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NIPTを受けない選択。その理由や受けた後悔について

女性の社会進出に伴い晩婚化が進み、高齢出産が増えていることからNIPTを受ける妊婦さんは年々増加の傾向にあります。
その一方で、2023年にミネルバクリニックが行った独自調査では、NIPTを受けている人は全体のおよそ2割程度であったことがわかっています。
ではなぜ多くの人がNIPTを受けない道を選ぶのでしょうか?

そこで今回は、NIPTを受けない選択をする理由や実際にNIPTを受けた人の後悔についてご紹介します。NIPTを受けるかどうか悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。

NIPTを受けない判断をした人の声

NIPTを受けない判断をした人の実際の声はどんなものがあるのでしょうか?
まずは、出生前検査認証制度等運営委員会に寄せられた「NIPTを受けない」判断をした人の声を紹介します。

パートナーと、受けるかどうか、そのメリットデメリットについて検討しましたが、費用や流産等のリスクが大きいため受けないことにしました。 障害児であってもさまざまな支援体制があることは知っていたし、中絶するという選択肢はなかったので、出産時に適切な対応ができるというメリットと前述のデメリットを比較しました。
(37歳1人目出産)

次にミネルバクリニックに寄せられた「NIPTを受けない」判断をした人の声を紹介します。

NIPTを受けるか迷いミネルバクリニックの事前カウンセリングを受けました。結局、NIPTを受けない決断をしたのですが、出産するまでずっと不安でした。

今回はたまたま二人とも先天性疾患がなかったから良かったけど、もしかしたらと思うと受けておいたほうが良かったと思います。やっぱり事前に知っておけば夫婦二人で相談した上で決断ができますし、生む決意をすればそれだけ早く子どもへのサポートの準備もできます。(39歳双子出産)

NIPTを受けるか迷いミネルバクリニックの事前カウンセリングを受けました。
もし陽性だとしても、偽陽性といって実は陰性の可能性もあるからNIPTだけで確定はできないと言われたことが引っかかり、検査は受けませんでした。(34歳)

さらに詳しくはこちらをご覧ください。

NIPTを受けないと判断をした人は、NIPTのメリット・デメリットをしっかり検討した上で決断しています。

NIPTを受けて後悔した人の声

次に、ミネルバクリニックに寄せられた「NIPTを受けて後悔した」人の声をご紹介します。

妊娠11週の時の妊婦健診でダウン症を疑われNIPTを受けることにしました。NIPTの結果は陽性で、その後確定検査も受けましたが、それでも結果は陽性でした。

検査結果が出る前は、陽性だった時は中絶しようと夫と決めていましたが、いざ陽性結果を知って気持ちが揺らぎました。最終的には夫の言う通り中絶することに決めました。子どもを中絶した後は罪悪感に襲われ今でも中絶したことを責めてしまいます。「NIPTを受けなければ・・・」と思う時もあります。(34歳)

妊婦健診で産婦人科の先生にクワトロテストを勧められ受けました。「ダウン症の確率が35%」とい言う結果だったので、NIPTを受けたところ結果は陽性でした。ミネルバクリニックの沖田先生からは羊水検査を勧められたのですが、言うことを聞かずに中絶を選んでしまったのです。

手術を受けた後はなぜか涙が止まりませんでした。どこかで罪悪感があったのかもしれません。

気になって改めて調べてみるとダウン症の人を受け入れる環境は昔よりも整っていて、地域によっては普通学級に通えるところもあると知りました。正しい情報を知らずに安易に受けてしまったことを今でも後悔しています。(32歳)

さらに詳しくはこちらをご覧ください。

NIPTを受けて結果が陽性だったことで中絶を選んだ人の中には、NIPTを受けたこと自体を後悔している人がいます。NIPTの事前カウンセリングの際に、もし結果が陽性だった時のことも想定して検査を受けるかどうか医師や家族としっかり相談して検査を受けるかどうか決めていきましょう。

NIPTを受けるメリット

NIPTを受けるかどうかを判断するためには、NIPTのメリット・デメリットを理解しておくことは大切です。そこで、この章ではNIPTを受けるメリットについて紹介します。

妊婦さんの不安が和らぐ

妊婦さんなら誰しも、赤ちゃんが無事健康に生まれてくるかを心配するものです。
出生前診断は、妊娠中から赤ちゃんの状態を知ることができます。生まれる前から赤ちゃんの状態を事前に知っておくことで妊婦さんの不安が和らぐでしょう。

