目次
NIPTの費用はいくら?
安さで選ばない判断軸を臨床遺伝専門医が解説
【結論】
NIPTの費用は、「検査代の安さ」では判断できません。
重要なのは、陽性時の追加費用と、
結果後にどこまで支えてもらえるかを含めた総額と安心です。
1. NIPTの費用相場|いくらが一般的?
ポイント:
NIPTは自由診療で、数万円〜40万円台以上まで幅があります。
検索すると「安いNIPT」「最安値」という情報が目に入りますが、
それは初期費用だけを切り取った話であることがほとんどです。
実際に妊婦さんが一番つらくなるのは、結果が出たあとです。
ここを見ない比較は、後悔につながりやすいのです。
2. なぜNIPTはここまで価格差が出るのか
結論:
価格差の正体は、「何をどこまで調べ、どう解析し、誰が責任を持つか」の違いです。
(検査で「何を見ているか」の違いが、費用差につながるイメージ)
NIPTは単なる「採血検査」ではありません。
本質は、採血後の解析と判断にあります。
- どの検査会社の技術を使っているか
- 陰性後の追跡調査を行っているか(偽陰性の見逃しを放置していないか)
- 解析を誰がチェックしているか(機械任せか、専門家か)
- 結果後に何度でも相談できる設計か
安価なNIPTでは、解析を自動化し、追跡調査も行わず、
説明やフォローを最小限にすることでコストを下げているケースもあります。
「精度が不明」な検査に、大切なお金を払うリスクを考えてみてください。
3. 「安いNIPT」で後悔しやすい場面
要注意:
後悔は陽性が出たあとに起こりやすいです。
- 確定検査(羊水検査・絨毛検査)に追加で10〜20万円かかる
- 紹介先を自分で探す必要があり精神的に消耗する
- 結果の意味を十分に説明してもらえず、不安が長引く
4. ミネルバクリニックの費用設計の考え方
当院の考え:
「速さより正確性」「結果後の心の安全」を最優先に設計しています。
当院のNIPT費用には、遺伝カウンセリング(33,000円相当)が内包されています。
これは当日の説明だけでなく、
陽性時・妊娠経過中・別の不安が出たときにも
何度でも相談できる設計です。
【他院との決定的な違い】互助会制度
万が一陽性だった場合、他院では15〜20万円かかる
羊水検査の費用を当院が全額負担します。
(※互助会費8,000円のみ)
「もしも」の時の追加費用におびえる必要はありません。
5. ミネルバクリニックのNIPTプランと費用詳細
ここからは、一般的な相場ではなく、ミネルバクリニックの具体的な費用と検査の特徴をご紹介します。
NIPTの歴史と当院の取り組み
ミネルバクリニックのNIPT検査は、常に最先端の技術を追求してきました。
- 2017年:当院がNIPT検査をスタートした当初はVeriseq検査を導入しましたが、約1/250の確率で判定保留が発生する課題がありました。
- 2018年8月:ベリナタ社の検査を導入し、22q11.2欠失症候群などの微細欠失を検出できる5種類6疾患の検査が可能になりました。しかし、陽性的中率の低さが課題となり、1年足らずの間に22q11.2欠失症候群で偽陰性の症例を経験しました。
- 2019年:この経験を踏まえ、「スタンダードプラン」(旧スーパーNIPT)と「旧プレミアムプラン」を採用。これらの検査は当時の最先端技術を採用したものでしたが、NIPT検査の13年の歴史の中で、すでに7年ほどが経過し、技術は日々進化しています。
- 2024年:満を持して、私たちが長年待ち望んでいた「微細欠失の陽性的中率の低さをカバーしてあまりある」画期的な検査が登場しました。「NEWプレミアムプラン」と「ダイヤモンドプラン」は、微細欠失検査においても「ほぼ100%」という驚異的な的中率を実現し、より確かな検査結果をご提供できるようになりました。
特に「ダイヤモンドプラン」では、染色体異常に加えて、父親の精子の遺伝子突然変異も検査できるようになり、より包括的な検査が可能になりました。
NIPT検査プラン一覧
| プラン名 | 費用 | 当日割引特典適用時 | 当院での選択割合 |
|---|---|---|---|
| ライトプラン Medicover genetics | 176,000円(税込) | – | – |
| スタンダードプラン Medicover genetics | 198,000円(税込) | – | 1割弱 |
| NEWプレミアムプラン | 275,000円(税込) | 264,000円(税込) | 3割強 |
| ダイヤモンドプラン | 451,000円(税込) | 407,000円(税込) | 6割強 |
ミネルバクリニックでは2024年より無料カウンセリングを開始しました。検査の重要性をご理解いただいた上で、カウンセリング当日に検査をお決めいただいた方には特別割引を適用しています。これにより、検査への理解を深めていただきながら、決断をサポートする体制を整えています。
