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【医師監修】35歳で二人目を妊娠。上の子がいるからこそNIPTを受けるべき理由とは?

【医師監修】35歳で二人目を妊娠。上の子がいるからこそNIPTを受けるべき理由とは?

この記事でわかること
📖 読了時間:約10分
📊 約8,500文字
⭐ 臨床遺伝専門医監修

  • 「一人目は大丈夫だった」は通用しない → 染色体異常は「確率」の問題。35歳のリスクは25歳の約3倍です。
  • きょうだい児(上の子)への影響 → 障害のある弟妹を持つことで生じる「ガラスの子ども」現象と、親の時間の枯渇について。
  • 24時間ケアの定量的現実 → 経管栄養や吸引に1日どれくらいの時間が奪われるのか、具体的なデータで解説。
  • 父親の年齢リスク → 自閉症リスクは父方の加齢も影響。30代後半夫婦が知っておくべきこと。
  • ミネルバクリニックの独自性 → 日本で唯一の臨床遺伝専門医が開業したクリニックとして、最高精度の検査と万全のサポートを提供します。

「1人目は受けなかったけど…」35歳経産婦の迷い

35歳前後で二人目以降を妊娠された方から、当院の遺伝カウンセリングで最もよく聞かれる言葉があります。
「一人目の時は若かったし、何も考えずに産みました。でも今回は年齢も上がったし、もし何かの障害があったら、上の子に負担がかかるんじゃないかと心配で…」

この感覚は、医学的にも社会的にも非常に正しい直感です。初産婦さんが「未知の育児への不安」を抱くのに対し、経産婦さんは「既存の家族(特に上の子)の生活を守れるか」という、より複雑で切実な課題に直面しているからです。

本記事では、きれいごとではない「障害児ケアと二人育児の現実」について、最新の研究データと臨床遺伝専門医の視点から詳しく解説します。

「1人目が健康だから大丈夫」という誤解と医学的真実

まず、医学的な事実を整理しましょう。多くの経産婦さんが無意識に抱いている「一人目が五体満足だったから、私の遺伝子は大丈夫なはず」という考えは、残念ながら染色体異常(トリソミー)には当てはまりません。

⚠️ 染色体異常は「くじ引き」と同じ

ダウン症候群の95%以上は、ご両親の遺伝子とは関係なく、卵子が作られる際の「偶発的なエラー(不分離)」で起こります。
つまり、1回目と2回目は完全に独立した事象です。1回目が当たり(健康)だったからといって、2回目にエラーが起きない保証にはなりません。

むしろ、1人目の時より母体年齢が上がっている分、リスクは確実に高まっています。35歳のダウン症リスク(約1/350)は、25歳時(約1/1,250)の約3倍以上です。この「確率の変化」を直視することが、家族を守る第一歩です。

見過ごされがちな「きょうだい児」への負担:ガラスの子どもたち

もし下のお子さんに障害があった場合、最も影響を受けるのは「上の子(きょうだい児)」です。専門的なケアが必要な子どもがいる家庭では、親の注意とリソースがどうしても障害のある子に集中してしまいます。

「ガラスの子ども(Glass Child)」現象とは

健康な上の子が「親に見てもらえない」「自分は透明な存在のようだ」と感じ、精神的な孤立を深めてしまう現象は、心理学で「ガラスの子ども」と呼ばれています。親の視線が自分を通り越して、障害のある弟妹に向けられているように感じるためです。

⚠️ 「よい子」の呪縛(過剰適応)

親の疲弊を感じ取り、「自分は手のかからない子でいなければならない」と無理をしてしまいます。「成績が良い」「反抗しない」といった態度は、一見問題がないように見えますが、実は親に心配をかけまいとするSOSの裏返しであるケースが多く報告されています。

⚠️ メンタルヘルスへの影響

研究によると、障害児のきょうだいは、対照群と比較してうつ病や不安障害のリスクが有意に高いことが分かっています。さらに、ケアの負担が重い層では、約35.8%が「自傷念慮」を抱いた経験があるという衝撃的なデータもあります。

「24時間ケア」と「上の子の育児」の物理的限界

NIPTで検査できる18トリソミーや13トリソミー、あるいは重度のダウン症候群の場合、在宅での「医療的ケア」が必要になることがあります。これが具体的にどれほどの時間を要するか、想像したことはありますか?

