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NIPT(新型出生前診断)の結果はいつわかる?結果の見方と注意点を解説

NIPTの診断結果が出るまでの目安は1〜2週間ほどですが、クリニックや受ける検査の種類によって日数にバラつきがあります。結果を待っている間は「どんな結果だろう?」「何がわかるのだろう?」と不安になることも多いことでしょう。結果が返ってきても「陰性」や「陽性」という見慣れない表記に少し戸惑うかもしれません。
そこで、本記事ではNIPTの検査結果の見かたや注意点についてわかりやすく解説します。

NIPTとは

NIPTとは、2013年に日本で運用が開始された新型の出生前診断です。従来より運用されているコンバインド検査や母体血清マーカー検査と比較しても、非常に高い検査精度を誇ります。NIPTは採血のみで染色体異常を検査できる非侵襲の検査であるにもかかわらず、赤ちゃんが生まれる前に先天性疾患を発見できます。検査の際の強い痛みや流産のリスクを回避できるのが魅力です。

NIPTの特徴

NIPTは、お母さんの血液を採取し、血液中に存在する胎児由来の成分を検査して染色体異常を調べる検査です。胎児成分には、胎児細胞、Fetal RNA、cell-free fetal DNAの3種類がありますが、NIPTでは、3種類の胎児成分のなかの「cell-free fetal DNA」を採取して検査します。このcell-free fetal DNAが検査に用いられるのは、妊娠5週から9週の早い段階から母体の血液中にみられるようになるためです。このため、NIPTは妊娠初期で受検が可能になるのです。
ただし、NIPTは非確定検査に分類されるため、稀に偽陽性や偽陰性、判定保留が起こることに留意しましょう。また、陽性と判明した場合は羊水検査や絨毛検査のような確定検査による医師の診断が必要となります。

検査時期が早い

NIPTの受検がおすすめされるのは、妊娠10週以降だと言われています。これは先述のcell-free fetal DNAがお母さんの血液の中に十分に現れるのがこの時期以降であるためです。十分な量のcell-free fetal DNAが検出できるようになれば、より高い精度での検査が可能になります。ただし、具体的な受診可能時期は医療機関によって異なります。一部の医療機関では推奨される妊娠10週よりも早い妊娠9週や6週からの検査も可能ですので、受検を考えている医療機関に一度相談をしてみるとよいでしょう。
ミネルバクリニックでは、妊娠6週からの受検を承っていますので、より早い段階での検査をご希望の方はぜひ一度ご相談ください。

NIPTの診断結果が出るまでは、おおよそ1〜2週間

NIPTの結果が出るまでの日数は、クリニックやNIPTの種類によって多少の差があるものの、おおよそ1〜2週間です。結果までどれくらい時間がかかるのかは、各クリニックの公式ホームページに記載されている案内を参考にしましょう。
検査会社の混雑状況や調べる項目によっては日数が前後することがあり、再検査になった場合はさらに時間がかかってしまいます。そのため、「検査結果の日数は確約できないもの」ということは頭の片隅に入れておきましょう。

NIPTの検査結果の種類

NIPTを受けてから1〜2週間後、結果は「陽性」「陰性」「再検査(判定保留)」のいずれかで知らされます。NIPTは、あくまでも染色体異常の可能性を見つけ出す非確定的検査(スクーリング検査)のため、可能性を確定的なものにするには、より精度の高い羊水検査や絨毛検査などの確定的検査を受ける必要があります。では、それぞれの検査結果で何がわかるのか、見かたと対応方法を解説します。

陰性

NIPTで「陰性」と判定されれば、ほとんどの場合、その結果に相違はないと考えます。
これは、NIPTでの陰性的中率が非常に高く、多くの検査機関で99.9%以上の精度を誇っているためです。

■大手NIPT機関シーケノム社が発表したNIPTの陰性的中率
・21トリソミー(ダウン症):99.9%
・18トリソミー:100%
・21トリソミー:99.9%

■日本医師会が公開しているNIPTの陰性的中率
・21トリソミー(ダウン症):99.9%
・18トリソミー:99.9%
・21トリソミー:99.9%

陰性となった場合には、判定を確定させるための確定的検査は通常おこなわれませんが、どれだけ高い陰性的中率であっても、染色体異常がないことを100%保証するものではないと理解しておきましょう。

