目次
NIPT陽性で羊水検査なしの中絶は可能?確定診断しないリスクと偽陽性の真実
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羊水検査なしで中絶できる? → 法律上は可能ですが、医学的には「偽陽性(赤ちゃんは正常)」のリスクがあるため強く推奨されません。 -
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確定診断しないリスク → 年齢別の陽性的中率データを公開。「NIPT陽性=確定」という誤解が招く悲しい現実について。 -
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ミネルバのトリプルリスクヘッジ → ①費用全額補助(互助会)、②院内での迅速検査(2025年6月~)、③専門医の精神的サポートで、確定検査のハードルを下げています。 -
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微細欠失と父方リスク → 従来の70%台から>99.9%へ精度が向上したCOATE法(ダイヤモンドプラン)による、症候性自閉症の検出について。 -
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新しい安心保証 → 結果が出ず再検査が必要になったが、流産により再検査ができなくなった場合の全額返金制度について。
NIPT(新型出生前診断)の結果が「陽性(Positive)」だった時。頭が真っ白になり、言葉を失うのは当然のことです。「まさか自分が」「どうして」という混乱の中で、インターネットを検索し、「羊水検査(確定検査)を受けずに、このまま中絶手術を受けられないか」と考える方が少なからずいらっしゃいます。
「お腹に針を刺すのが怖い」「結果が出るまでの数週間が地獄のように長い」「もし中絶するなら、1日でも早く、身体への負担が軽い時期に終わらせたい」……そのお気持ちは、痛いほど理解できます。
しかし、NIPTの結果だけで重大な決断を下すことは、医学的におすすめできません。なぜなら、NIPTはあくまで「スクリーニング検査」であり、確定診断ではないからです。
わかりやすく言えば、「がん検診(健康診断)」と同じです。
検診のレントゲンで「影がある(要精密検査)」と言われても、いきなり手術をする人はいませんよね?まずは精密検査をして、本当に病気なのか、それとも良性のものなのかを確かめるはずです。
NIPTも同様に、「陽性」が出ても、それが本当に赤ちゃんに影響があるのかどうかは、確定検査(羊水検査)をしてみなければわからないのです。
1. NIPT陽性で羊水検査なしの中絶は「可能」か?
まず、法的な結論から申し上げます。
結論:法律上は「可能」です。
母体保護法には「どのような検査に基づいて中絶を行うか」という規定はありません。したがって、NIPTの結果のみをもって中絶手術を行う医療機関が存在すれば、手術自体は成立します。
しかし、医学的・倫理的には「絶対に推奨されない行為」であり、まともな医療機関であれば、確定診断なしの中絶手術は引き受けないのが通常です。
なぜなら、NIPTはあくまで「スクリーニング検査(可能性を振るい分ける検査)」であり、「診断(病気を確定させる検査)」ではないからです。ここには「偽陽性(ぎようせい)」という、決して無視できないリスクが存在します。
💡 用語解説 偽陽性(False Positive)
NIPT検査で「陽性(異常あり)」と判定されたにもかかわらず、実際のお腹の赤ちゃんは「正常(染色体異常なし)」であること。NIPTは胎盤由来のDNAを調べているため、胎児と胎盤のDNAが異なる場合(胎盤性モザイク)などに発生します。
2. 数字で見る「確定診断なし」の危険性
「NIPTの精度は99.9%」という宣伝文句をよく見かけますが、これは「陰性だった場合に本当に陰性である確率(陰性的中率)」の話です。「陽性だった場合に本当に陽性である確率(陽性的中率)」は、妊婦さんの年齢によって大きく異なります。
以下は、年齢別の21トリソミー(ダウン症候群)における陽性的中率の目安です。
📊 年齢別・NIPT陽性的中率(21トリソミー)
※確率は一般的な目安であり、検査機関や個人の条件により異なります。
30歳の方の場合、NIPTで陽性と出ても、約4割は「実は赤ちゃんは健康」なのです。もし、羊水検査(確定診断)をせずに中絶してしまったら、40%の確率で、お腹の赤ちゃんは染色体異常を持っていなかった(偽陽性だった)ということになります。
この事実はあまりにも重いものです。だからこそ、私たち専門医は、皆様に「正しい知識」を持っていただきたいと強く願っています。
最終的な決断を下すのは、もちろんご本人です。しかし、その決断が「知らなかった」ことによる後悔に繋がらないよう、まずは確定診断で「真実」を確認してから、納得のいく答えを出していただきたいのです。
3. 実際の体験談・事例
実際に当院へ相談に来られた方の中にも、「どうしても待てない」「針が怖い」と苦悩された方がいらっしゃいます。それぞれの決断と経過を、プライバシーに配慮した形でご紹介します。
羊水検査まで待てない
