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NIPT 陰性だったのにダウン症?偽陰性の原因と検査の限界を解説

NIPTの陰性結果でもダウン症と診断されるのはなぜ?

NIPT(新型出生前診断)は高精度なスクリーニング検査ですが、100%の確定診断ではありません。
そのため、まれに「NIPTは陰性だったのに、赤ちゃんがダウン症と診断された」というケースが報告されています。
本記事では、NIPTの偽陰性が起こる原因や、検査結果を正しく理解するためのポイントを解説します。

NIPT 陰性なのにダウン症が発覚する5つの理由

NIPTは非常に精度の高いスクリーニング検査ですが、それでも「陰性だったのにダウン症だった」というケースがゼロではありません。
こうした事態が起こる背景には、NIPTの仕組みや遺伝的要因、技術的な制約など、さまざまな理由が関係しています。
ここでは、代表的な5つの原因を詳しく解説します。

1. 胎児DNA濃度が低い

NIPTでは、母体の血液中に存在する「胎児由来のDNA(cffDNA)」を検出して染色体異常を評価します。
ところが、この胎児由来DNAの割合が極端に低い場合、異常の有無を正確に判断できないケースがあります。
特に、妊娠初期や、母体が高BMI(肥満)である場合には、母体由来のDNAが多くなり、胎児DNAが相対的に希釈されるため、検出率が低下する傾向があります。
このように胎児DNA濃度が不足すると、ダウン症などの異常が見逃される「偽陰性」につながる可能性があります。

2. 部分的な染色体異常(モザイク型や微小欠失)

NIPTは、染色体が1本余分にある「トリソミー」を検出するのが得意ですが、染色体の一部分だけが欠失・重複しているような
微小欠失症候群やモザイク型の異常は、検出が難しいことがあります。
特に、21番染色体の「部分トリソミー(部分重複)」などは、標準的なNIPT検査では感知できない場合があり、これが「陰性だったのにダウン症だった」という事例につながることがあります。
検査精度を上げるためには、微小欠失まで調べられる拡張プランを選ぶことが重要です。

3. 胎盤と胎児のDNAが一致しない(胎盤モザイク)

NIPTで分析されるDNAは、「胎児のDNAそのもの」ではなく、胎盤由来のDNAです。
胎盤と胎児は本来同じ遺伝情報を持っているはずですが、実際には「胎盤だけに異常がある」「胎盤には異常がないが、胎児には異常がある」といったケース(胎盤モザイク)が存在します。
この場合、NIPTでは胎盤の正常なDNAを拾って「陰性」と判定してしまうものの、胎児本体には異常があり、出生後にダウン症が判明することになります。

4. 技術的な誤差・解析ミス

NIPTは最先端の遺伝子解析技術を用いて行われる検査ですが、すべての検査に100%の完璧な精度が保証されているわけではありません。
血液サンプルの取り扱いや輸送中の劣化、データ解析ソフトのアルゴリズムの限界、ラボ側のヒューマンエラーなど、技術的な問題が結果に影響する可能性もあります。
特に、微量なDNAから異常を検出するNIPTは非常にデリケートな検査であるため、わずかなプロセスミスでも結果に影響を及ぼすリスクがあります。

5. まれな遺伝的要因(21番染色体の部分重複など)

通常、ダウン症は21番染色体が3本になる「トリソミー21」として知られていますが、実際には「部分トリソミー」でもダウン症の症状を呈する場合があります。
例えば、21q22.13~21q22.2という部分が4.3Mb以上重複していれば、ダウン症の特徴が現れるとされています。
ところが、標準的なNIPTは「染色体全体の数」に着目して検査するため、こうした部分的な変化を見逃してしまうことがあります。
それでは、全染色体検査+700万塩基で全染色体スキャンして欠失重複見る検査を追加すればいいじゃないかと思われるかもしれません。
しかし、先ほどの21q22.13~21q22.2という部分の重複は最小4.3Mbなのです。
700万塩基は7.0Mbですから、それより小さいので検出できません。
このため、NIPTでは「陰性」とされても、たとえ7Mbの全染色体重複欠失チェックをしていても
出生後にダウン症と診断されるケースがあるのです。

