InstagramInstagram

葉酸は貧血予防にも効果あり!巨赤芽球性貧血を防ぐおすすめ食品

妊活や妊娠中の女性に欠かせない葉酸は、他にも大きな働きをしてくれるビタミンB群の一つです。普通の生活を送っている分には足りなくなることはありませんが、もし、摂取不足による欠乏症にかかると貧血になりやすくなります。しかもそのまま放置しておくと身体に重大な影響を与えてしまいかねません。今回は、「巨赤芽球性貧血(きょせきがきゅうせいひんけつ)」と葉酸について紹介することで積極的に摂ってもらえるよう記事として公開しました。葉酸の含有量が多い食材について紹介をしていますので是非ご覧ください。

葉酸と貧血

葉酸は、胎児の発育に重要な栄養素だけではありません。ビタミンB12と協力して血液を作る働きがあり、赤血球を作り出すのに欠かせないビタミンです。別名「造血ビタミン」と呼ばれています。

そのため貧血対策として食事から葉酸を摂るのが推奨されているのです。また、葉酸欠乏症になると巨赤芽球性貧血(きょせきがきゅうせいひんけつ)と呼ばれる貧血にかかってしまい、動悸や息切れ、疲れやすい、全身がだるい、食欲低下といった症状が現れます。

巨赤芽球性貧血とは

医師と夫婦

ビタミンB12と葉酸が不足すると起きる貧血症です。症状は一般的な貧血と同じで、先述したようなことが現れ、血液中に成熟していない大きな赤血球(巨赤芽球)が存在することが特徴になります。

胃を全部切除した患者や萎縮性胃炎の人、菜食主義者、妊婦さんがなりやすい病気です。他にもアルコール依存症などによる葉酸やビタミンB12摂取不足、消化器疾患による吸収不良、薬剤投与が原因で起きる場合もあります。人口10万人あたり年間1~2人程度発症するといわれている貧血です。

巨赤芽球性貧血の原因

原因は葉酸かビタミンB12の不足によるものです。どちらかが足りなくなると、細胞の分裂に備えてDNAタンパク質などの構成成分の結びつけが邪魔されてしまいます。すると未熟な赤血球ができてしまって貧血になってしまうのです。

ビタミンB12が足りなくなる主な原因は、胃の切除、免疫の異常による胃粘膜の萎縮、胃液の出る量が少なくなったことによる吸収率の悪化や先天性の病気で吸収できない場合もあります。菜食主義者は、動物性食品に含まれるビタミンB12不足で起きることが見受けられます。

葉酸が不足するのは、主に野菜を食べない偏食やアルコールの大量摂取が原因です。妊娠・授乳中の女性は、葉酸の大量摂取が求められるので不足してしまうケースも考えられます。他には、服用している薬の影響、血液透析によって喪失することもあるのです。

巨赤芽球性貧血の症状

繰り返しになりますが、動機や息切れ、目まい、全身のだるさ、疲れやすくなるなど一般的な貧血とほぼ同じ症状です。他には、ビタミン不足による末梢神経障害による「力が入りにくい」、「筋力が低下する」、「しびれる」「ぴりぴりする」、「痛みがある」、「感覚が鈍くなる」「立ちくらみ」なども併発してしまいます。重度のビタミンB12不足になると認知症のような症状や意識障害も起きるので注意が必要です。

葉酸が不足していると下痢になったり、舌が赤くなったり腫れたり、味覚障害が出たりすることがあります。これらの症状は突発的ではなく徐々に現れるので早めに対処してください。

巨赤芽球性貧血の治療方法

ビタミンB12や葉酸が不足しているのであれば、薬や注射で補充する治療が行われます。状態にもよりますが、1日に1回から週に1回程度の間隔で血中の数値が正常になるまで治療をします。重傷でなければ数時間程度で体力が回復しますので数週間から数ヶ月かけて食事からビタミンB12と葉酸を摂取する方法へと移っていきます。

