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1人目を自然妊娠したカップルにとって、そのうち2人目も妊娠すると思うのは当たり前の流れです。
しかし1人目が自然妊娠したからといって2人目も妊娠できるとは限らないとご存知でしょうか?
そこでこの記事では、2人目の妊娠について、以下の内容をお伝えします。
- ・2人目不妊の原因と対策、治療法
- ・治療前に自分でできる2人目不妊の対策
2人目不妊は誰にでも起こる可能性があります。自分は大丈夫と考え不妊である事実を見逃していると後になって取り返しのつかないことになります。
この記事を最後まで読み、2人目不妊に関する基礎知識を知り、1日でも早く妊娠できるようになりましょう。
2人目不妊とは?
2人目妊娠とは1人目の子どもを自然妊娠・出産後、2人目を希望しているがなかなか妊娠しない状態のことです。日本では6組に1組のカップルが不妊です。そして不妊治療中の3〜4割のカップルが、2人目不妊に悩んでいると言われています。
また、過去に妊娠した経験があるにも関わらず、以降妊娠できなくなる状態を「続発性不妊」と言います。
1人目が自然にできたからといって2人目もできるわけではないと考えておきましょう。
※参考資料
公益社団法人 日本産科婦人科学会/妊娠適齢年令
国立社会保障人口問題研究所/第15 回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)
2人目不妊の4つの原因
2人目不妊に悩む方は、1日でも早い原因の究明と改善を望んでいます。
そこでこの章では、2人目不妊の4つの原因を解説します。
それぞれの原因に対する改善方法も合わせてお伝えするので、ぜひご覧ください。
原因①:加齢
1人目よりも夫婦ともに年齢が高くなっており、精子や卵子が劣化することで不妊率が上がることが分かっています。特に1人目の妊娠・出産が30歳以降で遅かった場合、2人目を妊娠する時には2人目不妊になっている可能性が高いでしょう。
日本産科婦人科学会のデータによると、35歳以降は染色体数の異常な卵子の数が増えたり、精子運動率が減少するとともにDNAが損傷する割合も上昇したりすることが分かっています。
また25歳以下の男性の妊娠率を基準に考えると、35歳以上の男性の妊娠率は1/2という報告もあります。このことより、年齢が高まるに連れて不妊や妊娠率が低下するリスクが高まるのです。
加えて夫婦ともに2人目を妊娠・出産する体力がなくなったり、胎児染色体異常症などの先天性疾患を発症したりするリスクがあることも知っておきましょう。
※参考資料 公益社団法人 日本産科婦人科学会/妊娠適齢年令
原因②:生殖機能
生殖機能の変化が原因で2人目不妊になることもあります。
具体的な原因は以下の2つです。
- ・年齢
- ・1人目出産の影響
年齢による生殖機能の衰えは、誰しもに訪れるものです。精子や卵子の産生能力は低下し、生殖器自体の活動性も衰えます。また、精子や卵子の劣化が進むことで、妊娠できる生命力のある個体数が減少することも原因として考えられます。
もう一つの理由は、1人目出産の影響です。例えば、1人目を出産した際に胎盤剥離や大量出血で子宮が薄くなっていると、2人目を妊娠しにくいと言われています。帝王切開後の方だと、術後の腹腔内癒着が影響することも分かっています。
このように生殖機能や各臓器の影響で2人目不妊になる可能性は十分考えられるのです。
原因③:ホルモンバランス
ホルモンバランスの乱れが原因で2人目不妊になる可能性もあります。
妊娠中に分泌が盛んなhCGホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)や卵胞ホルモン(エストロゲン)、黄体ホルモン(プロゲステロン )などは、出産後に分泌量が急激に低下します。
また出産後は育児により心身の疲労感を感じやすく、自律神経が乱れやすくなっています。ホルモンバランスを左右する自律神経が乱れると、妊娠に必要なホルモンが分泌されにくくなることも原因の一つとして考えられます。
加えて、出産後に元の体型に戻すため過度なダイエットをすることも自律神経の乱れを誘発するため注意が必要です。
原因④:セックスレス
そもそもセックスレスだと妊娠の可能性はゼロです。
厚生労働省の全国家庭動向調査によると、日本人の75%の夫婦が性行為をしないセックスレスというデータがあります。
セックスレスになる原因は、以下の通りです。
- ・夫婦関係の変化
- ・子作りがプレッシャー
- ・仕事が忙しい
