目次
胎児の首のむくみ(NT)とは?
ダウン症の確率・3.5mmの基準・いつ消えるかを解説【専門医監修】
Q. エコーで「赤ちゃんの首がむくんでいる(NT)」と言われました。ダウン症確定ですか?
A. いいえ、確定ではありません。
NTはすべての胎児に見られる生理現象で、3.5mm以上でも80%の赤ちゃんは健康に生まれてきます。しかし、染色体異常や心疾患のサインである可能性も否定できません。13週はNTを計測できるラストチャンスであり、同時に「NIPT」や、早期に白黒つけられる「絨毛検査」が受けられる貴重な時期でもあります。不安なまま過ごさず、正しい知識を持って次のアクションを選びましょう。
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NTの正体と基準値 → 正常値は3.5mm未満。厚さとリスクの関係(確率)を専門医が解説。 -
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13週の重要性 → NTは14週以降自然に消えることも。消えたら安心?残るリスクとは? -
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次に選ぶべき検査 → エコーだけでは限界がある。微細欠失までわかる「ダイヤモンドプラン(COATE法)」や、羊水を待たずに確定できる「絨毛検査」の選択肢。 -
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ミネルバのサポート → 万が一の陽性時は、羊水・絨毛検査費用を全額負担(互助会:上限なし)。2025年6月からは院内完結で早期に結果をお届け。 -
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遺伝カウンセリング → 検査前に必ず受けたい専門家への相談。臨床遺伝専門医が検査の意義から結果後の対応まで丁寧に説明。
1. 妊娠13週でNT(首のむくみ)を指摘されたら
妊婦健診のエコー検査で「赤ちゃんの首の後ろが少し厚いですね」「NTが見えます」と言われ、頭が真っ白になってしまったかもしれません。インターネットで検索すると「ダウン症」「染色体異常」といった怖い言葉ばかりが目に入り、眠れない夜を過ごされているのではないでしょうか。
まず、深く深呼吸をしてください。
NTが見えたからといって、必ずしも赤ちゃんに病気があるわけではありません。
👩⚕️ 臨床遺伝専門医からのメッセージ
妊娠13週は、赤ちゃんの検査において非常に重要な「分岐点」です。NTの正確な評価ができるのは妊娠13週6日まで。これ以降は自然に消えてしまうことが多く、リスクの評価が難しくなります。また、もし詳しい検査が必要な場合、13週なら「絨毛検査」で早期に確定診断が可能です。16週以降の羊水検査まで1ヶ月も不安なまま待つ必要はありません。今、この記事にたどり着いたことは、赤ちゃんを守るための第一歩です。
2. NT(首のむくみ)とは?正常値とリスクの目安
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定義:
妊娠11週〜13週頃の胎児の首の後ろに見られる、皮下の液体貯留(むくみ)のこと。黒いスペースとしてエコーに映ります。 -
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特徴:
実は、すべての赤ちゃんに一時的に見られる生理現象です。リンパの流れが未熟なために起こると考えられています。
NTの正常値は?何ミリから注意が必要?
一般的に、NTの厚さは3.5mm未満であれば正常範囲内と考えられています。逆に、3.5mm以上になると染色体異常やその他の疾患のリスクが高まるとされています。
| NTの厚さ | 染色体異常の可能性 (目安) |
解説 |
|---|---|---|
| 〜2.9mm | 低い(通常範囲) | 95%以上の胎児はこの範囲に入ります。過度な心配は不要です。 |
| 3.0mm〜3.4mm | グレーゾーン | 正常の範囲とも言えますが、念のため慎重な経過観察が必要です。 |
| 3.5mm〜4.4mm | 約20% | 染色体異常(ダウン症など)の可能性が上がります。精密検査の検討を推奨します。 |
| 4.5mm〜5.4mm | 約33% | 3分の1程度の確率で染色体異常の可能性があります。確定検査を強く推奨します。 |
| 5.5mm〜6.4mm | 約50% | 半数の確率で何らかの異常がある可能性があります。 |
| 6.5mm以上 | 約65% | 高い確率で染色体異常や重篤な心疾患などが疑われます。 |
ここで大切なのは、「NTが3.5mmあっても、80%の赤ちゃんは何も異常がなく元気に生まれてくる」という事実です[1]。NTはあくまで「確率のマーカー(サイン)」であって、「診断」ではありません。
👩⚕️ 臨床経験から
私がこれまで診てきた患者さんの中で、NTが厚くても染色体異常がなかった方がほとんどです。逆に、染色体や遺伝子に異常があってもNTが正常範囲だった方もたくさんいらっしゃいます。つまり、NTは「参考情報」であって「診断」ではありません。大切なのは、NTの数値だけで一喜一憂するのではなく、必要に応じてより精度の高い検査を受けて、正確な情報を得ることです。
NTが増大する原因とは?