陽性

NIPTで陽性と判定された場合、染色体異常がある可能性が高いと考えます。ただし、この判定はあくまでも可能性であり、病気の有無を明らかにするためには確定的検査を受ける必要があります。また、NIPTの陽性的中率は、妊婦さんの年齢と病気の種類によって大きく異なる点には注意が必要です。

■NIPTの陽性的中率

年齢 陽性的中率
ダウン症 18トリソミー 13トリソミー
25 79.32 48.14 16.70
30 85.28 58.40 23.26
35 93.58 77.92 43.23
40 98.20 92.88 89.96
41 98.64 94.54 78.89
42 98.99 95.86 83.89
43 99.25 96.87 86.96
44 99.43 97.67 89.96

※NIPTコンソーシアムの実測と文献J Obstet Gynaecol Res. 2021 47:3437-3446.を参考に出生前検査認証制度等運営委員会が算出したものを引用しています

たとえば、25歳の方が13トリソミーで陽性と判定されて、本当に陽性だったのは16.7%ですが、44歳では89.96%です。基本的には若い妊婦さんほど陽性的中率は低く、高齢になるほど高くなります。
また、13トリソミーと18トリソミーは年齢によって陽性的中率に大きな差がありますが、ダウン症に大きな差はありません。年齢や病気の種類によって、的中率が大きく異なることを理解しておくことが、陽性判定を適切に読み解く大切なポイントです。

再検査(判定保留)

ごく稀ですが、検査結果が出せず「判断保留」と返ってくることがあります。判定保留は約0.4%と非常に低い確率のため、取り立てて想定する必要はありませんが、万が一起こった場合は医師と相談して今後の対応を決めます。判定保留は次の原因が考えられています。対応方法とあわせてご覧ください。

■判定保留になる原因と対応

原因 対応
血液中の赤ちゃんの遺伝子が少なかった 血液中の赤ちゃんの遺伝子は時間が経つほど増えていくため、時期を遅らせて再検査
溶血*2 していた 採血する際に溶血しないような対策をとって再検査
21、13、18トリソミー以外の染色体異常があった 羊水検査か絨毛検査を受ける

*2 溶血とは:何らかの理由で血液中の赤血球が破壊され、ヘモグロビンと血液が混ざってしまうこと。溶血した血液ではNIPTができない。

過去のデータによれば、判定保留だった方の中には21、13、18トリソミー以外の染色体異常があったという報告もあります。そのため、リスクや妊娠時期を考えると、NIPT再検査ではなく、羊水検査や絨毛検査を受けたほうがいい場合もあります。
判定保留後の対応には、より慎重な判断が求められるため、医師とカウンセリングをおこない、あらゆるリスクを考慮した上で納得できる選択をしましょう。なお、再検査は追加料金なしで受けられるクリニックと、そうでないクリニック、数万円程度の追加料金で検査を受けられるクリニックがあります。

NIPTの精度は母親の年齢に比例する

お母さんの年齢が上がると、NIPTの精度も上がるということが分かっていますが、これはお母さんの年齢が上がるほど染色体異常が起こる可能性が高くなるためです。年齢があがるにつれ染色体異常も起こりやすくなりますが、どの年齢のお母さんでも赤ちゃんの染色体に異常が見つかる可能性もありますし、お母さんが高齢出産だからといって染色体異常をもつ赤ちゃんが生まれてくるとは限りません。

厚生労働省の調査によれば、21トリソミーの赤ちゃんが生まれる確率は、25歳で1,250人に1人ですが、母親の年齢が上がるとその確率は高くなり、特に40代では飛躍的に増加します。これは卵子の老化が原因とされ、21トリソミーの割合は35歳で385人に1人、40歳では106人という結果が出ています。
出生前検査認証制度等運営員会の調査によると、21トリソミーの陽性的中率は30歳で85.28%ですが、35歳で93.58%、40歳で98.20%と、やはりお母さんの年齢とNIPTの精度には相関があることが伺えます。

結果を正しく理解するための遺伝カウンセリング

出生前検査を受けるにあたり、遺伝カウンセリングを受けることが一般的です。遺伝カウンセリングは、検査前と検査後に行われることが多いですが、結果を正しく理解するために必要です。ここからは、検査前と検査後の遺伝カウンセリングの内容についてそれぞれ解説します。

