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NIPTでSMAは本当にわかる?検出の限界と最適な検査方法を解説!

NIPT(非侵襲的出生前診断)で脊髄性筋萎縮症(SMA)を検出する技術は、遺伝子保因者の有無を調べるために使用されています。SMAは、主にSMN1遺伝子の欠失によって引き起こされる遺伝性疾患です。特に日本人ではSMN1遺伝子の欠失が比較的多く見られるため、NIPTの精度には限界があると考えられています。

NIPTに用いられる次世代シークエンサー(NGS)は、高精度な塩基配列の読み取りが可能ですが、主に小さな変異(点突然変異や微小欠失・重複)を検出するのに適しています。一方で、SMAの原因であるSMN1遺伝子の大きな欠失のような構造変異は、NGSではカバレッジ(配列の読み取り回数)の偏りリファレンスとの比較の難しさにより正確に検出するのが困難です。そのため、SMAの診断には、MLPA(多重連結プローブ増幅法)やqPCR(定量PCR)など、遺伝子コピー数の変化を直接測定できる手法が一般的に用いられます。

NIPTは主に染色体異常(ダウン症・18トリソミー・13トリソミーなど)を検出するためのスクリーニング検査ですが、近年では一部の単一遺伝子疾患の検出にも活用されています。特に、点突然変異による疾患(例:一部の遺伝性疾患や遺伝子変異に基づく疾患)については、高精度での検出が可能です。

しかし、日本人に多いSMAの原因であるSMN1遺伝子の大きな欠失は、NIPTでの検出が難しいとされています。NIPTに用いられる次世代シークエンサー(NGS)は、DNA断片のカバレッジ(配列の読み取り深度)に偏りが生じるため、大きな欠失やコピー数の変化を正確に検出するのが困難です。そのため、SMAの診断には、MLPA(多重連結プローブ増幅法)やqPCR(定量PCR)といった、遺伝子コピー数を直接測定できる確定診断法が推奨されます。

さらに、SMAは常染色体劣性遺伝疾患であり、両親が共に保因者である場合に子どもが発症するリスクがあります。日本人におけるSMAの保因者頻度は約1/40と報告されています。したがって、両親が共に保因者である確率は1/40 × 1/40 = 1/1,600となり、その場合、子どもがSMAを発症する確率は25%です。

このようなリスクを事前に把握するためには、NIPTよりも「保因者検査」を受けることが推奨されます。保因者検査では、両親の遺伝子を分析し、SMAの原因となるSMN1遺伝子の欠失があるかどうかを調べることができます。特に、SMAの家族歴がある場合や、遺伝性疾患のリスクを考慮したい場合には、妊娠前または妊娠初期に保因者検査を受けることが望ましいでしょう。

また、日本ではSMAの新生児スクリーニング(NBS)が導入されており、生後4〜6日以内に血液サンプルを使用してSMN1遺伝子の有無を検査し、早期診断と治療が可能になっています。そのため、NIPTによるSMAの検出精度には限界があることを理解し、必要に応じて他の検査方法と組み合わせることが重要です。

NIPT(無侵襲的胎児遺伝子検査)とSMA(脊髄性筋萎縮症)検査は、妊婦やその家族にとって重要な検査です。これらの検査は、胎児の遺伝的な健康状態を知る手助けをしてくれます。

特に、NIPTは母体の血液から胎児のDNAを分析するため、リスクが少なく、安心して受けることができます。一方で、SMA検査は、筋肉機能に影響を与える遺伝子の変異を調べるもので、早期発見が可能です。

これらの情報を受けて、医療関係者や遺伝カウンセラーとしっかりと相談し、一緒にベストな選択を考えましょう。

NIPT検査とは?

