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妊娠しやすいのは生理後です。通常は生理後から排卵日までの間に、妊娠しうる約6日間(排卵日の5日前から排卵日まで)があり、妊娠しやすいのは排卵日の2日前から当日で、特に排卵前の2日間です。28日周期なら、生理開始から12〜14日目ごろにあたります[1][3]。生理前(排卵後の黄体期)は妊娠しにくい時期ですが、排卵がずれた周期では生理直前・生理一週間前の性交でも妊娠することがあり、「安全日」はありません[2]。この記事では、生理前・生理中・生理直後・生理後○日目それぞれの妊娠確率を、研究データとその理由から整理します。
Q. 妊娠しやすいのは生理前?生理後?
A. 生理後です。妊娠しうるのは排卵日の5日前から排卵日までの約6日間で、通常は生理後から排卵までの間にありますが、周期が短い場合は生理中に重なります。生理前は卵子が受精できる時間を過ぎていることが多く、妊娠しにくい時期です。ただし排卵は周期ごとにずれるため、生理前でも妊娠の確率はゼロではありません。
- ➤一番妊娠しやすい日 → 排卵前の2日間が特に高い(28日周期なら生理開始から12〜13日目ごろ。排卵日当日も妊娠しうる)
- ➤研究で推定された1回の性交による妊娠確率 → 排卵日5日前で約10%、排卵日当日で約33%(個人にそのまま当てはまる数値ではない)
- ➤生理直前 → 周期が規則的な人でも、生理予定日に妊娠しうる期間に入っている確率が1〜6%
- ➤生理中・生理直後 → 低いがゼロではない。周期が短い人・出血が長い人は要注意
結論:妊娠しやすいのは生理後、生理前は「しにくいがゼロではない」
生理前と生理後を比べると、妊娠しやすいのは生理後です。妊娠は、精子と卵子が出会って受精し、受精卵が子宮内膜に着床することで成立します。卵子が受精できるのは排卵後の短い時間だけなので、妊娠のチャンスは「排卵の少し前から排卵日まで」に集中します。月経周期の流れでいうと、排卵は通常、生理が終わったあとに起こるため、生理後のほうが妊娠しやすいということになります。ただし、周期が短い場合は妊娠しうる期間が生理中に重なることがあります。
一方、生理前は排卵が終わってから次の生理までの「黄体期」にあたります。この時期は、排卵された卵子がすでに受精する力を失っていることが多いため、妊娠しにくい時期です。ここまでは多くの方がイメージしているとおりです。
ただし、注意してほしいのは「妊娠しにくい」と「妊娠しない」は違うという点です。排卵は毎月同じ日に起きるわけではなく、体調やストレスなどで前後にずれます。排卵が遅れた周期では、「生理の数日前だと思っていた日」が実は排卵前の妊娠しやすい時期に入っていることがあります。米国で696周期を調べた研究では、周期が規則的だと答えた女性でも、生理予定日の当日に妊娠しうる期間に入っている確率が1〜6%ありました[2]。
つまり、正確な答えは「生理後のほうが妊娠しやすく、生理前は妊娠しにくい。ただし生理前でもゼロではない」です。この記事では、その理由を月経周期のしくみから説明したうえで、生理前・生理中・生理直後・生理後○日目と時期ごとに分けて、妊娠確率を整理していきます。
生理周期のしくみと妊娠できる6日間
妊娠しやすい時期を理解するには、まず月経周期のしくみを知っておくと全体が見えやすくなります。月経周期とは、生理(月経)が始まった日を1日目として、次の生理が始まる前日までの期間のことです。この間に、卵巣では卵子が育って排卵が起こり、子宮では受精卵を迎える準備が進みます。
生理周期の4つの時期
女性は生まれたときから、卵子のもとになる原始卵胞を卵巣に持っています。思春期以降は、ホルモンの働きによって毎周期いくつかの卵胞が育ち始め、そのうち通常1つが成熟して排卵されます。月経周期は、次の4つの時期に分けて考えると理解しやすくなります。
