InstagramInstagram

葉酸の働き・摂取量や多く含まれている食品を紹介

赤ちゃんの発育を助け、お母さんの健康も支える葉酸は、多くの人が不足しています。
妊娠中の葉酸不足は、赤ちゃんに悪い影響を出してしまうこともあるため、注意しなくてはいけません。

本記事では葉酸の働きや摂取するべき量を詳しく解説します。
葉酸を多く含んでいる身近な食材もご紹介しますので、妊娠中の人はもちろん妊活中や授乳中の人もぜひお役立てください。

葉酸とは?

葉酸は、妊活中や妊娠中に摂取したほうがよいとされています。どんな栄養素なのかまずは知っておきましょう。

葉酸は水溶性ビタミンの一種

葉酸はビタミンB群のひとつで、水溶性ビタミンに分類される栄養素です。造血作用やたんぱく質、細胞を作り出す力があり、赤ちゃんの成長にとてもよいとされています。

葉酸は、葉物野菜の代表格であるほうれん草から見つかりました。そのため、葉酸という名前がついていますが、葉っぱがある野菜類だけでなく、動物性の食品にも含まれています。

葉酸が不足すると起きる症状

妊娠中に葉酸が不足すると、お母さんの体には「巨赤芽球性貧血」という悪性貧血の症状が出る可能性があります。
また、動脈硬化の原因になるホモシステイン値(血液中のアミノ酸)が高くなることもあり、さまざまな健康リスクが高くなります。

さらに、お腹の中にいる赤ちゃんにも悪影響がでます。
妊娠4週~12週頃の妊娠初期は、赤ちゃんの細胞分裂がとても盛んに行われる時期で、このときに葉酸が足りていないと、先天性の神経管閉鎖障害にかかるリスクが上がってしまうのです。

神経管閉鎖障害には「二分脊椎症」や「無脳症」など、重篤な症状があります。

厚生労働省も葉酸の摂取を推奨している

お母さんの健康を守り、赤ちゃんの元気な成長を促すために、厚生労働省も葉酸の摂取を推奨しています。
妊娠中だけでなく、妊活中や授乳中にも葉酸の摂取は必要だと考えられています。

[参考]厚生労働省:妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針
www.mhlw.go.jp/content/000776926.pdf

推奨されている摂取量や摂取しやすい食品は、この記事でも後ほど詳しく解説しますので、ぜひ続けてお読みください。

葉酸の働き

葉酸のイメージ画像

葉酸を意識的に摂取することは、お母さんと赤ちゃんの体によい変化をもたらします。妊娠中~授乳中に葉酸がどのように働くのか、知っておきましょう。

1. 神経管閉鎖障害のリスクを下げる

前項でも触れたように、必要な栄養素が不足すると赤ちゃんが神経管閉鎖障害になるリスクが高まります。
このリスクを下げられるのが葉酸で、適切な量を摂取すれば、神経管閉鎖障害による先天性の異常が発生する可能性を下げられます。
これはアメリカで研究され、厚生労働省も認めている葉酸の働きです。

2. 赤ちゃんの成長を促進する

葉酸には、赤ちゃんの細胞分裂を促進する働きもあります。
発育不全や発達の遅れが発生するリスクを減らし、元気な成長を維持することも葉酸がもつ力です。

この働きは授乳中も続くため、出産後も葉酸は摂取したほうがよいとされています。

3. お母さんの健康を維持する

葉酸には造血作用があり、貧血を予防したり、改善したりする働きがあります。
妊娠中や授乳中はさまざまな栄養が足りなくなりやすく、貧血も起こしやすくなります。葉酸で不足しがちな栄養素を補えば、母子ともに健やかな毎日を送りやすくなるでしょう。

葉酸はどのくらい摂取すべき?

葉酸の接種を気にしている女性

葉酸の必要摂取量は、18歳以上の女性だと1日200μg以上だとされています。しかし、妊娠中はこれよりももっと多くの葉酸が必要です。

食事以外に400μg摂取できるのが理想

妊娠中に必要だとされている葉酸摂取量は、妊娠していないときの摂取量に1日100μg~400μgプラスした量だとされています。

時期 追加で必要な葉酸の量(1日分)
妊活中~妊娠初期 400μg
妊娠中期 240μg
妊娠後期~授乳中 100μg

妊活中~妊娠初期はとても多くの葉酸が必要です。1日に600μg以上の葉酸を摂取できることが望ましい計算になります。

[参考]厚生労働省:妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針
www.mhlw.go.jp/content/000776926.pdf

食事からこの量の葉酸を摂取することは難しく、ほとんどの女性が葉酸の必要摂取量を満たしていません。

1日に1,000μgを超えないようにする

葉酸に毒性はないため、多く摂取しすぎても問題にならないとされています。過剰分は排泄されるため、体内にも残りません。
しかし、過剰摂取はほかの栄養素が吸収される妨げになる可能性があります。1日に1,000μgを超えないように摂取しましょう。

食事だけで葉酸を補う場合は、過剰摂取の心配はほとんどありません。
葉酸のサプリメントを利用する際には、含有量に注意しましょう。

葉酸が多く含まれている食品

葉酸の働き・摂取量や多く含まれている食品を紹介

葉酸は野菜類や果物類をはじめ、身近な食品に含まれています。葉酸の摂取量を増やしたい場合は、以下のような食材を積極的に食べると効果的です。
ただし、つわりで食事ができないときは無理をする必要はありません。食べられるものやサプリメントを利用するのもおすすめです。

