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妊娠初期の頭痛の原因は5つ|対処法やお薬に関する質問まで解説

現在、妊娠初期であり頭痛に悩まされているという方も多いのではないでしょうか?

妊娠初期によくある頭痛は、以下の2つです。

  • ・偏頭痛
  • ・緊張型頭痛

そこでこの記事では、妊娠初期によくある頭痛の原因と対処法、赤ちゃんへの健康被害が気になる内服薬について詳しく解説します。

頭痛症状をうまくコントロールしながら、赤ちゃんへの健康被害を最小限にできる方法についてもお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。

妊娠初期に起こす2つの頭痛

妊娠中はホルモンバランスが乱れて体質が変化するため、妊娠初期の妊婦の方で頭痛を訴えるケースも少なくありません。

主な頭痛の種類は、以下の2つです。

  • ・偏頭痛
  • ・緊張型頭痛

それぞれで原因や対処法が異なるため、この章を参考にしていただけると幸いです。

偏頭痛

偏頭痛とは片方のこめかみ付近が「ズキズキ」と脈打つ痛みを感じる頭痛のことです。重症になると吐き気・嘔吐を伴うこともあるため、「たかが偏頭痛」とあなどることはできません。

偏頭痛の原因は、ホルモンバランスの乱れから脳血管が広がるからと考えられています。

特に妊娠期から妊娠初期は卵胞ホルモン(エストロゲン)や黄体ホルモンプロゲステロン)の分泌が増えて、非妊娠期に比べてホルモンの活動が盛んになります。これに伴って脳血管が広がり、急激な血流変化が起こります。

ただし、偏頭痛の決定的な原因は解明されていません。

対症療法として、保冷剤や冷却シートなどで患部を冷やし、安静に過ごすことで症状が治ります。

緊張型頭痛

緊張型頭痛とは、頭重感(頭が重だるい感じ)や圧迫感のある痛みが継続的に続く頭痛のことです。偏頭痛と違い、妊娠初期だけでなく妊娠全期を通して発症する可能性があります。

緊張型頭痛の原因はストレスや運動不足、目の疲れや肩こりなどにより、血管が収縮することです。

特に妊娠初期はつわりなどの妊娠初期症状でストレスを感じたり、体調の変化が激しく運動不足になったりすることが影響しています。また、デスクワーク中心の仕事やスマートフォンの長時間の利用などで、目の疲れや肩こりが原因で発症する可能性も考えられます。

首から肩にかけてのストレッチやマッサージをして、患部の血流を促して上げることで改善可能です。また、温湿布など患部を直接温める方法もありますが、赤ちゃんへの影響を考えて、一度かかりつけ医に相談しておく方が良いでしょう。

妊娠初期に頭痛になる5つの原因

肩に痛みを感じ、腕を伸ばすまで、ラップトップで宿題のレポートを入力するヘッドフォンの女子大生。 オフィス症候群の概念

妊娠初期に頭痛になる原因は、以下の5つです。

  • 原因①:ホルモンバランスの乱れ
  • 原因②:過度なストレス
  • 原因③:妊娠高血圧症候群
  • 原因④:体型の急激な変化
  • 原因⑤:妊娠初期症状(貧血)

あなたの頭痛の原因を探るヒントとしてご活用ください。

では、1つずつ詳しく解説します。

原因①:ホルモンバランスの乱れ

妊娠初期の妊婦であれば、誰しもが頭痛に悩まされる可能性があります。そして、その主な原因は、ホルモンバランスの乱れです。

妊娠初期はエストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)をはじめ、様々なホルモンの分泌が盛んになります。

例えば、妊娠継続を促すためのプロゲステロンは、自律神経に働きかけて末梢血管を広げる働きがあります。血管が広がることで急激な血流の変化が起こり、偏頭痛の原因になるでしょう。

また、妊娠前から分泌量が増えるエストロゲンは、妊娠後は徐々に分泌量が減ります。そのことにより脳内のセロトニンの量も減り、血管の拡張・収縮をコントロールしにくくなったり、頭痛などの痛みに弱くなったりします。

つまり、妊娠初期はホルモンバランスの乱れから偏頭痛になる可能性が高いということです。

原因②:過度なストレス

ホルモンバランスと同じように、過度なストレスでも自律神経が乱れ、頭痛の原因になります。

特に初めて妊娠初期症状を体験する初産婦の方は、これまでに感じたことのない症状から過度なストレスを感じやすいでしょう。また、出産や育児などこれからの将来に不安が強く、ストレスを溜め込んでしまっている方も多いのではないでしょうか?