親の「愛情」や「やる気」だけではカバーしきれない、物理的な時間の枯渇がデータとして示されています。

⏳ 医療的ケアに奪われる時間(1日あたり)
  • 経管栄養(チューブ):約100〜180分
    準備・注入・片付けで1回20〜30分。これを1日5〜6回。抱っこして終わる授乳とは負担が異なります。
  • 吸引(痰の除去):随時(計り知れない)
    自力で痰を出せない場合、昼夜を問わず数分〜数十分おきの吸引が必要です。夜間も睡眠が分断されます。
  • 通院・療育:週の半分以上
    循環器、呼吸器、PT/OTリハビリなど複数の専門科受診で、スケジュールが埋まります。

この状況下で、上の子の「公園に行きたい」「話を聞いてほしい」という願いに応える時間や、幼稚園・学校行事に参加する時間を確保することは、物理的に極めて困難になります。

「親亡き後」まで続くきょうだい児の負担

問題は幼少期だけではありません。障害のある兄弟姉妹の存在は、きょうだい児の将来設計(進学、結婚、キャリア)にも深く影を落とします。

  • ⚠️ ヤングケアラー化:
    親を助けるために、幼い頃から「第二の介護者」としての役割を期待され、学業や友人関係が犠牲になるケースがあります。
  • ⚠️ 結婚・出産の悩み:
    「将来、親が亡くなったら誰が面倒を見るのか」という不安や、「自分のパートナーは障害のあるきょうだいを受け入れてくれるか」という悩みから、自身の結婚や出産を躊躇してしまう「婚期の遅れ」や「少子化」の要因となることも指摘されています。

意外と知らない?二人目妊娠での「父親の年齢リスク」

35歳で二人目を妊娠されている場合、パートナー(夫)も同様に年齢を重ねているケースがほとんどです。実は、「父親の高齢化」もまた、お子様の発達に影響を与えることが分かっています。

常染色体優性遺伝のメカニズム図(父親からの遺伝リスク)

(図:父親由来の遺伝子変異が子へ伝わるイメージ)

👨‍🍼 精子の老化と自閉症リスク

男性の精子は生涯作られ続けますが、分裂を繰り返すたびにDNAのコピーミス(新生突然変異)が蓄積します。研究によると、40歳以上の父親を持つ子どもは、30歳未満の父親を持つ子どもに比べ、自閉スペクトラム症(ASD)のリスクが約5.75倍になることが示されています。
これは母親の年齢リスクとは独立した、父親側の要因です。

NIPTは「どこで受けても同じ」ではありません

NIPTを受けようと決めたとしても、クリニック選びには注意が必要です。インターネット上の「陽性的中率99%」という数字はあくまで一般的な統計データであり、実際には検査会社(ラボ)の技術力によって解析精度には大きな差があります。

🔎 ミネルバクリニックの独自性

ミネルバクリニックは、日本で唯一の臨床遺伝専門医が遺伝子検査をおこなうクリニックとして開業した日本初のクリニックであり、その高度な専門業務の一環としてNIPTを提供しています。専門医の厳しい目で世界中の検査機関を精査し、その時点で最も信頼性が高く、優れた技術を持つ検査だけを採用して皆様に提供しています。

💎

【当院限定】ダイヤモンドプラン(COATE法)

一般的なNIPTでは、ダウン症などの「染色体の数」しか分かりません。
しかし、ミネルバクリニックが提供する「ダイヤモンドプラン」は、米国のトップ検査会社による新世代技術「COATE法」を採用。従来の検査に加え、以下のリスクも高精度にスクリーニング可能です。

⚠️ 「症候性自閉症」とは?

一般的にイメージされる自閉症(原因不明・多因子性)とは異なり、染色体微細欠失や特定の遺伝子変異という「明確な原因」がある自閉症のことです。
原因が特定できない自閉症に比べ、重度の知的障害や、心疾患・てんかんなどの身体的合併症を伴うことが多く、症状がより重篤になる傾向があります。

🧬 ダイヤモンドプランでわかること

  • 56種類の単一遺伝子疾患:父方の高齢化でリスクが高まる新生突然変異や、レット症候群、ソトス症候群など「症候性自閉症」の原因遺伝子を直接検査します。
  • 微小欠失症候群:染色体の微細な欠失による発達障害リスクを検出します。

※「スーパーNIPT」は6年前に導入した第3世代NIPT(現在のライト・スタンダードプラン相当)の旧称であり、最新のダイヤモンドプランとは異なります。

💬 ある患者様のエピソード:「万全の環境でも解決できない現実」

これは、都内の一等地にお住まいの、経済的に非常に恵まれたある患者様のお話です。
以前の妊娠時は出生前診断を行わずに出産されましたが、お子様は重度のダウン症候群で、日常的に吸引や酸素管理などの医療的ケアが欠かせない状態でした。

その方が今回、当院のNIPTを受検しにいらした際、こう吐露されました。
「もちろん、子供は本当に可愛いですし、生まれてきてくれたことには心から感謝しています。ただ、それと毎日の現実は別なんです。
自治体の手厚い支援に加え、自費でシッターや看護師も最大限にお願いしていますが、それでもプロの手がある時間帯以外は、近所の買い物にすら行けません。『外出したいときに外出できない』という事実は、どれだけリソースを投入しても解決できない、想像を絶する精神的な重圧でした」

豊富な社会的リソースや経済力があっても、24時間の医療ケアがもたらす「自由の制限」までは完全には解消しきれません。「きれいごと抜きで現実を知り、家族全員にとって最善の選択をするために検査をする」ということは、決して否定されるべきことではないのです。

