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着床出血はいつ起こる?時期や生理との違いを解説

妊娠超初期に起こることのある着床出血は生理と見分けがつきにくく、妊娠を望んでいる方、あるいは避妊を考えている方にとって不安要素になりやすいものです。

そこで今回は着床出血が起こるタイミングや生理との見分け方、着床出血の可能性が高い場合の対応方法などを解説します。

着床出血とは?

着床出血とは、受精卵が子宮内膜に着床するときに起こる出血のことをいいます。

受精卵は着床するときに絨毛(じゅうもう)と呼ばれる根っこのような組織を伸ばし、子宮内膜に定着します。
このとき、子宮内膜の血管が傷つくことで起こる少量の出血が着床出血です。

また、着床のタイミングには一時的に女性ホルモンが低下して少量の出血が起こることがあり、この出血も着床出血に分類されます。
着床出血があったからといって流産の確立が上がるようなことはなく、基本的には心配する必要はありません。

なお、着床出血に気付く人の割合は妊娠した人の4人に1人以下程度といわれています。
着床出血はほとんどの妊娠で起こるものですが、その出血量は少量であるため、子宮内に吸収されてしまい、出血に気付かないケースも多いです。

着床出血はいつごろ起こる?

妊娠週数は直近の生理が始まった日を「妊娠0週0日」として数えますが、着床出血は妊娠週数でいうところの3週~4週頃にあたります。

妊娠4週というと生理予定日頃ですので、生理と区別がつきにくいです。
「生理が少し早く来たな」と思っていたら、実は着床出血だったということも十分にあり得ます。

着床出血と生理の違い

着床出血はいつ起こる?時期や生理との違いを解説

着床出血は生理予定日近くに起こるため、生理との区別がつきにくいことがわかりました。
では、出血する時期以外に、着床出血にはどのような特徴があるのでしょうか。

以下では、生理予定日頃の出血が着床出血なのか生理なのかを見分けるために、着床出血と生理の違いを解説します。

1. 色の違い

着床出血の色は、血液が体内に留まっていた時間によって異なり、出血から時間が経過するほど暗い色になります。
おりものに血が混じった薄いピンク色、真っ赤な鮮血、茶色っぽい色などさまざまです。

生理の経血は暗赤色や真っ赤であることが多いですが、生理の初めや程度によっては薄い色、明るい色のこともあります。
普段の生理での経血の色と着床出血の色が似ている場合には、色だけで区別がつけにくいこともあるでしょう。

2. 量の違い

着床出血の量は多くの場合、生理の経血よりも量が少ないです。
また、生理の経血ではドロッとした血液の塊がみられることがありますが、着床出血はサラッとしており、血液の塊はみられません。

拭いたときにトイレットペーパーに付着する程度のこともあります。
生理のように時間の経過とともに量が増え、ナプキンを短時間で何枚も替えるというようなこともありません。

血液の塊がみられた場合は、生理やそのほかの原因による出血の可能性が高いといえるでしょう。

3. 期間の違い

着床出血の期間は1日で終わる場合もあれば3日間ほど続く場合もあります。

一方、一般的に正常な生理の期間は3~7日間といわれていますので、出血の期間が短いほど着床出血である可能性が高く、出血の期間が長いほど生理やそのほかの原因による出血の可能性が高いでしょう。

4. 基礎体温の違い

着床出血の場合は、着床している、つまりは妊娠が成立していることになるため、基礎体温は高く、高温期の状態が続きます。
高温期の目安としては36.7度以上です。

一方、生理の場合は妊娠をしていないため、基礎体温が下がり低温期になります。
基礎体温表をつけている方の場合、基礎体温表の高温期の中間あたりに着床出血がみられることになるため、基礎体温の変化も着床出血を見分けるひとつのポイントになるでしょう。

5. 症状の違い

着床出血が起こった場合は妊娠が成立していることになるため、妊娠超初期の状態にあるといえます。
着床出血とともに次のような症状がみられた場合は妊娠の可能性があるかもしれません。

痛み

着床時期には生理痛のような鈍い痛みではなく、チクチク、ピリピリ、ズキズキとした腹痛を感じることがあります。
また、腹痛だけではなく腰痛、お腹の張り、胸の張りを感じる方もいます。

風邪に似た症状

妊娠をするとプロゲステロンと呼ばれる女性ホルモンが増加し、36.7度~36.8度程度の高温期が16日以上続きます。
さらに、プロゲステロンによって眠気やだるさ、寒気などの風邪に似た症状がみられることもあります。

貧血

妊娠初期はホルモンのバランスが乱れるため、立ちくらみやめまいなどの貧血症状が起きることがあります。
症状が重い場合は早めに医療機関を受診し、妊娠の可能性があることについても伝えましょう。