▲ 生理周期の4段階。周期の長さの違いは、おもに卵胞期の長さの違いによる[4]
月経期は、生理の出血が続いている時期です。前の周期で厚くなった子宮内膜がはがれ落ち、血液と一緒に体の外へ出ていきます。一般的には3〜7日ほど続きます。
卵胞期は、生理が始まってから排卵までの時期です。脳の下垂体から出る卵胞刺激ホルモン(FSH)の働きで卵胞が育ち、卵胞からはエストロゲン(卵胞ホルモン)が分泌されて、子宮内膜が厚くなっていきます。生理周期の長さが人によって違うのは、おもにこの卵胞期の長さが違うためです。約12万人・61万周期あまりを解析した研究では、卵胞期の平均は16.9日で、95%の範囲は10〜30日と大きな幅がありました[4]。
排卵期は、成熟した卵胞から卵子が飛び出す時期です。エストロゲンの分泌がピークに達すると、下垂体から黄体形成ホルモン(LH)が急に大量に分泌され(LHサージ)、それをきっかけに排卵が起こります。
黄体期は、排卵から次の生理までの時期です。排卵したあとの卵胞は「黄体」という組織に変わり、プロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌して、子宮内膜を受精卵が着床しやすい状態に整えます。妊娠が成立しなければ黄体は約2週間で役目を終え、プロゲステロンが下がることで子宮内膜がはがれ、次の生理が始まります。同じ研究では、黄体期の平均は12.4日、95%の範囲は7〜17日でした[4]。卵胞期よりは幅が小さいものの、「排卵から生理までは必ず14日」というわけではありません。
💡 用語解説:LHサージとプロゲステロン
LHサージとは、排卵の直前に黄体形成ホルモン(LH)の血中濃度が急上昇することです。このLHの急上昇が卵胞に最後の成熟を促し、卵子が卵胞の外へ放出されます。市販の排卵検査薬は、尿中のLHが増えたことをとらえて「まもなく排卵する」ことを知らせるしくみです。プロゲステロンは排卵後の黄体から分泌されるホルモンで、子宮内膜をやわらかく整えるほか、体温を上げる作用があります。基礎体温が排卵後に高温期へ移るのは、このプロゲステロンの働きによるものです。
精子は最大5日、卵子は12〜24時間
妊娠しうる期間が「排卵日の5日前から排卵日まで」の約6日間とされるのは、精子と卵子の寿命の差によるものです。卵子が受精できるのは排卵後12〜24時間程度と短い一方で、精子は女性の体内(子宮頸管や卵管)で最大5日ほど受精能力を保つことができます。そのため、排卵の数日前に性交していても、精子が卵管で待っていて、排卵された卵子と出会うことができるのです。
この6日間という考え方は、米国で妊娠を希望する女性221人を追跡した研究がもとになっています。尿中ホルモンで排卵日を推定し、性交した日と妊娠の関係を調べたところ、妊娠はすべて、排卵日で終わる6日間のどこかで性交した周期で起きていました。この研究で推定された1回の性交による妊娠の確率は、排卵日の5日前で約10%、排卵日当日で約33%でした。これは尿中hCGで確認した早期妊娠を含む研究上の推定値で、年齢などが異なる個人にそのまま当てはまる数値ではありません[1]。米国生殖医学会(ASRM)も、妊娠しうる期間を「排卵日で終わる6日間」と定義し、妊娠率がもっとも高いのは排卵前の2日間あたりとしています[3]。
▲ 妊娠しうる期間(約6日間)。赤枠は排卵日当日を含む妊娠しやすい時期。妊娠率は特に排卵前の2日間に高い[1][3]
反対に、排卵日の翌日以降の性交では、卵子がすでに受精する力を失っているため、妊娠することはほとんどありません。「精子の寿命は3日(72時間)」と説明されることもありますが、現在は、排卵の5日前の性交でも妊娠が起きていたというデータをもとに、最大5日程度と考えるのが標準的です。
一番妊娠しやすい日は生理後何日?
