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NIPT陽性・18トリソミーで悩む方へ|羊水検査をしない選択とエコー

NIPT陽性・18トリソミーで悩む方へ|羊水検査をしない選択とエコー

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

のべ10万人以上の意思決定に伴走。2025年国際誌『Global Woman Leader』表紙抜擢など、世界基準の出生前診断と遺伝カウンセリングを提供。

18トリソミー陽性…羊水検査なしで初期決断した事例とエコー

NIPT(新型出生前診断)で18トリソミー陽性の結果を受け取り、どうしていいか分からず途方に暮れている妊婦様へ。確定診断のための羊水検査を待つべきか、身体的・精神的な負担をどう乗り越えるべきか、臨床遺伝専門医の視点から「あなた自身の人生を守るための選択肢」をお伝えします。

この記事でわかること
📖 読了時間:約10分
🧬 18トリソミー・NIPT陽性後の選択
臨床遺伝専門医監修

Q. NIPTで陽性になったら、絶対に羊水検査を受けなければいけませんか?

A. 決して義務ではありません。
NIPTは確定診断ではないため、通常は羊水検査が推奨されます。しかし、中絶の意思が固く、エコー検査で明確な異常所見が確認できた場合には、羊水検査を待たずに初期中絶を決断するという選択肢も存在します。ご夫婦の意思と母体の健康を守ることが最優先です。

  • 羊水検査の壁 → リミットまで待つ精神的・肉体的苦痛
  • エコーの重要性 → NIPT陽性+エコー所見で判断材料を補強
  • 初期と中期の負担差 → 女性の心身を守るという視点
  • 専門医の伴走 → どんな選択も「あなたにとっての正解」にする

1. NIPTで18トリソミー陽性。羊水検査の強制という「壁」と孤独

初めての赤ちゃんを授かり、ドキドキしながらNIPTの結果を待っていたところに「陽性」の通知。しかも18トリソミーという重篤な疾患であった場合、ご夫婦が受けるショックは計り知れません。悲しみの中で、次に立ちはだかるのが「羊水検査」という大きな壁です。

NIPTはあくまでスクリーニング(非確定検査)であるため、異常を確定させるには妊娠16週以降に行われる羊水検査まで待たなければならないのが一般的な医療のルールとされています。

💡 用語解説:18トリソミー(エドワーズ症候群)とは

18番目の染色体が通常より1本多い(3本ある)染色体異数性疾患です。心疾患などの重度な合併症を伴うことが多く、お腹の中で亡くなってしまう(流産・死産)確率も高い疾患です。出生できた場合でも予後が厳しく、ご家族にとって非常に重い決断を迫られることになります。

「中絶するなら羊水検査を」と強要される現実

多くの場合、かかりつけの産婦人科で「NIPTが陽性だったので中絶したい」と伝えると、医師から羊水検査を受けるよう殆ど強制されてしまいます。手術の鍵を握る医師から義務のように言われ、断れる妊婦さんがどれくらいいるでしょうか。

日本では「今は産みたくない」という理由では簡単に初期中絶ができるのに、お子さんの重篤な疾患を理由とした場合に限り、結果が出るまでに数週間もかかる羊水検査を強要されるという矛盾があります。これでは、中絶リミットである21週近くまで、お母様は肉体的にも精神的にも一番つらい状況に置かれてしまいます。

しかし、決して一人で抱え込まず、ご自身の心身を守る選択を模索することは間違っていません。当院では、女性を擁護したいという強い思いから、状況に応じた別の選択肢をご提案しています。

2. 羊水検査を待たず「エコー所見」で初期中絶を決断されたAさんご夫妻の事例

初めてのお子さんを授かり、当院でNIPTを受けられたAさんご夫妻。結果は18トリソミー陽性でした。当院では陽性になった場合、必ず遺伝専門医によるカウンセリングを行っています。

