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ダウン症の赤ちゃんを産む人の特徴とは?診断・合併症や出産後のサポート制度まで解説

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「自分の子供がダウン症を持って生まれてきたらどうしよう?」

妊娠したお母さんやお父さんなら誰しも一度は考えたことがあるのではないでしょうか?

ダウン症の出生率は、600〜800人に1人と言われています。そして全ての赤ちゃんがダウン症を持って産まれてくる可能性があるということも知っておかなければいけません。

そこでこの記事では、以下の内容についてお伝えします。

  • ・ダウン症の赤ちゃんを産む人の特徴
  • ・ダウン症の確定診断や合併症
  • ・出産後に受けられるサポート制度

出産前にダウン症に対する正しい知識や社会的なサポート体制を知ることは、出産へ前向きになるとともに、不安の解消にもなります。ぜひ最後までご覧ください。

ダウン症を産む人の特徴は?妊娠中のお母さんの不安を解消

赤ちゃんがダウン症ではないかと不安なお母さんなら、ダウン症の赤ちゃんを産む人の特徴と自分を照らし合わせたいと一度は考えるはずです。
妊娠中のお母さんはホルモンの影響で情緒不安定になり、心配事が増えるのも当然です。

ダウン症の赤ちゃんを産む人の特徴

●8割は35歳未満!
ダウン症は、人種や経済レベルにかかわらず全世界で発生します。母親の年齢が高くなるにつれてダウン症のリスクが増加することは広く認識されています。ダウン症の赤ちゃんを出産する確率は、25歳の母親では1250分の1、31歳では1000分の1、35歳では400分の1、40歳では約100分の1となります。
しかし、ダウン症児の80%は35歳以下の女性から生まれています。多くのダウン症児が35歳以下の女性から生まれているという事実は、ダウン症に関する重要な統計の一つです。この現象は、年齢が若い女性が妊娠する確率が高いため、相対的に多くの出産が母親の年齢が35歳未満という年齢層で起こることに起因していると考えられます。また、別の要因としては、35歳以上は、出生前診断を受けておなかの赤ちゃんがダウン症だとわかると、中絶するケースが多くなることも原因である可能性があります。

いずれにせよ、妊婦検診のエコー(超音波検査)でダウン症を発見することはできないので、この統計をみると、35歳未満は出生前診断が必要ないという意見について疑問に感じます。

母親の年齢に関連するリスクの増加は、染色体の非分離が起こりやすくなることによります。染色体の非分離は、卵子または精子の形成時に、染色体が正常に分離しないことを指します。これが原因で、ダウン症の主な原因である、21番染色体が3本存在する状態(トリソミー21)が発生します。

しかし、母親の年齢にかかわらずダウン症の子が生まれる可能性があること、そして大多数のダウン症児が35歳以下の女性から生まれていることは、ダウン症スクリーニングと診断があらゆる妊婦にとって重要であることを示しています。現代の医療では、妊娠初期に行われるスクリーニングテストや診断テストを通じて、ダウン症の可能性を評価することができます。これにより、親はより情報に基づいた決定を下すことができ、必要に応じて特別な支援や介入を早期から計画することが可能になります。

高齢の妊娠がダウン症のリスクを高める原因は、卵子の老化にあります。老化した卵子は、細胞分裂の過程で異常が発生しやすく、結果として染色体異常が起こるのです。

 

そもそもダウン症とは?

ダウン症とは、染色体異常により生じる先天性の疾患のことです。両親からもらう染色体(遺伝子やDND)は、通常23対あります。そしてダウン症の場合、23対のうちの21番目の染色体が1本多いことが分かっています。

染色体異常関連疾患の中でダントツに出生率が多く、600〜800人に1人の割合と言われています。ダウン症の赤ちゃんの代表的な特徴は、以下の通りです。

  • ・小さな顔
  • ・扁平な鼻
  • ・つり目
  • ・首の背面の肥厚
  • ・全身の筋力低下
  • ・指が短い
  • ・低身長
  • ・偏食

すべてにダウン症の赤ちゃんに当てはまるとは限らないので、注意しましょう。

生まれる前からダウン症かどうか調べられる検査がある

ダウン症の診断は、通常は妊婦健診時に胎児がある程度大きくなった妊娠11週目以降で行われます。
具体的には、超音波検査(エコー検査)と羊水検査が行われます。最初に超音波検査で以下の所見を確認します。

  • ・後頭部から首のうしろにかけてのむくみ
  • ・鼻軟骨の成長度合い
  • ・心臓の血流の逆流

超音波検査でこれらの所見が疑われた場合、希望があれば羊水検査を行い、確定診断します。

羊水検査は妊娠15週目以降に実施できる検査です。エコー画像を頼りに、胎児に当たらないように母体腹部に注射針を刺し、羊水を採取します。採取した羊水には胎児の細胞が含まれているため、染色体や遺伝子の異常を確認できる精度の高い検査です。
ただし、羊水検査は流産を併発するリスクのある検査です。そのため安易に希望せず、リスクも夫婦で話し合い受けるようにしましょう。平均的な費用は10〜12万円程度です。