出生前検査を受けて、出産の前に赤ちゃんの状態を知っておくことで不安が1つ解消されるのはメリットの1つと言えます。

出産後の生活に備えて準備ができる

NIPTを受けた人の中には、ダウン症の子どもたちをサポートする環境や、受けられる支援をもっと事前に正しく理解しておく必要があったと感じている人もいましたね。

万が一NIPTの結果が陽性であったとしても、妊娠中から出産後の生活の準備ができるようになります。
どんな支援が受けられるのか、どんな環境を整えるべきなのか、赤ちゃんの状態によっては体制の整った分娩施設を事前に選ぶことも可能です。

赤ちゃんの異常が見つかり、産むという選択をしてから正しい知識を得て、出産後の生活に備え準備ができるのもメリットのうちの1つです。

NIPTを受けるデメリット

NIPTを受けて後悔した人の声の中にもあったように、赤ちゃんの状態を知ることにより、かえって迷ったり混乱し「検査を受けなければよかった」という後悔につながることもあります。

そこで今度は、NIPTを受けるデメリットについて紹介します。

厳しい選択を迫られる

NIPTを受けて陽性だった場合、まず羊水検査を受けるかどうかを決めなければなりません。羊水検査は、侵襲を伴い流産のリスクがあるのも事実です。
羊水検査は妊娠15週まで受けられません。もし中絶の選択をするにしても、検査実施時期が遅いと、妊娠22週目までに数週間で決断しないといけません。

また、個人差はありますが20週前後には胎動を感じる人が多く、赤ちゃんが生きようしていることを強く実感します。そんな中で決断をしなければならないのは、大変な精神的苦痛を伴うでしょう。
夫婦でしっかり話し合って決めたことであれ、中絶をしたことがのちの後悔や精神的負担につながっているケースがあるのも事実です。

NIPTを受けて結果が陽性であった場合、厳しい選択を迫られるということは理解しておきましょう。

すべての異常がわかるわけではない

NIPTは、赤ちゃんのすべての病気が分かるわけではありません。NIPTで陰性だったのに、検査項目に含まれない病気が発覚するケースはもちろんあります。

つまり、NIPTを受けたとしてもすべての異常がわかるわけではないことも理解しておきましょう。
さらによりくわしく出生前診断を知りたい方はこちらをご覧ください。

NIPTを受けない代わりに受けられる検査

たとえNIPTを受けなかったとしても、妊婦健診やそのほかの出生前診断で赤ちゃんの状態を把握することは可能です。
この章では、赤ちゃんの状態を調べられる、妊婦健診とその他の出生前診断について解説します。

妊婦健診 

妊婦健診は、妊婦であれば誰でも受けられる健診です。妊婦健診では、定期的に超音波検査で赤ちゃんの状態を確認し、それぞれの時期で赤ちゃんの身体に異常がないかのスクリーニングも行います。

NIPTを受ける人の中には、妊婦健診の時の超音波検査で赤ちゃんの異常所見を指摘されて受けに来る方もいらっしゃいます。

ほかの出生前診断

NIPT以外の出生前診断は、以下の5つです。

  • 超音波検査
  • コンバインド検査
  • クワトロテスト(母体血清マーカー検査)
  • 絨毛検査
  • 羊水検査
非確定的検査 確定的検査
コンバインド検査 母体血清
マーカー検査
NIPT 絨毛検査 羊水検査
実施可能時期 妊娠11−13週 妊娠15-18週 妊娠9−10週以降 妊娠11−14週 妊娠15−16週以降
21トリソミーの検出率 80% 80% 99% 99.9% 99.9%

それぞれ実施できる時期が異なり、検査感度も違います。確定的検査の検査感度は非常に高い一方で、赤ちゃんへの侵襲がある検査になるため、これもメリット・デメリットを踏まえた上で受けるかどうか判断が必要です。

その他の出生前診断について、もっとくわしく知りたい方は、こちらをご覧ください。

まとめ

出生前診断は、万が一陽性だった場合厳しい選択を迫られることは十分に理解しておきましょう。
NIPTを受けて後悔している人は、結果が陽性で中絶を選択した人です。どんな選択をしたとしても、家族としっかり話し合って決断したのであれば、間違いではありません。

NIPTを受けたことを後悔しないためにも、NIPTを受ける前には専門的知識を持った遺伝カウンセラーによる遺伝カウンセリングを受けることをおすすめします。

ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医である院長自らが遺伝カウンセリングを行い、不安な気持ちを抱えている妊婦さんやその家族に寄り添ったサポートをしていきます。
NIPTを受けるかどうか迷っている人は、ぜひお気軽にご相談ください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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