NTが厚くなる原因は完全には解明されていませんが、以下のような可能性が挙げられます。
- 染色体異常:21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーなど。リンパ液の還流障害が起こりやすいとされています。
- 先天性心疾患:心臓の働きが弱く、体液が溜まりやすくなっている可能性があります。
- 生理的なむくみ:一過性のもので、成長とともに自然に消失し、何の問題もないケース(これが最も多いです)。
📋 NT値増加で注意すべき疾患
NT値が増加している場合、染色体異常以外にも以下のような疾患の可能性が考えられます。
中枢神経疾患
消化器疾患
泌尿器疾患
神経筋疾患
代謝障害
※これらの可能性があるからといって確定ではありません。NTはあくまでスクリーニングマーカーです。
3. むくみが消えたら安心?「13週の壁」とその後
「11週で厚いと言われたけど、14週のエコーでは消えていました!よかった!」
こういった声をよく耳にします。確かにNTは妊娠14週を過ぎると、赤ちゃんのリンパ系が発達するため、自然に消失することが多いです。
⚠️ 注意:むくみが消えた=染色体異常が治ったわけではない
ここが非常に重要なポイントです。もし赤ちゃんにダウン症などの染色体異常があったとしても、NT(むくみ)自体は時期が来れば消えてしまうことが多いのです。つまり、「むくみが消えたから正常だった」とは限りません。根本的な染色体の変化はそのまま残っています。
だからこそ、NTが見えている(計測できる)13週のうちに、しっかりとしたリスク評価を行うことが重要なのです。
4. 13週だから間に合う!選べる3つの検査と解決策
NTを指摘された場合、ただ不安なまま過ごすのではなく、より確実な情報を得るための検査を選択することができます。特に妊娠13週は、まだ「絨毛検査」が選べるギリギリのタイミングです。
① 胎児ドック(精密超音波検査)
NTだけでなく、鼻骨の有無、心臓の血流(三尖弁逆流)、静脈管の波形などを詳細にチェックします。これらを組み合わせることで、ダウン症などの確率をより詳しく算出できます。
📊 各マーカーとダウン症候群の関連
- 鼻骨欠損:ダウン症候群の約60%に認められる
- 三尖弁逆流:ダウン症候群の約55%に認められる
- 静脈管逆流:ダウン症候群の約65%に認められる
※NTの計測にはFMF(Fetal Medicine Foundation:イギリス)の資格認定が推奨されています。検査を受ける際は、資格を持った医師が担当するか確認しましょう。なお、胎児ドックはあくまで「確率」を算出するものであり、確定診断ではありません。
② NIPT(新型出生前診断)
母体の血液から赤ちゃんのDNAを分析します。流産のリスクがなく、ダウン症に関しては感度99%以上と非常に高精度です。当院では、基本の3つのトリソミーを調べる「スーパーNIPT(第3世代)」から、より詳細な「ダイヤモンドプラン(次世代)」まで選べます。
③ 絨毛検査(確定的検査)
胎盤の絨毛を採取して染色体を調べます。結果は100%確定します。通常、羊水検査は16週以降ですが、絨毛検査は11週〜14週頃に受けられます。「早く白黒つけたい」という方には最適な選択肢です。
エコーでは見えない「微細欠失」と「父親の加齢リスク」
NTの指摘を受けた方の中に、「22q11.2欠失症候群(ディジョージ症候群)」などの微細欠失症候群が隠れている場合があります。また、近年では父親の加齢に伴う「精子の新生突然変異(デノボ変異)」のリスクも注目されています[4]。
ミネルバクリニックのダイヤモンドプラン(次世代NIPT)は、米国4大遺伝子検査会社の一角が開発したCOATE法を採用しています。従来法では約70%だった微細欠失の陽性的中率が、>99%へと飛躍的に向上しました[7]。
💡 重い障害を伴う「症候性自閉症」の原因遺伝子も検査可能
ダイヤモンドプランでは、微細欠失に加え、父親の加齢とともに増える56種類の常染色体優性疾患(デノボ変異)も検査可能です。これらには、重い知的障害や合併症を伴う「症候性自閉症」の原因遺伝子が含まれています(原因不明の非症候性自閉症とは区別されます)[5]。
56疾患の積算リスクは1/600、微細欠失は1/1000と言われていますが、当院の実績では56遺伝子の陽性率は1/60と非常に高い頻度で検出されています(ダウン症の当院陽性率は1/70)。こうした頻度の高い疾患を、高い精度で検査できるのがダイヤモンドプランの特徴です。
5. ミネルバクリニックの「トリプルリスクヘッジ」
NTを指摘されて不安な今、検査を受けるなら「もし陽性だったらどうしよう」という不安にも備えておく必要があります。ミネルバクリニックでは、患者様を一人にしないための万全のサポート体制を整えています。
① 金銭的安心(互助会)
NIPT陽性時の確定検査(羊水・絨毛検査)費用を、互助会(会費8,000円・非課税)で全額負担します(上限なし)。急な出費の心配をせずに、必要な検査を受けられます。※ミネルバクリニックでは互助会は強制加入とさせていただいております。
② スピード対応(院内完結)
2025年6月より産婦人科を併設し、確定検査を自院で実施可能になりました。外部機関を挟まないため、ほとんどの場合3日以内に結果をお伝えできます。不安な待ち時間を最小限にします。※マイクロアレイが必要な場合は2週間ほどお時間を頂戴します。
③ 専門医の心のケア
臨床遺伝専門医である院長が、検査前から検査後まで直接担当します。NTの意味、確率の解釈、そして陽性だった場合の選択肢まで、専門知識と経験に基づいて親身にサポートします。
💡 【2025年1月開始】新・安心結果保証制度
「再検査が必要なのに、結果が出る前に流産してしまった」という悲しいケースでも、検査代金を全額返金する制度を開始しました(6,000円・強制加入)。流産リスクの高い時期だからこそ、患者様に不利益が出ないよう配慮しています。
👩⚕️ なぜ互助会は「強制加入」なのか?
