:原因がわかれば、次のお子さんで同じ病気が起こる可能性と、次の妊娠でどう備えられるかを、具体的に考えられるようになります。
  • ●ご家族にヒルシュスプルング病の方がいる方:ご家族で原因がわかっていれば、ご自身が同じ変化をもっているかを調べられます。
  • ●甲状腺の病気が気になる方:RETの一部の変化は、甲状腺髄様がん(多発性内分泌腫瘍症2A型)にもつながります。ヒルシュスプルング病の方では、MEN2との関係から全員にRETの検査を勧めるグループもあります[1](第5章)。

GeneReviewsは、遺伝子1つで起こる型が考えられるヒルシュスプルング病では、まずRETを調べることを考え、RETで見つからなければEDN3・EDNRBに進む、という順番を示しています。この検査は、RETを含む5つの遺伝子を一度に調べるので、順番に調べる手間を省けます。ただし、世界で共通の検査の指針はまだありません[1]。

この検査より別の検査が向いている場合

ヒルシュスプルング病にほかの症状を伴う場合や、症状からいくつもの病気が考えられる場合は、別の検査のほうが向いていることがあります。GeneReviewsは、いくつもの先天異常・発育の遅れ・成長の遅れがある場合は染色体マイクロアレイ検査を、遺伝子を順に調べても見つからない場合はより広いパネルやエクソーム検査を考える、としています[1]。

🔍 症状に合わせた検査の選び方

こんなとき 向いている検査
ほかの症状を伴わないヒルシュスプルング病、ご家族にヒルシュスプルング病の方がいる このページの検査(5遺伝子)
難聴、髪の一部が白い、目の色が左右で違うなどを伴う ワーデンブルグ症候群NGS遺伝子パネル検査(SOX10・EDNRB・EDN3)
眠っているときの呼吸が弱いなど、呼吸の調節の異常を伴う 先天性中枢性低換気症候群の遺伝子検査(PHOX2B)
いくつもの先天異常、発達・成長の遅れを伴う マイクロアレイ染色体検査、全エクソーム検査(WES)
小さいころからの重い腸炎・下痢をくり返す 炎症性腸疾患NGS遺伝子パネル検査
パネルに入っていない遺伝子も調べたい カスタマイズ遺伝子パネル検査

※比べているのは検査の種類です。どの検査が合うかは、症状・診察所見・ご家族の情報で変わるため、遺伝カウンセリングで一緒に決めます。

\ あなたの1回の検査が、ご家族が自分のことを知る手がかりに /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

ご家族で原因がわかれば、きょうだい・ご両親も同じ変化をピンポイントで調べられます。羊水検査・絨毛検査も院内で受けられます。

お問い合わせはこちら | どの検査がよいか迷う方へ

4. 調べる5つの遺伝子と、わかる病気

このヒルシュスプルング病の遺伝子検査(NGSパネル検査)では、RET・EDNRB・EDN3・GDNF・ECE1の5つの遺伝子を一度に調べます。どれも、腸の神経のもとになる細胞が腸の中を移動して育つしくみに関わる遺伝子です[1][2]。

🧬 ヒルシュスプルング病パネルで調べる5つの遺伝子

遺伝子 働き 関係する病気 遺伝のしかた
RET 神経のもとになる細胞の移動・生存に必要な受容体 ヒルシュスプルング病、多発性内分泌腫瘍症2A型(MEN2A)・甲状腺髄様がん(特定の変化) 常染色体顕性(優性)。発症しない人もいる(不完全浸透)
EDNRB エンドセリンを受け取る受容体 ヒルシュスプルング病、ワーデンブルグ症候群4型 1つの病的変化でヒルシュスプルング病(不完全浸透)。両アレルに病的変化がある場合(ホモ接合または複合ヘテロ接合)はワーデンブルグ症候群4型
EDN3 EDNRBに結合する物質(エンドセリン3) ヒルシュスプルング病、ワーデンブルグ症候群4型 EDNRBと同じ
GDNF RETを働かせる物質(神経の栄養因子) ヒルシュスプルング病 報告はまれ。ほかの遺伝的な要因と組み合わさって関わると考えられている
ECE1 エンドセリンを働く形に変える酵素 ヒルシュスプルング病 報告はまれ。ほかの遺伝的な要因と組み合わさって関わると考えられている