過度なストレスは睡眠不足や赤ちゃんへの健康被害の原因になりかねません。そのため、趣味などで発散したり、不安があれば産婦人科医や知人に相談したりして、ストレスと上手く付き合っていく方法を考えておく必要がありそうです。

原因③:妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群も頭痛を引き起こす原因です。

妊娠高血圧症候群とは、妊娠したことを機に高血圧症状が発症するというものです。

具体的には、収縮期血圧が140mmHg以上(重症:160mmHg以上)、もしくは拡張期血圧が90mmHg以上(重症:110mmHg以上)になると妊娠高血圧症候群になります。妊婦の「約20人に1人」が発症すると言われており、決して珍しいものではありません。

頭痛以外にも吐き気や胎児発育不全の原因にもなる危険な状態なので、普段よりも血圧が高いと感じた方は、早めにかかりつけ医に相談しましょう。

※参考資料
厚生労働省委託 母性健康管理サイト 女性にやさしい職場づくりナビ/妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)
公益社団法人 日本産科婦人科学会/妊娠高血圧症候群

原因④:急激な体型の変化

急激な体型の変化から血流障害や姿勢が悪くなり頭痛になることも考えられます。

お母さんの体型が変わる理由は、以下の3つです。

  • ・赤ちゃんが大きくなり、お腹が張る
  • ・赤ちゃんへ十分な栄養素を送るため栄養吸収が高まり、膨よかになる
  • ・妊娠初期症状で運動不足になり体型コントロールができなくなる

妊娠初期なら赤ちゃんはまだまだ小さく、お腹が張ることはありません。しかし、妊娠初期症状や過度のストレスから食べづわりになり、体型が大きく変化することはあります。

また、お腹が大きくなる妊娠後期では、体のバランスをとるために前傾姿勢になるため、全身の血流が滞ることも頭痛の原因になります。前傾姿勢は腰痛にもなるため、普段から良い姿勢を意識しつつ、妊娠初期のうちから体幹を鍛えるトレーニングをしても良いでしょう。

原因⑤:貧血

貧血になると脳が低酸素状態になり、頭痛になることも考えられます。

妊娠すると赤ちゃんに十分な酸素と栄養素を届けるために血液量を増やします。血液量が増えるからといって酸素を運ぶヘモグロビンの数が増える訳ではありません。結果としてヘモグロビンの濃度は下がり、貧血になるのです。

また、血液中にある酸素の多くを赤ちゃんに届けるため、脳が低酸素血症となり、頭痛や吐き気を引き起こすことも考えられます。重症な方だと、めまいや動悸・倦怠感(だるさ)など頭痛に伴う症状を訴える場合もあります。

妊婦の方が貧血予防をするなら妊娠初期から葉酸と鉄分の多い食事を心がけると良いでしょう。というのも、葉酸には血液のもととなる赤血球の産生を促す働きがあり、鉄分は赤血球の成分そのものだからです。

葉酸・鉄剤はドラッグストアなどでサプリメントとして販売されているので、簡単に手に入ります。

セルフケア|妊娠初期の頭痛を和らげる5つの対処法

アジア人女性の頭痛風邪インフルエンザは、白い背景にウイルスに感染した発熱で市松模様の格子縞に薬と丸薬を保持し、コピースペース

妊娠初期の頭痛を和らげる対処法は、以下の5つです。

  • ・体を温める
  • ・水分摂取
  • ・ツボマッサージ
  • ・サプリメント
  • ・内服

今すぐ始められることだけにフォーカスしてお伝えしますので、ぜひご活用ください。

対処法①:体を温める

体を温めると血流が改善して頭痛を和らげます。

例えば、妊娠全期で発症する可能性のある緊張型頭痛は、血管が収縮して血流が滞ることで頭痛が引き起こされます。そこで、お風呂やホットパックのように全身や患部を温めることが効果的でしょう。