NIPT検査とは、無侵襲的胎児遺伝子検査の略で、妊婦の血液中に含まれる胎児のDNAを分析する方法です。この検査は、胎児の染色体異常を調べるための非常に高い精度を持っています。

検査方法は、母体から血液を採取し、その中の胎児由来のDNAを抽出して検査を行います。リスクが少なく、流産の可能性がないため、安心して受けられる点が特長です。妊娠10週以降から受けることができ、事前に医療機関での相談が重要です。

NIPT検査の目的

NIPT検査の目的は、主に胎児の染色体異常を早期に発見することです。特に、ダウン症(21トリソミー)やエドワーズ症候群(18トリソミー)などのリスクを評価することができます。

早期に異常を確認できることで、妊婦やその家族が適切な情報をもとに選択を行うことが可能になります。また、検査結果によって、不安を軽減することもできます。

このように、NIPT検査は妊娠中の安心感を得るため、また、必要な専門的なサポートを受けるきっかけともなる重要な検査です。

NIPT検査の対象となる疾患

NIPT検査では、主に染色体異常に関連する疾患が対象となります。具体的には、21トリソミー(ダウン症)、18トリソミー(エドワーズ症)、13トリソミー(パトー症)などが含まれます。

これらの疾患は、胎児に大きな影響を及ぼす可能性がありますので、早期に検出することが重要です。

また、NIPT検査は一部の性染色体異常や、特定の遺伝子疾患についても評価できる場合があります。妊婦やその家族は、医療従事者と相談し、自分たちに適した検査内容を確認することが大切です。

SMA検査とは?

SMA検査(脊髄性筋萎縮症検査)は、遺伝子による疾患である脊髄性筋萎縮症のリスクを評価するための検査です。この疾患は、筋肉の使い方に影響を及ぼし、運動機能の低下を引き起こします。

検査は、通常、母体の血液サンプルから行われます。特に、親から遺伝する場合が多いため、両親のキャリア検査を通じて、そのリスクを事前に知ることが重要です。早期発見により、適切な医療やサポートが受けられる可能性が高まります。

SMAの基礎知識

脊髄性筋萎縮症(SMA)は、神経細胞が減少し、筋肉の萎縮や運動能力の低下を引き起こす遺伝性疾患です。この病気は、主に遺伝子の変異によって発生します。特に、SMN1遺伝子に異常がある場合、SMAのリスクが高まります。

SMAには、症状の現れる時期や重症度に応じていくつかのタイプがあります。乳児期に発症する最も重いタイプから、成人期に発症する軽度のタイプまで存在します。これらの情報を日本では多くの医療機関で周知し、早期の対応が可能となっています。

SMAの分類と特徴

脊髄性筋萎縮症(SMA)は、主に遺伝子の変異により異なるタイプに分類され、それぞれに特徴があります。主なタイプは、SMAタイプ1からタイプ4までの4つです。

タイプ1は最も重篤で、生後6ヶ月以内に症状が現れます。対して、タイプ2は6ヶ月から18ヶ月の間に症状が現れ、運動能力が限られます。

タイプ3は、幼児期以降に発症し、運動能力に個人差が生じます。最後に、タイプ4は成人になってから発症し、比較的穏やかな症状が特徴です。これらの理解は、早期診断と適切なサポートのために役立ちます。

NIPTとSMA検査の違い

NIPTとSMA検査は、目的や方法が異なる検査です。まず、NIPTは胎児の遺伝子異常を確認するための検査です。母体の血液中に含まれる胎児のDNAを分析し、ダウン症などの染色体異常を調べます。

一方、SMA検査は脊髄性筋萎縮症という遺伝性の病気を検出します。この検査では、特定の遺伝子の変異がないかを調べ、筋肉の発達に影響を与える可能性のある疾患を早期に発見することが目指されています。

検査方法の比較

NIPTとSMA検査では、検査方法に明確な違いがあります。

NIPTは、母体の血液を使用して胎児のDNAを解析します。この方法は非侵襲的で、流産のリスクがないため、多くの妊婦にとって安心です。通常、妊娠10週目以降から受けることができ、結果は数日から2週間程度で得られます。

