目次
妊活中の方にとって排卵日について知ることは、妊娠率を高めるための一歩です。しかし、実際に自分で求めようとしても、どんな計算をしたら良いか分からない方も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、以下の内容を解説します。
- ・排卵日の基礎知識
- ・正確な排卵日の求め方【自動計算ツール or 自分で計算】
最後まで読むことで正確な排卵日を自分で予測して、妊娠するための性行為のスケジュールを建てられるようになります。
あなたが1日でも早く妊娠できるように、この記事を活用していただければ幸いです。
そもそも排卵日とは?
排卵日とは成熟した卵子が卵巣外に排出される日のことです。妊活中の女性にとって排卵日が予測できれば、妊娠率を高めることができます。そのためには、排卵日に関する基礎知識を知る必要があるでしょう。
そこでこの章では、以下の内容について解説します。
- ・排卵日の仕組み
- ・基礎体温や女性ホルモンとの関係性
- ・排卵による症状と対処法
排卵日の基礎知識について理解しておくことで、排卵日の予測がしやすくなります。妊活中の方はぜひご活用ください。
排卵日の仕組み
「そもそも排卵日までに、体の中ではどんなことが行われているの?」と疑問に感じる方もいるのではないでしょうか?
排卵は以下の順番で行われます。
- ・卵子を包む卵胞が成熟(中の卵子も成熟)
- ・脳下垂体から黄体形成ホルモンを分泌させて排卵を指示
- ・卵胞膜が裂けて卵巣外に卵子が排出(排卵)
黄体形成ホルモンは女性の生理周期のコントロールを担っており、排卵を促すとともに子宮内膜の成熟や妊娠の準備・継続をサポートする働きもあります。卵巣内で成熟した卵子は、黄体形成ホルモンの刺激により卵胞(卵子を包む膜)が破れて卵巣外に排出されます。
女性は初潮から閉経までの30〜40年間で数百個の卵子を排卵すると言われ、成熟しきれなかった卵子は排卵されずに消失します。排卵された卵子が精子と奇跡的に出会い受精すると妊娠成立となります。
※参考資料:公益社団法人 日本産婦人科医会/月経周期と女性ホルモンのメカニズム
基礎体温や女性ホルモンとの関係性
排卵日を考える上で「基礎体温」や「女性ホルモン」は切っても切り離せません。というのも排卵促進や基礎体温の変化は、女性ホルモンの指示で行われているからです。
以下の図は、排卵日における基礎体温と女性ホルモンの関係性を表したものです。
(厚生労働省 ヘルスケアラボ/基礎体温より画像引用)
基礎体温とは、人が生命維持をするために必要な最小限のエネルギーを維持した状態での体温です。1日を通して睡眠中が最も基礎体温に近いと言われており、妊活中の女性は妊娠兆候として基礎体温の記録をするのが一般的です。
基礎体温は低温期と高温期の二層性に分かれています。そして排卵直前から分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響により、高温期(基礎体温が平均で0.3〜1℃)になります。
また、排卵自体にも様々な女性ホルモンが関与しています。例えば、排卵は脳下垂体から分泌される黄体形成ホルモンが影響するということは先に解説した通りです。
排卵直前に卵胞から分泌がピークを迎える卵胞ホルモン(エストロゲン)は、受精卵が子宮に心地よく着床できるために子宮内膜を肥厚させておく働きがあります。排卵前から排卵後のことを想定して女性ホルモンが体内の環境調整を行うのです。
このように基礎体温や女性ホルモンは排卵と深く関わっていることが分かります。
※参考資料
公益社団法人 日本産婦人科医会/基礎体温とはどういうものですか。
厚生労働省 ヘルスケアラボ/基礎体温
排卵による症状と対処法
排卵日前後は女性ホルモンの分泌が盛んになるため、体調が変化しやすく様々な症状が現れます。
排卵に伴う症状は、以下の通りです。
- ・頭痛
- ・吐き気
- ・めまい
- ・全身の火照りやだるさ
- ・眠気
- ・冷えの症状
- ・肌荒れ
- ・便秘
- ・情緒不安定
例えば、妊娠の準備・継続のために排卵直前から分泌され始める黄体ホルモン(プロゲステロン)は、大腸の蠕動運動を弱めるため、便秘になりやすくなるでしょう。また基礎体温を上げる働きもあるため、全身の火照りやだるさを感じる場合もあります。