また、適度な運動やストレッチにより体の内部から温めるのも有効です。肩こりや運動不足も解消にもなるため、頭痛の改善効果をさらに高められるでしょう。

対処法②:水分摂取

適度な水分摂取は脱水予防になり、頭痛を和らげます。

特に妊娠初期はつわりがひどく、思うように水分や食事が取れません。脱水になると全身に酸素を届ける血液量が減るため、低酸素状態となり頭痛を引き起こします。

そのため、こまめな水分を飲むように心掛けましょう。カフェインが入っていない水分が良いため、お水にしておくこともポイントです。

また、水分摂取を兼ねてコーヒーや紅茶を適度にとることで頭痛予防ができます。コーヒーや紅茶に含まれるカフェインには血管を縮める作用があり、偏頭痛のように血管拡張が原因で起こる頭痛の改善に有効だからです。

ただし、赤ちゃんへの健康被害を考えて妊娠中のカフェインの過剰摂取は避けることが望ましいでしょう。厚生労働省は妊婦のカフェイン摂取の目安を、1日300〜600mg(コーヒーで2〜4杯程度)としています。

過剰摂取にならなければ赤ちゃんへの健康被害の心配もないため、頭痛予防にカフェインの摂取をしてみるのも良いでしょう。

※参考資料:厚生労働省/食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A

対処法③:ツボマッサージ

ツボマッサージを試してみるのも一つの手です。

百会(ひゃくえ)と呼ばれる頭のてっぺんで、両耳と鼻の対角線を結んだ場所にあるツボを刺激すると自律神経を整えられます。

百会

履正社医療スポーツ専門学校・鍼灸学科/百会(ひゃくえ)より画像引用)

また、背井(けんせい)と言われる肩の中心になるツボを刺激すると肩こりの解消ができます。

肩井

履正社医療スポーツ専門学校・鍼灸学科/背井(けんせい)より画像引用)

自律神経が整うことで肩こりが解消され、緊張型頭痛が改善されます。その上で、体全体のマッサージやリラックスして過ごせる環境調整などを行うと、より予防効果を高めることができるでしょう。

※参考資料
履正社医療スポーツ専門学校・鍼灸学科/百会(ひゃくえ)
履正社医療スポーツ専門学校・鍼灸学科/背井(けんせい)

対処法④:サプリメント

頭痛の原因に対するサプリメントを摂取することも効果的です。

例えば、貧血が原因で頭痛になっている方なら、「葉酸」や「鉄」のサプリメントがおすすめです。

葉酸は鉄分からできる赤血球の合成を促して、血液量を増やす働きがあります。また、DNA合成にも関わっているため、妊娠初期から摂取することで神経管閉鎖障害などの先天性疾患の予防もできます。

他にも肩こりや目の疲れなどからくる頭痛に対しては、ビタミンB1のサプリメントが効果的です。ビタミンB群は糖質をエネルギーに変えて、疲労物質を筋肉や目に溜まりにくくする働きがあるからです。

ビタミンB1は、以下の食品で補えます。

  • ・豚肉
  • ・黒豆
  • ・うなぎ
  • ・たらこ…etc

サプリメントと食品を上手く活用しながら頭痛予防ができると良いですね。

※参考資料:厚生労働省/水溶性ビタミン

対処法⑥:内服

鎮痛薬などの薬を内服する方法もあります。

ただし、赤ちゃんへの健康被害の観点から自己判断で内服回数や量を決めず、必ずかかりつけ医と相談しましょう。

妊娠初期に使ってもよい鎮痛薬は「アセトアミノフェン」という成分のお薬です。ロキソニンというNSAIDsの鎮痛薬と比べると鎮痛作用は劣りますが、赤ちゃんへの健康被害や副作用が出にくいなどのメリットがあります。

そもそも、NSAIDsは子どもへの使用が禁止されているため、鎮痛効果が高いといっても妊娠中の内服は望ましくありません。

もし頭痛症状が強くアセトアミノフェンで改善されないなら、かかりつけ医に相談して頭痛の原因を精密検査してもらう方が良いでしょう。

若い女性はコップ一杯の水で丸い錠剤を手に取る

妊娠中の頭痛の原因で多いのが「妊娠高血圧症候群」であり、重症化すると以下の3つのリスクがあります。

  • ・危険な頭痛①:子癇(しかん)
  • ・危険な頭痛②:HELLP症候群
  • ・危険な頭痛③:危険な症状(風邪・脳血管疾患

これらが発症するほどの頭痛があるなら母子ともに危険な状況なので、すぐに受診すべきです。

「たかが頭痛」と甘く見るのではなく、最悪の状態を知った上で受診について考えられるようになりましょう。

危険な頭痛①:子癇(しかん)