妊娠しやすいのは排卵日の2日前から当日で、特に排卵前の2日間です。28日周期なら、生理開始から12〜14日目ごろ、特に12〜13日目ごろにあたります。妊娠しうる6日間まで広げると、28日周期では生理開始から9〜14日目ごろにあたります。ただし、これは周期が28日で、排卵が予定どおり起きた場合の目安です。生理後何日目が妊娠しやすいかは、周期の長さによって大きく変わります。
周期の長さ別の早見表
排卵日の目安は「次の生理予定日の約14日前」として計算するのが一般的です。言いかえると、排卵日(生理開始から何日目か)≒ 周期の日数 − 14です。この「14」は、排卵から次の生理までの黄体期の長さを、おおむね一定とみなした数字です。卵胞期は人や周期によって大きく変わるのに対し、黄体期は比較的変動が小さいため、生理の予定日からさかのぼって数えるほうが、生理開始日から数えるよりも当たりやすいのです。
📋 周期の長さ別:排卵日と妊娠しやすい日の目安
| 周期の長さ | 排卵日の目安 | 妊娠しうる6日間 | 特に妊娠しやすい日 |
|---|---|---|---|
| 21日 | 7日目 | 2〜7日目 | 5〜7日目 |
| 24日 | 10日目 | 5〜10日目 | 8〜10日目 |
| 28日 | 14日目 | 9〜14日目 | 12〜14日目 |
| 32日 | 18日目 | 13〜18日目 | 16〜18日目 |
| 35日 | 21日目 | 16〜21日目 | 19〜21日目 |
※日数は生理が始まった日を1日目として数えたもの。「排卵日=周期の日数−14」で計算した目安で、実際の排卵日は周期ごとに前後します。
表を見るとわかるように、周期が21日の人では、生理が始まってから2日目、つまり生理の出血が続いているうちに、すでに妊娠しうる期間に入っている計算になります。反対に、周期が35日の人では、妊娠しやすい日は生理開始から3週間近くたってからです。「生理後○日目が妊娠しやすい」という情報は、自分の周期に当てはめて読む必要があります。
ただし、この表はあくまで計算上の目安です。先ほどの61万周期の解析では、黄体期にも7〜17日の幅がありました[4]。黄体期が12日の人なら、排卵日は表より2日遅くなります。より正確に知りたい場合は、排卵日の計算方法と、基礎体温・排卵検査薬・おりものの変化などの方法を組み合わせて推定します。
周期が短い人・不規則な人の注意点
周期が短い人は、生理が終わってすぐ、場合によっては生理中に妊娠しうる期間が始まります。妊娠を望む場合は「生理が終わってから考えよう」では遅いことがあり、避妊したい場合は「生理直後だから大丈夫」とは考えないほうが安全です。
周期が不規則な人は、早見表のような計算そのものが当てになりません。周期が毎回大きく変わるのは、卵胞期の長さ、つまり排卵の時期が毎回変わっているからです。この場合は、日数の計算よりも、体の変化から排卵が近いことを読み取る方法が役に立ちます。代表的なのは、尿中のLHを調べる排卵検査薬や、排卵が近づくと透明で伸びのよいおりものが増える変化を観察する方法です。基礎体温は排卵が起きたあとに体温が上がるため、その周期の排卵を事前に予測するよりも、「排卵があったかどうか」をあとから確かめるのに向いています。
米国生殖医学会は、妊娠を希望する場合、妊娠しうる期間に1〜2日おきに性交を持つことを勧めています[3]。排卵日を1日に絞り込もうとするより、排卵が近そうな数日間に回数を確保するほうが、予測のずれに対応できます。
🩺 院長コラム【「14日目」は平均値にすぎない】
「排卵は生理開始から14日目」という説明はわかりやすい反面、誤解も生みます。14日目というのは、周期が28日で黄体期が14日という、いわば平均的なモデルを当てはめた数字です。実際の月経周期の大規模データを見ると、卵胞期の長さは10日から30日まで幅があり、黄体期にも数日の幅があります。