検査前遺伝カウンセリング

検査前の遺伝カウンセリングでは、検査を受けるべきかの相談ができます。一般的に遺伝カウンセリングでは、遺伝カウンセリングを受けることに至った経緯のヒアリングから始まります。出生前診断が陽性でカウンセリングを受ける人や、周囲からの勧めで受けようか悩んでいる人など、遺伝カウンセリングを受ける人の状況はさまざまです。そのため、まずは検査を受けることにした経緯を確認します。
そして、これまでの妊娠や分娩について、家族の病歴や現在の状況などを確認し、その上で、検査について正確かつ最新の情報を共有します。検査を受けた結果、どのような情報が得られるのか、検査結果が陽性の場合と陰性の場合それぞれをイメージできるようにカウンセリングを行います。その上で、本人・パートナーともに検査について理解し、パートナーとともに検査を受けるべきか検討しましょう。

検査後遺伝カウンセリング

検査後の遺伝カウンセリングでは、実際の結果をみて、今後の対応を決定するためのカウンセリングを行います。NIPTは検査精度の高い特徴がありますが、疾患の有無を確定するためには、確定的検査を受けなければなりません。
そのため、羊水検査や絨毛検査など、その後の確定的検査を受けるべきかの相談も、NIPT受検後のカウンセリングで行います。検査結果は医学的解釈だけでなく、検査結果が陽性であった場合、倫理的・社会的側面からの助言をします。
もし何らかの疾患を抱えた子どもを出産する場合は、出産後の療育のアドバイスや福祉サービスの最新情報提供をし、妊娠中から子どもの生活についてイメージできるようサポートします。

また、疾患や検査、治療などについて相談者とパートナーが理解できるまで、臨床遺伝専門医は時間をかけてサポートし、医学的情報だけでなく、心理的・社会的側面からもお話し、カウンセリングを進めます。

遺伝カウンセリングについてもっと詳しく

NIPT検査でわかること【認証施設編】

日本医師会と日本産婦人科学会に認証されている施設を「認証施設」と言います。認証施設では、NIPTで調べられる病気を、21トリソミー(ダウン症)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトウ症候群)の3種類としています。
※非認証施設であれば、他の染色体異常も調べることができます。

まずは認証施設で調べることができる代表的な3つのトリソミーにスポットを当て、解説します。

21トリソミー(ダウン症候群)

21トリソミーは、21番目の染色体が3本になることで起こる染色体異常のことで、ダウン症とも呼ばれます。平均寿命が他の染色体疾患に比べて長く、症状の重さに大きく個人差があるのが特徴です。
手厚い支援を受けなければ日常生活がおくれないという方もいれば、大学を卒業し就職して自活できる方もいます。

頻度 ・母体年齢20歳で1,441人に1人
・母体年齢40歳で84人に1人
(母体年齢があがると発症率は高くなる)
寿命 60歳程度
合併症 心疾患(約40%)、消化管疾患、耳鼻科系疾患、眼科系疾患、軽度から中度の知的障害
特徴 ・症状の重さは幅広い
・感受性が強く思いやりのある方が多い
・空間認知に優れた能力を持つ方が多い
ケア ・合併症による疾患は手術で治療
・体質的になりやすい病気の予防
・早期からの養育プログラム

18トリソミー(エドワーズ症候群)

18トリソミーは、18番目の染色体が3本になることで起こる染色体異常のことで、エドワーズ症候群とも呼ばれます。発症した場合は、ほとんどが自然流産してしまい、もし誕生できたとしても半数以上は生後1週間以内で亡くなってしまいます。
1年後まで生存する割合は10%未満です。

頻度 ・生まれてくる赤ちゃんの3,500~8,500人に1人
・男:女=1:3の比率でおこる
寿命 生まれてから1年後の生存率は10%以下
合併症 成長障害、呼吸障害、心疾患、口唇口蓋裂、難聴などのさまざまな先天性疾患
特徴 医療の進歩により長生きする子も増えたが、いずれも重い発達遅延が認められる
ケア ・合併症の治療
・延命措置

13トリソミー(パトウ症候群)

13トリソミーは、13番目の染色体が3本になることで起こる染色体異常のことで、パトウ症候群とも呼ばれます。18トリソミーと同様に発症した場合の多くは自然流産してしまい、誕生できる赤ちゃんはごく稀です。病気の重さに個人差があるものの、1年後まで生存する割合は10%未満にとどまっています。