妊娠高血圧症候群が悪化すると、子癇(しかん)と呼ばれる痙攣発作を引き起こすリスクがあります。

子癇(しかん)とは、妊娠20週以降に起こる全身性の痙攣のことです。高血圧が原因で頭の血流量が増えて、脳がむくむ(脳浮腫)ことで、軽度なら頭症状のみ、重度になると痙攣を発症します。

そして、現代の医学では子癇の決定的な原因は見つかっておりません。

頭痛の他にも以下の症状を合併していることが多いです。

  • ・胃の痛み
  • ・吐き気
  • ・目の違和感(チカチカする、眩しい)
  • ・意識消失…etc

発症確率は1万人に4人程度とかなり少ないものの、妊娠する以上リスクがあることに変わりはありません。

危険な頭痛②:HELLP症候群

妊娠高血圧症候群になることで「HELLP症候群」を発症するリスクもあります。

HELLP症候群とは、以下の所見がある妊娠中〜産褥期(出産後)にかけて発症する病気です。これらの頭文字をとって「HELLP症候群」と呼びます。

  • ・赤血球の溶血(Hemolysis)
  • ・肝機能の悪化(Elevated Liver enzymes)
  • ・血小板の減少(Low Platelet)

血小板の減少が進むと全身の臓器が出血を起こす多臓器障害になるリスクが高まります。特にHELLP症候群が原因で脳出血を起こした場合、予後不良であり、母子ともに死亡するケースも少なくありません。

HELLP症候群なら高血圧による頭痛以外にも、以下の症状が合併していることが多いです。

  • ・突然みぞおちあたりが痛くなる
  • ・吐き気・嘔吐
  • ・腹痛
  • ・おしっこが出にくい・少ない
  • ・血が止まりにくい

血小板が減ることで出血傾向になるため、腕や足を少しぶつけただけですぐにアザになります。

いずれにしても緊急性が高く、母子ともに危険な状況に変わりはないため、早期に産婦人科に相談することをおすすめします。

※参考資料:国立研究開発法人国立成育医療研究センター/妊娠高血圧症候群(PIH)

危険な頭痛③:脳血出

妊娠高血圧症候群が原因で脳出血を発症することもあります。

妊婦に限らず高血圧になると脳血流量が増えすぎて、脳の血管へ負荷がかかります。特に妊娠7ヶ月以降は、妊娠していない時に比べて血液量が1,500mlも増えます。そのため脳血管への負荷が持続的にかかり続けることで、やがて裂けて脳出血を起こすのです。

脳出血の主な症状は、以下の通りです。

  • ・頭痛
  • ・吐き気・嘔吐
  • ・めまい
  • ・手足の痺れ・麻痺
  • ・言葉が出にくい
  • ・意識障害…etc

脳出血になると緊急で処置や手術が必要になり、母子ともに命の危険に晒されます。最悪の事態を避けるためにも、妊娠高血圧症候群の方は欠かさず妊婦健診を行い、血圧管理やその他の異常がないかを専門医に継続的に観察してもらいましょう。

※参考資料
公益社団法人 日本産科婦人科学会/妊娠高血圧症候群
池田脳神経外科/院長コラム 妊婦の脳卒中について

妊娠初期の頭痛に関する4の質問

PC画面を前に、スマートフォンを操作する女性

妊娠初期の頭痛について、以下のよくある4つの質問にお答えします。

  • 質問①:間違って痛み止めを飲んでしまった場合の対処法はありますか?
  • 質問②:頭痛があっても赤ちゃんへの影響を考えて内服したくありません
  • 質問③:妊娠中に内服すると流産のリスクが高まりますか?
  • 質問④:どんな症状が現れたらすぐに受診すべきか?

妊娠初期の頭痛に悩まされている人の多くが感じる疑問なので、ぜひご覧ください。

質問①:間違って痛み止めを飲んでしまった場合の対処法はありますか?