カレンダーの日付だけで妊娠しやすい日を「決める」より、自分の周期の長さとそのばらつきを知っておくことが大切です。周期の長さが毎回大きく違う方は、計算で出した日にこだわらず、体の変化を手がかりにするほうが現実的です。
生理前の妊娠確率
生理前の性交で妊娠する確率は低いものの、ゼロではありません。どのくらい低いのかは「生理の何日前か」によって変わります。ここでは、生理前が妊娠しにくい理由と、生理一週間前・生理直前それぞれの妊娠確率を順に見ていきます。
生理前が妊娠しにくい理由
生理前は、月経周期でいうと排卵後の黄体期にあたります。排卵された卵子が受精できるのは12〜24時間程度なので、排卵から数日たった時点で性交しても、受精できる卵子はもう残っていません。これが、生理前が妊娠しにくい理由です。
黄体期に入っているかどうかは、基礎体温の推移から推定できます。ただし、基礎体温だけで排卵の有無や正確な日付を確定することはできません。排卵後は黄体から分泌されるプロゲステロンの作用で体温が上がり、高温期が続きます。生理前の基礎体温が高温期に入って数日たっていれば、その周期の排卵はすでに終わっていると考えられます。妊娠が成立しなければ、プロゲステロンが減って体温が下がり、生理が始まります。
ただし、これは「その周期の排卵が、いつもどおりの時期に起きた」場合の話です。生理前の妊娠が問題になるのは、ほとんどが排卵の遅れによるものです。排卵がストレスや体調不良などで遅れると、次の生理もそのぶん後ろにずれます。すると、「生理予定日の数日前」だと思っていた日が、実際には排卵前の妊娠しうる期間に入っていることが起こります。
生理一週間前の妊娠確率
28日周期の人にとって、生理一週間前は周期の21日目、排卵日から約1週間後にあたり、計算上は妊娠しにくい時期です。米国生殖医学会の資料では、性交した周期日ごとの臨床的な妊娠の確率は、周期8日目で3.2%、12日目で9.4%と上がったあと、周期21日目までに2%未満に下がるとされています[3]。
一方で、別の見方をしたデータもあります。696周期を調べた研究では、周期6日目から21日目までのどの日も、少なくとも10%の女性がその日に妊娠しうる期間に入っていました[2]。これは「その日に性交して妊娠する確率」ではなく、「その日が妊娠しうる6日間のどこかに含まれている確率」です。2つの数字は意味が違いますが、どちらも「周期21日目でも妊娠の可能性は残っている」ことを示しています。排卵が1週間遅れれば、生理一週間前と思っていた日が排卵日の直前になることもあるからです。
なお、生理一週間前に「着床」が起きるのではないかと心配される方もいます。28日周期で排卵直後に受精していた場合、受精卵が子宮内膜にもぐりこむ着床の時期は、ちょうど生理予定日の1週間前ごろに重なります。ただしこれは、その前の排卵日ごろの性交でできた受精卵の話であり、生理一週間前の性交で妊娠したという意味ではありません。
生理直前・前日の妊娠確率
生理直前・前日の性交で妊娠する確率はさらに低くなりますが、それでもゼロではありません。696周期の研究では、ふだん周期が規則的だと答えた女性でも、生理予定日の当日に妊娠しうる期間に入っている確率が1〜6%ありました。また、次の月経がまだ始まらず周期5週目に達した女性のうち4〜6%は、その時点でも妊娠しうる期間に入っていました[2]。いずれも、その周期だけ排卵が大きく遅れたケースです。
もう一つ、見落とされやすいのが「生理だと思った出血が、実は生理ではなかった」というケースです。排卵期に少量の出血が起きることがあり、また妊娠のごく初期にも着床出血のような少量の出血が見られることがあります。これを生理と思い込んでいると、周期の数え方そのものがずれてしまい、「生理直前」のつもりが実際には別の時期だった、ということが起こります。
⚠️ 避妊を目的とする場合
生理前・生理直前でも妊娠する可能性は残るため、「生理前だから大丈夫」という考え方で避妊を省くのはおすすめできません。避妊に失敗した可能性がある場合、緊急避妊薬は性交後できるだけ早く服用するほど効果が期待できるため、早めに婦人科を受診してください。