葉酸を多く含む野菜類・きのこ類

葉酸を多く含む野菜やきのこには以下のものがあります。

食材 含まれている葉酸(100g中)
枝豆(ゆで) 260μg
芽キャベツ(ゆで) 220μg
ほうれん草(生) 210μg
菜の花(ゆで) 190μg
アスパラガス(ゆで) 180μg
ニンニクの芽(生・ゆで) 120μg
ブロッコリー(ゆで) 120μg
オクラ(生・ゆで) 110μg
ほうれん草(ゆで) 110μg
ひらたけ(ゆで) 71μg
モロヘイヤ(ゆで) 67μg

濃い緑色の野菜は多くの葉酸を含んでいます。
野菜類は葉酸のほかにも、ビタミンや食物繊維、βカロテンなど、さまざまな栄養素をもっているため、多く食べるようにしたい食材です。

中でも枝豆・芽キャベツ・ほうれん草の葉酸含有量はとても多いです。しかし、ほうれん草は茹でてしまうと110μgまで葉酸の量が減ってしまいます。
サラダほうれん草を選んだり、グリーンスムージーにしたりして、できるだけ生のまま摂取すると効率的です。

葉酸を多く含む果物類

葉酸を多く含む果物類には以下のものがあります。

食材 含まれている葉酸(100g中)
マンゴー(乾燥) 260μg
ライチ(生) 100μg
イチゴ(生) 90μg
パパイヤ(生) 84μg
マンゴー(生) 84μg
アボカド(生) 83μg
さくらんぼ(生) 44μg
キウイフルーツ(生) 36μg

ドライマンゴーに含まれる葉酸の量がとても多い点が目立ちます。食べやすいので好きな人は葉酸を摂取しやすいですが、マンゴーはカロリーや糖質も多いため、食べ過ぎには要注意です。

果物はジュースにしたり、ヨーグルトにまぜたり、食べ方の工夫がしやすいです。つわりの時期でも食べられることが多いので、旬の果物を楽しみながら葉酸を摂取しましょう。

葉酸を多く含む肉類・卵

葉酸を多く含む肉類・卵には以下のものがあります。

食材 含まれている葉酸(100g中)
鶏レバー(生) 1300μg
豚レバー(スモーク) 310μg
フォアグラ(ゆで) 220μg
鶏・卵黄(ゆで) 140μg
鶏・全卵(目玉焼き) 58μg
牛・肩肉(焼き) 50μg

※牛・豚の生レバーには非常に多くの葉酸が含まれていますが、現在は食品衛生法で規制されているため、除外しています。

鶏レバーには多くの葉酸が含まれていますが、妊娠中や授乳中は十分に加熱してから食べるようにしましょう。トキソプラズマ症による赤ちゃんへの影響が心配だからです。

また、レバーに含まれている動物性ビタミンA(レチノール)は、妊娠初期に摂取しすぎると赤ちゃんに悪影響があります。鶏・豚のレバーは1日に4g程度、牛でも50g程度までに抑えておくと安心です。

葉酸を多く含む魚介類・海藻類

葉酸を多く含む魚介類・海藻類には以下のものがあります。

食材 含まれている葉酸(100g中)
焼きのり 1300μg
味付けのり 1600μg
うなぎの肝 380μg
うに(生) 360μg
すじこ(生) 160μg
イクラ(生) 100μg

のりにはとても多くの葉酸が含まれています。一度に大量に食べることは難しいですが、いつもの食事にプラスしたり、おやつ代わりに食べたりすると葉酸を摂取しやすいです。

うなぎの肝にも多くの葉酸が含まれていますが、こちらは食べ過ぎに注意が必要です。うなぎの肝には、牛や豚のレバーと同様にビタミンAが多く含まれており、過剰摂取は赤ちゃんによくありません。

うにやすじこ、イクラにも葉酸は含まれていますが、生食は食中毒の危険性があります。妊娠中は避けたほうが安心です。

葉酸を多く含むその他の食材

乳製品や飲料などにも葉酸が含まれているものがあります。

食材 含まれている葉酸(100g中)
抹茶 1200μg
青汁 820μg
紅茶 210μg
カマンベールチーズ 47μg
プロセスチーズ 27μg

健康食品としても人気の青汁にはさまざまな商品があるため、葉酸の含有量には差があります。文部科学省のデータベースでは820μgとされています。苦手でなければ食事にプラスして摂取すると効果的に葉酸を摂取できるでしょう。

そのほかの飲料や乳製品にも葉酸が含まれているものはあります。食材を選ぶ際は葉酸の量に少し意識を向けると摂取量を増やしやすいので、ぜひ成分表を見る癖をつけましょう。

【まとめ】葉酸は赤ちゃんの発育に大切な栄養素!積極的に摂取しよう

食事をしている妊娠中の女性

葉酸は厚生労働省も認めている、赤ちゃんの健康な発育に必要な栄養素です。
お母さんの健康維持にもつながるため、必要量をしっかりと摂取するようにしましょう。

葉酸は意識しないとほとんどの人が足りていない状態です。
妊娠中はより多くの葉酸が必要になるため、食事以外にも飲料やサプリメントで摂取するとよいでしょう。
続けることがとても大切ですので、無理をしない範囲で食生活を変えてみてください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

関連記事