ただし、免疫異常や胃の障害による吸収不良が原因の場合、補充療法は通常、生涯にわたって継続的に補充をしないといけません。神経障害が出ている場合は、回復に時間がかかりますので早期発見が大切です。胃を切除した方は、注射と内服薬での補充が一般的です。

もし偏食による不足が原因ならば食生活の改善が必須となります。ビタミンB12の多く含まれる魚介類やレバー、海苔、葉酸の多く含まれるうなぎ、緑黄色野菜を意識して摂るよう指導されます。

葉酸を含むおすすめ食品

つわりによい食べ物

巨赤芽球性貧血と防止するためには普段亜kらビタミンB12と葉酸の摂取をしないといけません。ビタミンB12が多く含まれる食品は、先述した魚介類の中でも特に「牡蠣」「あさり」「さば」「ほたて」「ほっけ」「しじみ」「あじ」に豊富に含まれています。もちろん葉酸を多く含まれている食品がたくさんありますが、以下のものが豊富です。

  1. ・海藻類
  2. ・乳類
  3. ・豆類
  4. ・肉類
  5. ・野菜類
  6. ・卵類

海藻類

海藻類で豊富に含んでいる食材と含有量を表にしていますのでご覧ください。

食品名 100gあたりの成分量
焼きのり 1,900μg
生わかめ 29μg
乾燥わかめ 46μg

表の通り、海苔には葉酸が1900㎍もあり、ビタミンAやカリウムなどのミネラル分も豊富に含まれていて妊活や貧血予防に摂る食品としてピッタリです。特に調理も必要ないため取り入れやすいのが特徴です。しかし注意して欲しいのは、100g摂れたらという点です。海苔は一枚3gしかありません。なかには2g少々のものもあります。つまり、海苔で1900μgの葉酸を摂ろうと考えると、30枚以上を食べなければいけなくなります。

ところが一回の食事での摂取量は2分の1枚か、多くても1枚程度です。つまり1.5gから3gしか摂取できません。そこで注目して欲しいのがわかめです。表にもある通り含有量もありますし、わかめで100g摂るのは難しくありませんので海苔にこだわらず他の海藻類も摂るようにしましょう。

おすすめの食べ方は、わかめだとスープにするのがいいでしょう。鶏ガラスープの素にわかめに長ネギを加えたシンプルな味からごま油と卵を加えた中華スープなんかもおすすめです。

海苔だと、炊き込みご飯にしたり、焼き海苔にオリーブオイルを加えてフライパンで焼いたりしても美味しく食べられます。

乳類

乳製品というと牛乳を思い出す方もいると思いますが、牛乳単品ではそんな多く含まれていません。十分な量を摂ろうとすると毎日に500mmlも飲まないといけないため現実的とは言えません。

牛乳以外にも葉酸が含まれている食品があるので表をご覧ください。

食品名 100gあたりの成分量
カマンベールチーズ 47μg
ヨーグルト(無糖・無脂肪) 16μg

普段のお食事にも取り入れやすい食材ばかりですが、特にカマンベールチーズは含有量が豊富なので一押しです。おすすめの食べ方はカマンベールチーズだと「チーズフォンデュ」です。カマンベールチーズを丸ごとオーブントースターで焼くだけという手軽さがおすすめのポイントになります。

また、ホットプレートを使ってキャベツや豚肉と一緒に蒸し焼きにすれば一度にたくさんの葉酸が摂取できます。

ヨーグルトのアレンジレシピとしておすすめなのが「ホットココアヨーグルト」です。自律神経を整える働きがあるそうなので試してみてください。

豆類

豆にも葉酸が多く含まれており、以下の表に主な食品を掲載しています。意外な食材に多く含まれているのでチェックしておきましょう。

食品名 100gあたりの成分量
糸引き納豆 110μg
きなこ 250μg

きなこは葉酸だけではなく食物繊維や鉄分も豊富なので妊活にうってつけの食材です。単品では食べるのは大変なので、きなこにはちみつを加えた「きなこ棒」を作っておやつに食べたり、クリーミーな味わいの「きなこプリン」などスイーツにしたりすると食べ続けやすいと思います。