頻度 生まれてくる赤ちゃんの5,000~12,000人に1人
寿命 生まれてから1年後の生存率は10%以下
合併症 心疾患、脳疾患、呼吸器疾患、口唇口蓋裂、多指症など
特徴 ・病気の重さには個人差がある
・医療の進歩により長生きする子も増えたが、いずれも重い発達遅延が認められる
ケア ・合併症の治療
・延命措置

NIPTでわかること【非認証施設編】

認証施設で調べられる3つのトリソミーは「基本検査」と呼ばれています。
非認証施設では基本検査に加えて、同じNIPTでさまざまな内容を調べることができます。

全染色体検査

NIPTの全染色体検査は、通常の基本検査が21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーを検査するのに対し、1~22番のすべての常染色体とXY染色体(性染色体)をすべて検査することができます。
つまり全部の染色体のトリソミー、モノソミーといった数の異常があるかどうか調べることを言います。
具体的には以下の通りです。

●21トリソミー(ダウン症候群)
●18トリソミー(エドワーズ症候群)
●13トリソミー(パトウ症候群)
●性染色体の異数体の判定
●クラインフェルター症候群
●ターナー症候群
●XXX症候群
●XYY症候群
●性別判定
●全染色体領域部分欠乏疾患

実は、妊娠している方が最も多いのは16番トリソミーです。しかしそのほとんどは、流産もしくは死産となってしまいます。まれにモザイクで生まれるケースもあります。

また、意外と多いのが9番トリソミーの方です。過去にミネルバクリニックの患者さんにもいらっしゃいました。その方は生まれて2日後に、9番トリソミーのお子さんを亡くされました。認証施設でNIPTを受けたため、21トリソミー、18トリソミー、13トリソミー以外は分かりませんでした。そのため、次のお子さんを妊娠された際は全染色体検査のできるミネルバクリニックにお越しくださったそうです。

微小欠失症候群

微小欠失症候群とは、染色体の一部の小さな断片がなくなることが原因で起こる疾患群です。通常の染色体検査では検出できません。ある一定の染色体に特異的かつ一般的に起こり、よく知られた遺伝性症候群に関連しています。ほとんどは両親からの遺伝ではなく突然変異で起こります。親御さんの年齢や性別関係なく、リスクは一定です。

性別

妊娠中、赤ちゃんの性別はどちらなのか、早く知りたいと思う方も多いでしょう。NIPTは、胎児由来のDNAで検査を行うため、性別も判定できます。ただ、性別の判定は非認証施設でしか行っていません。
また、非認証施設でも、性別判定を行っていない施設もありますので、性別判定を希望している場合は、必ず事前に確認してから施設を選びましょう。

妊娠7週以降からNIPT検査を受けられますが、検査の精度は妊娠10週〜12週以降が高くなります。ただ、NIPTは検査の精度が高いことが特徴ですが、100%ではありませんので、理解した上で検査を受けましょう。

>>NIPTで性別がわかる仕組みやメリットについて

出生前検査の種類とNIPTを選ぶ

非確定的検査 確定的検査
メリデメ 母体の血液や超音波を使って病気の可能性を調べるため、不確定だがリスクは少ない 胎児のDNAを直接採取するため、病気の有無が正確にわかるがリスクが大きい
検査名 ・NIPT
・コンバインド検査
・超音波検査
・母体血清マーカー
・絨毛検査
・羊水検査
検査方法 ・NIPT:母体の採血
・コンバインド:採血と超音波
・超音波検査:超音波検査
・母体血清マーカー:採血
・絨毛検査:絨毛を採取
・羊水検査:用水を採取
流産のリスク なし ・絨毛検査:1%
・羊水検査:0.2〜0.3%

非確定的検査はこれまで母体へリスクは低いものの、検査の精度が低いというデメリットがありました。NIPT検査は、非確定的検査の中で感度が高いため、検査精度が高い特徴があります。
また、検査精度が高いだけでなく、母体の血液検査だけで結果がわかるため、体への負担が少なく、確定的検査のような流産・死産のリスクがなく比較的安全に検査が受けられます。そして、検査時期も妊娠10週ごろと早期に受検可能です。
NIPT検査は早期から受検可能なため、検査結果が陰性の場合は、その後安心して妊娠生活を送ることができます。もし陽性の場合は気持ちの受け止めに時間がかかることもあるでしょう。妊娠継続について考える時間があるため、落ち着いて情報収集をし、相談する時間があります。遺伝カウンセリングを受け、パートナーと話し合う時間が十分にとれることは非常に大切です。