排卵日前後で女性ホルモンの分泌が盛んになると、ホルモンバランスが崩れて情緒不安定になることも稀ではありません。それほどまでに変化の著しい時期と言えるのです。
排卵前後の症状に対しては、以下の対処法が有効です。
- ・生活リズムを整える
- ・十分な睡眠時間の確保
- ・ストレスを溜めない
過度なストレスは自律神経を乱してホルモン分泌を低下させます。するとホルモンバランスがより崩れて症状が悪化します。ストレスに直面した時は腹式呼吸で気持ちを落ち着けたり、趣味に没頭して気持ちをそらしたりしましょう。
生活改善やストレスを溜め込まないことで、排卵日の症状の悪化予防ができるのです。
【自動計算ツール】排卵日を簡単に予測できる
排卵日は自分で求められますが、「ややこしい計算はしたくない」「手っ取り早く排卵日だけを知りたい」という方は、自動計算ツールで予測することもできます。
例えば、葉酸サプリの販売で有名なelevit(エレビット)のサイトなら以下の項目を入力するだけで、排卵日や受精しやすい期間が分かります。
- ・前回の月経開始日(出血の初日)
- ・月経サイクルの日数
使用時間も1分程度なので、時間があるときに試してみましょう。
※参考資料:elevit(エレビット)/妊活カレンダー
自分で排卵日を予測する5つの方法
妊活中の方にとって、妊娠率を高めるためには排卵日の予測は不可欠と言えます。
そのためには正確な排卵日を予測する方法を理解しておく必要があります。
そこでこの章では、自分で排卵日を予測する方法を5つお伝えします。
- ・おりものの変化
- ・基礎体温
- ・オギノ式
- ・排卵検査薬
- ・専門家に相談
準備なしで今すぐに始められる方法も紹介しますので、ぜひご覧ください。
予測方法①:おりものの変化
排卵日前後のおりものの変化は、以下の通りです。
時期 | 量 | 色 | 性状 | ニオイ |
---|---|---|---|---|
排卵前 | 普通〜少量 | 白っぽい | 粘りっけがある | 排卵前後で大きく変化なし |
排卵後 | 増加 | 白〜クリーム色 | サラッとしている |
※おりものの変化には個人差があります。
排卵直前から徐々に分泌量が増える黄体ホルモン(プロゲステロン)は、精子が卵子のいる卵管まで向かいやすいようにおりものの量を増やします。通常よりも粘り気がなく、サラッとした状態になるのが特徴で、潤滑油的な役割を担っています。
排卵後はおりものの量が増えるため、いつもよりも吸収量の多いナプキンにしたり、小まめに交換したりして清潔を保つようにしましょう。
予測方法②:基礎体温
基礎体温が上昇して高温期に入ったのを確認できれば、排卵日を迎えた証拠です。
排卵直前から分泌量が増えてくる黄体ホルモン(プロゲステロン)は、妊娠準備のために基礎体温を高めて受精卵が着床しやすいように子宮内膜を温めておく役割があります。
高温期は基礎体温がおよそ0.3〜1℃上昇し、それに伴って全身の火照りやだるさなどが現れます。そのため基礎体温と排卵日の症状についても観察すると、より正確な排卵日を予測できるでしょう。
また正確な基礎体温を記録するためには正しい手技を身につけておく必要があります。正しく基礎体温を測るための手技について詳しく知りたい方は「無排卵が原因?基礎体温がガタガタな人に考えられる原因と対処法」の記事が参考になります。ぜひ、ご覧ください。
予測方法③:オギノ式
簡易的に排卵日を予測するならオギノ式がおすすめです。
オギノ式とは、産婦人科荻野久作が1924年に医学雑誌「日本婦人科学会雑誌」で発表した排卵日を求めるための計算方式です。
具体的な計算方法は、以下の通りです。
ご自身の生理周期から14日を引いて、出た日数を次回生理初日に足した日が次回排卵日になります。例えば、生理周期が30日の方だと、以下の計算になります。
30日−14日=16日
次回生理(予定日)が「1/1」なら排卵日は「1/17」
そして、排卵予定日の前後14〜18日の間に排卵が行われます。
基礎体温を測るのは少しハードルが高いという方は、オギノ式で排卵日を予測してみると良いでしょう。
予測方法④:排卵検査薬