納豆はそのまま摂取するのも悪くありませんが、嫌いな人もいるので相性抜群の卵と組み合わせて「納豆オムレツ」にすると食べやすいかもしれません。他には「納豆キムチサラダ」にするのもおすすめです。

肉類

肉類にも葉酸が含まれている食材がいくつもあります。多くの種類の中からピックアップしたものを表にしていますので妊活や貧血対策に活用してください。

食品名 100gあたりの成分量
鶏レバー 1300μg
牛レバー 1000μg
豚レバー 810μg
フォアグラ 220μg

レバーを食べるときには注意が必要です。レバーには葉酸以外にビタミンAも豊富に含まれています。実はビタミンAを摂りすぎると、赤ちゃんが奇形になる恐れがあるので注意してください。

おすすめの料理としては「鶏レバーの甘辛煮」、「牛レバーとブロッコリーの甘辛炒め」などがあります。他にもレバーペーストだと葉酸が140㎍(100g)も摂ることができます。

野菜類

野菜は葉酸が含まれている食材の代表格です。表にもいくつか掲載していますが、他にもたくさんの種類がありますのでチェックしてみてください。

食品名 100gあたりの成分量
えだ豆(ゆで) 260μg
芽きゃべつ 220μg
パセリ 220μg
からし菜漬け 210μg
なの花 190μg
しゅんぎく(生) 190μg

枝豆は大豆を若採りしたものですので葉酸の含有量が豊富です。芽キャベツは、食物繊維やビタミンCや抗酸化作用があるルテインも含まれている栄養素の高い食材です。炊き込みご飯やサラダにすると食べやすくて量もたくさん摂取できます。

芽キャベツで試して欲しいのは「芽キャベツのバター醤油炒め」です。ゆでると葉酸が流れてしまいますが、炒めれば流失する量はそこまで多くはありません。

卵類

卵は基本的に鶏卵かうずらの卵のどちらかですが、表に掲載している通りうずらのほうが葉酸を豊富に含んでいます。ただし、卵黄のみだと鶏卵の方が多くなります。

食品名 100gあたりの成分量
たまご(卵黄) 140μg
うずら卵(生) 91μg
うずら卵(水煮缶) 47μg
たまご(生) 43μg

うずらの卵1個で9gですので100gというと12個食べてようやく100gです。それを毎日続けるのは現実的とは言えません。卵だと一つの重さはLサイズが殻なしで約60g、殻つきのままでは64g〜70g未満です。Mサイズの卵は正味 約50g、殻つきでは58g〜64g未満のため一日2個食べれば十分な量を得られます

調理法としては、納豆好きの人にお勧めしたいのが「温泉卵納豆」です。作り方も簡単な上、葉酸がたくさん摂取できます。卵の料理はレシピも豊富にあるため葉酸の含有量が多い食材と組み合わせると不足することはないでしょう。

まとめ

葉酸のもう一つの働きでもある貧血防止について紹介してきました。普段のお食事から摂取しておけば足りなくなることはありませんが、妊活中や妊娠初期・授乳期であれば不足してしまうケースも出てきます。胎児に悪影響を及ぼしますのはもちろん、貧血になると母体にも良くありませんので意識して摂るようにしてほしい栄養素です。

今回紹介した食材や料理を上手に活用して栄養バランスがとれた食生活を送りましょう。もし妊娠したママさんの中でお腹の中にいる胎児の様子をお知りになりたいと思った方はミネルバクリニックにお問い合わせください。オンライン診療を行っているので全国どこからでも受け付けています。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

関連記事