一方、SMA検査は、通常は血液サンプルを用い、特定の遺伝子の変異を調べる方法です。この検査は、出生前や出生後すぐに行うことができ、早期発見が可能です。両者の検査方法の違いを理解し、それぞれの目的に応じた検査を選ぶことが重要です。

検査の対象者

NIPTの対象者は、妊娠10週以降の妊婦さんです。特に、高齢妊娠や過去に染色体異常のある子どもを出産した経験がある方に、推奨されることが多いです。リスクが少ないため、多くの妊婦さんに利用されています。

一方、SMA検査の対象者は、妊婦さんだけでなく、出産を希望する男女にも拡大されています。この検査は、遺伝子変異を持つ可能性のある親からの影響を確認することが重要です。特に、家族に筋萎縮症の病歴がある方には推奨されます。

NIPTとSMA検査の結果とその後の対応

NIPTとSMA検査の結果が出た際は、その内容をしっかりと理解することが重要です。特に、NIPTの結果が陽性の場合は、さらに詳しい検査を検討する必要があります。これは、リスクの高い疾患があるかもしれないためです。

一方、SMA検査で陽性の結果が出た場合は、早期のサポートが非常に重要です。医療機関と連携し、必要な治療やフォローアップを受けることで、赤ちゃんの健康に最善を尽くすことができます。家族としてどのようにサポートできるか、一緒に考えていきましょう。

検査結果の解釈

NIPTとSMA検査の結果を正しく解釈することは、今後の対応に大きく影響します。NIPTの結果が陽性であった場合、胎児に特定の遺伝的疾患のリスクがあることを示しています。この場合、追加の確認検査が推奨されることが一般的です。

一方、SMA検査では、遺伝子変異の有無が判定されます。陽性の結果が出た場合、疾患の進行や治療方法について専門的なアドバイスを受けることが重要です。これらの検査結果を踏まえ、医療チームと積極的にコミュニケーションをとることが大切です。

異常が判明した場合の次のステップ

異常が判明した場合、まず冷静になり、医療関係者とじっくり相談することが大切です。医師からの説明を受け取り、今後の対応について理解を深めましょう。必要であれば、遺伝カウンセリングを受けることもおすすめです。

遺伝カウンセラーは、異常の意味やリスク、将来の選択肢について詳しくサポートしてくれます。家族での話し合いを行い、どのようなサポートが必要かを検討することも重要です。これにより、安心して次のステップへ進むことができるでしょう。

保因者の対応策

保因者としての検査結果を受けた場合、まずは冷静に情報を整理することが大切です。医療専門家との面談を通じて、リスクや選択肢を理解しましょう。

次に、パートナーとのコミュニケーションを大切にしてください。お互いの気持ちや今後の行動について話し合うことで、不安を軽減できます。

さらに、遺伝カウンセリングを受けることもおすすめです。専門家からのサポートを受けることで、より具体的な対応策や治療方法について知ることができるでしょう。

妊娠前・妊娠中の遺伝子検査の重要性

妊娠前や妊娠中における遺伝子検査は、未来の子どもの健康を守るために非常に重要です。この時期に検査を受けることで、遺伝的なリスクを早期に把握できます。

特に、遺伝性疾患や先天性異常のリスクを理解することは、適切な医療を受ける上で欠かせません。さらに、妊婦自身の健康管理にも繋がります。

家族全体での健康への意識を高めることができるため、遺伝子検査を活用することは、将来の子育てにとっても大きな利点となります。

検査を受けるタイミング

検査を受けるタイミングは、妊娠の計画段階から重要です。妊娠前に遺伝子検査を受けることで、家族に遺伝性疾患があるかどうかを確認できます。これにより、適切な準備が可能となります。