互助会は当初、任意加入(会費1,000円)でした。しかし、「自分は大丈夫」と思う方が多く、加入率はわずか2割程度にとどまりました。そして実際に陽性になった方に限って入っていないケースがほとんどで、何もしてあげられない——という事態が続きました。
これでは「いざというときの備え」という保険本来の意味がなくなってしまいます。ヨーロッパなど多くの国では入国時に海外旅行保険の加入を義務化していますが、それも同じ理由です。「備えは全員で」という考え方で、現在は強制加入とさせていただいております。
6. まとめ:13週は赤ちゃんを知る大切なチャンス
🏥 臨床遺伝専門医常駐
日本で唯一、臨床遺伝専門医が遺伝子検査のために開業したクリニック。専門医による遺伝カウンセリングで、検査前から検査後まで手厚くサポート。
🔬 COATE法採用
自院採用検査のなかで高い精度を実現。微細欠失症候群の陽性的中率は従来の70%台から>99%へ飛躍的に向上[7]。
🌐 オンライン対応
オンラインNIPTで全国どこからでも受検可能。遠方の方も遺伝専門医のカウンセリングを受けられます。
📞 24時間サポート
陽性時の手厚いフォロー体制。不安な気持ちに寄り添い、次のステップを一緒に考えます。
🏥 2025年6月〜 確定検査対応
産婦人科併設により、陽性時の確定検査(羊水・絨毛検査)を自院で実施可能に。NIPTから確定検査までワンストップで対応。
📷 2022年11月〜 4Dエコー導入
NIPT前に当日の胎児の状態を超音波検査で確認してから採血可能。より安心して検査を受けていただけます。
NTを指摘されたことは、決して「不幸な宣告」ではありません。それは、赤ちゃんが「もっと詳しく調べてほしいな」とサインを送ってくれたのかもしれません。13週という時期は、早期に安心を得るための行動を起こせる貴重な時間です。
一人で抱え込まず、まずはミネルバクリニックの遺伝カウンセリングにお越しください。専門医が、あなたと赤ちゃんにとって最善の道を一緒に考えます。
7. 検査前に必ず受けたい「遺伝カウンセリング」
NTを指摘されて検査を検討している方は、必ず遺伝カウンセリングを受けることをおすすめします。
🩺 遺伝カウンセリングでできること
- 検査の意義や限界についての正確な説明
- 遺伝性疾患についてのわかりやすい解説
- 検査結果の解釈と次のステップの相談
- 赤ちゃんが生まれてからの支援施設・制度の紹介
- ご家族の遺伝に関する不安や悩みの相談
遺伝カウンセリングを行うのは、認定遺伝カウンセラーまたは臨床遺伝専門医です。遺伝カウンセリングを受けずに検査だけを受けてしまうと、万が一陽性だった場合にどう対処してよいかわからず、混乱してしまうことがあります。
ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医である院長が直接遺伝カウンセリングを担当します。検査前から検査後まで一貫してサポートを受けられるため、安心して検査に臨むことができます。
よくある質問(FAQ)
🏥 臨床遺伝専門医へのご相談
NTを指摘された不安を、一人で抱え込まないでください。
ミネルバクリニックには「答えを出す技術」と「あなたを守る制度」があります。
参考文献
- [1] Snijders RJ, et al. UK multicentre project on assessment of risk of trisomy 21 by maternal age and fetal nuchal-translucency thickness at 10-14 weeks of gestation. Lancet. 1998;352(9125):343-6. [PubMed]
- [2] Nicolaides KH. Screening for fetal aneuploidies at 11 to 13 weeks. Prenat Diagn. 2011;31(1):7-15. [PubMed]
- [3] Wapner R, et al. First-trimester screening for trisomies 21 and 18. N Engl J Med. 2003;349(15):1405-13. [PubMed]
- [4] Kong A, et al. Rate of de novo mutations and the importance of father’s age to disease risk. Nature. 2012;488(7412):471-5. [PubMed]
- [5] Iossifov I, et al. The contribution of de novo coding mutations to autism spectrum disorder. Nature. 2014;515(7526):216-21. [PubMed]
- [6] ミネルバクリニック「互助会(カトレア会)について」[公式サイト]
- [7] Dar P, et al. Cell-free DNA screening for prenatal detection of 22q11.2 deletion syndrome. Am J Obstet Gynecol. 2022;227(1):79.e1-79.e11. [PubMed](COATE法による微細欠失検出精度に関する研究)