ハイスペックなエコーで明確な異常所見を確認

Aさんご夫妻がお越しになった際、まずは当院のハイスペック超音波検査装置を用いてエコー検査を実施しました。その結果、18トリソミーの胎児によく見られる特異的な超音波異常所見がはっきりと認められました。

ご夫妻のお気持ちを伺うと「NIPTの的中率が高く、エコーでも異常があるのなら、羊水検査は行わず早い段階で中絶したい」という強いご意向でした。

ご本人の意思を尊重し、次へのチャンスを広げる

当院では妊娠9週からNIPTを実施しており、結果は10~14日(11週頃)には判明します。この段階であれば、まだ「初期中絶」が可能な時期です。

羊水検査を待てば結果が出る21週近くまで肉体的・精神的な苦痛に耐えなければなりません。しかし、初期での処置を選択できれば、母体の負担を最小限に抑える初期の段階でのご決断となり、身体の回復も早くなります。

私たちは、十分に説明を行いご納得いただいた上で、このお子さんは早くあきらめ、女性の心身を守り次のお子さんを授かるチャンスを広げる方向へ舵を切るという、お二人の希望を尊重することにしました。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【女性を擁護したい—あなた自身の選択を】

お腹の中で育つ命を感じながら、リミットの21週近くまで絶望の中で結果を待つ。その精神的・肉体的な苦痛は計り知れません。私は長年、多くの患者様と向き合う中で、一律に羊水検査を強制する日本の医療のあり方に強い疑問を感じてきました。

その人生を生きなければならないのは、医療者ではなくご本人です。「今は産めない」という決断も立派な親の愛情であり、責任です。私は臨床遺伝専門医として、世間の一般論ではなく、あなたとご家族が望む最善を全力でサポートする医師でありたいと願っています。

3. NIPT陽性後の「ハイスペックなエコー検査」が持つ重要な意味とは?

もちろん、超音波検査だけでは染色体異常の確定診断にはならないことは医学的な事実です。しかし、NIPTの陽性結果と組み合わせることで、極めて重要な判断材料となります。

点と点が繋がり、確信に変わる瞬間

当院が導入しているような最新のハイスペックエコーでは、胎児の心臓の構造、首のむくみ(NT)、手足の特徴など、18トリソミー特有の形態異常を早期に捉えることが可能です。NIPT陽性という結果とエコーでの特異的な異常所見の合致は、偶然起こるものではありません。

的中率の低い疾患(微細欠失など)に関しては、やはり確定検査である羊水検査を強くお勧めします。しかし、18トリソミーのようにNIPTの的中率が比較的高く、かつエコーで複数の明らかな異常所見が確認できた場合、それは医学的根拠をもとにした自己決定の強力なサポートとなります。

4. 初期と中期における身体的・精神的負担の違いとタイムリミット

ここでどうしても知っておいていただきたいのが、中絶手術の「時期」による負担の劇的な違いです。

初期中絶(妊娠11週6日まで)

吸引法や掻爬(そうは)法によって行われ、通常は日帰りで完了します。初期中絶は母体への負担が少なく費用も抑えられます。次の妊娠に向けた身体の回復もスムーズです。

中期中絶(妊娠12週以降〜21週6日)

人工的に陣痛を起こし、妊娠12週以降の中期中絶は分娩と同様のプロセスを伴うため、数日間の入院が必要です。母体への身体的負担や精神的トラウマが非常に大きいのが現実です。

羊水検査の結果を待てば、間違いなく中期中絶となります。もちろん、わずかな可能性にかけて結果を待つことも一つの正解です。しかし、エコー等で状況を客観的に把握し、ご夫婦で決断されたのであれば、初期のうちに処置を終え、次のお子さんを妊娠するチャンスを大きくすることも、同じように尊重されるべき正解なのです。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【強要される医療への疑問】

一部の医療機関では、「陽性なら羊水検査」というマニュアル通りの対応がなされ、患者様の心身の負担が置き去りにされているケースが見受けられます。

しかし、医療とは本来、患者様の人生を豊かにするためのものです。ルールを押し付けるのではなく、複数の選択肢を提示し、ご家族が最も納得できる道を探すお手伝いをすることこそが、私たち臨床遺伝専門医の使命だと考えています。

