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葉酸摂取の副作用はある?摂りすぎリスクやサプリの注意点

妊活中や妊娠中には「葉酸を摂ってください」とよく言われると思います。一方、「摂りすぎてもダメ」と言われてしまい不安になる女性もたくさんいるかもしれません。

そこで、今回の記事で不安になっている女性のために葉酸を過剰摂取すると、どういった影響が出るのかをまとめて公開しました。副作用以外に葉酸の取り方や推奨摂取量、サプリの選び方まで掲載していますので葉酸を摂る際の参考にしてください。

葉酸による副作用

医師と夫婦

一日に推奨される摂取量を守っていれば特に問題はありません。しかしながら摂りすぎてしまうとさまざまな副作用が起きてしまうため注意が必要です。

もし、葉酸サプリを大量に摂ってしまうと食欲不振・吐き気・不眠症・むくみ・紅斑・かゆみ・呼吸障害・亜鉛の吸収率低下などが報告されています。こうした妊婦さんの身体に症状が起きるだけではなく、生まれた子どもが喘息にかかるといったリスクが報告されています。因みに「自閉症」などの障害リスクが高まると言われていますが、はっきりとした報告はされていません。

葉酸の過剰摂取

2020年に厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準」では、0~70歳以上まで葉酸量の目安が定められています。18歳以上の男女は一日およそ240μgで、ほうれん草のおひたし(100g)を4皿食べるくらいの量です。妊娠中期から後期(12週目以降)だとプラス240㎍となっています。

因みに、妊活中の女性及び妊娠初期(5週から11週)だと推奨摂取量は大幅に増えてきます。先述した「日本人の食事摂取基準」には、「神経管閉鎖障害発症の予防のために摂取が望まれる葉酸の量を、狭義の葉酸(サプリメントや食品中に強化される葉酸)として 400 µg/日とした」と記載されており、葉酸の摂取が推奨されています。ただし、サプリメントのみではなく食事からの摂取も書かれているので両方から摂るようにしましょう。

食品での摂取は問題ない

水溶性ビタミンである葉酸は熱に弱いという性質があります。そのため食品で摂取をする場合、調理法によっては加熱されて分解してしまうケースも珍しくありません。

例えば、ほうれん草をおひたしにして食べるとゆでたときにゆで汁の中に流れてしまいます。このように摂取量が生で食べるときよりも減ってしまうので食事だけで過剰摂取になる可能性はほとんどありません。

また、食品で摂取するときは、消化管(⼩腸粘膜)の酵素によって分解され、小腸で吸収される際の影響により、おおよそ表示の半分くらいの量しか体内に吸収されないので副作用の心配は無用です。

サプリでの過剰摂取は危険

厚生労働省は、サプリで葉酸を摂取する量を一日に1000μgに定めています。なぜならサプリの葉酸は食品と違い、約85%と吸収率が高く過剰摂取になる恐れがあるからです。

サプリの葉酸は、最初から体内に吸収される「モノグルタミン酸型」で「合成葉酸」と呼ばれるものです。一方、食品に含まれる葉酸は「ポリグルタミン酸」で「天然葉酸」となります。同じ葉酸でも体内へ吸収される量が変わってくるため上限量を決めているのです。

日本でも葉酸の過剰摂取による健康被害が報告されています。一つは、妊活している42歳の女性が2カ月間葉酸380μgを含むサプリメントの服用をしていたところ、2時間後にアナフィラキシー症状(複数の臓器や全身にアレルギー反応が出る症状)をおこしたそうです。ブリックテスト(即時型アレルギーの原因を特定するために行う検査)をしたらサプリメントとその成分の葉酸に陽性反応がありました。

他にも、30歳の女性が妊娠5週目まで葉酸サプリメントを0.4 mg/日、3ヶ月以上摂取したところ、妊娠6週目より吐き気、嘔吐を起こし、1.5 kgも体重が落ちてしまいました。しかも2週間後に黄疸および肝酵素値 (直接ビリルビン値、AST値、ALT値、LDH値、γ-GTP値) の上昇が発生しました。検査したところ胆汁うっ滞(胆汁の流れが減少または停止した状態)となり、肝機能に障がいが出ていたそうです。葉酸サプリの服用を中止にしたら肝機能が回復をして元気な赤ちゃんを無事出産しています。

こうしたリスクを避けるためにも定められた基準内で葉酸サプリを摂るようにしてください。摂りすぎるとご自分自身の身体と胎児に影響してしまいます。

葉酸サプリって危険?

なぜ

基本的には、摂取量を守っていればサプリの服用は問題ありません。しかしながら下記のようなことが起きる可能性があるのでご注意ください。

  1. ・飲みすぎてしまう
  2. ・安全性を注意

これらの項目について詳しく紹介をしていきます。

飲みすぎてしまう

葉酸は、妊活中や妊娠初期には食事とサプリメントとの併用が勧められている珍しい栄養素です。ところが、サプリは、食品と違って味や香りがほとんどなく、口にしている感覚も少ないため、つい飲み過ぎてしまいがちです。

そのため悪阻(つわり)がひどいと栄養摂取をサプリに頼ってしまう恐れがありますが、サプリはあくまでも補助的役割でしかありません。決められている摂取量を守って副作用が出ないようにしてください。もし食欲不振があるときはどんな食事を摂ればいいのか医師や栄養士に相談するのがおすすめです。

安全性に注意

葉酸サプリを選ぶときにも注意点があります。先述したように、過剰に摂ってしまうと副作用を起こすケースがありますので容器に注意喚起を記載しているものを選びましょう。海外製のサプリだと未記載の場合があるのでご注意ください。

次に企業情報の記載がないサプリも注意が必要です。会社によって栄養素に関する知識がまちまちなので、どんな企業が生産販売しているのかチェックしてから買うのも一つの手です。

また、ビタミンAの過剰摂取に触れられている見るのもチェックポイントです。ビタミンAは、脂溶性ビタミンといって体内に蓄積される性質を持っています。そのため妊娠中に1日あたり3000μg(3mg)以上、摂り続けていると胎児に悪影響を及ぼしてしまう栄養素です。ラベルにビタミンAを筆頭に脂溶性ビタミンについての記載があるかどうかも見極める項目になるといえます。

葉酸サプリを間違えて飲みすぎたら

夫婦

葉酸は、体内に保存することができないビタミンです。もし推奨摂取量を上回って摂ったとしても一回程度なら副作用が起きる危険性はありません

ところが継続的に過剰摂取をしてしまうと、副作用が起きる可能性が高いので気をつけてください。もし心配ならば医師に相談しておきましょう。

サプリメントは形状によって過剰摂取が起こりがちです。しかし栄養補給の基本は食事です。サプリメントはあくまで補助的役割であることを理解しておきましょう。

まとめ

ここまで葉酸の副作用や摂りすぎについて詳しく紹介をしてきました。葉酸は妊活や妊娠中に欠かせないビタミンではありますが、やはり摂りすぎると身体に悪影響を及ぼします。何事もバランスが大事なので推奨されている摂取量を守った上で食事を中心にバランス良く栄養を摂るようにしてください。

同時に、栄養だけではなく運動も行って妊娠しやすい体質へと身体を変化させていきましょう。この記事を読んでくださった皆さんへうれしい便りが来ることを祈っています。もし妊娠中に不安があったらミネルバクリニックへお気軽にお問い合わせください。オンライン診療も行っているので全国どこからでもカウンセリングを受け付けています。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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