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切迫早産とは、早産しかかっている状態のことをいいます。事前に兆候や症状を知っておくことで、対処することができ、早産せずに赤ちゃんを産むことができます。そこでこの記事では、切迫早産の原因と治療法、予防策をご紹介します。
妊娠する以上、切迫早産になる可能性は誰にでもあります。現在、切迫早産ではない人も「私だけは大丈夫」と思わず、自分事として捉えて妊娠継続をするための参考にしてみてください。
切迫早産とは?早産との違いを整理
まずは切迫早産とはどういったことを示すのか確認します。正期産(妊娠22週0日〜36週6日まで)よりも前に出産することを「早産」、出産はしていないものの早産の一歩手前で非常に危険な状態のことを「切迫早産」といいます。実際に出産したのかどうかが大きな違いです。早産との違いを理解しておくと、治療や対処法を適切に施すことができるため、しっかりと整理しておきましょう。
切迫早産とは
切迫は「非常に差し迫った」を意味します。切迫早産とは言葉のとおり、早産の一歩手前で早産になりかかっている状態です。規則的な子宮収縮が頻繁に起こり、子宮口が開いた状態となるため、赤ちゃんがいつ出てきてもおかしくありません。そのため、生まれてくる赤ちゃんは、低出生体重児や先天性障害を合併していることが多く、出産後も長期的な治療や通院が必要になる可能性が高いです。
切迫早産と早産の違い
冒頭でも示したように、切迫早産と早産の違いは実際に出産したのかが大きな違いです。早産は正期産(妊娠22週0日〜36週6日まで)よりも前に出産することを意味し、切迫早産は出産はしていないものの早産の一歩手前で非常に危険な状態のことを意味します。
妊娠22週未満で分娩した場合は、お腹での発育が不十分であり、生きる見込みがないため流産になってしまいます。妊娠22週で生まれる赤ちゃんの体重は、およそ「500g」です。呼吸器官をはじめ消化器官などが成熟していないまま生まれるため、新生児集中治療室などの救命医療の設備がある病院で長期的な治療を余儀なくされます。
※参考資料:公益社団法人 日本産科婦人科学会/早産・切迫早産
切迫早産の原因
切迫早産はなぜ起こるのでしょうか。ここでは原因を確認しましょう。
感染症
切迫早産は膣や子宮内の細菌感染が原因となります。細菌が感染して子宮内が炎症を起こすと「絨毛膜羊膜炎」になり、切迫早産を引き起こすのです。絨毛膜羊膜炎では、発熱や子宮圧痛、羊水の悪臭、母胎の頻脈が症状として見られます。
腹部への強い刺激
腹部へ強い刺激・過度なストレスなどの外的因子も原因となります。腹部へ強い刺激が加わった時は、医者にそのことを伝えるようにしてください。
その他にも、子宮関連の病気がある場合や、多胎妊娠が原因となる場合もあるため、持病などで心配なことがあれば、都度相談しながら不安を解消するようにしましょう。妊娠中は定期健診を欠かすことなく、小まめに経過を追うことが大切です。
子宮頸管無力症
子宮頸管無力症とは、痛みが生じることなく子宮頸管が開いてしまう病気です。子宮の入り口である子宮頸管は通常は硬く閉じていますが、子宮頸管無力症では、子宮頸管がやわらかくゆるくなっていて、赤ちゃんを支える力が弱くなっています。妊娠中のみに生じ、詳しい発生理由はわかっていません。
子宮頸管は陣痛が始まらないと開かないため、なんらかの理由により早期に開いてしまうことで、切迫早産の原因となります。状態が悪化している場合は、頸管縫縮術が必要です。
妊婦さんの動きすぎ
妊婦さんが動きすぎている場合は、腹部への刺激が発生するため、切迫早産の原因となる場合があるでしょう。また、仕事や家事で忙しかったり、その悩みが原因でストレスを抱えてしまったりする場合も切迫早産の可能性を高めてしまいます。
心身の疲労やストレスがたまると、感染に対する抵抗力が低下して、おなかが張りやすい状態になってしまうからです。切迫早産の原因として最も多いのは細菌による感染であるため、ストレスによって抵抗力を下げないようにしましょう。
妊婦さんの体勢
切迫早産の原因となるため、「してはいけない体勢」というのは特にありませんが、腹部への刺激が高まる前屈みは避けるようにしましょう。その他にも腹部への圧がかかるような体勢はとらないようにして、安静に過ごしましょう。
切迫早産になりやすい人の特徴
切迫早産になりやすい人の特徴は、以下のとおりです。