情緒不安定

妊娠するとプロゲステロンに加え、同じく女性ホルモンのエストロゲンも増加します。
これらのホルモンバランスの変化により、情緒不安定になることもあります。具体的にはイライラや気力の低下、眠気などです。

着床出血が起こったときの対応方法

生理予定日の前や生理予定日頃に出血があり、なおかつここまでご紹介したような体の変化がみられた場合は着床出血である可能性が考えられます。
ここからは着床出血が起こったとみられる場合の対応方法を紹介していきます。

できるだけ安静にする

着床出血があった場合は、妊娠初期のデリケートな時期でもあるため、できるだけ安静に過ごすことをおすすめします。
ただ、安静にといっても、一日中寝たままの状態でいなければならないわけではありません。

体に負担のかかりにくいデスクワークや家事、入浴などの日常生活であれば特に問題はないでしょう。
喫煙や飲酒、薬剤の使用は控え、運動や性交も控えておいた方が安心です。

妊娠検査薬を試す

着床出血とみられる出血があり妊娠していたとしても、生理予定日の間は妊娠検査薬で陽性反応が出にくいものです。
妊娠しているかを調べるのであれば、生理予定日の1週間後あたりに妊娠検査薬を試してみましょう。

生理らしき出血がないにも関わらず、妊娠検査薬でも陰性になる場合は、更に数日あけて妊娠検査薬を試してみると良いでしょう。

産婦人科を受診する

妊娠検査薬で陽性反応が出た場合は産婦人科を受診しましょう。
ただし、妊娠検査薬で陽性反応が出ても、受診する時期が早すぎる場合はお腹の赤ちゃんの心拍が確認できないことがあります。

タイミングとしては妊娠6週目にあたる週、つまり生理予定日から2週間後くらいがベストといえます。
基礎体温表をつけている方は受診時に基礎体温表も持参してください。

また、不妊治療を受けている方の場合、あらかじめ医師から出血がみられたら受診をするように指導を受けていることが一般的ですので、かかりつけの産婦人科を受診しましょう。

着床環境を整えるために、黄体ホルモンを補充する注射をしたり飲み薬が処方されることがあります。

着床出血以外に考えられる妊娠超初期の出血

妊娠超初期には着床出血以外の原因で出血が起こることもあります。
ここからは妊娠超初期に起こる出血の代表的なケースをご紹介します。

1. 子宮外妊娠

子宮外妊娠は受精卵が子宮ではなく卵管や卵巣、腹膜などに着床する状態で、腹痛や出血が起きることがあります。
妊婦さんの100人に2人の割合で起こるといわれています。

子宮外妊娠は妊娠を継続できませんが、診断が遅れると大量出血を引き起こす可能性があるため、早い段階での処置が必要となります。

2. 絨毛膜下血腫

子宮内で赤ちゃんを包む袋を胎嚢(たいのう)といいますが、この胎嚢の周りに血液が溜まる状態が絨毛膜下血腫です。
多くの場合は妊娠中期には自然に改善しますが、改善しない場合はその後の妊娠の経過に影響を与えることがあるため、病院でのフォローが必要となります。

3. 初期流産

妊娠初期の段階は流産しやすく、妊娠12週未満の流産を初期流産といいます。
多くの場合は赤ちゃん自身の染色体異常によるもので、全妊娠の10~20%で起こるといわれています。

初期流産では特別な対処法はありません。妊娠に気付かないまま初期流産をしていることもあります。

4. 胞状奇胎

胞状奇胎は受精がうまくいかなかったことで胎盤を作る組織の絨毛(じゅうもう)の一部がぶどうの粒のように増殖する状態のことをいいます。
妊娠検査薬で陽性となり産婦人科を受診したものの、妊娠7週頃になっても赤ちゃんの心拍が確認できない、妊娠8週頃に少量の出血があるといったケースがみられます。

胞状奇胎は異常妊娠の一種のため、妊娠を継続することはできません。

【まとめ】「生理とは違う?」と感じたらまずは観察を

着床出血は生理が来る時期と似たタイミングで起こるため、「生理だと思っていたものが実は着床出血で、妊娠をしていた」というケースも少なくありません。
血液の量や期間で見分けがつくこともありますが、加えて基礎体温を確認することでより見分けがつきやすくなるでしょう。

着床出血の場合は、チクチク、ピリピリとした痛みや風邪のような症状、貧血などの症状があります。

妊娠を望んでいる方は、基礎体温をつけておくと「不正出血なのか?生理なのか?」と迷うことが減るかもしれません。
また、生理とは違うとみられる出血があったものの、妊娠5週にあたる時期以降に妊娠検査薬で調べても陽性反応がみられない場合は、妊娠ではなく子宮になんらかの異常があるのかもしれません。

妊娠を望んでいる場合も、そうでない場合も、気になる出血があった場合は放置せず産婦人科を受診しましょう。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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