生理前の性行為で出血・痛みがあるとき
生理前の性行為については、妊娠の確率だけでなく、性交後の出血や痛みが気になって調べる方も少なくありません。性交時の違和感や痛みには、腟の乾燥、摩擦、感染症、子宮内膜症など、さまざまな原因があります。生理前という時期だけで、ホルモンの変化が原因だと判断することはできません[6]。
性交後に少量の出血があった場合、腟の乾燥や摩擦、子宮の入り口(子宮頸部)の粘膜の変化などによる出血のほか、子宮頸部の炎症やポリープ、性感染症、まれに子宮頸がんなどが原因のこともあります。出血が何度もくり返す場合や、生理以外の出血が続く場合は、不正出血として婦人科で原因を確かめてください。
性交時の痛みが毎回のように続く場合や、生理痛が年々強くなっている場合は、子宮内膜症などの病気が隠れていることがあります。子宮内膜症は不妊の原因にもなりうるため、妊娠を考えている方は特に、痛みを我慢せずに婦人科に相談してください。
生理中の妊娠確率
生理中の性交で妊娠する確率は低いものの、ゼロではありません。生理中は前の周期の子宮内膜がはがれている時期で、エストロゲンもプロゲステロンも低く、まだ排卵の準備が始まったばかりです。通常、着床は排卵・受精から数日後に起こります。ただし周期が短い場合には、出血の終わりごろに排卵・受精が起こる可能性があります。
それでも妊娠の可能性が残るのは、精子が最大5日ほど生き延びるためです。生理中に性交し、その数日後に排卵が起これば、待っていた精子と卵子が出会うことがあります。696周期の研究では、周期4日目(生理中であることが多い時期)にすでに妊娠しうる期間に入っていた女性が約2%いました[2]。
生理中の妊娠が起こりやすいのは、次のような場合です。
💡 生理中でも妊娠しうるケース
・周期が短い人(21〜24日周期では、生理開始から1週間前後で排卵することがある)
・生理の出血が7日前後と長く、出血の終わりごろが排卵の数日前に重なる人
・その周期だけ排卵が早まった人
・排卵期の出血や不正出血を「生理」と思い込んでいる人
最後のケースは特に注意が必要です。排卵のころに起こる少量の出血を生理と勘違いしていると、「生理中だから大丈夫」と思った性交が、実は排卵日のすぐ近くだったということになります。生理の量や日数がいつもと違う出血のときは、それが本当に生理なのかを一度疑ってみてください。
生理直後・生理後すぐの妊娠確率
生理直後・生理が終わった次の日の性交でも、妊娠することはあります。規則的な28日周期であれば、生理が終わってすぐに排卵することはまれで、生理直後はまだ排卵まで1週間ほどあります。しかし、精子は最大5日ほど生きるため[1]、生理が終わってすぐに性交した精子が、数日後の排卵まで生き残って受精することがあります。
696周期を調べた研究でも、妊娠しうる期間に入る日は周期によって大きくばらつき、妊娠しうる期間が、臨床でよく目安にされる周期10〜17日目にすべて収まっていた女性は約30%にとどまっていました[2]。周期6日目、つまり生理が終わったばかりの日にも、1割以上の女性が妊娠しうる期間に入っていました[2]。
生理直後に妊娠しやすいのは、生理中の場合と同じく、周期が短い人・生理の出血が長い人・その周期だけ排卵が早まった人です。たとえば周期24日の人は、生理開始から10日目ごろに排卵する計算になり、5日目以降はすでに妊娠しうる期間です。生理が5〜7日続く人なら、「生理が終わった次の日」がそのまま妊娠しやすい日に重なります。
妊娠を希望している方にとっては、生理が終わったころから排卵が近いかどうかに気を配っておくと、チャンスを逃しにくくなります。避妊を望む方にとっては、「生理直後は安全」と考えないことが大切です。
🩺 院長コラム【確率の数字をどう読むか】