当院では、「一生にかかわるお子様の疾患」を一番多く検出できるダイヤモンドプランが6割強、NEWプレミアムが3割強、スタンダードプランが1割弱となっています。税込み176,000円で3つのトリソミーのみ検査するライトプランのご用意もあります。
検査内容比較
| 検査項目 | ライトプラン | スタンダード | 旧プレミアム | NEWプレミアム | ダイヤモンド |
|---|---|---|---|---|---|
| 基本検査 (13/18/21トリソミー+性別) |
✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ |
| 陽性的中率 (13染色体) |
80~93% | 80~93% | 80~93% | 80~93% | 80~93% |
| 陽性的中率 (21染色体) |
約99.9% | 約99.9% | 約99.9% | 約99.9% | 約99.9% |
| 微小欠失症候群 | – | 4種類 (約70%) |
8種類 (約70%以上) |
12種類13疾患 (約99.9%以上) |
12種類13疾患 (約99.9%以上) |
| 13/18/21以外の染色体異常 | – | – | ✓ (約50%程度) |
15/16/22 (約50%程度) |
15/16/22 (約80%程度) |
| 父親の精子の遺伝子突然変異 | – | – | – | – | ✓ 56種遺伝子 (約99.9%以上) |
| 700万塩基の重複・欠失 | – | – | ✓ (約50%程度) |
– | – |
プラン特長比較
| プラン | 主な検査対象 | 向いている方 |
|---|---|---|
| ライトプラン 176,000円 |
• 3つの主要トリソミーのみ • 染色体数の異常 |
• 費用を抑えたい方 • 13,18,21トリソミーのみ確認したい方 |
| スタンダードプラン 198,000円 |
• 染色体数の異常 • 染色体部分欠損による出生異常 • 心臓奇形 • 口唇口蓋裂 • 白内障/水晶体形成不全 |
• より広範囲な検査を希望する方 • コストパフォーマンスを重視する方 |
| NEWプレミアム 275,000円 (当日割引:264,000円) |
スタンダードに加え: • 奇形症候 • 四肢異常・骨異常 • 発育遅延 • 筋力低下 • 外見異常奇形 • 羊膜帯による切断様変形 • 12種類の微細欠失症候群 |
• 高精度の微細欠失検査を希望する方 • 幅広い先天性疾患を事前に知りたい方 |
| ダイヤモンド 451,000円 (当日割引:407,000円) |
NEWプレミアムに加え: • 突然死の原因となる疾患 • 代謝異常 • 肥満症 • 難聴 • 父親の加齢によるリスク |
• 一生にかかわる疾患を最も網羅的に調べたい方 • 父親側の遺伝子リスクも確認したい方 • 妊娠中の不安を最大限減らしたい方 |
胎児異常の内訳(臨床試験データ)

ダイヤモンド/NEWプレミアムプランを発売する前に行われた臨床試験では、超音波で胎児異常があると診断された1,190名の妊婦さんがエントリーされ、実際に98名に異常が見つかりました。この98名の胎児異常の内訳は以下の通りです:
- 常染色体異数性(13/18/21トリソミー): 42.9%
- 性染色体異数性: 13.3%
- 染色体微小欠失: 6.1%
- 単一遺伝子疾患: 37.8%
このデータから、従来のNIPT検査では検出できなかった単一遺伝子疾患が全体の37.8%を占めており、これらの疾患を検出できるダイヤモンドプランの重要性が示されています。
700万塩基の重複・欠失と全染色体検査について
700万塩基の重複・欠失(陽性的中率)と全染色体(13/18/21以外のその他染色体)に関しては、1,190名の超音波で胎児に異常が認められた妊婦を対象とした臨床試験の結果から、この規模で一例も検出されませんでした。また、当院における旧プレミアムプラン提供の経験から、これらの異常はほとんど見られず、陽性的中率も低いため、余計な羊水検査が増える可能性があります。
そのため、当院では700万塩基の重複・欠失や全染色体検査よりも、微細欠失症候群と単一遺伝子疾患の検査に重点を置いたNEWプレミアムプランをおすすめしています。これらのプランでは、臨床的に意義のある異常を高い精度で検出することができます。
微細欠失症候群検査:検出疾患一覧
NEWプレミアムプランとダイヤモンドプランで検査可能な微細欠失症候群の詳細です。
| 微細欠失症候群 | 主な症状 | 発生頻度 |
|---|---|---|
| 1p36欠失症候群 | • 知的障害・言語発達遅延 • 特徴的な顔貌 • 筋緊張低下 • 先天性心疾患 • 視覚・聴覚障害 |