以上のように、「NIPT陰性なのにダウン症」というケースには、いくつもの要因が絡んでいます。
NIPTを過信せず、必要に応じて追加検査を受けることが大切です。
また、NIPTを受ける際には、検査プランの選び方や、検査を提供する施設の信頼性をしっかり確認するようにしましょう。

NIPTの偽陰性リスクを減らす方法

NIPTの偽陰性(本当は異常があるのに陰性と判定されること)は、ゼロではありません。
このリスクを減らすためには、検査のタイミングや検査方法の選び方が重要になります。

1. 妊娠10週以降が基本の目安

NIPTは母体血液中の胎児由来DNA(cffDNA)を分析する検査です。
胎児DNAの量は妊娠週数によって増えていくため、妊娠10週以降に検査を行うことが一般的です。

ただし、当院で提供しているNIPTは、海外で実施された臨床試験において、胎児DNA濃度が低い妊娠初期でも検査結果が一定の精度を維持していることが報告されています(※)。この検査は、FDA(米国食品医薬品局)やEUの保健当局が認可した検査を導入しています。

そのため、妊娠10週未満で検査をご希望の場合も、ご相談を承ります。
なお、検査の限界や追加検査の必要性については、検査前に十分ご説明いたします。

2. 信頼できる検査機関の選び方

NIPTの精度を左右する大きなポイントが「どの検査機関で実施するか」です。
当院で採用している検査は、以下の基準を満たしています。

  • FDAやEUの保健当局により検査方法として認可されている(日本には厚生労働省に認可された検査は存在しません)
  • 国内外(世界)で豊富な検査実績を持つ
  • 微小欠失症候群や単一遺伝子疾患にも対応できるオプションあり

どの検査を選ぶべきか、検査の選び方に迷う場合は、遺伝カウンセリングを通じてご相談いただくことをおすすめします。

※本ページの内容は、2025年2月現在の文献・研究データを基に作成しています。

追加検査の重要性:NIPTの結果をどう活用すべきか?

NIPTの陰性結果は、対象となる染色体異常の可能性が低いことを示しますが、確実に異常がないことを保証するものではありません
そのため、特定の状況では追加の確定診断を受けることが重要になります。

1. 確定診断とは?

確定診断とは、NIPTや超音波検査などのスクリーニング検査ではなく、直接胎児の遺伝子や染色体を検査することで、異常の有無を最終的に判断する検査です。
主に以下の2つの方法があります。

  • 羊水検査(Amniocentesis):妊娠15週以降に、羊水を採取して胎児の細胞を分析する検査。
  • 絨毛検査(CVS:Chorionic Villus Sampling):妊娠10~13週頃に、胎盤の一部(絨毛)を採取して分析する検査。

これらの検査は、NIPTよりも精度が高く、診断の確実性が高いため、NIPTで陰性だったが疑念が残る場合や、超音波検査で異常が指摘された場合などに推奨されます。

2. 追加検査を検討すべきケース

以下のようなケースでは、NIPTの結果にかかわらず、追加検査を受けることが推奨されます。

  • 超音波検査で胎児の異常が示唆された場合
    例えば、首のむくみ(NTの増加)や心臓の異常など、胎児に染色体異常が疑われる所見がある場合、NIPTの結果が陰性でも確定診断を受けることが望ましいです。
  • 以下のように、ミネルバクリニックの24時間サポート体制や追加検査の案内について強調し、読者がより安心できるように修正しました。
    ________________________________________

    信頼できるNIPT検査機関の選び方

    NIPTは高精度なスクリーニング検査ですが、どこで検査を受けるかによって結果の信頼性が大きく変わることがあります。
    特に偽陰性(本当は異常があるのに陰性と判定されること)を防ぐためには、信頼できる検査機関を選ぶことが重要です。