これまで紹介した方法よりも正確な排卵日を予測したい方は、排卵検査薬を使いましょう。
排卵検査薬とは、排卵前に分泌量が上昇するLHホルモンを尿から検知して、排卵日を予測する検査です。陽性判定からおよそ40時間以内に排卵を迎えるとされており、妊活中のカップルにとって具体的な性行為のスケジュールを立てられることがメリットです。
また15分程度で実施でき、尿検査だけと手技もそれほど難しくありません。
具体的な実施方法や注意点は「今すぐ妊娠したい方へ!排卵検査薬の正しい使用方法や注意点・よくある質問に回答」の記事で詳しく解説していますので、ご覧ください。
予測方法⑤:専門家に相談
排卵日を予測する上で最も確実な方法は、専門家に相談することです。
具体的には、以下の2つの機関に相談する方法があります。
- ・産婦人科のある病院やクリニック
- ・生殖医療科のある専門機関
相談すると、一般的には以下の3つの検査が行われます。
- ・採血
- ・尿検査
- ・エコー検査(超音波検査)
採血・尿検査では排卵に関係するホルモンの状態、エコー検査では卵胞の大きさを観察します。これらの情報をもとに、具体的な排卵日の予測をします。
産婦人科に相談すれば排卵日の予測だけでなく、妊娠率を高めるアドバイスも受けられるでしょう。また、不妊症をはじめ妊娠の妨げになる病気が潜んでいないかも検査もしてもらえます。
一方の生殖医療科のある専門機関(規模の大きい病院など)は、不妊治療が目的で受診するイメージです。そのため、産婦人科で不妊症と診断された次のステップとして受診する流れになります。排卵に関するアドバイスから不妊治療まで一貫して受けられるでしょう。
【即実践可】妊娠率を高めるための3つのセルフケア
排卵日を予測する以外にも、妊娠率を高めるために何かできないかと感じている方も多いのではないでしょうか?
そこでこの章では、妊娠率を高めるための3つのセルフケアをお伝えします。
- ・バランスの良い食事
- ・規則正しい生活
- ・体の冷えを予防
生活習慣を改善することで今以上に妊娠率を高めて、1日でも早く妊娠できるようになりましょう。
セルフケア①:バランスの良い食事
大前提として、バランスの良い食事は妊娠・出産を乗り越えるための健康的な体作りの土台になります。そして、不健康な方に比べて健康的な女性の妊娠率は高いことも分かっています。
卵胞を育てて排卵を行う卵巣の活動は脳の指令によって行われます。脳が活動するためのエネルギーを補うためには、バランスの良い食事で十分な栄養素を摂取することが必要です。
特にビタミンの一種である葉酸の摂取は、以下の理由で妊娠前からの摂取が推奨されています。
- ・貧血予防
- ・卵巣機能の向上
- ・先天性異常の予防
葉酸は別名「造血のビタミン」とも言われ、赤血球を作る働きがあります。そのため貧血予防や血流が改善することで卵巣機能の維持・向上ができます。卵巣機能が向上することで正常な卵子が作られたり、排卵されたりが可能です。
また、妊娠後は胎児が成長するために酸素や栄養素を届ける血液が大量に必要だったり、生理や分娩時は大量に出血したりすることからも貧血予防は重要と言えます。
加えて、葉酸はDNA合成にも関係しており、二分脊椎などの先天性異常の予防にもなります。
一方でアルコールやカフェインは、以下の理由で摂取が推奨されていません。
- ・胎児性アルコール症候群の発症リスク
- ・血管収縮左様による胎児発育不全症のリスク
特に妊娠中のアルコール摂取は控えましょう。カフェインについては厚生労働省のデータによると、1日に3〜4杯程度であれば許容範囲内ですが、ノンカフェインを代用することに越したことはありません。
※参考資料:厚生労働省/食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~
セルフケア②:規則正しい生活
規則正しい生活も妊娠率を高める上で重要です。
例えば、十分な睡眠時間は1日の疲労回復とともにストレス軽減効果もあります。
睡眠中は視床下部や大脳基底核・延髄に分布するセロトニンと呼ばれる脳内伝達物質が活動します。セロトニンは別名「ストレス軽減ホルモン」とも言われ、 交感神経と副交感神経のバランスを保つことで精神状態を安定させる効果があるのです。