NIPTを受けるメリット

さまざまな特徴のあるNIPTですが、実際に受けようと考えた際どのような点がメリットとなるのでしょうか。

精度が高い

NIPTは、非確定検査ですが非常に高い精度を誇ります。他の非確定検査と比較しても格段に精度が高く、羊水検査や絨毛検査などの確定検査を受ける前のスクリーニング検査として受ける方が多くいらっしゃいます。

流産のリスクがない

NIPTは母体の採血のみで検査することができます。しかし、確定検査である羊水検査や絨毛検査ではお腹に針を刺して実施されるため、検査によって感染症になってしまったり、早産・流産に繋がるリスクがあります。NIPTは非確定検査なので、陽性の場合にはこれらの確定検査を受けなければ診断することができませんが、流産のリスクはなく受けられる点は大きなメリットと言えます。

妊娠初期に受けられる

NIPTは、妊娠10週で受けることができます。
他の非確定検査と比較しても早い段階で受けることができるため、妊娠の早い段階で結果を知ることができ、その後の決断に余裕を持つことができるのは大きなメリットでしょう。

なお、ミネルバクリニックでは最短で妊娠6週からNIPTを受けていただけます。できるだけ早い段階でNIPTを受けたいという方は、ぜひご相談ください。

NIPT(新型出生前診断)の結果が偽陽性・偽陰性の場合がある?

NIPTでは、稀に偽陽性・偽陰性がおこります。偽陽性・偽陰性の可能性と原因を知っておくと、いくらか落ち着いて検査結果と向き合えることでしょう。
ここでは、NIPTにおける偽陽性と偽陰性の特徴や原因をそれぞれ解説します。

偽陽性とは

偽陽性とは、「NIPTで陽性と判定されたのに実際には染色異常がない」ことをいいます。
偽陽性は以下の原因で起こってしまうと考えられています。

限局性胎盤モザイク

胎児の染色体に異常はないものの、母体の胎盤に含まれる染色体に異常がある場合、偽陽性になることがあります。絨毛検査を行う場合の約1〜2%にしかみられない大変稀なケースです。

お腹の双子のうち1人の流産(バニシングツイン)

亡くなった胎児と残された胎児のDNAの形が異なる場合に、NIPTが反応してしまうことがあります。異なるDNAを持つ二卵性双生児だけに起こる現象です。

3つのトリソミー以外の染色体異常

胎児が3つのトリソミー以外の染色体異常を持っている場合にも、偽陽性が起こる可能性があります。

母体に腫瘍がある

お母さんの身体にがんなどの腫瘍がある場合、こわれた腫瘍がNIPTに影響してしまい偽陽性となるケースがあります。

偽陰性とは

偽陰性とは、「NIPTで陰性と判定されたのに実際には染色体異常がある」ことをいいます。原因としては、検査時期が早いために赤ちゃんのDNA量が少なすぎることが挙げられています。
NIPTは偽陰性が起こりにくいようにつくられており、3つのトリソミーに関しての陰性的中率は99.99%です。ただ、100%には至っていないため、赤ちゃんの健康を完全に保証するものではありません。(小さいものから大きいものまで、赤ちゃんの先天性の病気には、さまざまなものがあります。)
NIPTは、1万人に1人以下の確率で偽陰性が起こりうるということを理解したうえで受検しましょう。

もし陽性だったら…アフターフォローが重要

NIPTで陽性と判定された場合、本当に染色体異常があるかどうかを調べるには、羊水検査や絨毛検査といった確定的検査を受ける必要があります。
確定的検査に進むかの判断や検査結果後の対応については、医師のフォローをしっかりと受けながら進められることをおすすめします。