    以下のポイントをチェックして、適切な施設を選びましょう。

    1. 充実したアフターサポート体制があるか

    NIPTの結果を受け取った後、「この結果をどう受け止めればいいのか?」「追加検査は必要なのか?」といった疑問や不安が生じることがあります。
    そのため、検査後のサポートが充実している施設を選ぶことが重要です。

    ミネルバクリニックの24時間サポート体制

    ミネルバクリニックでは、検査を受けた方専用のマイページがあり、以下のようなサポートを提供しています。

    • 医師とメッセージ欄でいつでもやり取り可能(疑問や不安があればすぐに相談可能)
    • 必要に応じて、臨床遺伝専門医と電話相談ができる(24時間対応)

    特にNIPTの結果を受け取った後は、「このまま様子を見てよいのか?」「追加検査を受けるべきか?」といった判断に迷うことも少なくありません。
    そのような場合でも、ミネルバクリニックではいつでも医師に相談できる環境が整っています。

    2. 陽性・陰性の結果に関わらず、追加検査の案内があるか

    NIPTの結果が陽性だった場合、確定診断として羊水検査や絨毛検査を受けることが推奨されます。
    そのため、NIPTを実施している医療機関が、追加検査をスムーズに案内できるかどうかも重要なポイントです。

    ミネルバクリニックでは、羊水検査・絨毛検査が必要な場合、適切な医療機関をご案内し、次のステップへ進む際のサポートを行っています。
    また、検査結果を受けた後の判断に迷う場合も、24時間対応の医療相談を活用することで、最適な対応を取ることが可能です。

    3. 国際認証を取得した検査機関と提携しているか

    NIPTは、検査機関によって精度や解析技術が異なるため、国際的な認証を取得している検査機関と提携しているかを確認することが大切です。

    • CLIA認証(米国臨床検査改善修正法):米国の厳しい臨床検査基準を満たしている検査機関
    • CAP認定(米国病理学会認定):遺伝子検査の品質を保証する国際基準
    • ISO 15189認証:国際標準化機構(ISO)が定めた医療検査の品質基準

    これらの認証を取得している検査機関は、国際的に評価されている高水準の検査を提供しているため、安心して利用できます。

    4. 検査精度が公表されており、十分な実績があるか

    NIPTは精度が高い検査ですが、検査機関によって結果の精度に差があるため、施設選びの際には「検査精度が公表されているか」を確認しましょう。

    信頼できる検査機関では、以下のようなデータを公開しています。

    • 検査の感度(Sensitivity)と特異度(Specificity)の数値
    • 過去の検査件数や、検査結果の解析データ
    • 偽陽性・偽陰性の発生率

    例えば、ダウン症(21トリソミー)の場合、検査感度が99%を超えているかが重要な指標となります。
    公式サイトに検査精度のデータを掲載しているかを事前に確認しましょう。

    まとめ

    NIPTの偽陰性リスクを最小限に抑えるためには、信頼できる検査機関を選ぶことが不可欠です。
    検査の精度や認証、アフターケアの充実度を確認し、納得のいく形で検査を受けることが大切です。

    ミネルバクリニックでは、24時間対応の医療相談や追加検査の案内など、充実したサポート体制を整えています。
    検査結果を受け取った後の不安や疑問を解消するためにも、いつでも相談できる環境があるかを重視して検査機関を選びましょう。

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    ミネルバクリニックでは、「健やかなお子さまを迎えてほしい」という想いを持つ臨床遺伝専門医の院長のもと、東京都港区青山にてNIPT検査を提供しています。少子化が進む現代において、より健康なお子さまを望むのは自然なことです。そのため、当院では世界最先端の特許技術を活用し、高精度かつ多様な疾患の検査を提供できる信頼性の高い検査会社を、遺伝専門医が厳選しています。さらに、全国どこからでもオンライン診療に対応し、採血はお近くの提携医療機関で受けることも可能です。
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プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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