- ・加齢による性欲減退
そのため、カップルで2人目の妊娠や今後の性生活について一度話し合う機会を設けて、お互いの意思を確認しておきましょう。
※参考資料:厚生労働省/全国家庭動向調査
【対策】2人目不妊に対する治療
原因が明らかな2人目不妊に対しては、治療という形で介入ができます。
そこでこの章では、以下の内容を解説します。
- ・治療方法
- ・治療を始めるタイミング
- ・助成制度
不妊治療を検討中の方は、参考にしていただけると幸いです。
また高額になることが予測される治療費負担を、少しでも軽減する助成制度についても詳しく解説します。ぜひ最後までご覧ください。
治療方法
不妊治療には、以下の種類があります。
- ・ホルモン療法
- ・タイミング法
- ・人工授精
- ・体外受精
- ・顕微授精
タイミング法とは卵胞の大きさや尿中のホルモンから排卵日を予測して性行為を行い、妊娠を促す方法です。自宅で性行為を行ったり、体外受精などで人工的に受精を促したりすることもあります。
また、排卵誘発剤の投与など薬剤で意図的に排卵を促す治療法もあります。
治療方法は不妊の原因により選択されます。あなたに最適な治療が始められるよう産婦人科や専門機関に相談することから始めましょう。
※参考資料:公益社団法人 日本産科婦人科学会/不妊症
治療を始めるタイミング
不妊治療開始のタイミングは、2人目不妊を疑った時点です。
2人目不妊を経験する方の多くは1人目を自然妊娠で授かったため、不妊症になったことを自覚するのに時間がかかる傾向にあります。不妊を疑うきっかけがあれば良いが、そうでないことがほとんどです。
そこで以下の項目と現在の状況を照らし合わせて2人目不妊の可能性を探りましょう。
- ・35歳以上
- ・第一子の妊娠が長期戦だった
- ・第一子が不妊治療で妊娠
- ・婦人科系の持病がある、もしくは疑いがある
2人目不妊の可能性があれば、早期治療により妊娠率を高められます。すぐに産婦人科や専門機関を受診しましょう。
また、公益社団法人 日本産科婦人科学会は、不妊について以下であると定義しています。
「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないものをいいます。
また「一定期間」について「1年というのが一般的である」と定義しています。
不妊治療はハードルが高いイメージがある一方、妊娠できない期間に性機能は低下し、妊娠できる可能性は刻一刻と減っていることを自覚する必要があります。相談からでも良いので、まずは受診することから始めましょう。
※引用資料:公益社団法人 日本産科婦人科学会/不妊症
助成制度
一般的に不妊治療は高額というイメージがあります。しかし、実は2022年から不妊治療は保険適応となり、経済的な面で治療へのハードルが大幅に下がりました。
具体的には、厚生労働省の以下の画像をご覧ください。
(厚生労働省/不妊に悩む方への特定治療支援事業より画像引用)
経済的負担で不妊治療を諦めている夫婦であっても、2人目の子どもを授かるチャンスが増えたことが分かります。ただし助成条件があるため内容を確認の上、申請できそうなら挑戦するのも不妊治療への第一歩ではないでしょうか。
※参考資料:厚生労働省/不妊に悩む方への特定治療支援事業
2人目不妊の治療を始める前にできる対策
2人目不妊の治療を始める前に、自分にもできる対策はないか考えるのは自然の流れです。
そこで不妊治療前に自分でできる以下の3つの対策をお伝えします。
- 1.食生活の改善
- 2.睡眠時間の確保
- 3.体を冷やさない
不妊対策としての効果やその根拠について触れつつ、自宅で簡単に始められる対策を紹介します。
ぜひ、ご活用ください。
対策①:食生活の改善
食生活の改善で夫婦ともに健康的な体づくりをすることも不妊対策になります。
食生活の改善が不妊予防に直接影響するとは考えにくい一方、不健康な夫婦と比べると健康な夫婦は圧倒的に妊娠しやすいことも分かっています。
というのも、排卵を行う卵巣の活動は脳の指令によって行われます。栄養バランスの良い食事は脳に適切な栄養素を届けて、卵巣が活動するための適切な指令が出せます。
また、過度なダイエットは極力避けましょう。過度なダイエットをすることで視床下部から排卵を促す黄体化ホルモン放出ホルモン【LHRH】・性腺刺激ホルモン放出ホルモン【GnRH】の分泌阻害になるからです。
※参考資料:中村記念愛成病院/妊娠しやすい体づくりと方法 – 不妊症外来
対策②:睡眠時間の確保
ストレスは自律神経を乱して不妊の原因になります。そこで十分な睡眠を確保して、ストレスを溜め込まない生活を送ることが大切です。