※遺伝子と病気の関係はGeneReviews[1]とAmielらの総説[2]、RETとMEN2Aの関係は米国甲状腺学会の指針[4]による。

調べられるのは、遺伝子の文字(塩基)の小さな変化と、遺伝子の一部が欠けたり重なったりする変化(欠失・重複)です。

このパネルに入っていない遺伝子と、追加で調べる方法

ヒルシュスプルング病に関わる遺伝子は、この5つだけではありません。ほかの異常を伴わないヒルシュスプルング病では、NRTN・NRG1・NRG3・SEMA3C・SEMA3Dも原因遺伝子として挙げられています。症候群を伴う場合には、SOX10(ワーデンブルグ症候群4型)、ZEB2(モワット・ウィルソン症候群)、PHOX2B(先天性中枢性低換気症候群)、L1CAM(L1症候群)などが関わります[1]。これらは、このパネルには入っていません。

このパネルに入っていないSOX10・ZEB2・PHOX2B・NRTNなどの遺伝子も、追加して調べることができます。遺伝カウンセリングのときにご相談ください。追加で調べる方法は、カスタマイズ遺伝子パネル検査でご案内しています。難聴などワーデンブルグ症候群を疑う症状がある場合は、SOX10・EDNRB・EDN3が入ったワーデンブルグ症候群NGS遺伝子パネル検査も選べます。

5. RET遺伝子とがん:MEN2・甲状腺髄様がんとのつながり

RET遺伝子の一部の変化は、ヒルシュスプルング病だけでなく、甲状腺髄様がんを起こす多発性内分泌腫瘍症2A型(MEN2A)の原因にもなります。RETはもともと、変化するとがんにつながることがあるがん原遺伝子のひとつです。ヒルシュスプルング病の遺伝子検査が、ご本人とご家族のがんへの備えにつながることがある。これが、この検査の大切な点です。

米国甲状腺学会の指針(2015年)によると、RETの10番目のエキソンにある609・611・618・620番目のシステインの変化では、ヒルシュスプルング病とMEN2Aが同じ家系で起こることがあります。ヒルシュスプルング病の患者さんの2〜5%がMEN2Aで、MEN2Aの患者さんの約7%がヒルシュスプルング病とされています[4]。

💡 用語解説:多発性内分泌腫瘍症2型(MEN2)

甲状腺・副腎・副甲状腺など、ホルモンを作る臓器に腫瘍ができやすくなる遺伝性の病気です。RET遺伝子の変化で起こり、2A型と2B型があります。とくに甲状腺髄様がんへの備えが大切です。MEN1型との違いは多発性内分泌腫瘍(MEN)の解説をご覧ください。

この指針は、10番目のエキソンにRETの変化をもつヒルシュスプルング病の乳幼児に、遺伝カウンセリングと遺伝学的検査を受ける機会を設けるよう勧めています。また、こうした変化をもつヒルシュスプルング病の方は、MEN2Aの評価を受けるべきとしています[4]。指針では、RETの変化の場所によってがんのリスクを「最高」「高」「中等度」に分けており、甲状腺の予防的な手術を考える時期も、このリスク分類にもとづいて決めます[4]。

つまり、RETの変化が見つかったときは、「どこの変化か」がとても大切です。場所によって、ご本人と、同じ変化をもつご家族が、甲状腺などの見張りをいつから始めるか、予防的な手術を考えるかが変わります。こうした検査や治療は、内分泌や甲状腺の専門の医療機関で受けていただきます。遺伝性の腫瘍については、がん診療専門外来のページや、RETを含む副甲状腺機能亢進症の遺伝子検査のページもご覧ください。

6. この検査でわかること・わからないこと

この検査でわかるのは、5つの遺伝子のタンパク質を作る部分と、そのつなぎ目にある小さな変化、そして遺伝子の一部が欠けたり重なったりする変化です。一方で、遺伝子検査には必ず限界があります。

  • ●RETのよくある変化は読めません:この検査は、遺伝子のタンパク質を作る部分(エキソン)から20塩基より離れたイントロンの奥は調べません。ヒルシュスプルング病のなりやすさに関わるRETの1番目のイントロンのエンハンサーのよくある変化[2]は、この奥にあるため、この検査では読めないと判断しています。
  • ●調べていない遺伝子:第4章のとおり、このパネルに入っていない遺伝子は調べません(追加はご相談ください)。
  • ●調べられない変化:染色体の一部が入れ替わる変化(転座・逆位)、同じ配列のくり返しの長さの変化、遺伝子のスイッチの部分(プロモーター)の多くの変化は見つけられません。ダウン症候群のような染色体の数の変化も、この検査では調べません。
  • ●モザイク:体の一部の細胞だけに変化がある状態(モザイク)を見つけるための検査ではありません。
  • ●意義がまだわからない変化(VUS):病気の原因かどうか、まだ判断できない変化が見つかることがあります。
  • ●陰性でもヒルシュスプルング病は否定できません:ヒルシュスプルング病は多くの遺伝的な要因が組み合わさって起こるため、この検査で原因が見つからないことはよくあります。診断は、遺伝子検査ではなく直腸の組織の検査で決まります。