妊娠が分かった後は、早めにNIPTを受けることが望ましいです。この検査は、妊娠10週目以降から受けることができ、胎児の健康状態を早期に把握できます。

また、SMA検査も妊娠中に行うことができるため、医療者とコミュニケーションを取りつつ、適切なタイミングで検査を進めていくことが大切です。

検査を選択する際のポイント

検査を選択する際には、いくつかの重要なポイントがあります。まず、検査の目的を明確にしましょう。NIPTやSMA検査は、それぞれ異なる情報を提供します。

次に、検査の信頼性と精度を確認することが大切です。医療機関での評価や実績をチェックし、安心して受けられる検査を選びましょう。

さらに、医療関係者や遺伝カウンセラーと十分に相談することも必要です。専門家のアドバイスを受けることで、より適切な選択が可能になります。

よくある質問と回答

NIPTやSMA検査に関して、よくある質問をまとめました。

まず、NIPTを受けるタイミングについてですが、妊娠10週目以降に受けることが推奨されています。早期に結果を得ることができ、リスクを把握する助けになります。

次に、SMA検査の結果が陽性だった場合ですが、必ずしも疾患を発症するわけではありません。専門医との相談が重要です。

それぞれの検査についてご不明な点がありましたら、医療機関に問い合わせてみてください。

検査の費用は?

NIPTとSMA検査の費用についてお話しします。まず、NIPTの費用は、検査機関や地域により異なりますが、一般的には数万円から十数万円程度が相場です。保険適用外の場合が多いため、事前に確認することをお勧めします。

一方、SMA検査の費用も同様に施設によって変わりますが、通常は数千円から数万円となります。こちらも保険適用に関しては、医師の判断によることが多いため、必要に応じて相談してください。

費用以外にも、検査の必要性やリスクについても考慮し、家族でしっかりと話し合うことが重要です。

検査のリスクは?

NIPT(無侵襲的胎児遺伝子検査)は、母体の血液を使用するため、直接的なリスクはほとんどありません。検査後の合併症や流産のリスクがないことが大きな利点です。

一方、SMA検査は通常、血液検査で行われますが、遺伝子の変異を調べるため、もし陽性であれば、その後のフォローアップ検査が必要です。陽性と判断された場合における精神的な負担は、リスクとして考慮すべきです。

検査を受ける際には、医療関係者と十分に相談し、理解を深めることが大切です。

結果が出るまでの期間は?

NIPTの結果が出るまでの期間は、通常1週間から2週間程度です。検査を受けたクリニックや検査機関によって異なる場合もあるため、事前に確認しておくことが大切です。

一方、SMA検査に関しては、結果が出るまでに約1週間から4週間かかることがあります。検査の内容や検体の処理状況によって異なるため、こちらも事前に確認することをおすすめします。

いずれの検査も、結果を待つ間は心配かもしれませんが、正確な情報が得られるため、安心して待つようにしましょう。

まとめ

NIPTとSMA検査は、妊婦やその家族にとって重要な選択肢となります。これらの検査を通じて、胎児の健康状態についての情報を得ることができ、安心感を持つことができます。

特にNIPTは、無侵襲的であるため、多くの妊婦にとって受けやすい検査です。一方、SMA検査は、早期診断に役立ち、将来の治療方針にも大きく影響します。適切な情報を持ち、医療関係者と密に連携することが、最良の結果を得るために重要です。

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ミネルバクリニックでは、「健やかなお子さまを迎えてほしい」という想いを持つ臨床遺伝専門医の院長のもと、東京都港区青山にてNIPT検査を提供しています。少子化が進む現代において、より健康なお子さまを望むのは自然なことです。そのため、当院では世界最先端の特許技術を活用し、高精度かつ多様な疾患の検査を提供できる信頼性の高い検査会社を、遺伝専門医が厳選しています。さらに、全国どこからでもオンライン診療に対応し、採血はお近くの提携医療機関で受けることも可能です。
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プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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