過度なストレスは自律神経を乱し、ホルモンバランスを崩します。排卵をはじめ妊娠には様々なホルモンが関係しています。過度なストレスは自律神経を乱し、ホルモンバランスを崩すため、できる限りストレスを溜め込まないようにしましょう。
※参考資料:厚生労働省 e-ヘルスネット/セロトニン
セルフケア③:体の冷えを予防
体の冷えは以下の理由から妊娠率を下げる原因になります。
- ・血流が悪くなる
- ・代謝が下がる
- ・免疫力が下がる
- ・子宮環境の悪化
血流が悪くなるとせっかく摂取した栄養素を全身に届けることができません。 特に葉酸や鉄分など貧血・妊娠後は先天性異常の予防に重要な栄養素が十分補えなくなることも考えられます。
また血流が悪いと代謝が落ちるため、脂肪を燃やしにくくなります。肥満体型は早産・流産や妊娠糖尿病の発症リスクを高めるため、適正体重を維持することも重要です。
免疫力は体温が1℃下がるごとに30%低下します。風邪や病気になりやすいと、妊娠機会を失うことになりかねません。また卵巣や子宮が冷えると機能低下となり、妊娠に必要な生殖行動が不十分になることも十分あり得ます。
これらのリスクを考慮すると冷え予防の重要性がわかるのではないでしょうか。
対策として以下の方法が有効です。
- ・代謝を上げる食品の摂取(根菜類など)
- ・適度な運動
- ・足湯で下半身から温める
特に冷え性がある方は、非妊娠期から体質改善をする意味でも実施してみましょう。
【体験談】排卵日を予測して性行為をしても妊娠しない原因と対処法
排卵日を予測して適切なスケジュールで性行為をしても妊娠しないことも稀ではありません。
そこで重要なのは妊娠しない原因の究明と対処法について理解しておくことです。
では、妊娠しない原因と対処法について詳しく解説します。
妊娠しない原因
基礎体温や排卵検査薬などあらゆる手段を尽くしても妊娠できない方は、以下の原因が考えられます。
- ・正確な基礎体温の記録ができているか?
- ・排卵検査薬の使用方法に誤りがないか?
- ・性行為の数自体が少なくないか?
- ・婦人科疾患にかかっていないか?
はじめに基礎体温の測定や妊娠検査薬の使用方法など手技的な問題について確認しましょう。手技が問題だった場合、簡単に改善できて妊娠率も高まります。
次に、婦人科疾患が原因で妊娠できない可能性も考えておきましょう。特に無排卵症などの婦人科疾患は、症状が乏しく放置すると不妊症の原因にもなります。いつのまにか妊娠する機会を失っているということにもなりかねません。
また性行為の数自体が少なく、受精する可能性が低いこともあります。カップルの関係性や妊娠に対する考え方の違いについて話し合う機会を持っても良いでしょう。
【体験談】妊娠しない場合の対処法
婦人科疾患や不妊症はセルフケアで完治することはあり得ません。産婦人科をはじめ専門機関で適切な治療を受けて1日でも早く妊娠できるようになりましょう。専門家に相談して、医療的な介入をしてもらうことが、絶対的な対処法です。
特に「不妊症=女性」というイメージが強いですが、男性不妊も稀ではありません。実際、私の友人も不妊症に5年間悩み、原因は夫の精索静脈瘤と判明しました。その後、静脈瘤除去術を受けて、すぐに第一子、年子で第二子を妊娠したというエピソードもあります。
このように原因を精査して適切に対処することで不妊を解消できる可能性は十分あります。
まとめ: 排卵日に対する理解を深めることが妊娠への一歩
排卵日が予測できれば妊娠をするための適切な性行為のスケジュールを立てることができます。また、闇雲に性行為をするよりも、遥かに妊娠率を高めることができるでしょう。
排卵日を予測する方法には、以下の5つがありましたね。
排卵日は生理学に基づいて予測されます。この記事で解説した「排卵が起こる仕組み」や「女性ホルモンとの関係」について振り返りつつ、理解を深めていきましょう。
また、妊娠目的の性生活を続けているにも関わらず妊娠しない場合、不妊症や婦人科疾患が隠れている可能性もあります。自覚症状に乏しく気づいていない方もいますので、気になる方は一度産婦人科に相談しましょう。
正確な排卵日を予測して1日でも早く妊娠できるためにも、この記事が役立てば嬉しいです。