見つかった欠失・重複は、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します。読み取りの質が低い部分は、別の方法(サンガー法)で確かめます。調べる範囲の99%以上を、同じ場所を20回以上読み取る精度で調べます。

7. 結果が出たあと

結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。原因が見つかったとき・見つからなかったとき・VUSだったときで、次にできることが違います。

病的変異が見つかったら、次にできること

わかるだけで終わらせず、わかったあとに何ができるかを、立場ごとにお伝えします。

① ご本人(ヒルシュスプルング病の方):原因の遺伝子がわかると、病気の背景がはっきりします。RETの変化、とくに10番目のエキソンの変化が見つかった場合は、MEN2Aの評価(甲状腺髄様がんなどの見張り)につながります[4]。EDNRB・EDN3の変化では、難聴などワーデンブルグ症候群の症状がないかを確かめるきっかけになります。こうした評価や治療は、それぞれの専門の医療機関で受けていただきます。

② 症状のないご家族(ご両親・きょうだい):GeneReviewsは、ご本人に変化が見つかった場合、再発の確率を決めるためにご両親を調べることを勧めています[1]。同じ変化をもっていても発症しない人がいるため、症状のないご両親が変化をもっていることもあります。とくにRETの変化では、症状のないご家族も甲状腺の見張りの対象になることがあるため、ご家族の検査に大きな意味があります。症状のない方の検査は、ご本人の同意のもとで行います。

③ 次のお子さんを考えるとき:ご家族で原因の遺伝子の変化がわかっていれば、妊娠したときに、赤ちゃんが同じ変化をもっているかを調べることができます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。その病気で出生前診断を行えるかは、病気の重さや国内の指針を踏まえて個別に判断しますので、妊娠を考えている段階からご相談ください。日本でも、日本産科婦人科学会の指針にもとづく審査を経て、PGT-M(着床前遺伝学的検査)が行われています(当院は体外受精・PGT-Mを行っていません)。準備に必要なことは海外でPGT-Mを考えている方へのコラムで解説しています。もちろん、特別な検査をせずに出産を迎えることも、そのまま選べる選択肢です。

④ ほかのご家族(いとこなど):原因の変化がわかっていれば、ほかの血縁の方も、同じ変化をもっているかをピンポイントで調べられます。

⑤ 当院でのその後:結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングでご説明し、次にどうするかを一緒に考えます。遺伝カウンセリング料は30分22,000円(税込)です。

原因が見つからなかったとき・VUSだったとき

原因が見つからなかった場合も、ヒルシュスプルング病が否定されるわけではありません(第6章)。この場合のきょうだいへの確率は、第2章の表のような平均の値で考えます。ほかの症状を伴う場合は、症候群に合った検査や全エクソーム検査を考えます。

意義がまだわからない変化(VUS)は、それだけで診断に使ったり、ご家族の検査に使ったりはしません。研究が進んで、のちに意味がはっきりすることもあります。

結果の報告書と二次的所見

結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。報告書の読み方は遺伝子検査結果の見かたで解説しています。調べた目的とは別の病気の原因が見つかった場合(二次的所見)の扱いは、二次的所見の開示方針をご覧ください。

8. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体

ヒルシュスプルング病の遺伝子検査は、税込330,000円で、結果までは2〜3週間です。唾液・頬の内側の粘膜・血液のいずれでも、オンライン診療で受けられます。

ご予約
▶
遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
▶
検体の採取唾液・粘膜・血液
▶
結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

💴 費用・日数・検体

項目 内容
調べる遺伝子 RET・EDNRB・EDN3・GDNF・ECE1(5遺伝子)
調べる変化 塩基配列の変化、欠失・重複(どちらも料金に含まれます)
検査費用 330,000円(税込)
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査費用とは別
結果までの期間 2〜3週間
オプション 至急:結果までの期間が約7日短くなります(55,000円)/VUS除外:意義がまだわからない変化を報告に含めない(無料)
検体 唾液、頬の内側の粘膜、血液(EDTA採血管4mL×2本)、抽出したDNA
オンライン診療 可能。血液の場合は全国の提携医療機関で採血していただきます

この検査は、遺伝診療先進国・米国の3大遺伝子検査会社の一角で行います。※

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

※当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。

オンライン診療(ビデオ通話)で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただきます。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。検体採取キットは、検査料金をお支払いいただいたあとにお送りします。検体の取り違えを防ぎ、検査に使える品質を保つため、キットが届く前にご自身で検体を採取しないでください。

遺伝カウンセリングでは、検査で何がわかり、何がわからないか、結果がご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。

