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葉酸の1日の摂取量|妊娠期の推奨量とおすすめの食品

妊活中に必要な栄養素として、医師や栄養士から摂るように勧められるのが葉酸です。たくさん摂るように言われても1日に推奨される量が、年齢や妊活中かどうかで変わってきます。しかも摂りすぎると身体に悪い影響を与えてしまいかねません。そこで今回は、妊活中の方や妊娠初期の方が葉酸を摂るときに注意してほしいことや1日当たりの推奨摂取量について紹介し、不安を少しでもなくしてほしいと思っています。患者さまのサポートができるようなコラムですので是非最後までご覧ください。

葉酸の推奨摂取量

考える女性

厚生労働省が定めた2020年度版「日本人の食事摂取基準」では、乳幼児から高齢者まで健康維持のために必要な摂取量を定めています。18歳以上の成人が必要な量は1日240μgです。生の干し椎茸100gに同じ量の葉酸が含まれています。65歳以上の高齢者の推奨摂取量は成人と変わりません。18歳未満の小児の場合、1日当たり180㎍と少しだけ量が減ります。目安は茹でたアスパラガス100gです。

一方、妊娠中の女性だと十分な量ではありません。先述した2020年度版「日本人の食事摂取基準」にも記載があるように特に妊娠初期の場合、胎児の神経管閉鎖障害を予防するために18歳以上の推奨量よりも多くの葉酸を摂るよう推奨されています。

外部サイト:日本人の食事摂取基準(厚生労働省)

妊娠前

妊活中の頃から多めに摂取してください。理由は、妊娠する一ヶ月くらい前から食事で240㎍、サプリメントで400㎍の摂取が必要になるからです。

なぜなら赤ちゃんの神経は妊娠初期、おおよそ7週目までに作られ、そのときに大漁の葉酸を必要とするためです。もし不足していると先述した神経管閉鎖障害といった先天性異常が起きる可能性が出てきます。そうなると二分脊椎無脳症という障がいが起きてしまい、流産や死産する恐れがあるのです。

現在、神経管閉鎖障害を予防をするためには、葉酸の摂取しかありません。だからこそ妊活中から大量に摂っておく必要があります。

妊娠期

妊娠中は初期と中期・後期で推奨摂取量が変わってきます。妊娠初期は、先述したように赤ちゃんの神経を作られる時期に当たるため大量の葉酸が必要です。ところが、中期・後期になってくると初期ほどの量は必要ではありません。もちろん、成人の推奨摂取量よりも多く摂る必要がありますので意識して摂るようにしてください。

妊娠初期(15週まで)の場合は、妊活中と同じく食事で240㎍、サプリメントで400㎍が推奨摂取量です。中期(16週から27週)・後期(28週から39週)だと2020年度版「日本人の食事摂取基準」には、成人の推奨摂取量一日240㎍に加えて240㎍の摂取が求められています。食事だけで摂るのは大変なのでサプリメントと併用して摂るようにしましょう。

授乳期

赤ちゃんにも栄養として葉酸を摂取させないといけない授乳期も成人の推奨摂取量一日240㎍より多く摂らないといけません。母乳の中に54 µg/Lの葉酸濃度と1日0.78 Lの泌乳量として計算すると240㎍にプラス100㎍の葉酸が必要になります。

食品だとライチ100gが100㎍の含有量になりますが、半分は流れてしまうため不足分はサプリメントで補うのが確実です。また、授乳後も、継続的に葉酸をとり続けると健康維持がしやすいので、徐々に量を減らしていき成人の推奨摂取量一日240㎍にしていくのがおすすめです。

葉酸の摂取量上限

食事だけで摂る量に上限はありません。なぜなら葉酸は水溶性のビタミンで食材に含まれる量の半分が流れてしまうからです。一方、サプリメントに含まれる合成葉酸は85%が体内に吸収されるため摂取量の上限が決まっています。

厚生労働省の発表では1日900~1000μgです。これ以上、摂ってしまうと発熱やじんましんが起きたりします。妊娠中の場合だとお腹の中にいる赤ちゃんがぜん息になる可能性があります。また、ビタミンB12欠乏症である悪性貧血になっている場合の診断が難しくなり、貧血が改善されないと赤ちゃんが成長するうえで必要な酸素が十分に行き届かなかったり、切迫早産のリスクが上がったりする恐れが出てきます。

一部では自閉症になると言われていますが、はっきりとした研究報告はされていません。

葉酸を多く含む食べ物

つわりによい食べ物

成人の男女はもちろん、妊活中や授乳期の女性にも必要なビタミンB群である葉酸は、さまざまな食材に含まれています。

  1. ・海藻類
  2. ・乳類
  3. ・豆類
  4. ・肉類
  5. ・野菜類
  6. ・卵類

上記の食品の中に含有量の多いものがたくさんありますので、詳しく紹介をして献立作りの参考にしてください。

海藻類

葉酸を含んだ主な海藻類は以下の表にまとめていますので献立作りの参考にしてください。

食品名 100gあたりの成分量
焼きのり 1,900㎍
青のり(乾燥) 260㎍
ひじき(乾燥) 84㎍

表以外にも普段のお食事に追加しやすいワカメにも葉酸が豊富に含まれていますのでサラダやスープに加えてみてください。海藻類だけで必要な量を摂取するのは難しいので他の食材と組み合わせて摂るようにしましょう。