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子宮頸がんの治療など手術を行うと、物理的に子宮頸管が短くなります。短い子宮頸部では赤ちゃんを支えることができず、切迫早産になりやすいです。また、2人以上の妊娠である多胎妊娠の場合も、赤ちゃんを支える子宮に負担がかかり、子宮が大きくなると子宮が収縮しやすくなるため、切迫早産になりやすいです。
痩せや肥満などのお母さんの体型による理由は、痩せのお母さんの栄養不足が赤ちゃんの発育にも影響し、「副腎皮質刺激ホルモン」というホルモンが分泌されるためです。副腎皮質刺激ホルモンは、子宮収縮を引き起こす「オキシトシン」の働きを強める作用があるため、切迫早産に繋がってしまいます。
切迫早産の症状や兆候
切迫早産の兆候や症状には、軽いものから重篤になる危険性の高いものまであります。気がついた時にはすでに手遅れだったということにならないためにも、以下の兆候と症状について知っておきましょう。
切迫早産の代表的な兆候
切迫早産の代表的な兆候は、以下のとおりです。
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おりものの変化として、切迫早産の原因となる感染症に感染している場合は、「おりものの量が通常よりも多い」「水っぽいおりものである」「臭いがきつい」などの通常時との変化が見られる可能性が高いです。このような場合は、病院での診断が推奨されています。
切迫早産の代表的な症状
切迫早産の代表的な症状は、以下のとおりです。
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正期産(妊娠22週0日〜36週6日まで)なら不正出血は出産前のおしるしとして喜ばしいことですが、それ以前の出血は危険サインです。危険サインなら少量の出血が混じったおりものから、時に大量出血することもあります。
また、子宮収縮が始まると下腹部を締め付けられる痛みや破水を伴うことがあります。出血とは別に、無意識にサラッとした水っぽい液体が出てきたら破水の可能性が高いため、すぐに産婦人科を受診しましょう。
切迫早産は治る?治療方法について
胎児はお腹の中にいる期間が短いほど未成熟で生まれ、障害や予後不良になる可能性が高いことがわかっています。そのため切迫早産になった場合、少しでも長くお腹の中にいられるように適切な治療を早急に受ける必要があります。
また、切迫早産の治療は、症状の程度により治療方法が異なります。治療の必要性や詳しい内容を理解して、胎児を守るための正しい行動が取れるようになりましょう。
軽症の場合:自宅安静
大前提として切迫早産の治療のメインは「安静」です。軽症・重症に関わらずお母さんや胎児に負担となる激しい行動は、切迫早産の症状を悪化させる原因になります。
子宮収縮の程度が弱く、子宮口が開いていない軽傷に切迫早産の方は、自宅安静となります。自宅安静中は、以下の行動は避けましょう。
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止むを得ず重たい物を持つ際は、無理をせずにパートナーや知人に助けてもらいましょう。また、スポーツやパートナーとの性生活などの激しい運動は子宮収縮を促すため、切迫早産のリスクを高めます。通院した際、どの程度の運動ならしても良いか産婦人科医に確認するようにしましょう。自宅で安静にし、切迫早産を治すことができたケースは非常に多くあるため、ご安心ください。
重傷の場合:入院加療
子宮収縮が規則的かつ頻回で、子宮口が開いている重症な切迫早産の方は、入院加療が必要です。入院加療では、以下の治療が行われます。
・絶対安静 ・子宮収縮抑制薬(お腹の張り止め)の点滴 ・抗生剤の内服・点滴 |
軽症と同じく絶対安静であることに変わりありません。入院中、トイレ以外はベッド上で過ごすように指示されることもあります。その上で、お腹の張りを和らげて症状を改善する子宮収縮抑制剤の点滴を投与します。
また切迫早産の原因が感染症の方は、抗生剤の内服または点滴が行われます。破水が確認されると、逆行性感染(膣を伝って細菌が胎児に感染すること)のリスクも考慮して、緊急出産になることも稀ではありません。
胎児が自発呼吸できるようになるのは、在胎34週以降です。それ以前に生まれた赤ちゃんは自発呼吸が難しく、人工呼吸管理のため新生児集中治療室に入院しなければいけません。そのため、早産で緊急出産になったとしても、在胎34週は超えておきたいところです。
※参考資料:公益社団法人 日本産科婦人科学会/早産・切迫早産
切迫早産の治療は保険適用可能