約1/5,000〜10,000出生 |
| 2q33欠失症候群 | • 成長発達遅延 • 知的障害 • 小頭症・顔面異常 • 骨格異常 |
非常にまれ |
| 4p16欠失症候群 (Wolf-Hirschhorn症候群) |
• 特徴的な顔貌 • 重度の知的障害 • てんかん発作 • 口蓋裂・口唇裂 |
約1/50,000出生 |
| 5p15欠失症候群 (猫鳴き症候群) |
• 特徴的な高音の泣き声 • 小頭症 • 重度の知的障害 • 低出生体重 |
約1/20,000〜50,000出生 |
| 8q23q24欠失症候群 (Langer-Giedion症候群) |
• 特徴的な顔貌 • 多発性骨軟骨腫 • 関節の過伸展性 • 知的障害 |
非常にまれ |
| 9p欠失症候群 | • 知的障害・発達遅延 • 特徴的な顔貌 • 心臓異常 • 男児の生殖器異常 |
約1/50,000出生 |
| 11q23q25欠失症候群 (Jacobsen症候群) |
• 成長遅延・知的障害 • 頭蓋顔面の非対称性 • 血小板減少症 • 複雑な心臓奇形 |
約1/100,000出生 |
| 15q11.2-q13欠失症候群 (Prader-Willi/Angelman症候群) |
• 哺乳障害→過食と肥満 • 知的障害 • 発作 • 特徴的な行動 |
約1/10,000〜30,000出生 |
| 17p11.2欠失症候群 (Smith-Magenis症候群) |
• 知的障害 • 自傷行為・睡眠障害 • 特徴的な顔貌 • 骨格異常 |
約1/15,000〜25,000出生 |
| 18p欠失症候群 | • 知的障害 • 成長障害 • 小頭症 • 骨格異常 |
約1/50,000出生 |
| 18q22q23欠失症候群 | • 知的障害 • 小頭症 • 聴覚障害 • 足部異常 • 免疫不全 |
約1/40,000出生 |
| 22q11.2欠失症候群 (DiGeorge症候群) |
• 先天性心疾患 • 免疫機能障害 • 低カルシウム血症 • 口蓋裂 • 学習障害・精神疾患 |
約1/2,000〜4,000出生 |
これらの微細欠失症候群は、NEWプレミアムプランとダイヤモンドプランでは約99.9%以上の高い陽性的中率で検出することができます。
ダイヤモンドプランの遺伝子突然変異検査
ダイヤモンドプランでは、56種の遺伝子における30種類以上の単一遺伝子疾患を検査することができます。以下は、重要な遺伝子とそれらが関連する主な症状です:
FGFR3関連疾患
- 骨格系の異常:軟骨異形成症、タナトフォリック骨異形成症(致死性の骨格異常)、アクロンドロプラジア(四肢短縮型低身長症)
- 頭蓋顔面の異常:頭蓋骨早期癒合症、顔面中央部の低形成
- 中枢神経系への影響:水頭症、小頭症
- 聴覚障害:感音性難聴
- 皮膚異常:黒色表皮腫
HRAS・KRAS・NRAS関連疾患
- 成長障害:発育遅延、筋緊張低下
- 心臓異常:肥大型心筋症、心房中隔欠損症、肺動脈弁狭窄
- 神経発達の問題:知的障害、学習障害、自閉症スペクトラム障害
- 頭蓋顔面の特徴:眼間開離、眼瞼下垂、低位耳介
- 皮膚・毛髪の異常:多毛、色素異常、カフェオレ斑
その他の重要な遺伝子
- COL1A1/COL1A2:骨形成不全症(骨折しやすい)、青色強膜
- CHD7:CHARGE症候群(眼・心臓・鼻腔・発達遅延などの複合障害)
- TSC1/TSC2:結節性硬化症(皮膚病変、良性腫瘍、てんかん)
- MECP2:レット症候群(自閉症様症状、手の常同運動)
- PTPN11:ヌーナン症候群(特徴的顔貌、心臓異常、低身長)
これらの遺伝子変異を出生前に検出することで、重篤な疾患のリスクを早期に評価し、適切な医療介入の計画を立てることが可能になります。ダイヤモンドプランは、従来の染色体検査に加え、これらの単一遺伝子疾患についても高精度の検査を提供します。
検査結果期間
全プラン共通: 約10〜14日(検査状況によって、日数が前後する場合があります)
その他費用
| 項目 | 金額(税込) | 備考 |
|---|---|---|
| マイページ利用料 | 550円 | マイページの使用料金 |
| 検査結果作成手数料 | 3,300円 | 全文検査結果書 |
| 羊水・絨毛検査互助会費用 | 8,000円 | NIPTが陽性だった場合の確定検査費用を全額補助 (マイクロアレイと入院費用は対象外) |
| 検査結果保障制度 | 6,000円 | 胎児分画不足で再検査が必要なのに流産してしまい 再検査ができない場合に検査費用の全額を返金 |
| 検査キット送料 (オンラインの場合のみ) |
5,500円 | – |
※ 編集査閲調整なしく比較結果記載の返信機関での検出費用が別途発生する場合があります。
6. 医療費控除は使える?