確定的検査の「羊水検査」を受ける

NIPTで陽性判定が出た場合、羊水検査を受けるという選択肢が入ってきます。(絨毛検査を実施している病院が少ないため、羊水検査が一般的です。)羊水検査で染色体異常が確認された場合には、診断が確定されますが、羊水検査は相場が10~20万円と決して安い検査ではありません。また、検査できる時期も第16週から第18週と限られているため、タイミングを逃すと検査が受けられなくなってしまいます。
さらには、検査してから結果が出るまでに最大4週間ほどかかるため、しばらくの間は不安と共に時間を過ごすことにもなるでしょう。
このようにNIPTを受けての羊水検査は、金銭面だけでなく、心身にも大きな負担になってしまう可能性があります。
そこで、NIPTを受ける際には、羊水検査を受けるまでのことを考え、できれば次のような条件を満たすクリニックを選んでいただきたいです。

・羊水検査の費用を負担してくれる
・羊水検査ができる病院を紹介してくれる
・面接や電話などのアフターフォローがある

また、「臨床遺伝専門医」や「認定遺伝カウンセラー」といった、遺伝に関する専門的な知識を持ち、遺伝に悩む患者さんに適切な援助ができる専門家が在籍しているクリニックであれば、なお安心です。
認定遺伝カウンセラーは日本人類遺伝学会、日本遺伝カウンセリングによって認定されている資格ですが、医師ではありません。遺伝医療を必要としている患者や家族に、適切な遺伝情報や社会支援体制等の情報提供を行います。臨床遺伝専門医は医師で、より上級職となり、医師33万以上のうち1200名程度の難関資格となっています。
染色体や遺伝子の異常による先天疾患や、生活習慣病など、遺伝に関する診療に関する専門知識を持っており、専門的検査や診断・治療・遺伝カウンセリングを行うスペシャリストです。

ミネルバクリニックでは24時間相談可能

ミネルバクリニックでは、NIPTを受けられる妊婦さんと赤ちゃんの負担が少しでも軽くなるように、以下の取り組みを行っています。

・再検査時の追加料金なし
・羊水検査の費用を全額負担(8,000円の互助会への入会が条件)
・羊水検査を受ける病院をご紹介
・24時間つながる電話相談窓口の開設

NIPTで陽性が出てしまった場合、多くの方は平然としてはいられませんし、適切な考え方や判断もできにくくなります。そんな時には、いつでもご相談ください。院長本人がお電話やLINEにて対応いたします。ミネルバクリニック院長は臨床遺伝専門医のため、遺伝カウンセリングを行うこともできます。
NIPTの結果は、偽陽性の場合もあります。陽性判定だけで染色体異常があると思い込んでしまい、本来であれば健康な赤ちゃんの命が失われることは誰も望まないでしょう。また、羊水検査で病気が見つかってしまった場合、中絶を選択されることに大変傷つき自分を責めてしまわれる方もいらっしゃいます。
しかし、その赤ちゃんは生まれてくるまで生きられないかもしれません。生まれてこられたとしても早い時期にお別れしなければいけないかもしれません。現在の日本の福祉体制は、障がいを持つ方や、その家族にとって優しいとは言い切れない面もたくさんあります。
ミネルバクリニックでは、患者さんがどのような選択をされたとしても、自分を責めることなく前向きに生きていけるようサポートしたいと願っております。1人1人に合った最善を一緒に探しましょう。

まとめ

NIPTの検査結果は通常1〜2週間ほどで返却されますが、クリニックや状況によって多少前後することがあります。結果は陰性・陽性・判定保留のいずれかで知らされます。
陽性と出た場合、本当に染色体異常があるかどうか調べるためには、確定的検査である羊水検査を受ける必要があります。羊水検査で病気が確認された場合には、診断が確定されます。陰性的中率は99.9%のため、陰性の場合に羊水検査を行うケースはあまり見られません。偽陰性の確率は非常に少ないものの、陽性と判定された際には羊水検査を視野に検討しましょう。
羊水検査の検討や検査後の対応については、フォロー体制の整った病院で、医師と相談しながら慎重に進められることをおすすめします。

この記事の著者:仲田洋美(医師)

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ミネルバクリニックでは、以下のNIPT検査を提供しています。少子化の時代、より健康なお子さんを持ちたいという思いが高まるのは当然のことと考えています。そのため、当院では世界の先進的特許技術に支えられた高精度な検査を提供してくれる検査会社を遺伝専門医の目で選りすぐりご提供しています。

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プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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