「生理予定日に1〜6%」「周期6日目に1割以上」といった数字は、研究集団で、その日が妊娠しうる期間に入っている割合です。その日の性交で妊娠する確率とは異なります。この数字から、ある1人のある1周期について「妊娠するかしないか」を言い当てることはできません。同じ人でも、排卵の時期は周期ごとに変わるからです。
確率が低い時期というのは、「その時期の性交で妊娠する人が少ない」という意味であって、「その時期なら妊娠しない」という保証ではありません。避妊したいのか、妊娠したいのかによって、この数字の受け止め方は変わります。目的に合わせて数字の意味を区別し、避妊する場合は日付や低い確率だけを根拠にしないことが大切です。
「安全日」「危険日」はあるのか
カレンダーの日付だけで、絶対に妊娠しない「安全日」を決めることはできません。安全日とは、避妊せずに性交しても妊娠しにくい日を指す俗な言い方で、多くの場合は生理前や生理中・生理直後を指して使われます。危険日はその反対で、妊娠しやすい排卵日前後を指します。
ここまで見てきたように、妊娠しうる期間は排卵日を基準に決まり、排卵日は周期ごとにずれます。周期が規則的な人でも、ある周期だけ排卵が早まったり遅れたりすることは珍しくなく、その周期がいつ来るかを本人が前もって知ることはできません[2]。そのため、カレンダーの日付だけで「この日は安全」と決めることはできないのです。
「危険日」についても同じです。生理後何日目が危険日かは、周期の長さとその周期の排卵時期によって変わります。周期28日の人なら生理開始から9〜14日目ごろが目安ですが、周期が短い人では生理中から、長い人では生理開始から2週間以上たってから妊娠しやすい時期が来ます。
避妊を目的とする場合は、時期にかかわらず確実な避妊法を使うことが基本です。妊娠を目的とする場合は、危険日を1日に絞るより、排卵が近そうな数日間に性交の機会を持つほうが妊娠につながりやすくなります[3]。
性交後、妊娠したかどうか知るには
性交後に妊娠しているかどうかを確かめる方法は、妊娠検査薬が基本です。市販の妊娠検査薬は、妊娠すると胎盤のもとになる組織から分泌されるhCGというホルモンを尿で調べます。hCGが検査で検出できる量まで増えるには時間がかかるため、一般的な検査薬は生理予定日の1週間後から使うよう案内されています。それより早く検査すると、妊娠していても陰性になることがあります。くわしくは妊娠検査薬はいつから使える?で解説しています。
生理予定日を過ぎても生理が来ない場合は、妊娠のほか、排卵の遅れやストレス、体重の変化、甲状腺の病気などが原因のこともあります。何日遅れたら検査や受診を考えるかの目安は、生理が遅れたときの妊娠の可能性と検査の目安にまとめています。
妊娠を希望して性交のタイミングをとっていても、なかなか妊娠しない場合があります。米国生殖医学会は、避妊せずに定期的に性交しても妊娠しない場合、35歳未満では12か月、35歳以上では6か月で不妊の検査を受けることを勧めており、40歳を超える場合や月経不順がある場合は、より早い評価が考慮されるとしています[5]。年齢によって妊娠のしやすさがどう変わるかは、年齢別の妊娠確率で解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 生理前に性交した場合の妊娠確率は?
生理前(排卵後の黄体期)は、卵子が受精できる時間を過ぎているため妊娠しにくい時期です。ただし排卵が遅れた周期では、生理予定日の数日前が実は排卵前の妊娠しうる期間に入っていることがあり、確率はゼロではありません。周期が規則的な女性でも、生理予定日の当日に妊娠しうる期間に入っている確率が1〜6%あったと報告されています。
Q2. 生理直前の性交で妊娠することはある?
あります。排卵がストレスや体調などで遅れると、次の生理もそのぶん遅れるため、「生理直前」だと思っていた日が排卵前にあたることがあるからです。生理だと思った出血が、実は生理ではない場合もあります。避妊を目的とするなら、生理前だからといって安全とは考えないでください。
Q3. 生理後、何日目ごろが妊娠しやすい?