このように、妊婦健診時にエコーでダウン症が発覚するケースもありますが
2013年からNIPT(新型出生前診断)が実施されるようになり、妊娠9週以降の妊婦さんの採血だけで90%以上の確率でダウン症の有無がわかるようになりました。
NIPTを受けられる時期は医療機関によって異なりますが、ミネルバクリニックでは最短妊娠6週で受けていただくことができます。
また、ミネルバクリニックの「スーパーNIPT」ならダウン症の陽性的中率は100%です。

妊婦さんの採血だけで検査を受けられるので、羊水検査や絨毛検査のように検査による流産のリスクはありません。
お腹の赤ちゃんの染色体異常を調べたいという方は、ぜひご相談ください。

 

【診断】ダウン症の診断を受ける赤ちゃんの3つの特徴

ダウン症の赤ちゃん

ダウン症かどうかは産婦人科などの専門機関で行われる精密検査をしないと分かりません。つまり自宅でダウン症かもしれないと悩んでいても答えは出ないということですね。

ダウン症と診断を受ける赤ちゃんには3つの特徴があります。この章では、これら3つの特徴を専門知識がなくても分かるように説明します。ぜひご覧ください。

 

1. 頭の大きさ

ダウン症の可能性がある赤ちゃんの頭は、通常の胎児と比べて大きい傾向にあります。

具体的には、以下の2つを計測します。

  • 頭蓋骨の横幅:BPD(Biparietal Diameter)
  • 頭蓋骨の縦幅:FOD(Front Occipital Diameter)

これらの測定結果と平均的な赤ちゃんの頭位を比較して、大きい場合はダウン症の可能性が疑われます。

 

2. 体重

ダウン症の赤ちゃんの出生時体重は、通常の子供よりも軽い傾向にあります。つまり低出生体重児や未熟児と言われる大きさで産まれる可能性があります。

ただし公的機関による統計データはないため、あくまで参考程度にしましょう。

 

3.むくみ

エコー画像から分かるダウン症の胎児の最もメジャーな所見は、NTと言われる後頭部から首にかけてのむくみです。エコー検査(超音波検査)で胎児を横から見た際にNT値がむくんでいるのが確認できたらダウン症の疑いが出てきます。

エコー画像とは超音波を出すプルーブという機械をお腹に当てて胎児の姿を映し出す検査です。レントゲン検査とは違い被曝のリスクがなく、母子への悪影響のない安全な検査なので、安心して受けてください。

エコー検査にて所見が認められた場合、NIPT(新型出生前診断)や羊水検査を行って確定診断する流れになります。

ダウン症の代表的な3つの合併症

ダウン症は合併症を併発して産まれてくる可能性が高い先天性疾患です。程度は軽度から重度まで様々です。

そこでこの章では、ダウン症の代表的な合併症についてお伝えします。

 

1. 心疾患

ダウン症の赤ちゃんの合併症で最も多い心疾患は、出生数の約50%が合併していると言われています。

具体的な心疾患は、以下の通りです。

  • ・心室中隔欠損症
  • ・心内膜欠損
  • ・共動脈管開存

一口に心疾患といっても症状は様々です。低酸素状態や多呼吸などの呼吸不全症状が出たり、心臓が疲れてしまう心不全症状が現れたりします。治療には手術や長期的な入院が強いられるため、社会的・経済的な支援や協力が必須になるでしょう。

※参考資料

東京女子医科大学附属 日本心臓血圧研究所 循環器小児科(名 誉教授) 門間和夫/ダウン症に合併する先天性 心疾患の病型と頻度

 

2. 消化器疾患

心疾患の次に多い合併症が、消化器疾患です。消化器疾患を合併すると、栄養吸収や排便など通常の消化管機能が不完全であるため、入院・治療が必要なケースがほとんどです。

具体的な消化器疾患は、以下の通りです。

  • ・食道や十二指腸閉塞・狭窄症
  • ・ヒルシュスプリング病(腸管の神経異常)
  • ・セリアック病(栄養吸収能力が弱い)
  • 腸管が閉塞していると開通手術が行われます。術後も経管チューブによる栄養剤の注入などで長期的な管理が必要です。これら消化器疾患は出生前のエコー検査では診断が難しいため、出生後に発覚します。

     

    3. 精神疾患

    症状は軽度から重度まで様々ですが、精神遅滞などの知的障害を伴うこともあります。

    具体的には、以下の症状が現れます。

    • ・注意力散漫
    • ・多動症
    • ・自閉症

    同年代の赤ちゃんと比較して発達が遅れます。しかし、ゆっくりと本人のペースで成長・発達はできるので、安心してください。また学童になると通常の学校に加えて養護学校という選択もできるため、赤ちゃんに合わせた成長・発達過程が歩めるでしょう。

    ダウン症の赤ちゃんが利用できる5つのサポート制度

    ダウン症の赤ちゃんを育てる上に不安なのが経済的負担や社会的なサポートではないでしょうか?