\ 人生に一度の遺伝子検査を、ご家族とこれからの計画に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

臨床遺伝専門医が常駐し、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明してからマイページにアップします。

お問い合わせはこちら | パネルにない遺伝子も調べたい方へ

9. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「次の子はどうなの?」に、確率の平均ではなく、ご家族の答えを】

ヒルシュスプルング病は、遺伝子1つで決まる病気ではないことが多い病気です。だからこそ、「次の子に遺伝するのか」という問いには、多くの家族をまとめた平均の数字で答えることになりがちです。けれども平均の数字は、目の前のご家族の確率ではありません。原因の遺伝子がわかれば、その遺伝子に沿って考えられるようになり、次の妊娠でどう備えるかを具体的に話し合えるようになります。わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。

もうひとつ、この病気の遺伝子検査には、がん薬物療法専門医としてお伝えしたい点があります。RETの一部の変化は、甲状腺髄様がんにつながることがあります。おなかの病気のための検査が、ご本人やご家族が甲状腺を見張るきっかけになることがある。病名がわかると次の一手が決まる、というのは、まさにこういうことだと考えています。

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。知ったうえで次の妊娠を考えたい方には、出生前診断まで当院で続けて支えられる体制を整えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. ヒルシュスプルング病は完治しますか?

根治的な治療は、神経節細胞のない腸を切除して、神経節細胞のある腸を肛門の近くにつなぐ手術で、薬だけで根治することはできません。難病情報センターによると、手術でつなげることができれば排便が得られ、通常の日常生活が送れるようになります。ただし手術のあとも、便が漏れる・便秘が強いといった問題が一部の方に残ることがあるため、長く経過を見ていきます。

Q2. ヒルシュスプルング病は難病(指定難病)ですか?

全結腸型と小腸型のヒルシュスプルング病は、指定難病291の対象です。また、ヒルシュスプルング病は小児慢性特定疾病(慢性消化器疾患)の対象疾病にも含まれています(2026年10月時点)。医療費の助成を受けるには、それぞれの制度の認定の条件を満たし、申請する必要があります。

Q3. ヒルシュスプルング病は何人に1人の病気ですか?

約5,000人の出生に1人とされています。日本では年間約200人が発症すると推計されています(難病情報センター)。男の子に多く、日本の推計では男女比は約3対1です。

Q4. ヒルシュスプルング病は遺伝しますか?次の子に遺伝する確率は?

多くは遺伝子1つで決まる病気ではなく、複数の遺伝子の変化が組み合わさって起こると考えられています。米国の家系研究をまとめた解説書では、きょうだいに同じ病気が起こる確率は全体で約4%で、患者さんときょうだいの性別、病変の長さによって約1%から33%まで違います。これは集団の平均の値です。ご家族ごとの確率は、遺伝子検査の結果とご家族の情報をあわせて考えます。

Q5. ヒルシュスプルング病の子どもは大人になったらどうなりますか?

手術で神経節細胞のある腸を肛門の近くにつなげることができれば、多くの方は通常の日常生活を送れるようになります。一方で、便が漏れる・便秘が強いといった問題が残る方もいるため、大人になるまで経過を見ることが勧められています。全結腸型・小腸型では、水分や栄養の管理が長く必要になることがあります。RET遺伝子の一部の変化が見つかった方は、甲状腺の病気(多発性内分泌腫瘍症2A型)の評価も大切です。

Q6. ヒルシュスプルング病の寿命は?

日本の全国調査(1998〜2002年、1,103例)では、全体の死亡率は3.0%でした。ただし、神経節細胞のない範囲が長いほど死亡率は高く、全結腸型以上で15.8%、小腸型で35.5%と報告されています。古い調査なので、今の治療成績とは違う可能性があります。病型によって見通しが大きく違うことを、主治医とよく話し合うことが大切です。

Q7. ヒルシュスプルング病とダウン症候群は関係がありますか?

関係があります。ヒルシュスプルング病の患者さんの2〜10%がダウン症候群で、ダウン症候群の方の0.6〜3%がヒルシュスプルング病とされています。ダウン症候群は染色体の数の変化なので、このページの遺伝子パネル検査では調べません。

Q8. このパネルに入っていない遺伝子も調べられますか?

調べられます。このパネルは5つの遺伝子(RET・EDNRB・EDN3・GDNF・ECE1)を調べますが、SOX10・ZEB2・PHOX2B・NRTNなど、パネルに入っていない遺伝子も追加して調べることができます。遺伝カウンセリングのときにご相談ください。

🧬 一度の検査で、ご家族のこれからを考える

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。ヒルシュスプルング病の原因がわかれば、次のお子さんの計画、ご家族の検査、そしてRETの変化なら甲状腺の見張りまで、これからを考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

参考文献

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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