まとめ:上の子のためにも「知ること」は親の責任

NIPTを受けることは、決して「命の選別」といった冷たい行為ではありません。
それは、これから迎える赤ちゃんの状態を正しく知り、もし特別なケアが必要であればその準備をし、そして何より、今いる大切なお子様の人生と家族の未来を守るための「予測的介入(準備)」です。

35歳での二人目妊娠。リスクと向き合うことは勇気がいりますが、ミネルバクリニックの専門医が全力でサポートいたします。

🏥 ミネルバクリニックの安心体制

👨‍⚕️ 臨床遺伝専門医が直接担当

アルバイト医師ではなく、院長の臨床遺伝専門医が責任を持って監修します。陰性の場合は、待ち時間を減らすためマイページで速やかに結果をご確認いただけます(メッセージ機能でいつでも質問可能)。万が一「陽性」の場合は、見逃さないよう強調表示され、改めて専門医によるカウンセリング予約をお取りいただき、詳細な説明とサポートを行います。

💰 陽性時の費用を全額カバー

万が一NIPTで陽性が出た場合、確定検査(羊水検査など約15〜20万円)の費用を、当院独自の「互助会」システムで全額負担します(※一部対象外となる検査もございます)。追加費用の心配なく、必要な検査に進めます。

🆕 確定検査までワンストップ

2025年6月より産婦人科を併設し、陽性時の確定検査を自院で実施可能になりました。検査を受けて終わりではなく、診断がつくまで一貫してサポートします。

💎 幅広い検査プラン

基本的なトリソミー検査から、父方の高齢化リスクや自閉症関連遺伝子も調べる「ダイヤモンドプラン(COATE法)」まで、ニーズに合わせた検査が可能です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 1人目は健康でしたが、2人目で障害が出る確率は?

A: ダウン症などの染色体異常の95%は偶発的なエラーによるもので、1人目が健康だったこととは関係なく発生します。35歳のリスク(約1/350)は、25歳の頃より確実に上がっています。

Q2. NIPTは上の子と一緒に来院してもいいですか?

A: はい、もちろんです。ミネルバクリニックは完全予約制でプライバシーに配慮しておりますので、お子様連れでも安心してご来院いただけます。

Q3. 陽性が出たらどうすればいいですか?

A: まずは臨床遺伝専門医にご相談ください。確定診断(羊水検査)が必要です。ミネルバクリニックでは確定検査費用を互助会システムで負担(※一部対象外あり)し、検査の手配から結果の説明、その後の選択まで、専門医がずっと寄り添ってサポートします。

Q4. 夫が検査に消極的です。どう説得すればいいですか?

A: 「安心材料として受けたい」「きょうだいのために知っておきたい」という気持ちを伝えるとともに、男性の年齢も自閉症などのリスクに関与する医学的事実(5.75倍など)を共有し、二人で向き合う問題として話し合うことをお勧めします。

Q5. NIPTは何週から受けられますか?

A: 妊娠9週0日から検査可能です。早期に受けることで、結果に基づいた判断や準備の時間を十分に確保できます。

Q6. もし障害が見つかった場合、上の子にはどう伝えたらいいですか?

A: 年齢に応じた伝え方が重要です。隠すのではなく、「赤ちゃんには少し手助けが必要かもしれないけど、あなたのことも変わらず大好きだよ」と愛情を伝え続けることが、きょうだい児の不安を和らげる鍵となります。専門医がその点もアドバイスいたします。

🏥 まずは専門医にご相談ください

お子様とご家族の未来のために。不安を一人で抱え込まず、私たちにご相談ください。

📚 引用文献・信頼できる情報源

本記事は、以下の医学的根拠および公的ガイドラインに基づき作成されています。

  1. Glass Child Syndrome: Meaning, Symptoms & How It Affects Adults (きょうだい児への影響)
    breeze-wellbeing.com/blog/glass-child/
  2. Adolescent Young Carers Who Provide Care to Siblings – NIH (ヤングケアラー化のリスク)
    pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10855446/
  3. The daily patterns of time use for parents of children with complex needs – PubMed (ケア時間のデータ)
    pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22308543/
  4. Siblings of Persons with Disabilities: A Systematic Integrative Review – NIH
    pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11885339/
  5. Older Dads Linked to Kids’ Genetic Risk for Autism and Schizophrenia – TIME (父親の年齢リスク)
    time.com/archive/7137758/older-fathers-linked-to-kids-autism-and-schizophrenia-risk/


プロフィール
仲田洋美医師

この記事の筆者:仲田 洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。特に遺伝カウンセリング分野では15年以上の経験を持ち、全国初のオンライン遺伝カウンセリングを確立して、地方在住の方々にも質の高い遺伝医療を提供しています。


仲田洋美の詳細プロフィールはこちら

   

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