妊娠しやすいのは、排卵日の5日前から排卵日までの約6日間で、特に排卵前の2日間で、排卵日当日も妊娠しうる期間に含まれます。28日周期の人なら、排卵は周期14日目前後が目安なので、生理開始から9〜14日目ごろ、特に12〜14日目ごろにあたります。周期が短い人は早く、長い人は遅くなるため、「排卵日≒周期の日数−14」で自分の目安を計算してください。
Q4. 生理が終わってすぐに性交しても妊娠する?
妊娠することがあります。精子は女性の体内で最大5日程度生きるため、生理直後の性交でも、数日後の排卵まで精子が生き残って受精することがあります。生理周期が短い人、生理が長い人、その周期だけ排卵が早まった人では、特に起こりやすくなります。
Q5. 精子の寿命は72時間ではないの?
以前は約72時間(3日)と説明されることが多かったのですが、現在は女性の体内で最大5日程度生きるとするのが標準的な考え方です。妊娠の成立を調べた研究で、排卵日の5日前の性交でも妊娠が起きていたことが根拠のひとつです。一方、卵子が受精できるのは排卵後12〜24時間程度です。
Q6. 生理前何日なら危険日?
周期が28日で排卵が予定どおりなら、妊娠しやすいのは生理予定日の15〜20日前ごろです。生理予定日の1週間前を過ぎると妊娠の確率は下がりますが、排卵が遅れた周期では生理予定日の直前でも妊娠しうる期間に入っていることがあり、「生理の何日前なら安全」と言える日はありません。
Q7. いちばん妊娠しにくい時期はいつ?
排卵が終わってから次の生理までの黄体期、特に基礎体温が高温期に入って数日たったあとが、もっとも妊娠しにくい時期です。ただし排卵の時期は周期ごとに変わり、高温期に入ったかどうかを確かめないまま日付だけで判断すると外れることがあります。排卵後に卵子の受精能力が失われれば、その後の性交では通常、受精は起こりません。ただし日付や基礎体温だけでその時期を確実に判定することはできず、避妊せずに性交してよい「安全日」を保証することはできません。
Q8. 生理一週間前に着床することはある?
28日周期で排卵直後に受精していた場合、着床の時期は生理予定日の1週間前ごろに重なります。ただしこれは、その前の排卵日ごろの性交でできた受精卵の話で、生理一週間前の性交で妊娠したという意味ではありません。生理一週間前の性交で妊娠するのは、その周期の排卵が遅れていた場合です。
まとめ
妊娠しやすいのは生理後で、排卵日の5日前から排卵日までの約6日間が妊娠しうる期間です。妊娠しやすいのは排卵日の2日前から当日で、特に排卵前の2日間です。28日周期なら生理開始から12〜14日目ごろ、特に12〜13日目ごろにあたります[1][3]。周期の長さが違えば妊娠しやすい日も変わるため、「排卵日≒周期の日数−14」を目安に、自分の周期に当てはめて考えてください。
生理前(黄体期)は妊娠しにくい時期ですが、排卵が遅れた周期では生理一週間前や生理直前でも妊娠しうる期間に入っていることがあります。生理中や生理直後も、周期が短い人や出血が長い人では妊娠することがあります[2]。月経周期の日付だけで、妊娠しない「安全日」を確実に判定することはできません。
妊娠を希望する場合は、排卵日を1日に絞るより、排卵が近そうな数日間に1〜2日おきに性交の機会を持つことが勧められています[3]。月経不順がある方や、一定期間妊娠しない方は、早めに婦人科で相談してください。
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参考文献
- [1] Wilcox AJ, Weinberg CR, Baird DD. Timing of sexual intercourse in relation to ovulation. Effects on the probability of conception, survival of the pregnancy, and sex of the baby. N Engl J Med. 1995;333(23):1517-1521. doi:10.1056/NEJM199512073332301. [PubMed 7477165]
- [2] Wilcox AJ, Dunson D, Baird DD. The timing of the “fertile window” in the menstrual cycle: day specific estimates from a prospective study. BMJ. 2000;321(7271):1259-1262. doi:10.1136/bmj.321.7271.1259. [PubMed 11082086]
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