「1日でも早く終わらせたい」と追い詰められた患者様。なぜ待つ必要があるのか、その期間をどう支えたか。
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2つの検査で陽性
複数のスクリーニング検査で陽性となったケース。それでも確定診断が必要だった医学的理由とは。
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赤ちゃんのむくみ(NT)
エコーでNT(むくみ)を指摘され、NIPTも陽性に。画像所見と遺伝子検査の結果の解釈について。
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4. ミネルバクリニックの「トリプルリスクヘッジ」
「羊水検査を受けたくない」と思う理由の多くは、「費用が高い」「結果が出るまで時間がかかる」「怖い」という3点に集約されます。
ミネルバクリニックでは、これらの不安を徹底的に解消し、安心して確定検査に進んでいただけるよう、独自の「トリプルリスクヘッジ」体制を構築しました。
① 金銭的リスクヘッジ(互助会)
検査時に「羊水検査互助会」(会費8,000円・非課税)にご加入いただくことで、万が一陽性の場合の羊水検査費用を、上限15万円(税込16万5千円)まで当院が全額負担します。今は上限額撤廃により、実質的にほぼ全てのケースで自己負担ゼロで確定検査を受けられます。
② 時間的リスクヘッジ(院内完結)
ミネルバクリニックは非認証施設で唯一、2025年6月より産婦人科を併設し、確定検査(羊水・絨毛検査)を自院で行えるようになりました。「他院を紹介されて予約を取り直す」というタイムロスがありません。さらに、迅速な検査体制により、最短3日で結果をお届けします(マイクロアレイを除く)。
③ 心理的リスクヘッジ(専門医)
転院先で「また一から説明する」苦痛はありません。臨床遺伝専門医である院長が、検査前から検査後、そして羊水検査に至るまで、一貫してあなたをサポートします。事務的な対応ではなく、一人の人間として、あなたの心に寄り添い続けます。
5. 微細欠失と父方リスク(COATE法の優位性)
ダウン症だけでなく、「微細欠失症候群」や「重篤な症候性自閉症」のリスクも懸念される場合、検査の精度はさらに重要になります。ミネルバクリニックの「ダイヤモンドプラン」は、従来の常識を覆す精度を実現しています。
💎 ミネルバ独自「COATE法」の実力
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微細欠失の的中率 >99.9%
従来のターゲット法では70%台だった微細欠失症候群の陽性的中率が、COATE法により劇的に向上。偽陽性への不安を極限まで減らしました。 -
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父方由来の「新生突然変異」もカバー
精子の老化(細胞分裂のコピーミス)に起因する56遺伝子の変異をスクリーニング。これには重い身体症状を伴う「症候性自閉症」の原因遺伝子も多数含まれます。
(図:父親由来の遺伝子変異が子へ伝わるイメージ)
6. 院長からのメッセージ:最後に
陽性という結果を受け取ったとき、人は誰でもパニックになります。
「早く楽になりたい」「この不安から逃げ出したい」と思うのは、あなたが弱いからではありません。
しかし、羊水検査の結果が出るまでの数週間、苦しみながらお腹を撫で続けた時間は、決して無駄にはなりません。
もし結果が偽陽性(シロ)だったら、その子はあなたの手で守られた命になります。
もし結果が真の陽性(クロ)だったとしても、「きちんと調べて、赤ちゃんと向き合った」という事実は、その後の人生を生きていく上で、あなたの心を支える大きな柱になります。
ミネルバクリニックは、その苦しい時間に、決してあなたを一人にはしません。
どんな結果であれ、私たちが全力で支えます。
よくある質問(FAQ)
🏥 臨床遺伝専門医へのご相談
NIPT陽性、羊水検査への不安、中絶の悩み。
一人で抱え込まず、専門医が常駐するミネルバクリニックへご相談ください。
参考文献
- [1] Snijders RJ, et al. Maternal age- and gestation-specific risk for trisomy 21. Ultrasound Obstet Gynecol. 1999. [PubMed]
- [2] American College of Obstetricians and Gynecologists (ACOG). Practice Bulletin No. 226: Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities. 2020. [PubMed]
- [3] Kong A, et al. Rate of de novo mutations and the importance of father’s age to disease risk. Nature. 2012. [PubMed]
- [4] ミネルバクリニック NIPTトップページ minerva-clinic.or.jp/nipt/