睡眠には体や脳の休息を促し、自律神経を整える役割があります。脳には視床下部という妊娠に関するホルモンを分泌する部位があり、自律神経の乱れで正常にホルモンが分泌されなくなることもあるのです。
また睡眠中は脳下垂体からセロトニン(別名:ストレス解消ホルモン)というホルモンが分泌され、精神的な安定を保つ働きがあります。
このように睡眠は不妊の直接の原因ではないものの、妊娠を促すために需要な要素であることが分かったのではないでしょうか。
※参考資料:厚生労働省 e- ヘルスネット/セロトニン
対策③:体を冷やさない
「冷えは万病のもと」ということわざがあるように、昔から風邪や不調の原因として考えられています。
体が冷えると血行障害が起こり、卵子を作る卵巣に十分な酸素や栄養素が届きません。そのことが原因で卵巣機能の低下を招き、無排卵月経や卵巣自体の酸性能力が落ちることがあります。
また夏の暑い時期に一日中クーラーのかかった部屋で過ごすと冷え性を発症するリスクがあります。そのためたまに換気をしたり、冷えすぎない程度の温度に調整したりする対応が必要になります。
2人目を妊娠する前に考えておくべき3つのこと
2人目の妊娠は1人目の妊娠の時よりも、妊娠前から考えておくべきことが沢山あります。
具体的には以下の3つです。
- 1.上の子のケア
- 2.妊娠・出産年齢
- 3.経済的な負担
では、1つずつ解説します。
1. 上の子のケア
お腹の子どもだけに注力できる1人目の妊娠と違い、2人目の妊娠は上の子の育児と並行しなければいけません。
妊娠中・産後はお腹の子どもに気を取られてしまいますが、上の子(1人目)の心身のケアや妊娠中からの関わりが非常に重要になります。
例えば、妊娠中に上の子がお腹に乗ってくる行為は、今しかない一人っ子の間に甘えたいというサインです。胎児への危険も考慮して、足を曲げて上の子が乗れる場所を設けたり、エコー写真を見せて赤ちゃんの存在を知ってもらったりすると良いでしょう。
間違っても頭ごなしに叱ってはいけません。
また、出産後は上の子が赤ちゃん返りをする可能性があります。赤ちゃん返りとはこれまでできたことができなくなったり、ハイハイなどの行動が増えたりすることです。
下の子(2人目)を兄弟として受け入れ、お兄ちゃんお姉ちゃんになるための準備や自己肯定感を持つための練習でもあるため、暖かい目で関わりましょう。また積極的に褒めて上げることで、自己肯定感を高めてあげられます。
2. 妊娠・出産年齢
2人目の妊娠・出産の年齢は、1人目とは違うことを自覚しましょう。
年齢とともに体力が落ちたり、生殖機能が衰えるため妊娠率が下がったりすることが考えられます。上の子の育児と並行して妊娠・出産・2人目の育児をしなければいけないため、身体的な負担が大きいことが予測されます。
また「上の子にはしてあげたから下の子にもしてあげないと」という思い込みで、限界を超えて頑張りすぎると体を壊す原因にもなりかねません。旦那さんと役割分担をしたり、保育園の一時預かりや地域の子育て支援センターを活用したりして、負担の軽減ができるようにしましょう。
3. 経済的な負担
子どもが1人増えるため経済的な負担が2倍になることは言うまでもありません。
妊娠中は妊婦健診をはじめ、2人目を迎え入れるための準備にお金がかかります。退職して2人目を出産するなら上の子は保育園を退園しなければならず、預かり保育の利用もそれなりにお金が必要でしょう。
助成金を活用して分娩・入院費を抑えることもできますが、それでも5〜10万円の自己負担は必要です。
このように1人目の育児をしながら2人目を作るなら、経済的な負担が増大するとイメージできるのではないでしょうか。
まとめ: 「2人目がなかなか妊娠しない」は不妊かも
2人目の妊娠を望み一定の性生活を送っているものの、妊娠できずに悩むカップルは多くいます。実際、日本でも6組に1組のカップルが不妊で悩んでいるというデータもあります。
2人目不妊になる原因は、以下の4つでしたね。
- ・加齢
- ・生殖機能の低下
- ・ホルモンバランスの乱れ
- ・セックスレス
加齢や生殖機能の低下は、取り戻すことが難しいでしょう。一方でホルモンバランスの乱れやセックスレスは生活習慣の見直しやカップル間で話し合うなど改善の余地があります。
2人目不妊の治療は早期発見・早期治療にするほど妊娠できる可能性を高められます。自分だけは大丈夫と考えず、2人目不妊を疑ったならまずは産婦人科を受診してみましょう。
この記事があなたの妊娠の手助けになれば幸いです。