間違って痛み止めを飲んでしまった場合の対処法は、以下の通りです。

  • ・今回の内服後は経過観察
  • ・次回以降、鎮痛剤は必要なら必ずかかりつけ医に相談したから内服する

市販の鎮痛剤は病院で処方されるものよりも有効成分が少ないものがほとんどです。そのため、過剰内服や連用をしていない限り、胎児奇形などの健康被害はないと考えられます。

ただし、市販のお薬でも抗ヒスタミンや鎮咳成分を含むものもあり、過剰内服や連用で赤ちゃんへの健康被害が高まる可能性も否定できません。

そのため、内服が必要そうなら安全面を考慮して産婦人科医に相談し、処方してもらうことをおすすめします。また専門機関から処方してもらうことで薬剤師にその他のことについても相談できるメリットもあります。

質問②:頭痛があっても赤ちゃんへの影響を考えて内服したくありません

頭痛の種類や程度により内服すべきかどうかは異なります。

内服をしないにしても、この記事の「知らないと後悔|妊娠中の危険な3つの頭痛」で解説した危険な頭痛ではないかを確認してもらうため、産婦人科へ受診しましょう。

例えば、脳血管疾患などの危険な頭痛が隠れているにも関わらず、内服(治療)をしないで過ごしたとします。不運にも症状が悪化すると、母子ともに命の危険に晒されるでしょう。

産婦人科医に相談すると、赤ちゃんへの影響が「ない」もしくは「最小限の影響」の範囲内で、あなたに必要な薬を処方してくれます。赤ちゃんを育てるお母さんが健康でないと、赤ちゃんもあなたと同じように健康被害を受けることになるのです。

質問③:妊娠中に内服すると流産のリスクが高まりますか?

妊娠中にNSAIDs(非ステロイド系消炎鎮痛剤)の内服で流産のリスクが高まるという研究もあります。NSAIDsの代表的な薬は「ロキソニン」「ロキソプロフェン」であり、皆さんもこの薬品名を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

鎮痛薬についてはNSAIDsではなく、アセトアミノフェン(代表的な薬:カロナール)が処方されることが多いです。アセトアミノフェンはNSAIDsに比べて鎮痛効果は劣るものの、赤ちゃんへの影響が少ないと考えられているからです。

ただし、お母さんが体内に取り入れた全ての薬は、血流に乗って胎児循環を通ります。そのため100%影響がないと言い切ることはできないのです。

だからこそ、内服が必要な時は市販薬を自己判断で飲むのではなく、産婦人科医に相談することが重要なのです。

質問④:どんな症状が現れたらすぐに受診すべきか?

頭痛とともに以下の症状があれば、すぐに受診しましょう。

  • ・吐き気
  • ・痙攣(けいれん)
  • ・めまい
  • ・おしっこが出にくい、尿が濃い…etc

これらの症状が伴う場合、以下の症状を合併している危険性があります。

  • ・子癇(しかん)
  • ・HELLP症候群
  • ・危険な症状(風邪・脳血管疾患)

例えば、有名なものだと脳血管疾患(脳梗塞や脳出血、くも膜下出血など)があります。頭痛症状に加えて、片方の腕や足にしびれ、運動障害などが伴います。また、重度になると吐き気やめまいなど、誰かの助けなしで受診できない状況になります。

頭痛が続いたり、いつもよりもしんどかったりするなら、あなた自身や赤ちゃんの命を守るためにも早めに産婦人科を受診しましょう。

また「知らないと後悔|妊娠中の危険な3つの頭痛」で詳しく解説しているので、そちらもぜひご覧ください。

まとめ: 妊娠初期の頭痛に悩まされたらすぐに受診しよう!

オフィスでパソコンを使う女性のポートレート

以上、妊娠初期の頭痛について詳しく解説しました。

頭痛の原因は、以下の5つでしたね。

  • ・ホルモンバランスの乱れ
  • ・過度なストレス
  • ・娠高血圧症候群
  • ・急激な体型の変化
  • ・貧血

これらの原因は妊娠する以上、誰しもが発症する可能性がありました。中には以下の3つの原因になり得る妊娠高血圧症候群も含まれています。

  • ・子癇(しかん)
  • ・HELLP症候群
  • ・脳血出

これらは一度発症すると母子ともに命の危険に晒され、最悪の場合はどちらも死亡することも十分考えられます。そうならないためにも定期的に妊婦健診に行って、血圧管理や母子の全身状態を観察してもらいましょう。

現在、妊娠初期で頭痛に悩まされているなら、あなた自身や赤ちゃんの命を守るためにも、まずは産婦人科に相談することをおすすめします。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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