切迫早産で入院する場合、以下の費用が保険適用となります。
・入院基本料 ・検査・手術代 ・食事代(一部) |
また高額療養費制度を活用することでさらに自己負担を軽減できます。高額療養費制度とは個人または世帯の所得に応じて払いすぎた医療費が戻ってくる制度のことです。切迫早産により長期入院を繰り返したり、月ごとの医療費が高額になったりしたら、その都度申請できます。ただし、個室や特診室などの差額ベッド代は自己負担になるため注意しましょう。
※参考資料:全国健康保険協会 協会けんぽ/ 高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)
切迫早産の予防策
切迫早産は事前に予防することで防げます。3つの予防策を参考に、切迫早産を予防して妊娠継続の参考にしてください。
予防策➀無理な動きはしない
体に負担となる無理な動きは避けましょう。具体的には、以下の動きは非常に危険です。
・体を捻る動作 ・重たい物を運ぶ ・激しい運動 ・長い時間動き続ける |
体を捻る動作や重たい物を運ぶと、お腹(子宮)に強い刺激や負担になります。子宮が刺激されると子宮収縮を誘発する原因になります。また、スポーツや性行為などの激しい運動も同様のことがいえます。
長時間動き続けると負担が蓄積されるため、お腹の張りや痛みが出た際は小まめに休憩を挟んだり、安静にする日を作ったりしましょう。
予防策②感染症対策
切迫早産になる最も多い原因は、細菌性膣症や性行為感染症感染症です。これらの細菌感染などは、誰でも感染するリスクがあるため感染症対策を怠ってはいけません。細菌感染は、膣内(胎児に繋がる産道)の常在菌や酸塩基平衡のバランスが崩れて、膣から子宮にかけて細菌が侵入することで起こります。細菌に感染すると膣から子宮頸管にかけて炎症が起こり、子宮収縮や破水を誘発します。
トリコモナスやカンジタ、淋菌などの細菌、無症候性細菌性精液などによる感染が有名であり、特に妊娠30週未満の切迫早産のほとんどは感染症が原因といわれています。感染症対策として、以下のことを意識すると良いでしょう。
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韻部が不潔になると細菌が繁殖しやすく、逆行性感染のリスクが高まります。ナプキンを換える回数を増やしたり、吸収量の多いものに変えたりしましょう。また、免疫力が低下すると感染症にかかる可能性が高まります。栄養バランスの良い食事や十分な睡眠時間の確保で休息を取れることが大切です。胎児を育てるために栄養や体力を使うために、生活習慣を改善して免疫力の低下を防ぎましょう。
予防策➂むやみに出生前検査(確定的検査)をしない
出生前検査は、事前に赤ちゃんの状態を知ることのできる非常に意義のある検査です。ただし、早産や流産のリスクを伴うことから無闇やたらに受けることは避けましょう。例えば、ダウン症やその他染色体異常の有無を確認する羊水・絨毛検査は、お母さんのお腹に針を刺して羊水や胎盤の絨毛を採取します。羊膜を刺した刺激で子宮収縮が誘発されることもあります。
また清潔操作を徹底して行う検査ですが、針を刺して一瞬でも外部とつながる以上、感染菌が侵入する危険性はゼロではありません。胎児が感染症にかかると切迫早産が誘発されて、最悪の場合、流産や死産になります。出生前検査を受けるなら必要性やリスク(合併症)を十分理解した上で臨むようにしましょう。
※参考資料:厚生労働省/NIPT 等の出生前検査に関する専門委員会報告書
切迫早産が不安な場合には新型出生前診断NIPTがおすすめ
切迫早産のリスクが不安でも、赤ちゃんの染色体異常について知りたい場合にはNIPTがおすすめです。NIPTは他の非確定的検査に比べて非常に精度が高く、母体から血液を採取するだけで検査ができるため、検査によるリスクは無いと考えてよいでしょう。NIPTの精度について詳しく見ていきます。
非確定的検査の中で最も精度が高い
NIPTはコンバインド検査、 母体血清マーカー、超音波エコー検査など他の出生前診断に比べ、検査精度・陽性的中率が高いのが特徴です。実際にどのくらい的中率が高いのか、21トリソミー(ダウン症)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトウ症候群)の的中率をまとめた表で紹介します。
以下は、NIPTを受検した35歳の妊婦さんの陽性的中率と陰性的中率です。
ここでの陽性的中率とは「陽性と判定された人が本当に陽性である」確率、陰性的中率とは「陰性と判定された人が本当に陰性である」確率のことをいいます。