    合併症があれば継続的に通院費がかかるでしょう。その他、治療や育児で片時も目が離せないなら仕事に出て生活費を稼ぐことも難しいかもしれません。

    ダウン症の赤ちゃんにかかる負担の軽減を目的にしたサポート制度があるため紹介します。

    必要である時にサポートを受けられるためにも、事前に学習しておきましょう。

    1. 療育手帳

    療育手帳とは、児童相談所(18歳未満)または知的障害者更生相談所(18歳以上)から知的障害の認定を受けた人もしくはその両親が申請できる手帳です。

    支援内容は国のガイドラインに沿って都道府県が設定しており、主に生活や就職のサポートなどの社会的な支援が受けられます。

    代表的な支援として、以下のようなものがあります。

  • ・医療費の助成
  • ・公共交通機関の料金免除
  • ・障害者求人
  • これら支援・サービスを活用することで、ダウン症があったとしても社会的に生活しやすい環境を作ることができるでしょう。

    ※参考資料:厚生労働省/障害者手帳

     

    2. 身体障害者手帳

    身体障害者手帳とは、国の決めた水準よりも身体機能が弱い方に交付される手帳です。身体障害者福祉法に基づき都道府県が交付を行います。原則、一度交付されれば追加申請は不要です。しかし、身体機能に変化があった際は再認定が必要になるでしょう。

    具体的な身体障害の所見は、以下の通りです。

  • ・視覚・聴覚障害
  • ・肢体不自由
  • ・心臓や消化器の障害や疾患など
  • 障害の程度が重たい1等級から比較的軽い6等級まで設けられています。(7級の認定は、7級の障害が2つ以上あったり、7級の障害が6級以上の障害と合併していたりする場合に交付されます)。

    身体障害者手帳で受けられる社会的なサポートは、以下の通りです。

    • ・障害者雇用
    • ・医療費の助成
    • ・一部税金の控除・非課税
    • ・補助具・福祉用具・改修費の助成
    • ・公共交通の利用料の減額
    • ・保育園入園時の加点(入園がしやすい)

    これらの経済的なサポートを受けることもできます。

    ※参考資料

    厚生労働省/障害者手帳

    厚生労働省/身体障害者障害程度等級表(身体障害者福祉法施行規則別表第5号)

    3. 特別児童扶養手当

    特別児童扶養手当とは、身体・知的障害を抱える20歳未満の児を育てる保護者に対して支給される手当です。具体的な支給金額は、以下の表をご覧ください。

    扶養親族等の数 受給資格者本人 受給資格者の配偶者及び扶養義務者
    所得額(※1) 参考:収入額の目安(※2) 所得額(※1) 参考:収入額の目安(※2)
    0 4,596,000 6,420,000 6,287,000 8,319,000
    1 4,976,000 6,862,000 6,536,000 8,586,000
    2 5,356,000 7,284,000 6,749,000 8,799,000
    3 5,736,000 7,707,000 6,962,000 9,012,000
    4 6,116,000 8,129,000 7,175,000 9,225,000
    5 6,496,000 8,546,000 7,388,000 9,438,000

    通院・治療費や生活費など経済的な負担を軽減するための制度になります。両親の所得に応じて支給金額や支給の有無が決められます。詳しくはお住まいの市区町村に問い合わせましょう。

    参考資料:厚生労働省/特別児童扶養手当

     

    5. 小児慢性疾患医療助成制度

    小児慢性疾患医療助成制度とは、医療費負担が大きくなる可能性のある小児慢性疾患に対して、治療費の軽減を目的にした制度です。

    ダウン症の赤ちゃんで該当する具体的な状況として、以下が考えられます。

  • ・心疾患
  • ・消化器疾患
  • ・呼吸器疾患
  • これら合併症のあるダウン症の児で、長期的な治療が必要になるなら申請をしましょう。

    ※参考資料:小児慢性特定疾患情報センター

    まとめ: 家族で話し合い出産を決めよう

    ダウン症候群のお子さんとご両親

    ダウン症の児を産む人の特徴や診断のための所見などについて解説しました。

    赤ちゃんがダウン症になる可能性は誰にでもあります。そしてダウン症の赤ちゃんを産む人かどうかがわかる、絶対的な特徴はないことも分かりました。
    ご自身がダウン症を産む妊婦の特徴に当てはまっていると感じる方は、出生前診断としてNIPTをはじめ、エコー画像や羊水検査で精査ができます。

    重要なのは精査をしてダウン症と分かった後です。
    障害を抱えて産まれてきた子どもを育てるのは、経済的・社会的にも苦労することが多いでしょう。しかし、社会的なサポート制度を上手に活用しながらダウン症の児のペースで成長・発達を見守ることもできます。

    夫婦で出産後の育児や生活について話し合い、出産を決めましょう。

    プロフィール

    この記事の筆者:仲田洋美(医師)

    ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

    仲田洋美のプロフィールはこちら

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