目次
- ➤ トリプルマーカーテストは3種類の血清マーカーを測定する出生前診断です
- ➤ 妊娠15~18週に実施し、ダウン症候群や18トリソミー、開放性神経管欠損症のリスクを評価
- ➤ スクリーニング検査のため確定診断ではなく、偽陽性や偽陰性の可能性があります
- ➤ 比較的安価で実績のある検査法ですが、NIPTより精度は劣ります
トリプルマーカーテストとNIPTの違いとは?検査内容を徹底比較
出生前診断の2つの選択肢を専門医が詳しく比較解説します
妊娠中の出生前診断として、多くの妊婦さんがその選択肢について悩まれることと思います。トリプルマーカーテストは、母体血を用いたスクリーニング検査の一つとして、長年にわたり多くの妊婦さんに利用されてきました。
この記事では、トリプルマーカーテストの基本的な仕組みから、検査でわかること、検査の精度、費用、そして他の検査との違いまで、臨床遺伝専門医の監修のもと詳しく解説いたします。
トリプルマーカーテストとは
トリプルマーカーテストは、妊娠中の母体血中に含まれる3種類の血清マーカー(生化学的マーカー)を測定することにより、胎児の染色体異常や神経管欠損症のリスクを評価する出生前診断です。1984年にイギリスで開始されて以来、世界中で広く使用されている検査方法です。
測定される3つのマーカー
胎児肝臓や卵黄嚢で産生されるタンパク質。開放性神経管欠損症の場合に高値となります。
胎盤で産生されるホルモン。ダウン症候群で高値、18トリソミーで低値となる傾向があります。
胎児副腎と胎盤で産生される女性ホルモン。ダウン症候群や18トリソミーで低値となります。
検査で分かること
トリプルマーカーテストでは、3つの主要な疾患のリスクを評価することができます。ただし、これらはあくまでリスクの評価であり、確定診断ではありません。
対象疾患
- 1 ダウン症候群(21トリソミー):21番染色体が1本多い染色体異常。知的障害や特徴的な顔貌、先天性心疾患などを呈する
- 2 18トリソミー(エドワーズ症候群):18番染色体が1本多い染色体異常。重篤な知的障害や多発奇形を呈し、生命予後は不良
- 3 開放性神経管欠損症:二分脊椎や無脳症など、神経管の発達異常による先天性疾患
検査の実施時期と方法
検査時期
トリプルマーカーテストは妊娠15週0日~18週6日の期間に実施します。この時期が選ばれる理由は、3つのマーカーの値が安定し、正確な測定が可能になるためです。
検査方法
検査は通常の血液検査と同様に、母体から約5-10mlの静脈血を採血するだけです。侵襲的な処置は一切必要なく、母体と胎児への直接的なリスクはありません。
検査の精度と限界
検出精度
トリプルマーカーテストの検出精度は疾患により異なりますが、一般的には以下の通りです:
- ★ スクリーニング検査:確定診断ではなく、偽陽性や偽陰性の可能性がある
- ★ 感度の限界:約85%程度の感度で、異常があっても検出できない場合がある
- ★ 対象疾患の制限:全ての先天性異常を検出することはできない
- ★ 専門的解釈:結果の解釈には専門的な知識が必要
費用と保険適用
トリプルマーカーテストは自費診療となり、健康保険の適用外です。費用は医療機関により異なりますが、一般的に以下の範囲です:
他の検査との比較
NIPTとの比較
トリプルマーカーテストの利点
NIPTと比較して費用が安く、経済的な負担が少ない検査です。
NIPTでは検査できない開放性神経管欠損症の評価が可能です。
胎児の染色体異常のリスクを早期に発見でき、適切な対策を講じることが可能です。
長年にわたって利用されてきた実績のある検査方法で、特徴や限界についても十分に研究されています。
トリプルマーカーテストを受ける際の注意事項
検査前の準備
- ✓ 検査の目的と意義を十分に理解する
- ✓ 妊娠経過や既往歴、家族歴を正確に伝える
- ✓ 糖尿病などの既往症について医師に相談
- ✓ 食事制限の有無を医療機関に確認
- ✓ 体調を整えて受診する
医療機関の選び方
トリプルマーカーテストを受ける医療機関を選ぶ際には、まず出生前診断に関する専門知識を持った医師が在籍している施設を選択することが重要です。日本では多くのクリニックや病院でこの検査が実施されていますが、結果の解釈や遺伝カウンセリングの提供体制には差があります。
- ★ 専門医の在籍:出生前診断の専門知識を持つ医師
- ★ カウンセリング体制:遺伝カウンセリングの提供
- ★ フォローアップ:検査後のサポート体制
- ★ アクセス:通いやすい立地
- ★ 緊急時対応:連絡体制の確認
よくある質問(FAQ)
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