【35歳の妊婦さんがNIPTをした場合】
この表から、NIPTは精度が100%ではないものの、一般的な35歳の妊婦さんがNIPTを受けて21トリソミー疾患を検査した場合、【陽性と判定されたら、本当に陽性の確率は80.0%】、【陰性と判定されたら、本当に陰性の確率は99.9%】と精度が非常に高いことがわかります。
■35歳の妊婦さんがコンバインド検査をした場合
※21、13、18トリソミーの的中率
・陽性的中率…4.9%
・陰性的中率…99.95%
参照:母体血清マーカー検査とは | 出生前検査認証制度等運営委員会
■35歳の妊婦さんが母子血清検査をした場合
※21、13、18トリソミーの的中率
・陽性的中率…3.20%
・陰性的中率…99.95%
参照:母体血清マーカー検査とは | 出生前検査認証制度等運営委員会
ミネルバクリニックでは臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングを提供
NIPTの非認証施設であるミネルバクリニックでは、NIPTの基本検査(21トリソミー(ダウン症)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトウ症候群))だけでなく、その他の染色体異常や病気、赤ちゃんの性別を判定できます。
赤ちゃんに関する知りたいことに合わせて多様な検査内容をご用意しています。臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングで、患者さんの不安にしっかり寄り添います。
遺伝カウンセリングとは
遺伝カウンセリングとは、専門家から遺伝子疾患などについて科学的根拠に基づき医学的情報を提供してもらうことです。患者は遺伝子疾患の悩みや疑問などを相談することができます。
また、提供された情報を用いて自ら問題を解決できるように社会的・心理的サポートをしてもらいます。
遺伝カウンセリングの対象は、遺伝子疾患を抱えた人や妊婦さんで胎児の遺伝子疾患が見つかった人のみでなく、その家族や健康な人も含まれます。遺伝カウンセリングを受ける際に最も大切なのは、置かれている状況を十分に理解し、それを受け止めた上で意思決定することです。専門家がそのプロセスを支援します。
ミネルバクリニックの遺伝カウンセリング
ミネルバクリニックでは、非認証施設でありながら認定臨床遺伝専門医の院長による遺伝カウンセリングを実施しています。ミネルバクリニックではNIPTについての遺伝カウンセリング料金は無料で行っており、別途料金は必要ありません。もし陽性判定が出た場合、何度でも無料でカウンセリングを受けていただけます。
認定臨床遺伝専門医である院長の仲田は、大学病院の臨床遺伝部での勤務経験を持ち、遺伝子に関するエキスパートです。また、3児の母でもあることから、専門的なサポートと同時に、妊娠に悩む女性の心に寄り添ったアドバイスを行います。
ミネルバクリニックは東京に院を構えておりますが、遠方の患者も利用できるよう、オンラインNIPTの環境も整えております。もちろん、オンラインでの遺伝カウンセリングにも対応可能です。
まとめ
切迫早産は誰にでも起こりうる可能性があります。しかし、予防策や症状を悪化させないための対策もわかっているため、腹部への負担がかからないように刺激を避け、安静に過ごすようにしましょう。早産になると胎児の発育が不十分である可能性が高く、障害を抱えて生まれるケースも稀ではありません。特に在胎33週未満だと自発呼吸が難しく、新生児集中治療室で人工呼吸器管理など専門の治療や長期的な通院が余儀なくされるでしょう。そのため、1日でも長く胎児として過ごせることが重要です。
母胎へのリスク回避から出生前診断を受けることを躊躇してしまう妊婦さんも多いですが、新型出生前診断のNIPTなら母胎へのリスクはほとんどナシに精度が高い検査が可能です。出生前診断を検討中の方は、ミネルバクリニックにご相談ください。
この記事の著者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニックでは、以下のNIPT検査を提供しています。少子化の時代、より健康なお子さんを持ちたいという思いが高まるのは当然のことと考えています。そのため、当院では世界の先進的特許技術に支えられた高精度な検査を提供してくれる検査会社を遺伝専門医の目で選りすぐりご提供しています。
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