下記のコラムにも葉酸の含有量が多い食材を詳しく紹介していますので参考にしてください。

乳類

乳製品に葉酸が含まれているものは以下の表に掲載しています。食材の買い物するときに参考にしてみてください。

食品名 100gあたりの成分量
ブルーチーズ 57㎍
プロセスチーズ 27㎍

乳製品はチーズ類に葉酸が多く含まれています。他にもカマンベールチーズやチェダーチーズが含有量の多い食材です。100gだと一切れ程度なので摂りやすい食材といえます。

下記のコラムでも詳しく葉酸を含む食材を紹介していますのでご覧ください。

豆類

葉酸が豊富な豆類は以下の表の通りです。元々大豆自体に多くあるため大豆製品を摂ると一日の必要量に届きやすくなります。

食品名 100gあたりの成分量
大豆(乾燥) 230㎍
小豆(乾燥) 130㎍
納豆 120㎍

表に掲載した以外の食材だと大豆が原料のきなこにも葉酸が豊富です。おやつできなこが含まれた和菓子を選ぶと葉酸を多く摂取できます。

下記のコラムでも他に葉酸を含む食材や調理法などを紹介をしていますのでご覧ください。

肉類

葉酸を豊富に含む肉類を以下の表にピックアップして掲載しています。

食品名 100gあたりの成分量
鶏レバー 1,300㎍
豚レバー 810㎍
フォアグラ 220㎍
ピータン 63㎍
鶏ハツ 43㎍

ご覧の通りレバーが葉酸の含有量が豊富です。しかし食べるときに注意しないといけない点があります。なぜならレバーには摂りすぎると胎児が奇形になる恐れがあるビタミンAも多く含まれているからです。

主菜として摂るならば鶏のハツがいいかもしれません。他にもウナギの肝やタタミイワシにも葉酸が多く含まれているので魚類から摂るのも一つの方法です。下記のコラムにも葉酸を含む肉類を詳しく紹介していますのでご覧ください。

野菜類

葉酸を含む野菜は種類が豊富です。下の表以外にも含有量の多い野菜がありますので食事から葉酸を摂るときは野菜中心にしておくと足りなくなることはないでしょう。

食品名 100gあたりの成分量
えだ豆(ゆで) 260㎍
モロヘイヤ 茎葉 生 250㎍
ブロッコリー 210μg
ほうれん草(ゆで) 110㎍
アスパラガス(ゆで) 180㎍
モロヘイヤ(ゆで) 67㎍

野菜だけではなく果物にも葉酸が多く含まれているものがあります。ライチやイチゴ、マンゴーには84㎍から100㎍と豊富な含有量ですので野菜とも上手に組み合わせて摂取するようにしましょう。

アボカドも100g当たり84㎍も葉酸が含まれており、食物繊維やビタミンも豊富ですので栄養バランスを摂るのにうってつけの食品です。

下記のコラムにも野菜の葉酸について詳しく紹介をしていますので気兼ねなくご覧ください。

卵類

卵類の葉酸含有量は下記の表にしています。ご覧になって摂取するときの参考にしてください。

食品名 100gあたりの成分量
うずら卵 全卵 生 91㎍
鶏卵 全卵 生 41㎍

卵に葉酸が豊富なのは鶏卵の卵黄です。100g当たりで140㎍と納豆よりも多く含まれています。ただ一日に必要な量を摂るためには、他の食材との組み合わせが重要です。卵は「完全栄養食品」と呼ばれるほど、さまざま栄養素が含まれていますので色々な食品と一緒に摂るのがいいでしょう。

下記のコラムにも卵類に詳しく紹介をしていますのでご覧ください。

葉酸摂取の注意点

妊娠 栄養

実は体内に葉酸を活性化させる酵素があるのですが、バナナとオレンジジュースには酵素を阻害する成分が含まれています。そのため葉酸が多い食材と一緒に摂ると吸収率が悪くなってしまうので一緒に食べないように注意してください。ただし、大きさによって異なりますがバナナは、一本当たり21.8㎍から35.9㎍の葉酸が含まれていますので積極的に摂ってほしい食材の一つです。おやつで食べるなど工夫をして必要な量を摂るようにしましょう。

また、葉酸は水溶性ビタミンの一種で水に溶けやすい性質です。茹でると量は生よりも半減してしまいますので調理するときは気をつけないといけません。だから妊娠初期の女性はサプリメントとの併用がおすすめしています。

まとめ

葉酸は年齢や性別、妊娠初期かどうかで摂取量が変わってくるビタミンです。特に妊活中であれば男女問わず普段の食事から意識して摂るようにしたい栄養素になります。

しかし、摂りすぎや食材の組み合わせによって胎児に悪影響を与えかねません。食事の基本はどの栄養素もバランス良く摂ることです。他の食材や栄養素とバランスを取りながら献立を考えてください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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