5. 「羊水検査は義務ではない」ご夫婦の最善を支える遺伝カウンセリング

当院の遺伝カウンセリングでは、ただ検査結果をお伝えするだけでなく、「これからどう生きていくか」を一緒に考えます。陽性になったら必ず羊水検査を受けろという強制から解放され、安堵の涙を流されるご夫婦も少なくありません。

私たちは、ご本人たちが望む最善を全力でサポートする体制を整えています。羊水検査を受けずに決断する道も、羊水・絨毛検査(当院でも2025年6月より院内実施)を受けて最後まで結果を見届ける道も、どちらも尊重します。なお、当院では互助会制度(8,000円・強制加入)により、確定検査が必要になった際の費用は全額補助される仕組みとなっており、金銭的な不安なく次のステップへ進んでいただけます。

臨床遺伝専門医としてご夫婦の意思決定にずっと伴走します。どんな道を選んでも、あなたがご家族のために悩み抜いた結論であれば、それは間違いなく「正解」なのです。

よくある質問(FAQ)

Q1. NIPT陽性後、必ず羊水検査を受けなければなりませんか?

決して義務ではありません。当院ではハイスペックなエコー検査を併用し、ご夫婦の強い希望と客観的所見がある場合は、羊水検査を経ずに初期の段階で決断される選択肢もご提示しています。

Q2. 羊水検査を待たずに決断するメリットは何ですか?

妊娠12週以降の中期に行う処置(分娩と同様のプロセス)に比べ、初期での処置はお母様のお身体へのご負担が少なく、費用面でも抑えられます。次のお子さんを授かるチャンスを広げることにも繋がります。

Q3. エコー検査では何がわかるのでしょうか?

18トリソミー(エドワーズ症候群)の胎児によく見られる特有の形態異常を確認します。具体的には、NT肥厚(首の後ろのむくみ)、先天性心疾患、単一臍帯動脈、手足の異常(オーバーラッピングフィンガー等)などの所見です。NIPTの陽性結果とこれらのエコーでの明確な異常所見が揃うことが、医学的な判断の大きな根拠となります。

Q4. ミネルバクリニックのNIPTではどのプランで18トリソミーが検査できますか?

当院では、基本となる「スーパーNIPT」から、より広範な微細欠失をカバーする「プレミアムプラン」、さらに56の単一遺伝子変異まで網羅する「ダイヤモンドプラン」のすべてのプランで、13・18・21トリソミーの検査が標準で含まれています。

Q5. もし羊水検査を受けると決めた場合、費用はどうなりますか?

当院のNIPT受検者は全員、互助会(8,000円・強制加入)に加入していただいております。この制度により、万が一陽性となり羊水検査や絨毛検査へ進む場合の確定検査費用は全額補助されますので、金銭的な不安なくお進みいただけます。

Q6. かかりつけ医から「羊水検査をしないと処置できない」と言われたら?

そのようなお悩みで当院にご相談に来られる方は少なくありません。医療機関によって方針は異なりますが、ご夫婦の強いご希望があれば、対応可能な施設をご紹介するなど、当院の臨床遺伝専門医が可能な限りサポートいたします。一人で抱え込まず、まずはご相談ください。

🏥 不安を、ひとりで抱えないために

陽性の結果に動揺し、ネットの情報に疲れてしまったら、どうか一度お話にいらしてください。
私たちは正確性心の安全を最優先に、次の一手を一緒に整理します。

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参考文献

  • [1] ACOG. Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities. Practice Bulletin No. 226. [ACOG]
  • [2] ISPD. cfDNA Screening Position Statement. [ISPD]
  • [3] 厚生労働省「NIPT等の出生前検査に関する専門委員会報告書」 [公式サイト]
  • [4] 日本産科婦人科学会「母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)に関する指針(改訂)」 [PDF]


プロフィール

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。
2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載
されました。

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