結論:
NIPT単体は原則医療費控除の対象外です。
ただし、陽性→確定検査→手術という流れになった場合、
遡って対象になることがあります。
7. 重い障害と将来の自立について
【結論】
出生前診断で分かるのは、医学的に重篤な疾患の可能性までです。
将来の社会的自立の可否を判定する検査は存在しません。
「将来自立できないほど重い障害が心配です。検査で分かりますか?」という不安は、妊娠中にとても自然に起こります。
ただ、ここで大事なのは、出生前診断が人生の“評価”や“結論”を出す検査ではないということです。
学会の共通理解(コンセンサス):
出生前診断は、出生後の生活や生命予後に重大な医学的影響を及ぼす可能性が高い状態について、家族が事前に理解し、準備や選択を考えるための医療行為として位置づけられています。
出生前診断の対象とされる疾患の共通点
- 生命予後に大きく関わる(胎児期〜新生児期に重い転帰が起こり得る)
- 重度の知的障害・発達障害を伴う可能性が高い
- 多臓器合併症(心臓・脳・腎臓・骨など)を伴い、継続的医療が必要になりやすい
- 出生後に医療・社会的支援が長期に必要となる可能性が高い
つまり、出生前診断は「軽い体質差」や「性格」「学力」などを対象にする医療ではありません。
この点は、妊婦さんの不安を煽るためではなく、検査の意味を正しく理解してもらうために強調しておきたいところです。
症候性(重症)自閉症について
ネットで「自閉症」という言葉を見ると、どうしても怖くなってしまう方がいます。ここは誤解が起きやすいので整理します。
【結論】
出生前診断で議論されるのは、一般的な自閉スペクトラム症(ASD)全体ではなく、
重度の合併症を伴う「症候性(syndromic)自閉症」に関連する遺伝学的疾患が中心です。
- 知的障害を伴う可能性が高い
- てんかんや重い運動発達遅延などを合併し得る
- 医療的ケアや継続的支援が必要となる可能性が高い
一方で、同じ疾患名でも症状の重さは幅があります。ここが重要で、だからこそ
「結果=人生の結論」にはならないのです。
なぜ「将来自立できるか」は判定できないのか
同じ疾患でも、症状の重さ、医療介入、家庭環境、支援体制で生活は大きく変わります。
そのため学会でも、出生前診断は“考えるための材料”であり、“人生の判決”ではないという立場が繰り返し強調されます。
ミネルバの立場:
不安を煽るために検査するのではありません。
正確な情報を専門医と一緒に整理し、必要なら確定検査へつなぎ、心の負担を減らすための検査です。
参考文献(英文・学会ガイドライン)
- ACOG: Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities (Practice Bulletin 226, full text). [公式]
- ACMG (Gregg et al., 2016): Noninvasive prenatal screening for fetal aneuploidy. [PubMed] / [全文]
- ISPD Updated Position Statement (genome-wide sequencing for prenatal diagnosis; position statement背景として). [PMC]
- Bianchi DW et al., 2014: DNA Sequencing versus Standard Prenatal Aneuploidy Screening. [PubMed] / [NEJM]
- Lord C et al. (review): Autism spectrum disorder. [PubMed]
よくある質問(FAQ)
Q. 費用で迷っています。どう選べばいい?
A. 「陽性だったとき、誰がどこまで一緒に考えてくれるか」だけを基準にしてください。
Q. 出生前診断は“何でも分かる検査”ですか?
A. いいえ。分かるのは医学的に重篤な疾患の可能性までで、将来の自立や人生の価値を判定する検査ではありません。
Q. 自閉症が心配です。出生前診断はどこまで関係しますか?
A. 議論の中心は一般的なASD全体ではなく、重度の合併症を伴う症候性(syndromic)自閉症に関連する遺伝学的疾患です。

